罪と罰〈下〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (601ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102010228

作品紹介・あらすじ

不安と恐怖に駆られ、良心の呵責に耐えきれぬラスコーリニコフは、偶然知り合った娼婦ソーニャの自己犠牲に徹した生き方に打たれ、ついに自らを法の手にゆだねる。-ロシヤ思想史にインテリゲンチャの出現が特筆された1860年代、急激な価値転換が行われる中での青年層の思想の昏迷を予言し、強烈な人間回復への願望を訴えたヒューマニズムの書として不滅の価値に輝く作品である。

感想・レビュー・書評

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  • やっと読み切った。
    良かった〜!

    下巻に入り世界観に慣れてきたこともあってか
    何とか読了できた。
    時間をかけてのやっとだったので、達成感があった。

    貧しい青年の主人公ラスコーリニコフは、間違った自分の正義を信じ、それが善行へ繋がると思いこんで
    犯してしまった殺人。
    その罪の意識に苛まれ、失神したり熱病に冒されたりしながらも平静を装い過ごしていく人間臭い人物。
    下巻もラスコが主軸であるが、その周りに絡んでくる人々の生き様も描かれつつ、どういう終わりを迎えるかの後半とその後のエピローグの構成。

    ラスコを追い詰めるポルフィーリ-との会話シーンは、古畑任三郎の田村正和として私的に勝手に脳内再生されて読んだ感じ(笑)
    おかしな口癖があって、それが気になって仕方なかったりしたから…!
    冷静で鋭く切り込むような話術も印象深い部分だった。

    「罪と罰を読まない」の中でしをんさんが
    読む前に凄く恐れていたほど重厚でなく、読んでみたら意外とエンタメ作品だとあった。
    主人公含めた個性的過ぎる登場人物のおかしなところを挙げたらキリがないっていうのも読んでみて、感じた。確かに…(笑)

    そしていちばん良かったのはエピローグ。
    これまでの鬱々とした内容からは信じられないほどの清々しいラストが待っていたのだ。
    ここを読むためにここまで読んできたと言っても過言でないと思えた。

    勿論、深く考えさせられたところもあって難しい…

    でも最後、感動できたし、面白かったな…。
    「罪と罰を読まない」のおかげで、
    読み切れたことが何より嬉しい(笑)

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ひろさ〜ん、こんばんは(*^_^*)
      わ、コメントいただいてましたね…お返事遅くなりました…!!
      ひろさん優しいです( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒...
      ひろさ〜ん、こんばんは(*^_^*)
      わ、コメントいただいてましたね…お返事遅くなりました…!!
      ひろさん優しいです( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒
      ありがとうございま~す (ᴗˬᴗ)⁾⁾
      ひろさんも忙しいなか、いろいろ頑張られていてカッコイイですよ
      (ㅅ•᎑•)♡*.+゜✧
      2023/12/10
    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます!
      遅くなりましたが、読了、お疲れ様でした(^^)
      私も、いつか…読めたらいいかなって
      思います♪
      チーニャさん、おはようございます!
      遅くなりましたが、読了、お疲れ様でした(^^)
      私も、いつか…読めたらいいかなって
      思います♪
      2023/12/11
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、こんばんは(^^♪

      古いロシア文学なので、ちょっと好みはわかれると思いますね…。
      いつか読めたら…と思われただけでももう「読む...
      かなさ〜ん、こんばんは(^^♪

      古いロシア文学なので、ちょっと好みはわかれると思いますね…。
      いつか読めたら…と思われただけでももう「読む」は、はじまっている…☆
      そんな、しをんさんの肩の力を抜いた読書愛の言葉を感じたりしてます〜(^^♪
      かなさん、いつもありがとうございます…⸜(*´ᗜ`*)⸝
       
      2023/12/11
  • 【読もうと思ったキッカケ】
    WEBで『死ぬまでに読むべき小説』でランキング1位だった為。

    【読後の感想】
    読んでる途中で感じていた、ネガティブな感情はほぼなくなり、思った以上に前向きな気分になれたことが、意外であり嬉しい誤算だった。

    初のロシア文学であり、初のドストエフスキー作品であったので、なにせ登場人物の名前を覚えるのが思いのほか手こずった。また会話文で相手の名前を呼ぶとき、基本的に毎回フルネームで呼ぶことも新鮮な驚きだった。

