デミアン (新潮文庫)

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著者 : ヘッセ
制作 : 高橋 健二 
  • 新潮社 (1951年12月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001028

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デミアン (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 真の自分になる時、途轍もない壁が出てくる。

  • Das Leben jedes Menschen ist einWeg zu sich selberhin.
    人生とは、自分自身へと向かう道である。

    人生最大にして最高の本。
    ヘルマンヘッセ自身もこの作品で化身を遂げ、真の意味での叙事詩人となった。

    自らの人生と重ねたシンクレールとデミアンの存在。相反するものの同時存在には一度世界が壊れるのを経験しなければならない。運命は乗っ取ることができる。その意思力を身につけさえすれば。

    神であり同時に悪魔でもある神の名はアプラクサス。卵(世界)から出て新たな世界となる神の誕生。

  • 苦しかった。けれど救いはある。

  • 「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。」
    p.136

    「彼は愛して、それによって自分自身を見いだした。これに反し、大多数の人は愛して、それによって自分を失うのである。」
    p.223

    全ての事の発端となる、幼少期の罪。
    シンクレールはそれ以降、世界との関わり方を変えざるを得なかったが、遅かれ早かれ、彼はそうなっていただろう。
    幼少期の人間にとっては自分の周辺が世界の全てであり、それ故シンクレールは小さな罪、小さな悪から逃れることができなかった。
    この物語は、デミアンとの出会いを契機に、シンクレールが長い時間をかけて生まれ、自分自身を見いだす物語である。
    そういう意味で、多くの人が本書を「思春期に出会いたい本」に挙げるのも頷ける。

  • 主人公のシンクレールは、不良少年からその場逃れの嘘をついてしまったがために窮地に陥る。その危機を救ったのが不思議な少年、デミアン。
    ヘッセはこの作品以降に哲学的な作品を増やしたらしい。
    シンクレールは何度も道を踏み外しそうになるが、デミアンや、通りすがりの女性によって、正しい道へと戻ってゆく。
    そう、これは正しく明るい世界と、悪くて暗い世界を行き来する人間の物語とも言えるだろう。

  • 昔の本で、こんなに心理学というか、夢だとかを取り上げてるなんて、あるんだろうけど、すごく面白かった。惹きつける魅力、だとか夢が暗示だとか。ちょうど、フロイトの夢診断、精神分析を読もうとしてただけに、なんだか面白かったし、最後の所がまさに。時代背景が伺える。そんな風に無意識に刺激を求める人々が、戦争を惹きつけるのか。

  • 最初の方の少年期の回顧録は「これは、またいつものヘッセか…」という展開で、正直この手のヘッセはもういいよってなった。しかし、デミアンとの再会から物語が大きく動き始めた。宗教色がかなり色濃く出ていて、やや難解。ダンテの『神曲』を読みたくなった。解説を読んでから読んだ方がわかりやすいかも。いずれにせよこの作品がヘッセ転換期の作品であるということは間違いない。2012/324

  • "車輪の下"が有名ですが、本作"デミアン"も重要な作品です。当時のヘッセは精神的に追い詰められており、ユングの弟子たちの助けを借りながら精神の回復を遂げました。この体験から深い精神世界を描いた本作が生まれました。主人公のシンクレールがデミアンという少年と出会うことによって、自己について思い悩み葛藤していく姿が描かれています。聖書やキリスト教の善悪二元論などが出てきますが、家庭というある程度閉鎖された環境から社会という開かれた世界へ生まれ変わる話とみれば、宗教や地域に縛られず普遍的な話と理解出来ます。

  • とにかくキツかった。
    自分は俗物過ぎるせいか、全く理解できない作品であった。
    254ページを読みきるのに何ヶ月掛かっただろう。
    途中嫌になって投げ出し、神学を勉強してから読みなおそうかとも考えたこともあった。
    しかし、熟読出来ないながらも少しずつ読み続け、なんとか終えた。

    思えば少年時代は見栄を張って嘘をついたり、今思えば小さい事でも、当時の自分にとっては世界を占める程の大きな悩みもあった。
    そういった部分は共感できたが、途中から入る神秘性についていけない。
    巻末の解説によれば本作はヘッセがもっとも注力したものであるそうだが、個人的には『車輪の下』のような叙情的な自然描写が好きだ。

    「難しいから評価は1つ」というのはしたくないので本作は無評価としたい。

  • 再読。
    ユングの分析心理学の影響を受けた事が顕著に現れたヘッセ転換期の傑作です。

    全体にそこはかとなく漂う幻想的な雰囲気に感動を受けました。

    ユングの分析心理学を読んでから本書を読み返すと理解が深まり更に強く感動できました。

    人生を通して何度も読み返したい本です。
    その辺の自己啓発本を何冊読むよりも人生の糧になる一冊だと思います。

  • 「鳥は卵の中から抜け出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲する者は、一つの世界を破壊しなけらばならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」(136ページ)
    有名なこのフレーズきっかけで読書。

