- Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102005057
感想・レビュー・書評
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ハチャメチャな爺さんの話かと思ったら、悲しく哀れを感じるお爺さんの話だった。終盤のお金がない娘二人と学生二人の対比が面白い。最後のラスティニャックの決意に応援してしまう。
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ゴリオ爺さんを可哀想、と哀れめばいいのかわからない。
課題で読んだ本ですが、なかなか入り込めず苦労しました。きれいだけじゃないフランスの生活が見える気がします。 -
パリの社交界で出世したい法学生と、製麺業者を引退した元豪商ゴリオ爺さんにまつわる貧困と豪奢、恋愛と家族愛の話。キリスト教的美徳と、金にまつわる人間本性的感情の葛藤が全体を覆っている。なかでも死に際は壮絶で、シェイクスピアさながらの悲劇というに相応しく、現世的な欲望がいかに心を蝕むかが示される。神の愛ならぬ父の愛ともいえる、貧困の最中で何も持たず死にゆくその描写は、半ばグロテスクだ。
"パリでは、正直者とは黙りこんで、仲間入りするのを断わる人間のことさ。"
"人間は不完全なんだよ。人間は多かれ少なかれ、偽善者になることがあるが、そうすると頓馬な連中は、やれ真面目だ、不真面目だなどとぬかす。"
"パリというのは、いいかね、イリノイ族とかヒューロン族とかといった、何十種もの野蛮な種族がうようよしていて、さまざまの社会的狩猟の獲物で暮している、新世界の森林みたいなところなんだ。"
"ヨーロッパのすべての首府の誇り高き貴族社会が、破廉恥な百万長者を仲間に入れることは拒絶するのに、パリは腕をさしのべ、そんな男の祝宴にも駆けつけ、晩餐をご馳走になり、その破廉恥ぶりのために乾杯する"
"原理なんてのはない、出来事があるだけだ。法則なんてない、状況しかないんだ。優秀な人間は出来事や状況に即応してそれを導こうとする。"
"いたいけな子供から財産の半分を取りあげた伊達男は、わずか二カ月の禁錮ですみながら、加重情状のもとに千フラン札を一枚盗んだというだけで、哀れな男が徒刑場送りになったりするのかね? それが法律さ。"
"青年というのは、不正のほうへ傾くときには、自分の姿を良心の鏡に映してみる勇気がないが、壮年は、すでにそこにおのれを見たことがある。それが、人生のこのふたつの段階の違いのすべてなのである。"
"可能なものによって不可能なものまで証明し、期待によって事実をもくつがえすというのが、女性の本性のなかにあるひとつの特質である。"
"不成功がいつでも、われわれの自惚れの過大さを告発する。"
"「おれも一生、正直な男として暮しそうだな。良心の声にしたがうというのは気持のいいものだ」"
"人間てのはすべてか無かなんだ。そいつの名前がポワレと言うんだったら、そいつはゼロ以下だ。"
"役所にも軍隊と同じように、それなりの盲目的服従制度がある。それが良心を窒息させ、ひとりの人間をだめにし、時とともに彼を、まるでボルトや雌ねじみたいに、政府という機械に適応させてしまうのだ。"
"ヴォートランのほうがずっと偉い。彼は《服従》と《闘争》と《反抗》という、社会を表現する三つの大きな要素を見きわめていた。つまり《家族》と《世間》と《ヴォートラン》だ"
"愛情とはあるいは、快楽にたいする感謝の念なのかもしれない。"
"やはり君は、欲望をひとつのことにかぎって、君のつつましい人生を歩みたまえよ。おれは地獄におちた。そしてあくまでそこにとどまらなくちゃならないんだよ。世間というものをどんなに悪く言うやつがいても、そいつの言うことはほんとだと思うんだな!"
"美しい魂を持っていると、この世間に長くとどまっていることができないんだ。実際、どうして偉大な感情が、みみっちくて、しみったれていて、浅薄な社会などと折りあってゆけるだろうか?"
