死の家の記録 (新潮文庫)

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制作 : 工藤 精一郎 
  • 新潮社 (1973年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102010198

死の家の記録 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 「イワンデニーソヴィチの一日」と、この「死の家の記録」は、
    私の中でベスト・オブ・シベリア流刑小説の地位を常に争っています。
    いや、これらの他に読んだことないんですが。

    こちらに関しては、貴族がいきなりシベリアに来て精神的にかなり参ってる感じにぐっときます。
    お風呂の不潔さにうひゃー、とか囚人服がベトベトしててうげーとか。
    特にお風呂(サウナ?)の描写は圧倒的に迫ってきます。
    囚人の垢とか髪の毛とかが、自分の足にからみついてきてぬるぬるしてる気がします。
    とにかくもう迫力があるんですよ。

    他に好きな場面は囚人がクリスマスなどのイベント事に心からウキウキしてるところかな。
    どんなにどん底に落ちても、素朴にイベントを楽しみにできるなんて、
    なんて人間って愛しい生き物なんだ!と感激したものです。

  • 愛読書。

    ドストエフスキーの人間観察は本当に心がこもっている。

    それは本作品の中で次々と登場する囚人達に対する人物描写にも見事に表されている。

    シベリアにて流刑生活を送っている彼ら囚人は、一般社会から見れば極悪非道、または奇人変人と見なされて当然の特徴的な性格の持ち主ばかりである。

    ありふれた道徳的なものさしで以て彼ら囚人を評価するとなれば、彼らは「ただの人でなし」か、あるいは「気違いに過ぎない」と一蹴されてお終いになるに違いない。

    しかし、ドストエフスキーの彼ら囚人に対する愛情に満ちた眼差しからは、そんな世間的な冷たい感性に対するある種の痛烈な批判が読み取れる。彼は作中で、囚人達を一貫して「不幸な人々」と表現している。この彼ら囚人達に対する限りない同情を「人道的」と呼ばずに、何を「人道的」と呼べば良いのだろうか?そして、そういった目線で描かれている囚人達は、どれも生き生きとしていて、どこか可愛らしくて、どこか子供っぽい。

    ラストの囚人達に対する感動的な総括も含めて、文豪の懐の深さをじっくりと味わえる名作。

  • 読みやすい作品ではなかったけど、この本好きだー!!
    作品は力強いし、人物の描き方に奥行きがあって良い!色んな印象的シーンがあって泣ける!
    作品がネガティブな状況だけで終わってないところも好き!ドストエフスキー・・・愛してる!

  • シベリア流刑囚として過ごした4年間の体験を元に執筆された本書には、ドストエフスキー諸作品の通定音が最も濃縮された形で表れている。共に暮らした囚人や兵士達に、時には犬畜生相手にまで向けられるその洞察力は、ふとした会話や行動から対象の内面に潜り込み、当人も自覚していないその愚かしい性質や特徴を暴き立てる。獄中に置いても貴族は仲間として扱わないその態度に嘆息しながら、それでも庶民の中に人間讃歌を見い出すことを決して諦めない。長編作品の登場人物のみならず『夜と霧』を始めとする多くの作品が、この家から生まれてきた。

  • シベリアでの実体験を元に書かれているだけに、笞刑などがリアルで犯罪者の心理描写が上手く描かれていたなと思いました。それにしてもドストエフスキーは難解で、途中でくじけそうになったけど読了できてよかった。

  • 法を犯して罪を背負った人々に、足枷をはめさせ労役を科し、鞭の浴びせて自由を奪う。
    そんな死の家に押し込まれた囚人たちの生活模様を描いた物語。
    壁の中での生活は、本当に人を更正させることができるのか。
    考えさせられる小説です。


    この作品は、ドストエフスキーの実体験をもとにリアリズムの手法によって書かれていて、19世紀ロシアの監獄のスケッチとしての価値もあり、また、優れた観察眼による緻密な人間描写は、文学としての完成度を最高のものにしています。

