ファウスト〈1〉 (新潮文庫)

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著者 : ゲーテ
制作 : 高橋 義孝 
  • 新潮社 (1967年11月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (381ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102015032

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ファウスト〈1〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 文豪ゲーテの代表作とされる長編の戯曲。第一部は1808年、第二部は1833年(ゲーテの死の翌年)に発表された。
    15~16世紀にドイツに実在したと言われる高名な錬金術・占星術・魔術師ファウスト博士が、悪魔と契約して最後には魂を奪われ体を四散されたと云う奇怪な伝説をベースにしている。
    ゲーテは文人であるとともに、自然科学者、政治家、法律家でもあった万能人で、代表作『ファウスト』においても、その思想・人生観が随所に表現されている。
    (382行)ファウスト「世界を奥の奥で統べているもの、それが知りたい、また世界のうちに働く、力と元素のすべてを見極めたい、そうなったら、もう言葉を漁ることも要るまいと思ったからなのだ」
    (534行)ファウスト「わが身にしかと納得せずには、人の心は動かせぬ。自分の魂から迸り出て、力強く切々と語るのでなければ、聴く者の心は得られぬわけだ。・・・真に心の底から出たことでなければ、決して人の心には訴えぬものなのだ」
    (1224行)ファウスト「「太初に言ありき」と書いてある。ここでもうつかえてしまう。さてどうしたものか。・・・そうだ、うまい言葉を思いついた。こうすればいい、「太初に行ありき」」
    (1759行)ファウスト「休みなく活動するのが男というものなのだ。・・・知識欲とは縁を切った己の胸は、今後どんな苦痛をも避けぬつもりだ。己は自分の心で、全人類に課せられたものを、じっくりと味わってみたい。自分の精神で、最高最深のものを攫んでみたい。人類の幸福と苦悩とを己の胸で受けとめてみたい」等
    すなわち、『ファウスト』とは、「考える人」ファウストが「行動する人」に変身し、広い世界に出て、いかなることを成しとげたかいう物語と言えるのではあるまいか。
    現代においては決して読み易い作品とは言えないが、ゲーテ自身の人生観を示した代表作として、一読する意味はあるように思う。

  • ↓2012.02.14
    荒俣訳を3分の2ほど読んでから正統派な訳が読みたくなり、手に取りました。
    愉しいけど軽い、などと言ってしまった荒俣訳のおかげで、スラスラ読めます。
    分かりやすい訳を読んでしまった後だと、オブラートに包んだ正統派な訳が物足りないです。
    ただ、やはり言葉としてはこちらの訳の方が美しいです。
    人名もドイツ名の方が嬉しいですし。
    まだ途中ですが、クラーク挿絵付きの荒俣訳は一の分しかないようなので、高橋訳で二に挑戦してみたいです。
    この新潮文庫のカバーイラストとデザインもかなりイケてるとわたしは思います!

  • 「時よ、止まれお前は美しい」

    ファウストの名台詞。
    メフィストフェレスという悪魔の力で若さを得て、時を遡ったファウスト博士は何を得たんだろう。 (時間的経過を認めないというのは、悪魔的でネクロフィリアックに感じる)

    悪魔を拒絶し、人間の(広い意味での)愛を受け入れたからこそ、ファウスト博士は死に、救われたんだろうなぁ。

  • 再読になる。1回目読んだ時は話の展開が理解できなかったが、一通り内容を把握したら、すらすらと読めてとにかく面白い。メフィストーフェレスの台詞が楽しくて翻訳の丁寧な言葉遣いがよく、つい音読してしまう。あと世間一般で云う全知全能の悪魔ではなく、星形の魔除けが邪魔で部屋から出て行けなかったり、「お入り」を3度要求したりとコミカルで放蕩息子じみたファウストの要求にやっつけのように応える掛け合いも楽しく魅力的である。ワルプルギスの夜からグレートフェンとのクライマックスは素晴らしい。詩はまだ頭に思い描けず抜けていく

