デミアン (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001028

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の少年シンクレールが自らを導いてくれるデミアンという少年に出会い、自我を確立していく話。善と悪の間を揺れながら葛藤する心の柔らかい少年時代を描いた前半は、『車輪の下』の主人公を重ね合わせた部分があった。中盤からは、神の啓示のようなものを受けたり、生きるよすがを探し求め自己との対話を深めていく哲学的な語りの様相を強めていく。幸福や使命、運命といったものを外界に求めがちだが、それらは自分の中にすでに宿っている。もがき苦しみながらも探しつづけなさいということを諭してくれているような作品だった。

    • ダイちゃんさん
      ねじまき鳥さん、今日は。ダイちゃんと言います。レビューを読ませて頂き、若い頃の感動が蘇りました。遅れました。今年、愛犬が永眠した時から、ブク...
      ねじまき鳥さん、今日は。ダイちゃんと言います。レビューを読ませて頂き、若い頃の感動が蘇りました。遅れました。今年、愛犬が永眠した時から、ブクログ始めました。よろしくお願いします。
      2021/08/21
    • ねじまき鳥さん
      ダイちゃんさん、こんばんは。そうでしたか。愛犬が永眠されたのですね。大切な家族を失い、とてもお辛かったことでしょう。今後とも、よろしくお願い...
      ダイちゃんさん、こんばんは。そうでしたか。愛犬が永眠されたのですね。大切な家族を失い、とてもお辛かったことでしょう。今後とも、よろしくお願いいたします。
      2021/08/21
    • ダイちゃんさん
      返信して頂き、ありがとうございました。
      返信して頂き、ありがとうございました。
      2021/08/21
  • 読了(...と言って良いのだろうか)

    物語の展開というよりも、登場人物たちの思想が複雑で想像力を求めてくる。集中して読まないとすぐに置いてけぼり...。私にはとても難解でした。
    ですが、著者の他の作品も読みたくなるような不思議な魅力があります。
    再読&他の著作も読みたいです!

  • おすすめされて頂いた、ヘッセの小説。
    とても哲学に満ちていて、感じることも多い内容だったのだけど、感想を言葉にしようと思ってもなかなか難しい。
    物語の当初は10歳の少年だったシンクレールが、独特な考えを持つデミアンと知り合い彼から大きな影響を受け、善と悪、明と暗など対になっている境地を行き来しながら、自己を追求していく。
    揺れ動きやすい思春期にデミアンのような少年に出逢ってしまったら、思慮深い人間ならば恐らくほとんどが心酔に近い感覚で影響を受けてしまうだろう。
    でもシンクレールは影響を受けつつも反発するような気持ちもあったから、彼なりの自己の追求が出来たのだと思う。

    後半3分の1あたりは、ヘッセの思想に飲み込まれるような感覚があった。これは読まなければ分からないとは思うけれど。
    キリスト教の知識も多少はあったほうが、きっとさらに深く読むことが出来ると思う。
    ラストは哀しいながらも希望がある。
    大人になっても自己の追求というのは終わらない。死ぬまで終わらないのかもしれない。考え悩みながら進むというのは、きっと希望に満ちているのだと思った。

  • ヘッセの作品の中でもっとも優れているものは?という質問に対してよくいわれるのが「知と愛」と「デミアン」の2つだ。知と愛については私の座右の書で、何度となく読んでいる。デミアンは読んだことがなかった。だから読んだ。少し遅かったな、というのが感想だ。本には読むべき時期がある本がある。ヘッセやサリンジャーの本なんてまさにそうだ。

  • やっと読み終わった......。1年ぐらいかかったかな、2週間に1度思い出して読むような感じだったけど、1ページ1ページが重くて、うーんうーんと考えながら読んでた。

    「自分自身を探さなくてはいけない」というヘッセのメッセージ(と私は受け取りました)が、ぐるんぐるん心の中でリフレインしている...。

    私の人生のテーマだな!これからも少しずつヘッセの作品読んでいくぞ〜。

  • 人間は、自己の真の姿を求めるものだ。精神性が確立されていない少年期ならば、なおさらであろう。
    主人公のシンクレールは、明るい世界と暗い世界を行き来しながら、真の己の姿を問う。清らかさを求めるときもあれば、堕落に身を委ねることもある。
    明も暗も、両方ともその人の内なのだと私は思う。私は明と暗を行き来する過程こそが、人生の分厚さになると感じた。その分厚さをもって、シンクレールはありとあらゆるものは自己から発せられることを知るのである。
    最後に私自身、シンクレールに言いたいことがある。