    「カラマーゾフの兄弟」を始めとする、ドストエフスキーの後年の大作たちの原点とも言える、大変素晴らしい作品でした。

  • ドストエフスキーの経歴を考えれば、この内容は生の体験から得た情報がたくさん入っているようでとても真剣に読んでしまいました・・・
    もちろん、書いてある事の心情だったり、そういう描写もとても良かったのですが、シベリア流刑を受けていた囚人たちの生活、行動、そういう事が詳細に描写されていて想像しながら読むのがとても面白かったです。

  • 予想外に面白かった。死の家に閉じ込められた徒刑囚がこんなにも人間味に溢れているとは思わなかった(あくまで今作中の話だが)。特に動物に関わるエピソードは微笑ましい物が多い。
    時間があったらもう一回読みたい。

  • ドストエフスキーが投獄されていた時のことを参考にして書いたほぼノンフィクション。
    かなり時間をかけて読んでしまったので名前が全く覚えられなかったですw反省。
    彼は刑務所をプラスの面、マイナスの面両方から見てるんですね。抑圧されて荒れてしまったことから、風呂や病院の不潔さ、貴族に対する態度、これはマイナスの面、プラスの面は囚人たちの団結力とか、演劇の感性度とか。それからムショ内の商売、取引。
    彼は病院に入院してこれを書いていたらしいですが、それにしてもすごいなって思います。立派な記憶力、観察力を持っていて、だからこそあんな長大な小説が書けたのでしょうね。

  • 登場人物おのおのの描写は読む者の脳裏にくっきりと浮かび上がってくる。

  • ぺトラシェフスキー事件で逮捕され、死刑宣告を受けたのち、刑の執行直前に恩赦によってシベリア流刑を言い渡されたドストエフスキーの、獄中体験をもとにした記録。「死の家」とは監獄のことである。

    ドストエフスキーは、それぞれに強烈な個性をもった数々の囚人や刑吏の言動を克明に記録し、その心理状態に透徹たる観察眼を向ける。人間が非人間的になる様を剔抉する描写は、流石だ。

    囚人は、過酷な監獄生活の中で、粗暴であったり狡猾であったりと野獣的な存在に陥っている。然し、その描写は必ずしも常に陰鬱な調子を帯びているわけではなく、獄中に生きる者たちのしたたかな生活力、ときには明るさや人間味さえ感じさせるところがある。それは一重に、ドストエフスキーが彼ら≪不幸な人々≫に向ける人間的な愛情ゆえだろう。彼は、民衆たる囚人と知識層たる己との階層の懸隔に悩みながらも、民衆に対する愛惜を失わなかった。

    他方、当時の非人道的な刑罰制度に対しては、筆鋒鋭く批判を向ける。

    この作品には、或る意味で実に率直なヒューマニストとしてのドストエフスキーの姿を見ることができるように思う。

    "何かの目的がなく、そしてその目的を目ざす意欲がなくては、人間は生きていられるものではない。目的と希望を失えば、人間はさびしさのあまりけだものと化してしまうことが珍しくない・・・・・・"

  • こんな格好のいい題名の本はドストエフスキーしか認めません!!
    読み応えありました。
    お風呂のシーンがかなり衝撃的。また読み返そう。

  • 2010.8.26

    ドストエフスキー4年も監獄にいたのか。。。

    監獄の様子が鮮明にイメージできたわけじゃないけど、囚人の性格・行動の描写は興味深い。

    虚栄心とか仲間意識とか、僕らも潜在的に抱えているものが、監獄という状況によってあぶりだされてる。人間とはどういう存在なのだろうと考える時に必要な視点。

    クリスマスの演劇と馬をかわいがるエピソードは暖かいな。

  • プリズンブレイクみたいでおもしろかった

  • 思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら刑の執行直前に恩赦によりシベリア流刑に処せられた著者の、四年間にわたる貴重な獄中の体験と見聞の記録。

    獄中体験記ということで、初めはグロテスクなシーンが多いのではと想像していたが、実際に読み始めてみると、囚人たちの人間味あふれる個性に強く惹かれ、あっという間に読み切ってしまった。
    獄中の中にあって不自由な生活を強いられてはいても、「人間」を失うことのない囚人たちの生き様に、深い興味を覚えた。

  • ドストエフスキーがシベリアに流刑になった時のお話です。

    タイトルは非常に怖そうだけど、決してそんな事はなく
    シベリアの囚人達の話が淡々と述べられていました。

    ロシア文学で辛い所の登場人物を覚えるって作業が
    そこまで要らない作品でした。
    名前は複数個ないし、何回も出てこないから!