    【なぜここまで世界中から評価されてるのか理由考察】
    巻末の解説にもあったが、複合的な要素を持つ作品(推理・社会風俗画的・恋愛・思想)が各々のかなり高いレベルの内容であること。また今まで読んできた作品との最も大きな違いは、登場人物の心理描写が、かなり緻密で詳細に描かれていることと、その心情に共感できる部分も多かった。(共感できないところもあったけどね)

    ただ、私が最も大切にしている、読後感に前向な気持ちになれたのがかなり評価ポイント。

    かなりの長編作品のため、一回の読了では、まだまだ作者の伝えたかったことを読み取れていないので、再読必須の作品だなと感じた。

    日本人作者で言うと、緻密な心理描写が特徴の恩田陸氏の作品が好きな方は合うかもです。(合わなかったら申し訳ございません。)

    次のドストエフスキー作品はカラマーゾフの兄弟を読もうと思う。

  • 第4章
    主人公の妹の婚約破断。友人に母と妹を託す。
    それぞれに別れを告げ、判事との再対決に向かう。
    第5章
    主人公の恋人の母親の狂乱。妹の元雇い主の策略。
    追い詰められ、自首を考える。
    第6章
    最後の判事との頭脳戦。未来のため自首をすすめる。で、シベリア流刑となり、恋人の献身により、ようやく罪を償う気持となる。

    空想的な非凡人の罪の許容という思想から、殺人を犯すが、偶然居合わせた殺すべきでない人間をも殺したことで、罪に綻びがでる。優秀な判事との対決や自暴自棄の告白から発覚を恐れ、精神を崩していく。彼を信じて支えようとする家族・友人。
    遂に、自首をするが、その時点では、主人公は虚栄心も自尊心も捨てきれていない。
    シベリア流刑が決まり、恋人は近くに来て、献身的に彼を支える。彼女の信仰心、無償の精神に徐々に、罪と向き合う。
    第4章は、半狂乱となった女性を中心に当時の社会風俗の描写が多い。
    また、キリスト教の教え「ラザロの復活」が重要なテーマとなり、無償のの愛の在り方を説いている。
    メインは主人公の罪と罰。そして、当時の社会風刺。主人公と恋人、妹と友人の恋愛。
    何かに、演劇として読むとわかりやすいと書いてあった。なるほどって思う。


  • 下巻。
    上巻はこちら。
    https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4102010211

    上巻にもメモした登場人物一覧。
    まずはロシア名を覚える三原則、ただし自己流(笑)。
     ①個人名+父称+苗字
     ②愛称や名前の縮小がある。ロジオン→ロージャ
     ③名前も苗字も、男性名と女性名がある。

    主人公一家。
     兄「ロジオン・ロマーヌイチ(ロマーンの息子)・ラスコーリニコフ(男性姓)」愛称ロージャ
     妹「アヴドーチヤ・ロマーノヴナ(ロマーンの娘)・ラスコーリニコワ(女性姓)」、愛称ドゥーニャ
     母「プリーヘヤ・アレクサンドロブナ(アレクサンダーの娘)・ラスコーリニコワ(女性姓)」

    お互いの立場や年齢、関係性や親しさにより呼びかけが変わります。
     ロジオン・ロマーヌイチ→きちんとした呼びかけ
     ロージャ→愛称。親しい呼びかけ。
     ラスコーリニコフ→客観的な呼び方?作者は本文でこの名で書くことが多い。

    他の登場人物。
    マラメードフ一家
     セミョーン・ザハールイチ・マルメラードフ⇒飲んだくれ
     カテリーナ・イワーノヴナ・マルメラードワ⇒マルメラードフの妻。
     ソフィヤ・セミョーノヴナ・マルメラードワ (ソーニャ、ソーネチカ)⇒マルメラードフの娘。

    被害者姉妹
     アリョーナ・イワーノヴナ⇒高利貸しの老婆。
     リザヴェータ・イワーノヴナ⇒アリョーナの異母妹。

    警察関係
     ポルフィーリー・ペトローヴィチ⇒予審判事。この名前表記は、名前と父称だけで、苗字は不明ですね。

    友人知人など
     ドミートリィ・プロコーフィチ・ウラズミーヒン(通称ラズミーヒン)⇒ラスコーリニコフの大学時代の友人。

     アルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフ⇒ドゥーニャが家庭教師として務めていた家の主人。私は彼の名前が憶えづらく、「ビーフストロガノフさん」と密かに呼んでいる(笑)

