若きウェルテルの悩み (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102015018

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい…思わず「変態…!」とツッコミを入れたくなるような、迷妄的崇拝的な恋愛の話は結構な好み。(気持ちはわからないしお近づきにはなりたくないが笑)
    手紙や日記形式というのも主観的な心理描写が美しくて好き。その感受性の豊かさに心を打たれる。芸術家だなぁと感じる。
    ありのままを受け取るウィルヘルムはかなり懐が広かろうと思わずにいられなかった。

    しかし、それだけで終わらないのが流石ゲーテ…自殺、心の自由そういうものに対してしっかりと言ってくれる。
    自殺擁護と捉えられても仕方はないとは思うけど、擁護というならば「自殺」に対してではなく、「心の繊細な、感受性の豊かな人」に対してではないだろうか。

    先に法医学の本を読み、「医療関係の人間は生かすために働いている」「死を選ぶのはやめてほしい」という旨の文を目にした。
    しかし私は「自殺はよくない」とバッサリ言い切ることにはモヤモヤが残り…なんだかその答えの一つとして提示してもらえた気がする。
    いろんなタイプがいて、いろんな考え方がある。どれがいいかなんて結局は個人が決めること。改めて思った。

  • なんとなくで読み始めて、書きぶりの教養臭さにちょっと辟易して、やや流し読み程度に読み進めていって、話の結末が裏表紙の紹介文でばらされているのをみつけてげんなりしながら、読了。
    そんな読み方をしたら、普通、読み終えたという事実だけ作って、読後感は何も残らないことが多いんですが、この本に限って言うと、なにかずしっと重いものが心に残りました。流し読みでも読んでよかったと思いました。「これが文学の力かあ」と、なにをいっているのかわからないことをしたり顔で言ってみました。(2015年8月22日読了)

  • つい最近 ルソーの自然主義を読んだからか、自然の中に 自分を入れようとするシーンが多いように感じた。幸福と不幸の 振り幅の大きさが、読者の目を 離さない作りになっている

  • 思う所があり、本書を手にしました。
    内容ですが理解に苦しむ方がいるのは分かります。
    私も以前はそうでした。
    (ウェルテルの行動を現代の我々がそのまま受け止めるのは無理があるでしょう)

    私の場合、共感というより自分と同じく悩み苦しんでいる人間がいる、
    そしてはるか昔から人間の本質が変わらないことに癒されました。
    「苦しいの自分だけじゃないんだな」
    普段なら敬遠する古典をそんな気持ちで
    身近に感じられたことは貴重な体験でした。

    人は人と関わりを持ったとき、ごく稀に自身の想像をはるかに超える感情
    を抱き戸惑うことがあります。
    それは、愛しさだけでなく、怒り、後悔、憧れなど様々です。
    しかし、現実に出口を見つけられないとき
    それをどのように消化するかで人は悩みます。
    この悩み、苦しむ行為がこの小説の本質だと感じました。
    残酷なのは、このような悩みが第三者にとっては瑣末な取るに足らない
    どころか迷惑な場合もある事です。

    自殺も他人への迷惑も駄目ですが
    時には何かに激しく感情が揺さぶられ
    涙するそんな人生のほうが私は豊かだと思います。

  • たまには海外名作を。と積読の中からこれをチョイス。

    うーーーん。
    いまいち、こういうのは理解に苦しむ。
    何でこう考えるのか。。。
    それに、ウェルテルってちょっと怖い奴じゃないか?
    なんていうか、感情の起伏が激しくて思いつめたら止まらない。ちょっと危ないよね。
    私だったらこういう人は好きになれないけど。。。
    ロッテだって、ウェルテルが彼女を愛してるくらい彼のことを愛してたわけじゃないと思うんだけど。。。
    実る愛ではないから、ロッテに断られたからって自殺するってのはどうよ~~。
    どうも、こういう事は理解に苦しむな~。

  • 死の原因は愛ではなく狂気。そうなる前に、死ぬことが愛する人を何よりも不幸にすることだと知ってほしいと思います。

  • 名作なんだろうけど、文章が非常に読み難い。
    読了に時間かかった。
    訳が問題だと思う。
    読む前に映画で予習済で、内容をわかってたから良かったものの。この小説から入ったら間違いなく、頭痛くなってたな・・・。
    てか、挫折したな・・・。
    叶わぬ恋=自殺はどうかと思うな~
    '12.01.21読書完了