    ううむ。シンクレールの魂が辿る遍歴を上辺じゃなく理解しようとするのはなかなか難しい。
    本質じゃないだろう点を言えば、シンクレールとデミアンの関係ってすごーくJuneっぽい。ラストでのキスを別にしても。
    愛だ恋だお手軽な今どきのBLじゃなくて、男同士の離れがたい魂での繋がりみたいなものを描いたJuneの方。
    シンクレールの運命の人というか。結局、全てデミアンに行き着いてしまうというか。
    小説としては、デミアンに見ていたものはシンクレール自身の内から生じていたものっていう解釈が正しいんだろうけど、熱烈な愛をずっと告白し続けているようにも読める(笑)

  • 普段は物質的な世界しか知覚できないが、精神的な世界は確かに存在していると感じる。たとえ物質的な距離があろうとも、精神世界では物質的な世界で言う距離というものは存在しないだろう。もしもそれが本当なら、私たちが違うものだと思い込んでいるだけで、過去も未来も、人も人でないものも、すべては一つのものということになる。愛する人と過去にも未来にも一つになれるのなら、それはこれ以上ない幸せだと思う。

  • 2013年最初の一冊はヘッセを読みました。ヘッセの作家人生中期代表作の一つです。本作の主題は一言で言うなら“転換”ですね。内容は、シンクレールという青年があるときデミアンという一人の青年に出会い、それをきっかけに過去の抑圧からの解放を試み、本来の自分とな何なのかというものを探っていく精神分析的な要素の強い作品です。ヘッセの代表作といえば「車輪の下」が有名ですが、それは著者の作家人生の初期作品で、様々な苦悩に満ち満ちていた時の心情が色濃く反映されていたようですが、その後「シッダールタ」「知と愛」といった作品を生み出すにあたっての転換期が本作であり、キリスト教から仏教や東洋思想に傾倒していくことが象徴的であるように、シンクレールに自己投影された様々な苦悩が表わされている内容になっています。なかなか読みにくい内容となっていますが、今後も何度も繰り返し読むことによって、その都度受ける印象が変わってきそうな作品とも言えそうです。

  • ヘッセは青春をテーマとした作家というイメージがある。この作品は予想とはちょっと異なる雰囲気があった。子供のころの話から、暗いイメージがある。デミアンが登場すると場面は華やかとなるが、また、別に謎を持つ人物というイメージが出てくる。そして、カインとアベルの、聖書とは別な解釈の話がやがて、ジンクレールは生活が荒れて、その後は立ち直る。
    解説を読むと、自己を見つけることがテーマのようだ。デミアンの母である、エヴァ夫人が登場する辺りから、なんとなくそのようなイメージはあるのだが。解説を読まなければ、そこまで深くは読み取れない。
    読後感、鳥になったイメージ。自分が飛んだのか、また、デミアンと一体化して時空を越えたのか?その越えたものは自己であったのか?
    このジンクレールのように自己を越えることはできない。
    グノーシス、カイン派のイメージが強く残る。

  • デミアンはスペックが高すぎる友達だと思った。

  • 一つの本が人の人格形成を左右するだなんてリアリティに欠けた考えだと思っていたけど、この作品を読んでいる最中から、そういうこともあるのかな、とか考えが簡単に覆っている自分の存在がいたことは認めざるをえませんね。実際のところはわからないけど、(私のように精神の未熟な)学生のうちに読んでおいて良かったとは思います。自分の生き方について考えさせられました。僕は死にません。たぶん。たぶん

  • 「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」
    物語後半までこの意味がきちんと理解できていなかった…
    世界が生まれ出るために崩壊しようとしている
    古い世界の終わりは新しい世界のはじまり

    途中、内容が難しくてよく分からないまま読み進めてしまったところもあるが、シンクレールの不良少年との不幸な経緯から戦場での最後を通して自己追求とはなにか深く考えさせられました。
    繰り返し何度も読まないとだめですね…

    ヘッセの作品に日本人が登場したときはぎょえええーと思った。すこし嬉しい。
    『車輪の下』とともに『デミアン』は腐女子のバイブル…なるほどと思ってしまった。

  • 荒い。ある形が生まれる瞬間特有の危うさがある。

    運命と自由、定められていることと定め無きこと。
    己の主観に没頭するなかから両者の一致を見いだすことがテーマと、言おうと思えば言えると思う。けれど、そうやって掴もうとすると、掴む手の隙間からボロボロとこぼれ出ていくものがある。それは具体的な当時の状況や、未完成ながら生のヘッセではないかと思う。

