デミアン (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102001028

感想・レビュー・書評

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  • 「鳥は卵の中からぬけ出ようと戦う。卵は世界だ。生まれようと欲するものは、一つの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。神の名はアプラクサスという」
    物語後半までこの意味がきちんと理解できていなかった…
    世界が生まれ出るために崩壊しようとしている
    古い世界の終わりは新しい世界のはじまり

    途中、内容が難しくてよく分からないまま読み進めてしまったところもあるが、シンクレールの不良少年との不幸な経緯から戦場での最後を通して自己追求とはなにか深く考えさせられました。
    繰り返し何度も読まないとだめですね…

    ヘッセの作品に日本人が登場したときはぎょえええーと思った。すこし嬉しい。
    『車輪の下』とともに『デミアン』は腐女子のバイブル…なるほどと思ってしまった。

  • 「私は、自分の中からひとりで出てこようとしたところのものを生きてみようと欲したにすぎない。なぜそれがそんなに困難だったのか。」(冒頭より)

    これほどまでに的確に、多くの人がぶち当たる困難を表現できる平易でありながら深い物語はないように感じられました。

    旧約聖書の中で、「あなたはわたし以外のなにものも恐れてはならない」とあるのですが、それを踏み外すと次々に大きな困難や苦悩が現れる、それもよく描かれている本だと思います。

    ドイツ人作家ヘルマンヘッセはこの作品を境に牧歌的なものから自らの内心を語るものへと関心を変えていったそうで、どうやら日本では前者への人気が高いようです。ただ、私はキリスト教的な内容にかなり共感を覚え(調べたところ、彼のご両親は私の属する教派にいたようですから当然かも)、後者をもっと読んでみたいという思いに駆られました。

    この作品では特に「善意」「悪意」「信頼」「罪悪感」を扱っています。もちろんクリスチャンでなくとも共感できるはずの内容ですが、第2章「カイン」を読む時はぜひ旧約聖書を手に取って、自分で内容を確認しつつ読んでほしいと思います。「正統」とされる解釈と、「異端」とされる解釈を対照するという主人公シンクレールの体験を丁寧に追うことで、シンクレールが思考を巡らせているその背景をしっかり理解することができると思います。もちろんシンクレールは正統である方を選ぶのですが、物語の価値というのはすべて読み手の解釈そのものにかかっていると、こんなにも薄い本で知らせてくれる作品はなかなかないものです。

    本当に薄い本ですが、ぜひ静かに一人で読んでみてください。

  • 初めて読んだのは10代最後の頃。何故生きるのか?など、苦しく混沌とした心境でヘッセに救いを求めていた時代でした。
    高橋健二訳のデミアンを、一字一句全てが自分自身の体験のように感じられるまで時間をかけて読み、読み終えた時には暗唱できそうなくらい心と身体に浸透していました。星に恋した若者の個所が忘れられません。
    他の翻訳でも読んでみましたが、かなり違和感があり、翻訳でこうも格調が違ってしまうのだと痛感させられました。
    やはり原語で読むのが1番なのでしょうね。私には無料ですけれど。

  • ◆岩波書店/デミアン
    https://www.iwanami.co.jp/book/b247769.html

  • 【2024年72冊目】
    恐れから不良少年であるクローマーに対して嘘をついてしまった10歳のシンクレールは、彼からの脅しを受け、精神的に病むほど追い詰めてしまう。そんなシンクレールを救ったのは年上の級友、デミアンだった。その後のシンクレールの人生はデミアンと共に過ぎて行く。

    難しかった…外国の小説って翻訳されてる言葉がしっくり入ってくるか入ってこないかで結構明暗がわかれると思うんですけど、この話は残念ながら入ってこなくて、途中から小説じゃなくて宗教、もしくは哲学書を読んでいるという風に自分を納得させるなどしました。

    教養小説というジャンルにわけられるようなのですが、こっちの教養がなくてついていくのに必死でした。青年の葛藤を小難しく描いているような感じ…?デミアン好きの方にはこんな表現の仕方して本当に申し訳ないんですけど、なにせ宗教的な知識も乏しいのでダメでした。

    この小説読む前に、この知識は入れといてね!みたいな指示書が欲しい(?)高尚だったな〜。

    物語を楽しむ小説ではないことが確かです。多分、私が小説に求めている「物語への没入感」とか「登場人物の緻密な心理描写」とか「話の面白さ」と合致してないのが要因だったんだろうなぁ。

  • デミアンは主人公の旅先案内人のような人物であり、物語の進むべき道の途中どたびたび現れた、不思議なキャラだった。シンクレールというキャラは守られた柔らかで暖かい世界に内側に居場所をおいてはいるが、暗く陰湿な世界の存在に興味を抱いており、そこに懐かしさのようなものを感じている。
    彼の最初の破滅的な出来事は、年上の少年に恐喝され、引き返せず、逃れられない恐怖に支配されていた。
    そこにデミアンとの交流が生まれ、彼に救ってもらったことからはじまった。
    シンクレールは成長することで世界はからの中から生まれようとする、という事に拘りをもっており、哲学的思考を続けていた。
    彼の生き方は苦しいものだが、仲間のように思えたピアノ弾きの少年とのやり取りは温かく感じた。その少年と宗教について語り合い、自身の考えをまとめあげていき、やがて彼を出し抜いて傷付けてしまったのは読んでいて少し胸が痛んだ。
    ヨーロッパの宗教や社会の混沌さを嘆き諦めかけている所に、再度デミアンと再会し、達観しているコミュニティに属し、デミアンの母親に尊敬と愛を覚えたところは、友人の母親にそういう感情を抱くのは罪悪感を感じる。ただし、彼女は何かの象徴として描かれていて、彼女個にたいするものだけでは無いと思うのだが、それが何なのかは分からない、いい当たる言葉が見つからない。
    あと、日本人も登場しているが、ドイツと日本の共通点がヘッセの共感から登場させられたのかも。
    また、盲目な多数派ではない印もデミアンとの話のなかで度々出てきており、カインとアベルの話を知る必要があると思った。

  • 二回読んでも読みきれていない気がしているので、しばらくおいてまた読もう。

  • 二面的な価値観の葛藤にゆれつつ自己の運命を求め行く姿のなんと究極的なことか。デミアンとの出会いから生徒時代の終わりまでが特に興味深い。

  • 初ドイツ文学

  • 心を病んでいた時に読んだので心苦しくなる場面も多々ありましたが、デミアンの言葉やシンクレールの移り変わる心情が所々で私の救いになりました。
    また読みたいな。

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