    但し読書中に何回も寝れます!
    盛り上がりとかは作品中に全然無いから。。。

    でも囚人がかなり細かく描写されていて
    おもしろかったです。

  • ドストエフスキー自身のシベリア流刑の体験を元にした作品(だと思う)。
    刑務所内での人間関係、人間の性格など、今後の作品に活かされていると(訳者あとがきを読んで知ったが)あって、感慨深く思った。
    途中退屈になりながらも、長い作品を読み進めていっての最後の言葉、その開放感には、胸を震わせるものがあった。
    自由な現代に生きながらもどこかにある息苦しさに、響く一言だった。
    読み終えてじわりと来た。

  • この本は表面上は『妻を殺した貴族の監獄の記録』と言うことになっていて、小説の形を取っているのだが、実際はドストエフスキー自身の監獄の体験記と言う形のドキュメンタリーである。

    ストーリーと言うものはほぼなく、監獄の情景や人間の、密度の濃い描写が延々となされるため、読み続けると疲れるかも知れない。しかし時々手にとって少しずつ読んでみることで、19世紀ロシアの『滅び去った民衆』、つまり『最底辺の人々』の暮らしぶりに自分を共鳴させることができる。

    その意味で、『カラマーゾフの兄弟』よりも現代に流行ってもいいと思える一冊。格差社会の現在の日本の中で、我こそは最底辺だと自称する自虐的な人たちが最近増えているが、そう言う人に読んで欲しい。選りすぐりの最底辺の人たちが屈強に生きる様が、そこには描かれている。
    しかし、分かりやすく『最底辺』と言う言葉を充ててみた訳だが、それはあまりに表現力不足で、囚人達に失礼と言うものかもしれない。

    『地下室の手記』とともに後の五大小説の母胎となったと言うことはあまりにも有名。これはどちらにも言えることだけど、読んでひたすら暗くなる、と言うわけではなく、陰鬱な描写の中にも突拍子に明るい描写が混じっていたりして、思わず噴出してしまうシーンすらあったりする。ドストエフスキーの小説は多くはこのような特性を備えているので、意外と読後感は悪くないと思う。

    罪を犯し監獄に入れられても、人生はまだまだ続くのだと言うことを学んだ。人間はつまるところそこで死刑にされるなり、あるいはこれはシャバでも獄内でも同じことであるが、病気やら自殺やらと言った要因で、要するに死ぬまで生き続けるのであり、その結果人生は続くのである。『滅び去った民衆』と言う表現が出てくるが、社会的に破滅したとしてもまだまだ人は生き続けるのだ。

  •  実際、わが国にはいたるところに、その境遇や条件のいかんを問わず、常にある不思議な人々、温順で、間々ひどく勤勉だが、永久に貧しい下積みから浮かび上がれないように運命によって定められている人々がいるものだ。これからもおそらくあとを絶たないだろう。彼らはいつも素寒貧で、いつもきたない格好をして、いつも何かにうちのめされたようないじけた様子をして、年じゅうだれかにこきつかわれて、洗濯や使い走りなどをやらされている。(本文より)

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20010118/p1" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20010118/p1</a>

  • 思想犯として逮捕され、死刑を宣告されながら、刑の執行直前に恩赦によりシベリア流刑に処せられた著者の、四年間にわたる貴重な獄中の体験と見聞の記録。

  • 人間観察の面では芸術といってもいいでしょう。ただし、活字好きでないと途中でくじけます。暗く・重く・卑屈な感じがどうしてもありますから。

  • 何故この本だけ表紙が旧版なんだろう…。個人的には旧版の方が字が小さくて、ドストエフスキーを読んでいる感じがする。

  • ドストエフスキーの入門編としては入りやすいと思う。もっともつらい拷問は何か?ある種ドキュメンタリでもある作品。

  • 学生の頃一度よんだきり。読み返して、これはとびっくりして死の家は「生の家」であり精神の故郷だったんだと遅れて気がつきました。

  • 読むのに疲れた。主人公っていらんかったんじゃないかな?妻殺しってどうなったのかな・・。

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