- Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102007129
感想・レビュー・書評
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男女の愛の物語もある。
家族ぐるみの友情の物語も。
でも、やっぱり戦後のドイツの抱える傷跡が、その痛みが、どうしても強く前に出てくる。
特に「割礼」
ひとりの人間としてであって恋に落ちた二人が、互いの家族と会い、故郷を訪れ、社会的な付き合いを深めるとともに生まれる、互いのバックボーンへの不信感。
ドイツ人がユダヤ人にしたことは許されることではないが、それは、今僕が責められなければならないことなのだろうか。
彼女の悪気のない一言が、彼を息苦しくさせていく。
彼女を失わないために彼がした決断と、その結末に唖然。
亡くなった妻の、自分が知らない一面を探る「もう一人の男」
自分勝手で、3人の女性の間でうまいことやっていると思っていた男が、すべてを捨てようとした時に忽然と浮かび上がる女のサイドの物語が怖ろしい「甘豌豆」
確かに二人の間の愛情が消えたことを知りながら生活を続け、再び愛が生まれることがあるのだろうか。やり直すとしたら、どこからなのだろう。「ガソリンスタンドの女」
ひとつの人生を、違う角度から見た時の落差が冷徹で、いいわけが許されない。
愛情の、愛が無くなったらそこで関係が終わってしまうのが欧米の夫婦観だとしたら、愛が無くなっても情で繋がることができてしまうのが日本人なのかと思ったり。
そう思っているのが私の方だけだとしたら、結構困ったことになるなと思ったり。 -
「朗読者」の作者の短編集。あれは映画も良かったなあ~
浮気しながら追い詰められる男の話が、滑稽なのに最後は女たちの強さにうなった。この人の書く女性は強い。
現代のドイツ小説だなあ…。 -
ナチの記憶と向き合ってきた、あるいは向き合わざるを得ないドイツ人の痛み。切なさも。。。珠玉の短編集。
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海外文学は敬遠していたけど学校の課題がきっかけで読んでみたらよかった。ドイツの歴史が物語りに深みを与えている。