  • 課題のレポート書くため購入。読む→感想書くの全部で4時間ほどというやっつけ仕事っぷり。でも意外に読めました。面白かったです。書き上げたブツからなんとなく部分抜粋。→ファウストの第一部、悲劇。悲劇や絶望というのはむしろ、それを感じてしまうことにあるのかと思った。ファウストは物語の序盤で死を選ぼうとした。ファウストは目に見えるものの一切、あの瞬間には何も失ってはいない。心が酷く損なわれるような事件があの瞬間に起こったわけではない。でもファウストは死を選ぼうとした。悲劇を生み出し、感じてしまうこと、そういう人間として生きていくこと、それこそがこの男の悲劇性なのではないかと思う。「己はもう生きているのがいやになってきた。望ましいのは死だ、生は疎ましい」、とファウストは言う。「そのくせ、いざとなれば、誰も死にたがりゃしませんよ」。返した悪魔、メフイストーフェレスの言葉は、本質をついているのではないかと思った。生への未練はイコールその先へ、未来への期待なのかもしれない。「時よとまれ、お前はあまりに美しい」、そう感嘆できるに足る一瞬に、いつかめぐり合えるのではないかと、信じるなんて冗談でも言えないような薄い期待をして、だからこそ死を選べずに、人は歩いていくのではないだろうか。なんて。

  • 私生児を産んだ女への懲罰をゲーテが廃止したのは、この時代にパラダイムシフトがあったのでしょうか。優れた物語はいつも、転換点前夜のまどろみを描きます。だからグレートヒェンは我が子を殺して破滅するのですが、それに比べて、ファウストの苦悩や悔恨は口先ばかり。まるで、生き延びてしまった老人はこうやって世間を眺めているんだよと言わんばかりの冷たい表情で、死んだ友人たちを呼び起こして追憶を始める。

  • ゲーテの代表作「若きウェルテルの悩み」をはじめとする散文作品とは、まるで雰囲気が異なりますので、最初に読んだときは面喰ってしまいましたが、壮大で遊び心満載の作品です。

    「ファウスト」はいくつか版がありまして、集英社(本棚掲載)のほうは優しく読みやすい訳です。おきゃんな挿画もありますので、初めて読まれる方にはお薦めです。また、少し重めの訳が好みの方は、新潮社をお薦めします。詩の表現も美しく、軽さと重みのバランスもほどよい秀逸な訳だと思います。

    60年の歳月をかけて完成させたということもあり、作品全体のまとまりやテンポについては、激流のようなギリシャ悲劇やシェイクスピアのそれに比べて少々疑問は残ります。でも、よくよく考えてみれば「ファウスト」は悲劇ではないですし、「神曲」と同様に、名状しがたい結末を迎えるにあたって、作品全体を激流のようなテンポで洗い流してしまうわけにはいかないでしょう。

    余談かもしれませんが、ゲーテは「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」でもそうですが、さほど関連のない小話をちょこちょこ挟みこんで遊ぶクセがあるようです。小話を挟んで清涼剤にしていたのかしら? そういった遊びクセがあることも、この作品の楽しみのひとつです。

    さてファウストの魂の行方は? 素頓狂な旅でファウストが得たものは? 
    ――時よとまれ! おまえは美しい――
    愛と美、そして不滅(不死)という壮大なテーマは、ゲーテの哲学や生き様をあらわすものだと感じます。でもそんな小難しいことは傍において、時空を超えたへんな悪魔との冒険は楽しいです(^^♪

    「すべて移ろいゆくものは、
    永遠なるものの比喩にすぎず。
    かつて満たされざりしもの、
    今ここに満たされる。
    名状すべからざるもの、
    ここに遂げられたり。
    永遠にして女性的なるもの、
    われらを牽(ひ)きて昇らしむ」 