     ピョートル・ペトローヴィチ・ルージン⇒ドゥーニャの婚約者。

    では後半も張り切って行ってみよ~~。


    上巻終盤で”謎の町人”としてラスコーリニコフの前に現れたのは、ドゥーニャが以前雇われていた屋敷の主人のスヴィドリガイロフ。
    彼はソーニャへ言い寄っていたが、自分の妻が死んだことによりラスコーリニコフ兄妹に近づいてくる。
    ソーニャの隣の部屋を借り、ラスコーリニコフ一家や、ソーニャの家族の状況を探り、ラスコーリニコフが高利貸し姉妹を殺したことを察し、自分が助けになるように思わせぶりなことを仄めかし…
    このビーフストロガノフさん…じゃなくてスヴィドリガイロフの目的がよく分からん行動は読んでいてなかなか楽しかった。
    格好つけてるが構ってほしいというか、鷹揚な振りしているがそのためには案外細々と動く人物ですね。
    スヴィドリガイロフ も自身の理論でぐいぐい進み、それを証明したがっていますが、ラスコーリニコフの周りにいたような家族や友達や支えの存在はいなく、誰もスヴィドリガイロフに「是」という人はいませんでした。
    こう思うとラスコーリニコフは本当に周りの人物に恵まれている。

    さて、ラスコーリニコフは、自分自身の理論を証明しようと殺人を実行したものの、彷徨っては倒れて自分の犯罪を仄めかす真似までしている。
    「自分がナポレオンだということを証明しようとしたが、これほど悩むということで自分はナポレオンでないということを証明してしまった」ということで。

    そのままの心理状況でポルフィーリー・ペトローヴィチとの心理合戦第2回戦へ突入。
    ポルフィーリー・ペトローヴィチは、ラスコーリニコフの発表された論文から考え方やら性質を読み取り、「たとえば何の証拠もないが、ある事件の犯人だと確信している人物がいるとします。彼の周りには網を張って、彼から警察に来させるように仕向けるのですよ」とかなんとか言って、ラスコーリニコフを牽制します。

    この後、ドゥーニャの婚約者ルージンがドゥーニャを手中に取り戻すためにソーニャとラスコーリニコフを陥れようとしたり、
    ソーニャの義母であるマルメラードワ夫人が苦労と貧困と病とで錯乱して子供たちを巻き込み往来で大騒ぎを起こして亡くなったり、
    ドゥーニャとラズミーヒンとが近づいたり…人間関係が動いています。

    心乱れたラスコーリニコフは、母のプリーヘヤ・アレクサンドロブナと妹のドゥーニャに別れを告げ、友人ラズミーヒンに殺人を仄めかし、ソーニャには殺人を告白し、そしてそれをスヴィドリガイロフに立ち聞きされ…。

    ソーニャは、家族のために娼婦になっていますが元々の性格は奥ゆかしく神様と家族に対して従順、ただただ人間の良心と神様への信仰を支えに生きています。
    ラスコーリニコフの殺人告白を聞いたソーニャは答えます。
    「あなたが汚した大地に接吻を。そして私は人殺しですと人々に告白してください、そうすれば神様がまたあなたに生命授けてくださいます」

    そしてラスコーリニコフとポルフィーリー・ペトローヴィチとの心理戦第3回戦。
    ボルフィーリー・ペトローヴィチは、ラスコーリニコフに自首を勧め、それとももし自殺するならその場合は…ということを示唆します。

    …大したもんだなあ、ボルフィーリー・ペトローヴィチ。普段もこんな捜査しているんだろうか。「ポルフィーリー・ペトローヴィチ予審判事の事件簿」とかいう短編集でもあったら読んでみたいわ。

    そうしてついに、ラスコーリニコフは警察へ行きます。
    「あれはぼくがあのとき官吏未亡人の老婆(※高利貸しのアリョーナ・イワーノヴナ)と妹のリザヴェータを斧で殺して、盗んだのです」

    ラスコーリニコフを疑っていたのはポルフィーリー・ペトローヴィチだけだったため、ラスコーリニコフのシベリア流罪は8年で済むことに(本来は20年くらいっぽい)。

    エピローグでは流刑先のシベリアに舞台が移ります。
    ソーニャはラスコーリニコフに着いてシベリアへ行き、ラスコーリニコフの母は亡くなり、妹のドゥーニャはラズミーヒンと結婚しラスコーリニコフを支えようとします。
    しかしラスコーリニコフはまだ心の平安を見出せません。
    なぜ自殺せず自首したのだろう、8年の刑期を終えた後新しい人生など送れるのか…
    しかしあることがきっかけで、ラスコーリニコフの心に神への愛、贖罪、そしてソーニャへの愛が見出され…ついに心の平安を見出したところで物語は終わります。


