脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)

  • 318人登録
  • 3.52評価
    • (16)
    • (39)
    • (70)
    • (2)
    • (1)
  • 47レビュー
制作 : 青柳 瑞穂 
  • 新潮社 (1951年5月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102014028

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 表題作の後味の悪いことといったら! 「イヤ古典」と呼びたい。脂肪の塊の意味も意外だったけれど、これほど簡潔にして嫌な結末の19世紀の小説は初めて読んだかもしれない。「テリエ館」のほうはもっと明るいしにぎやかだけれど、でも女将の弟の最後の振舞はショッキングだった。二話とも名作だと思うけれど、自分には娼婦の話をすいすい読む耐性がないようだ。

    青柳瑞穂の訳文は味わいのある自然な日本語でとてもよい。あまり翻訳文体のくせみたいなことは気にならないほうだけれど、青柳さんの文章はそのまま日本語で書いたような自然さで、読解に手間がかからず物語に集中できた。この人の訳した本をもっと読みたい。

  • ★4.0
    どちらも主人公が娼婦で、全体的な構成は似ているものの、読後感は全くの正反対。「脂肪の塊」は人間の醜悪な部分をシニカルに描き、誰よりも尊厳を守っていたブール・ド・スイフに対する金持ち軍団の態度があまりに酷い。しかも、人数的に不利なことに加え、彼女に向ける明らかな蔑みが本当に居た堪れない。「テリエ館」は娼館を束ねる敏腕マダムと、そこで働く娼婦たちが陽気で個性的。司祭が彼女たちを秘蹟と謳う展開、ラストのマダムの粋な計らいも面白い。今から140年近く前の小説だけれど、舞台を見ているかのように瑞々しい。

  • あやかちゃんからいただいた本!

    脂肪の塊という題に惹かれてつい。と、いうあやかちゃんの本でしたが、読んでいるとなんとも喜劇を観ているようなそんな気楽な小説でした!

    もっともっと読みにくい文学小説かと思った。

    全くそんなことはなく、娼婦と金持ちの掛け合いだとか、娼婦を巡る一幕などはなんとも喜劇的でショーを観ているようでした!!!

    そして、意外と読んでる人が多いことにもビックリ!笑!!

    有名!?なのかな!?

  • 余計な感情を排除した淡々とした筆致が人々の醜さ・滑稽さ・清純さを際立たせている。物語が展開される場面は、ルーアンの街・ルーアン→宿までの車中・宿・宿から目的地へ向かう車中の4つ。まとまりがあって読みやすい。物語の最後に民主主義者のコルニュデが歌うマルセイエーズは上流階級の連中にいいように利用されたブール・ド・スイフへの救済と革命によって切り開かれる新時代への希望という意味だったのではないか。

  • モーパッサン『脂肪の塊・テリア館』新潮文庫

    普仏戦争に敗れたフランス。
    プロシア軍から逃れる馬車に、「脂肪の塊」と呼ばれる娼婦がいた。
    車中、空腹に苦しむブルジョアや尼たちに自らの弁当を快く分け与える。
    ところが、一行が訪れた宿に居合わせた敵の士官により、「ある理由」から出発を禁止される…

    テンポ良く進み、とても読みやすい。
    訳も砕けすぎず堅すぎず、心地よい。
    著者がダラダラと持論を展開するでもなく、あからさまに批判するでもなく、登場人物の言動を程よい違和感をもたせて描く皮肉さが好き笑

  • 選民意識、人身御供、穢れ。自己犠牲の強要。
    民主主義者は最後にうたい続けるが、彼自身も同じ馬車に乗り、かつ、脂肪の塊に慰めの言葉をかけるわけでもない。
    彼も含めて、ここに人間集団の典型があるのかと思う。

  • 1990 読了

  • フェミのマジギレ顔が見えるし、フェミのこと嫌いだからフェミ以外のこと言わなきゃ…と思ったけど、いまいち思いつかない。
    ただ、読んでてちょっとキモチヨカッタ。娼婦がいちばん美しい生き物なんてそんなの聖書の時代からそうだしイエスも依怙贔屓してんだから今更感ある。
    なんの非もない娼婦が貶められてさめざめ泣いてる、こんなサイコーに性的なモチーフに興奮しなくてどうすんの?

    オタクっぽいというか、戦闘美少女のマインドと同じものを感じる。 やっぱフランス文学はよくわかんないわ。笑

  • 普仏戦争敗戦後のルーアンを舞台とした作品。『脂肪の塊』と呼ばれる娼婦が、プチブル商店主、オルレアン派の地主階級、貴族、カトリックの尼僧、そして共和主義者とともに、馬車で非占領地域へ逃げる設定だが、足止めを食らって共闘する。その設定が、ナポレオン三世時代の、フランスの政治的な階級対立の縮図になっている。ナポレオン三世を支持するカトリックの『脂肪の塊』が、残酷な運命に踏みにじられる様子を赤裸々に描いた点で、素朴ではあるが、身につまされるものがある。人間のきたならしさを身も蓋もなく、物語で表現していている。

  • はじめの穴終わりの口―― 井坂洋子で、モーパッサンは落ちがあざといとあり、今まで読んだことがなかったため。


    「脂肪の塊」と呼ばれる娼婦の肉感が、これを抱く男は虜になるのだろうなあと思わせる。
    その娼婦に食事を分けてもらったり、その娼婦のために通行止めになった関門を、その娼婦の我慢ゆえに通ることが出来たのに、上流階級の人間たちは彼女を蔑む。
    下等な商売と蔑む上流階級の性根の方が、愛国心にあふれた娼婦よりも、よほど脂肪の塊であるという読後感の切なさ。

    「テリエ館」は、娼婦たちが陽気に洗礼式に参加するので、こちらはかろやか。

全47件中 1 - 10件を表示

モーパッサンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
安部 公房
モーパッサン
ヘミングウェイ
武者小路 実篤
安部 公房
ドストエフスキー
谷崎 潤一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)を本棚に「読みたい」で登録しているひと

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ツイートする