  • 知識、教養を身に付けてもなお心が満たされないファウストは悪魔メフィストーフェレスは契約をした。
    若返りの秘薬を飲まされて、少女に恋をする。
    ファウストはやりたい放題。

  • こんなん悲劇だがん

  • グレートヒェンが踏んだり蹴ったりな結末になるんだけど、それもこれもファウストに出会ったがためであったというのが第一部なのかな…要するに。なんとなく心に残った言葉-「何がなんでも自説を通そうとして、一つのことだけをいっていれば、そいつが勝つに決まっているのだ」(ファウストがメフィストーフェレスに対して)

  • 「善い人間は、暗い衝動に駆われても、正道を忘れるということはないものなのだ、と。」

    世界で一番面白い本と聞いていたので、いつ読もうかずっと迷っていた本。戯曲なので、セリフだけで話が進む。なので、時間の流れを掴むのが難しかった。

    この本は確かに面白い。とても面白い。ゲーテが60年かけて作っているのだから、そこに凝縮された何かがある。

    マルガレーテの兄のセリフは、真に迫るものがある。

  • 全編が詩のように美しく、日本語もこなれていてすらすらと読める。グレートヒェンの悲劇が痛ましく、錯乱した彼女の言葉は胸をつく。
    (2015.6)

  • 人は何のために生きるのだろう。。。
    財宝に美女に贅の限りをつくしても
    心を満たされることはなく
    希望によってのみ心が満たされたということに
    私自身もこの世に生きる意味の答えが見えた。

    「とまれお前はいかにも美しい」
    この世の創世記は最初ではなくて終わりにあるのかも
    しれない。
    まだ人間は成長期にあり世界は出来ていないと考えられる。
    いずれ完成するこの世の創世記を夢見て働く人間は美しい。
    そしてその希望によって心は満たされる。

    ファウスト(ゲーテ)が示した答えを胸に
    一粒の麦になるべく私も頑張って生きようと思う。

  • 精神分析はユダヤ人を起源とする、ということと同等以上に、ドイツ語圏が起源であることを考えてみたい。
    大ゲーテによる形而上学と自然科学の総合がそこにある。あるいは情熱と理性の格闘と捉えてみてもいいかもしれない。
    抑圧とその対処、ときには爆発。
    そんなふうにフロイトはニーチェに繋がる。
    ファウストは啓蒙時代の理性にたいする愛と狂気の文学だが、このヴァリエーションの反復に、例えばわたしは、グレート・ギャッビーのことを想った。
    希求されたのは酬いや救済ではない。
    「とまれ、お前はいかにも美しい」……

  • まどマギのモチーフ説につられて読了。堅苦しい作品と覚悟したけど、案外さくさく読めた。知識を究め過ぎて世の中が退屈になった男が、刺激を求めて悪魔と契約する話。悪魔メフィストフェレスがどこかお茶目で憎めないキャラ。西洋の教養なしでは難解な部分があるけど、ファンタジー作品として楽しめるね。

  • もう何年間積ん読してたのか分からないけれどもついに読んだ、読んでみたらもう一気に読んでしまって、あのつまらない自己啓発サイト読んで怠惰に過ごした土曜日たちはほんとに可哀想だけどたんなる無駄でしかなかったなと思った。


    いまいち頑張りきれなかったなとおもっている真面目学生の心にズキズキくる作品!(というより私にズキズキきた)以下、もうねむいから箇条書き。

    ・しょっぱなから、「大衆娯楽を書くことを求められているけれども芸術そのものを書きつづけたい」、みたいな詩人が出てくる。

    ・ワーグネル(学者でもある主人公の弟子、アホ)がアホすぎて哀しい。「私もこれまでに学問に精を出して参りまして、/かなりいろいろと知ってはおりますが、何もかも全部知りたいのでございます。」→ファウスト「いつも埒もないことに係わり合い、/がつがつと宝を掘り出そうとあせって、/さて、蚯蚓を見つけて悦んでいるのだから。」

    ・聖書の「はじめにことばありき」の翻訳

    ・マルガレーテの耳飾り、ヴォイツェックのマリーを思い出す。関連あるだろ!