"われわれの共感感覚がそこから発し、またそこへと向う未知の中枢へと退いてゆくかのような、彼の感受性の最後の反響なのだった。"
"ふたりの学生は、思考の死の後もなおも生きつづける、感情の力のそんな恐ろしい激発に胸を打たれ、それぞれ瀕死の病人の上に熱い涙をしたたらせた。"
"《まだ理屈を言わなかった》ころにつながる形見の品を、うやうやしく爺さんの胸の上にのせてやった。"
"彼は墓を見つめ、そこに青年としての最後の涙を埋めた。神聖な感動がむりやりに純粋な心から絞り出させる涙、したたり落ちた地面からふたたびほとばしって、天まで昇ってゆくといったあの涙である。"
・解説
"「ゴリオ爺さんの主題。実直な男──安下宿──六百フランの年金──二人とも今は五万フランの年金がはいる娘たちのために無一文になる──犬のような惨めな死に方」" -
こんなに父性ゴリゴリの物語、どうしても娘の立場で読んでしまう。自分の父とも重ねるけど、やはり15歳くらいのときの娘でいて欲しいのだな〜こちらは歳を重ねるごとに現実でサバイブできるようにトランスフォームし尽くさなきゃいけないのに。彼女たちはお金以外のなにかをわかろうとしたほうがよかったけれど、有り余る父性を先にお金に換金してしまったのは紛れもなくゴリオだったのだ。
ラスティニャック青年の出世欲と誠実さのバランスが愛おしい。飽きない展開に目が離せず、世界の十大小説と言われるのも納得。おもしろかった。 -
大概はそんなもんだよなあ、人間関係て。虚無的にすぎるかもしれないけど
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出世の野心を抱いてパリで法学を学ぶ貧乏貴族の子弟ラスティニャックは、場末の下宿屋に身を寄せながら、親戚の伝を辿り、なんとか社交界に潜り込む。そこで目にした令夫人は、実は下宿のみすぼらしいゴリオ爺さんの娘だというのだが…。 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=28924
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA71664354 -
無償の愛の見返りが、文字通り無償に終わるゴリオ爺さんの話を軸に、表向きは華やかなパリの社交の場へ進出を目指す青年ラスティニャックや、青年に反抗哲学を植え付けようと唆すヴォートランらヴォケー館の住民たちの話が展開される
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3.83/1130 (作品集「人間喜劇」)
『華やかなパリ社交界に暮す二人の娘に全財産を注ぎこみ屋根裏部屋で窮死するゴリオ爺さん。娘ゆえの自己犠牲に破滅する父親の悲劇。』(「新潮社」サイトより▽)
https://www.shinchosha.co.jp/book/200505/
原書名:『Le Père Goriot』
著者:オノレ・ド・バルザック (Honoré de Balzac)
訳者:平岡 篤頼
出版社 : 新潮社
文庫 : 523ページ
メモ:
・『世界の十大小説』サマセット・モーム
・死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」
・世界文学ベスト100冊(Norwegian Book Clubs)
・西洋文学この百冊 -
モームが選ぶ世界十大小説より。未読のような気がするのでメモ。
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「ゴリオ爺さん」バルザック著・平岡篤頼訳、新潮文庫、1972.04.30
396p ¥480 C0197 (2019.04.14読了)(2017.01.03購入)(1993.07.10/26刷)
【目次】(なし)
一 下宿屋 5頁
二 社交界への登場 120頁
三 不死身の男 217頁
四 老人の死 300頁
解説 平岡篤頼 385頁
年譜 391頁
(「BOOK」データベースより)amazon
奢侈と虚栄、情欲とエゴイズムが錯綜するパリ社交界に暮す愛娘二人に全財産を注ぎ込んで、貧乏下宿の屋根裏部屋で窮死するゴリオ爺さん。その孤独な死を看取ったラスティニャックは、出世欲に駆られて、社交界に足を踏み入れたばかりの青年だった。破滅に向う激情を克明に追った本書は、作家の野心とエネルギーが頂点に達した時期に成り、小説群“人間喜劇”の要となる作品である。