    総括
    難しいかと思っていたり、粗筋が有名すぎて読んでいなかったのですが、読んでみたら一気に進みました。
    殺人を犯した後の混沌たる心の動き、ポルフィーリー・ペトローヴィチとの心理戦、そして神への愛。
    キリスト教社会の小説を読むと、「神様が見ている、赦しを与えてくださるのは神様」「自分の良心に問う」、そしてロマンスとは別の神の愛があり、「受けなければならない苦しみ」があります。
    その分被害者個人への赦しや謝罪はほとんどないですね…。ラスコーリニコフや周りの人物も、斧で叩き殺された高利貸し姉妹個人の事はほぼ誰も触れず…
    キリスト教は「人間同士が横の糸で繋がっているとしたら、神様とは縦の糸で繋がっている。横の糸は引っ張られたりして自分が動いてしまうが、縦の糸は自分を引っ張ってくれて揺るがない」としたら、
    殺人であっても赦しを与えてくれるのは縦糸の神様ということになるのでしょうけれど。

    個人的に胸に迫ったのは、マルメラードワ夫人の死に至る狂乱の様相。
    もとは明るい人だったのが、貧困と苦労によりヒステリックで妄想が膨らみあたり構わず喧嘩を吹っ掛ける人物に。夫が死に子供たちを巻き込んだ錯乱を起こしてそのまま死去。自分自身が母親である私には、この狂乱を自分が起こさないと言い切る自信が全くないorz

    • hotaruさん
      淳水堂さん、こんにちは。
      色々な角度から作品について触れた、とても興味深いレビューで、長編小説苦手な私でも、まだ読んだことない「罪と罰」是非...
      淳水堂さん、こんにちは。
      色々な角度から作品について触れた、とても興味深いレビューで、長編小説苦手な私でも、まだ読んだことない「罪と罰」是非とも読んでみたくなりました。

      ありがとうございます。
      2018/10/31
    • 淳水堂さん
      hotaruさんコメントありがとうございます!
      私もhotaruさんのレビュー楽しく読んでいます!

      自分の年齢があがり、難しいと思っ...
      hotaruさんコメントありがとうございます!
      私もhotaruさんのレビュー楽しく読んでいます!

      自分の年齢があがり、難しいと思っていた小説も、身近に感じられるようになってかたと思います。
      スヴィドリガイロフは「構ってちゃんだあ〜w」、ポルフィーリー・ペトローヴィチは「事件簿読みたい」、マルメラードワ夫人には「自宅での私も同じようなものかもorz」などなど、いるいるこんな人たち、みたいな。

      だまだ「ちゃんと読んだことないから死ぬまでに読まなきゃリスト」に載っている本が沢山あるので楽しく進めていかねばです。
      2018/11/01
  • 今年の新潮100冊③

    スヴィドリガイロフに、心ぜんぶ もっていかれた。
    「アルカージイ・イワーノヴィチ・スヴィドリガイロフです、よろしく」
    この 上巻の引きがよかった。
    誰だよ!? って、最初はすぐに思い出せなかったのだけど、それも含めて登場の仕方が抜群。
    ルージン氏が笑っちゃうくらい底の浅い人物だったのに比べて、スヴィドリガイロフの奥深さといったら!!
    彼の最後の悪夢は、わたしのなかでは最早この作品のクライマックス。
    ドストエフスキー=悪夢。
    彼の右に出るものはいないのでは。
    (たしか「カラマーゾフ」でも印象的な悪夢描写があったきがする)
    悪霊の描写も、変にリアリティーがあった。
    とにかくあの悪夢には…スヴィドリガイロフの内面や背景だけでなく、ドストエフスキーの履歴まで考えさせられて震えた。
    ここだけでも5回以上読んだ。(え…)

    次点ハイライトはポルフィーリーの3度目の長広舌。
    やっぱり傑作には、主人公以外にも輝くキャラがたくさんいる。
    最後に大逆転する論調に、スッとしてしまった。
    ごめんね、ラスコーリニコフ…

    とはいえラスコーリニコフにも、最後まで驚かされた。
    自殺や病死どころか、まさか最終的に愛に目覚める人生になるなんて!!
    なんて羨ましいんだ!←
    罪を罪とも思わない考えがどうなったのかは、正直よくわからなかった。
    この一週間、かなり繰り返し読んで、そのたびに新たな気づきがあるけど、まだまだ読み足りない感じ。