    ・宗教を信じているか?

    ・気が狂ったマルガレーテの可愛さ

    うーん。最近ゲスい気分だからゲスい感じでしかとらえられませんでした。

    ファウストよみおわったらまたビュヒナー読もっと。

  • 罪と救済がテーマにある物語。メフィストフェレスとの掛け合いというか探り合いというか仕掛けというか、これからファウストは報われるのか!?というところ。和訳も綺麗だしテーマも好みでした。

  • ズブズブと悪に染まっていくファウスト、関わった人々がどんどん不幸になっていく。中途半端な部分は2部で回収されていると思いたい。思ったよりもずっと楽しめた、というと多少不謹慎か。悪魔との契約なんてキリスト教的にはどういう捉え方をされたんだろう。

  • 何が起こっているのかよく分からなかった
    以後、演劇形式の本は読まないようにするべきなのかもしれない

  • 綺羅星のような戯曲。構成も素晴らしい。メフィストフェレスになりたくなってしまった。高校生の時には挫折した作品。ドイツ文学の最高峰では。

  • (2002.08.15読了)(1999.10.03購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    世界の根源を究めようとする超人的欲求をいだいて、ファウストは町へ出る。理想と現実との乖離に悩む彼の前に、悪魔メフィストーフェレスが出現、この世で面白い目をみせるかわりに、死んだら魂を貰いたい、と申出る。強い意志と努力を信じる彼は契約を結び、若返りの秘薬を飲まされて、少女グレートヒェンに恋をするが―前後六十年の歳月をかけて完成された大作の第一部。

    ☆ゲーテの本(既読)
    「若きヴェールテルの悩み」ゲーテ著・佐藤通次訳、角川文庫、1950.08.15
    「ヘルマンとドロテーア」ゲーテ著・国松孝二訳、新潮文庫、1952.01.15
    「ゲーテ格言集」ゲーテ著・高橋健二訳、新潮文庫、1952.06.25
    「イタリア紀行(上)」ゲーテ著・相良守峯訳、岩波文庫、1942.06.01
    「イタリア紀行(中)」ゲーテ著・相良守峯訳、岩波文庫、1942.06.01
    「イタリア紀行(下)」ゲーテ著・相良守峯訳、岩波文庫、1942.06.25

  • 翻訳の読み比べ用に。講談社学芸文庫を先に読みましたが、比べてみるとこちらは言い回しが多少現代語風かな…?と感じました。でも、全体で見ればそんなに変わりはありませんでしたが。
    どちらも面白く読めたのでよし。

  •  言わずと知れた古典中の古典に初めて挑戦。戯曲という形式について詳しくは分からないけど韻が大切ということか。日本語に限らず翻訳するとどうしても原作とは印象が変わってしまうだろう。いずれ他の訳も読んで比べてみたい。
     宗教的な示唆が多くて聖書を読んでいればもっと理解が深くなったはず。メフィストーフェレスという悪魔を描く作者の頭がどうなっていたのか想像できない。恋愛や色欲は200年以上前のヨーロッパでも今と本質的に変わらないってことが発見。性的な表現を伏字にしているところに笑ってしまう。ワルプルギスの夜のところは全然理解できなかったけどなんか色々混ざり合った感じが凄い。ファウストは「己は自分の心で、全人類に課せられたものをじっくりと味わってみたい。」と言っているけど、ここが所謂ファウスト的衝動と呼ばれる部分なのかな。ファウストは薬を飲んで若返ったの?時間のとび具合がよくわからない、などもやもやするところは解説でふれられているのか。
     「ワルプルギスの夜」はまどマギで有名だし。作品自体が「化物語」で触れられるなど個人的に日本のアニメへの影響も見逃せない。

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