    この作品自体にはあまりのめり込めなかった。主題は、作者にとっても今まさに掴もうとしている瞬間にあるようにも見える。よく咀嚼され、理解を越えた直観として人に届く「表現」にまで昇華されていないように感じた。執筆時の時代と状況に深く関わったヘッセの中ではややリアルな側面がある作品であり、普遍化があまり為されていないということかもしれない。

    「デミアン」以降の「シッダールタ」「荒野のおおかみ」「知と愛」は、「デミアン」がより純化され、洗練されたものと言えそうだ。一方で「デミアン」は、これらにない一回限りの、無数の雑味を含んで作家へルマン・ヘッセの成り立ちを教えてくれる。

  • 「私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。」(冒頭より)

    これほどまでに的確に、多くの人がぶち当たる困難を表現できる平易でありながら深い物語はないように感じられました。

    旧約聖書の中で、「あなたはわたし以外のなにものも恐れてはならない」とあるのですが、それを踏み外すと次々に大きな困難や苦悩が現れる、それもよく描かれている本だと思います。

    ドイツ人作家ヘルマンヘッセはこの作品を境に牧歌的なものから自らの内心を語るものへと関心を変えていったそうで、どうやら日本では前者への人気が高いようです。ただ、私はキリスト教的な内容にかなり共感を覚え(調べたところ、彼のご両親は私の属する教派にいたようですから当然かも)、後者をもっと読んでみたいという思いに駆られました。

    この作品では特に「善意」「悪意」「信頼」「罪悪感」を扱っています。もちろんクリスチャンでなくとも共感できるはずの内容ですが、第2章「カイン」を読む時はぜひ旧約聖書を手に取って、自分で内容を確認しつつ読んでほしいと思います。「正統」とされる解釈と、「異端」とされる解釈を対照するという主人公シンクレールの体験を丁寧に追うことで、シンクレールが思考を巡らせているその背景をしっかり理解することができると思います。もちろんシンクレールは正統である方を選ぶのですが、物語の価値というのはすべて読み手の解釈そのものにかかっていると、こんなにも薄い本で知らせてくれる作品はなかなかないものです。

    本当に薄い本ですが、ぜひ静かに一人で読んでみてください。

  • 初めて読んだのは10代最後の頃。何故生きるのか?など、苦しく混沌とした心境でヘッセに救いを求めていた時代でした。
    高橋健二訳のデミアンを、一字一句全てが自分自身の体験のように感じられるまで時間をかけて読み、読み終えた時には暗唱できそうなくらい心と身体に浸透していました。星に恋した若者の個所が忘れられません。
    他の翻訳でも読んでみましたが、かなり違和感があり、翻訳でこうも格調が違ってしまうのだと痛感させられました。
    やはり原語で読むのが1番なのでしょうね。私には無料ですけれど。

  • 高校生から浪人時代にヘルマンヘッセを読む。愛する友人との出会い・経験を通じて自分の存在について捉えていく。

  • 第一次戦時中にヘルマンヘッセによって発表された本作品。
    主人公、エーミールシンクレールは幸せな家庭で暮らしていたが、あることをきっかけにして、悪の世界におびえながら生活することになってしまう。そんな日々が続いていく中で、ある時、謎の人物デミアンに出会う。デミアンはシンクレールの悩みを全て見抜いていた。このデミアンという人物は一体何者なのか。主人公が明の世界と暗の世界の板挟みに悩みながら、真の自己を追求していく過程が描かれている一作。

    第三回ビブリオバトルチャンプ本

    本館3階東閲覧室(人文系)943.7 He
    蔵本一階ホール 943.7 He

    (Luc)

  • ひたすらにシンクレールの内省が続く。特に前半は、不良少年クローマーをきっかけに生まれた苦しみにもがく描写が読んでいてつらかった。
    シンクレールの成長の中でたびたび現れ、シンクレールに影響を与えるデミアンの存在が不思議。デミアンがどうなってしまったのかわからないが、ラストはシンクレールが堕落と思索を経て生身のデミアンを必要としなくなったということなのだろうか

  • ファンタジーのようでいて、宗教色も強くて、でも読みづらくもない。内面的な戦いを経て大人になる(というか置き場をみつける)話で、久々に充実した読書をした気分。
    青春小説なのに青臭くないのは、性を持て余して恋に悩まないからかしら。

  • ◆きっかけ
    『おおかみこどもの雨と雪』の花の本棚にヘッセがあったので。2016/9/20

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