    筋違いだけど、ナポレオンの歴史小説を読みたくなった。

  • 名前のややこしさを乗り切れば
    本書は楽しめます。

    「カラマーゾフの兄弟」も名前に
    苦労したよ。

  • すっかり楽しくなって下巻へ

    時々名前で混乱するので、前に戻ったりして懐かしんだら…
    後半はミステリー本のようにドキドキしてきた

    (親しみを込めて)ロージャはかなり屈折しているのだが、思考能力の深さは半端ないので、自分の曲がった信念を貫こうと足掻きつ続け、違う方へ違う方へと行ってしまう
    しかし(本書の中でかなりまともで友情深い)良心的なラズミーヒンに助けられたり、ソーニャに出会うことによって影響を受けたり、さまざまな事件に直面して、最後は………
    いけすかないんだけど、やはり何故か憎めない
    ホント屈折してて疲れるんだけど
    不思議
    (そして何故か「嫌われる勇気」の青年とかぶってくる…????)

    ペテルブルグ(旧ロシア)って暑いのか!?
    夏の暑さが随所に出てきた
    川のこともなんか気になる
    この時代はずいぶん埃っぽいんだ
    こういう背景も面白い
    セピア色で情景が見えそうだ
    当時の社会情勢、思想、生活環境が垣間見れる
    そう、描写力が素晴らしいので、景色や温度や匂いまでも感じられる
    そして人の息遣いも…
    一瞬そこに居る錯覚に陥る
    登場人物達の感情が目に見えてくる、触れているような気さえする
    自分の妄想の中で、(顔だけはモザイクなんだが(笑))各人の雰囲気や人相、着ている服のイメージまでもが出来上がってしまった
    自分の妄想に立ちくらみがするような感覚になる
    やはり凄いんだドストエフスキー
    ドストエフスキーの正しい読み方ではないかもしれないが…
    「罪と罰」の解釈はお偉い方々にお任せすればいいんだし、楽しく読めて良かった
    10年後に再読してこの時どう感じるかも楽しみである

    次はカラマーゾフに挑戦
    一生ドストエフスキーは無理かもと思っていたのだが大丈夫そうなのがとても嬉しい!

  • 色々考えてしまう作品でした。
    ラスコーリニコフが殺人をした理由が分かるのですが、(ナポレオンのように)権力のあるものは殺人をおかしても良いという思想、将来行うであろう業績を考えたら、殺人を犯してもそれは罪にならないという考え。
    とても自分に自信があったようなのですが、実際殺人を犯すと、ナポレオンとは違うと気付き、自分を嫌悪していく。
    事件を巡って予審判事のポリフィーリィ・ペトローヴィチや、妹ドゥーニャのストーカーの、スヴィドリガイロフとの心理戦のやり取りは、バレてるのかバレてないのかモヤモヤしながら夢中になって読んでいました。
    ラスコーリニコフは殺人を犯した事を罪と思っていない自分にとても悩み、運命が自分に悔恨を与えてくれたら楽になれるのにと、とてもつらそうで、「生きている意味」を考えさせられました。
    色々な登場人物の視点で、それぞれの哲学で苦悩していて、この本、下巻は特に(自分レベルですが)読み返すたびに深い考えに至る事ができそう。

  • 酔っ払いダメ無職おじさんと酔っ払い頭でっかち元学生のグダグダトークで挫け、ロシア人の複数呼称でさらに追い討ちをかけられ諦めそうになりながらも読了。
    下巻序盤辺りまではラスコーリニコフの身勝手な選民思想的な理論より、ピョートル・ペトローヴィチの拝金主義者ぶりに苛立ちを覚えた。
    しかし終盤、ソーニャに対して冷たい態度をとりがちだったラスコーリニコフがソーニャに心を傾けていく辺りでラスコーリニコフも偉そうな思想の割に自分に甘いご都合主義者だなと思った。

    最初は単純で直情型の暑苦しくて鬱陶しかったラズミーヒンがなんだかんだ本作で一番良い奴だったなぁ。

  •  罪と罰は下巻が面白いと言うことを改めて認識した。上巻を辛抱して読んだものだけが味わえる。そのためには上巻も大事なのだが、あまり拘らずに読み飛ばす事が大切だ。

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著者プロフィール

(Fyodor Mikhaylovich Dostoevskiy)1821年モスクワ生まれ。19世紀ロシアを代表する作家。主な長篇に『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』『悪霊』『未成年』があり、『白痴』とともに5大小説とされる。ほかに『地下室の手記』『死の家の記録』など。

「2010年 『白痴 3』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ドストエフスキーの作品

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