  • ウェルテルが誰よりも愛したロッテ。
    しかし、ロッテには婚約者がいます。愛して止まない彼女を前に、ウェルテルの狂おしいほどに強い想いが暴走します。ロッテと出会い、真剣に愛したウェルテルの最後の選択とは・・・。


    久しぶりに読了後に余韻の残る本でした。
    200年も前に書かれた本なのに、時代を超えてこんなにも心に響くなんて。ウェルテルの生き方はなんて不器用なんだろう。だけど、どこまでも誠実であろうとする姿に共感を覚えてしまう。

    ウェルテルのように「愛する人がこの世の全てだ」なんて思える恋をしたことのある人は、その人の言動に一喜一憂して、その人がいることに感謝せずにはいられないような恋を知っている人は、とても幸せだと思います。
    たとえ、それを失おうとする時に訪れる絶望がどんなに大きくても。


    晩年、ゲーテは「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら、その人は不幸だ」と語ったといいます。
    ゲーテの言いたいことがわかる気がします。私もウェルテルが感じたような至福や苦悩がないのなら、世界は鮮やかさを失ってしまうように思います。
    さすが世紀を越えて読まれるだけの名作だと思いました。

  • 「決心しました。ロッテ、僕は死にます―」

    1774年、ドイツのゲーテによる作品。書簡体。
    かのナポレオンも愛読したそうです。

    俗世間にどうしても身を置くことができず、
    熱烈に愛する女性には婚約者が存在する。
    ウェルテルはこの状態に苦悩し続け、真の幸福を模索し続けるが、
    八方ふさがりな環境、自分がロッテに与えている影響を考えた末に、
    この世を去る決意をする。

    人間の内面をこうも表現できるものなのか、と圧倒される作品です。
    異性を愛する、この単純明快な人間の本能が表現されています。

  • 似通った体験をしたばかりに、それに類似した内容の、
    小説を読むことほど残酷なことはない。
    加えて、主人公の思考の流れがつぶさに描かれており、
    それが自分と極めて近しい場合には最悪だ。
    なんどもなんども、読むのをやめようと思ったが、
    それでも、踏ん張って読み進めた。

    ウェルテルの気持ちはわかりすぎて、辛くなる。
    しかし、自殺。
    本気で愛するならば自殺せねばならぬのか?
    しかし、それはひとつの答えでしかない。
    そういう答えもあるということ。
    他にも答えがある。
    しかし、生きていれば、他の誰かに恋をしてしまうかもしれない。
    すっかりと忘れてしまうかもしれない。
    その可能性は付きまとう。
    自分をどこまで律し続けられるのか。
    いや、それもちがう。
    純粋にいつまで思い続けられているか。
    それが途切れるとしたら?
    もはや自分を赦せない。
    赦せないから未来を断つ。
    そうすれば、今の自分のままで終われる。
    酷く自己完結的な幸せだが、
    人生なんて本来そのようなもの。
    世のため人のため、社会に役立つ、
    どれだけ格好良くはいっても最後は自己満足。
    ただ、どうすれば、満足か、どうすれば、幸せか、
    それがひとによって異なるというだけのもの。

    ひとより裕福であらねばならぬ。
    ひとより上であらねばならぬ。
    そういう価値観がれっきとしてある。
    だからこそ競争社会になり、それが資本主義で、
    それにより社会は高まり、それこそが、人間というものの、
    あるべき姿のひとつなのかもしれない。
    けれど、それに縛られる必要なんてない。

    この一冊は自殺賛美の一冊ではなくて、
    こういう在り方もある、生き方もある、幸せもある、
    という可能性のひとつを提示しているだけにすぎない。
    これに流されて自殺するのは確かに軽すぎるが、
    かといってこれを自殺賛美だといって馬鹿にするのも、
    ナンセンスだ。
    これはこういうものだと受け容れるのが、
    ゲーテが望んだことではなかろうか?
    と、これしかゲーテを知らぬのに言ってみる。

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著者プロフィール

ゲーテ

Johann Wolfgang Goethe 一七四九―一八三二年。ドイツのフランクフルト・アム・マインに生まれる。ドイツを代表する詩人、劇作家、小説家。また、色彩論、動植物形態学、鉱物学などの自然研究にも従事、さらにワイマール公国の宮廷と政治、行政に深く関わる。小説の代表作に『若きウェルテルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』など。

「2019年 『ファウスト 悲劇第二部』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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