ゴリオ爺さん (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102005057

感想・レビュー・書評

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  • パリ社交界に憧れる貧しい学生と、社交界に嫁いだ娘たちのため自分の身を削るお爺さんの交流。人間の傲慢さ、狡さ、醜さがパリ社交界の煌びやかさと対照的に描かれている。

  • 文学
    古典

  • バルザックはフランスではとても有名な作家ですが、その作品を初めて読みました。1835年の作品ですから、19世紀の前半、フランス革命やナポレオン帝政の後、7月王政の時代です。パリも都市として大きく発展していたころで、この小説の主人公ラスティニャックのように、地方から出てきて出世を目指していた若者も多かったようです。

    娘を溺愛しながらも省みられることなく最期を迎えるゴリオ爺さんが物語の中心にはあります。しかし、それを取り巻くしたたかな人物設定(特にヴォートランや下宿のおかみヴォケー夫人)や、パリの社交界が狩猟社会の様相を呈しているあたりの描写(192頁)が基調を作っていますので、読んでいて悲痛な気持ちになるはありませんでした。よく言われるバルザックの「人間喜劇」を楽しめます。

    人間の多面性や社会の本質が見事に描かれています。それは、バルザックの人間社会への鋭い洞察や人生経験によるところも大きいでしょう。一方、作品の登場人物に命を吹き込み、作中で生き生きと立ち回らせることができるあたり、彼の小説家としての凄みを感じさせました。

  • 大学生の身でありながら学問はさぼりがちで
    人妻訪問にばかり精をだす
    ウージェーヌ・ラスティニャックがそうするのは
    社交界で人脈を作ることこそ、出世の早道と信ずるからであるが
    なにしろそのためには金がかかるのだった
    そんな彼の前に、二人の男が現れては破滅し、去っていく
    ジャック・コランとゴリオ爺さんだ
    一人は、資産家の娘を篭絡してしゃぶりつくすことをそそのかす悪党
    もう一人は、娘たちへの愛情だけを杖に生きてる惨めな老人
    ウージェーヌは、そのどちらにも一定の共感を抱くが
    しかし、どちらの示す道をも選ぶつもりはなかった
    いわば父性との決別
    それがナポレオン・ボナパルト斃れし後の
    フランス共和主義の気分というものだったのかもしれない

  • ピケティに読めと言われた気がして。

  • ピケティに読めと言われた気がして。

  • ドラマは俗っぽいけど、確かな描写が感情をゆさぶるのはさすが。ヴォートランの逮捕の下りの描写がとても良かった。
    そしてラストもかっこよい。

  • 読後も頭の何処かに残り続ける作品と思います。

  • 【生き方】毒蛇は急がない/島地勝彦/20160107(1/427)<254/29626>

  • 岩波文庫の下巻が見つからなかったので、新潮文庫で読み直し。
    岩波の方が近代文学っぽい古くてやや分かりにくい表現の翻訳に感じられたけど、それが古さと雰囲気を出している気がして良かったような。
    文字のサイズが大きくて、読みやすさは新潮の方が勝ってるかも。

    娘を溺愛・偏愛した寂しい悲しい父親の一生と出世を目指す青年の姿が描かれた物語でありながら、それだけでなく、その他の脇役にもストーリーがあって、バルザックの他の作品も読んでみたくなった。

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著者プロフィール

オノレ・ド・バルザック
1799-1850年。フランスの小説家。『幻滅』、『ゴリオ爺さん』、『谷間の百合』ほか91篇から成る「人間喜劇」を執筆。ジャーナリストとしても活動した。

「2014年 『ジャーナリストの生理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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