    「お前さん、ちぃとばかし変態をこじらせすぎじゃあないのかね?」

  • 荒い。ある形が生まれる瞬間特有の危うさがある。

    運命と自由、定められていることと定め無きこと。
    己の主観に没頭するなかから両者の一致を見いだすことがテーマと、言おうと思えば言えると思う。けれど、そうやって掴もうとすると、掴む手の隙間からボロボロとこぼれ出ていくものがある。それは具体的な当時の状況や、未完成ながら生のヘッセではないかと思う。

    この作品自体にはあまりのめり込めなかった。主題は、作者にとっても今まさに掴もうとしている瞬間にあるようにも見える。よく咀嚼され、理解を越えた直観として人に届く「表現」にまで昇華されていないように感じた。執筆時の時代と状況に深く関わったヘッセの中ではややリアルな側面がある作品であり、普遍化があまり為されていないということかもしれない。

    「デミアン」以降の「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「知と愛」は、「デミアン」がより純化され、洗練されたものと言えそうだ。一方で「デミアン」は、これらにない一回限りの、無数の雑味を含んで作家へルマン・ヘッセの成り立ちを教えてくれる。

    • だいさん
      レビューはとても面白かったです。
      得体の知れない、つかみ所のない、印象は作者が意図したものではないかと考えます。(人の心は移ろいやすい)。...
      レビューはとても面白かったです。
      得体の知れない、つかみ所のない、印象は作者が意図したものではないかと考えます。(人の心は移ろいやすい)。
      私は鳥瞰しているとの印象を持ちました。
      2012/08/07
    • clloudthickさん
      >だいさん
      コメントありがとうございます。
      「鳥瞰」というのは面白いですね。ヘッセの特徴をよく表していると思いました。

      仰るとおり、物語の...
      >だいさん
      コメントありがとうございます。
      「鳥瞰」というのは面白いですね。ヘッセの特徴をよく表していると思いました。

      仰るとおり、物語の合理的辻褄のない、夢のような性質は意図された表現だったろうと感じます。
      ただ私には、このテーマに戦争のモチーフが必要だったかをはじめ、道具立てのいくらかが、腑に落ちないのです。「それでなくとも(ない方が)よかったのではないか」という感覚です。これが他のヘッセ作品にはない印象でした。
      2012/08/07
    • だいさん
      clloudthickさん こんにちは。
      使い方が、良く分からず、コントにコメントを書いていただくと、メールで連絡は来ないのですね。そのた...
      clloudthickさん こんにちは。
      使い方が、良く分からず、コントにコメントを書いていただくと、メールで連絡は来ないのですね。そのため、今日気がつきました。
      ヘッセの作品は、お好きなのですね。私は3冊ほどしか読んだことありません。なのだ、他の作品との違いは良くわかりません。
      本書では、グノーシス派のことが取り上げられていますよね?通常は異端と見られると思うのですが、わざわざ本書に出す所は変わってると思います。
      2012/09/05
  • 中学3年生のとき、父に手渡されたヘッセの『デミアン』。それからずっと、もうほんとうにずっと、私はデミアンの面影を追いかけている。
    文庫は父から引き継ぎ、わたしの本棚にある。高校1年、2年、3年、大学1年…毎年読み返した。(父がそう読んでいて、年々感じることが変化していった、と言っていたから)
    本当に大好きな小説。もろてをあげておすすめ!大大おすすめ!というのはなんだか違うかもしれないけれど、もしこれを読んでくださっているあなたが国語の教科書に載っていた『少年の日の思い出』に魅了されたのなら、ぜひ読んでほしいです。

    わたしの方は、そこからウテナを見て(お察し…)

    サンタ本

  • ヘッセの本はあらかた読んだが、個人的にはこの作品が一番引きが強かった。

    見栄のためにホラ話をしたのがきっかけで秘密を抱えたシンクレール少年は、デミアンという転校生に助けられる。そのデミアンとの接近が、シンクレールの自立と自己の深淵を覗き込む動きを間接的に手助けし、彼は思想的にも成長していく。
    最後の方は少しスピリチュアルすぎる感もあるが、だからこそタイトルが「デミアン」なのだ、という感じのある印象的な終わり方。

  • 同じ著者の『車輪の下』が、なかなかおもしろかったので、本作も読んでみましたが、こちらはちょっと難しいところも多かったです。
    前半部分のシンクレールの葛藤は、とても共感できて良かったです。
    複雑な内面の話になってくると、理解が追いつきませんでした。

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