饗宴 (新潮文庫 (フ-8-2))

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著者 : プラトーン
制作 : 森 進一 
  • 新潮社 (1968年9月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102027028

饗宴 (新潮文庫 (フ-8-2))の感想・レビュー・書評

  • プラトンの作品の中でも特に文学的な作品と言われているだけある。
    話の持っていき方やアルキビアデスの登場などは戯曲的な臨場感に満ちており、ぐいぐいと作品の世界に引き込まれた。

    『饗宴』は、悲劇詩人アガトーンの入賞を祝う酒席で、
    五人の仲間たちが愛の神エロースを讃美する即席演説を試みた、
    というのをソクラテスの付添いでその場にいたアリストデモスが話す報告形式の作品。

    演説の順番は、
    パイドロス→パウサニアース→エリュクシマコス→
    アリストパネス→アガトーン→ソクラテス。

    パイドロスは権威主義的に、
    パウサニアースは相対主義的に、
    エリュクシマコスは自然哲学的にエロースについて説く。

    アリストパネースの話は純粋に物語のようで面白かった!
    かなり要約すると、昔、人間は男・女・両性の3種類に分かれていた。
    それらは二つの頭に4つずつの手足を持っていたが、神に謀反を働いたために半分にされてしまい今の男と女になった。
    ゆえに現在の私たちは昔の片割れを求める気持ちから、男もしくは女を求めるのだ云々。

    五人目の最後アガトーンは飾り立てた美辞麗句でエロースを讃美するが、直後にソクラテスの短い問答相手をさせられ否定される。
    この否定っぷりが痛快!

    ソクラテス自身は、ディオティーマという女性を引き出して、かつて彼女がソクラテスに教えたエロースについて話す。

    そしてソクラテスが演説を終えた途端にアルキビアデスが登場するが、ここからが更に愉快!
    エリュクシマコスが彼にも「エロース」を讃美する演説を進めるが、ソクラテスの前で彼以外を讃美なんてできない!と、「ソクラテス」を讃美し始める。
    アルキビアデスの話から、ソクラテスが日常生活でどのように愛を実践していたかが垣間見える。

    訳者である森進一の解説も丁寧で興味深かった。

  • ここ1年くらいプラトン対話篇を読んだり、読み直したりしている。

    というなかで、なぜか順番が後の方になってしまったが、有名な「饗宴」を30年ぶりにくらいに読み直してみた。

    おー、こういう話しだったのか!

    アリストパーネスの「昔、人間は、球形で、男男、男女、女女が組合わさったものだったが、神が2つにわけた。それで、人間は切り分けられた分身を探して、愛するのだ」という有名な話し以外は完璧に忘れていた。

    ソクラテスの語る「プロセスとしての愛」「傷みを伴う愛」「一定の方法論をもって修習すべき愛」みたいな概念は、個人的にはすごく響いた。ここには、固定的なイデア論ではなくて、理想を探求していくプロセスと心のマスタリーが重要ということ。

    が、個人的に今回読んで一番衝撃であったのは、ソクラテスのスピーチのあとで、泥酔して会場に乱入してくるアルキビアーデスだ。この人の酔っぱらいながらも語る赤裸裸なソクラテスへの愛は、なんだか痛々しい。ソクラテスの語る愛の話しとシンクロしつつも、大きな違和感を物語に投じている。

    あと、今回読んで驚いたのは、この饗宴を構成する入れ子状態の間接話法というか、伝聞の伝聞みたいな話しの構造だ。複雑、かつ劇的な構成と何重にも張り巡らされた伏線と隠喩。さまざまな読みが可能な感じがする。

    やはりプラトンの対話篇のなかの白眉ということなんだろうなー。

    と言いつつ、パラパラと流し読みしてしまったので、まだまだ十分に読み込めていない感じがするので、自分側の満足度としては★を一つさげて、4つにしておく。

  • プラトン先生ウハウハじゃないですか

  • バッハオーフェンさんの「母権制」にマンティネイア出身のディオティーマという女性がソクラテスに語ったというお話しが出てきていたので読んでみた。

    愛の神エロースは鬼神ダイモーンで、不死の神でもなく、死すべき人でもないその中間にある者。
    知者は知を持っているから知を求めず、無知なる者は知を持っていないこともわからないから知を求めない。知者と無知者との中間にある者こそが知を求める。
    ありゃりゃ~なんかここでも真ん中50ですね。


    Mahalo

  • 全く哲学は不勉強なのですがいきなりのトライ。愛とは、対象への向かい方によって美しくも醜くもなる、と。なるほど。
    人物同士のやりとりや駆け引きもあり、物語としてもおもしろく読めました。今も昔も、男のひとは議論が好きだなあ。
    なぜディオティーマのような架空の人物が出てくるのだろうと思ったのですが、賢いひとは常に自分の意見を別の立場から批判したり問答したりするそうなので、ソークラテースも頭の中でもう一人の自分と対話をしながら論を構築しているのかもしれない、と思いました。解釈の難しい部分もたくさんあったので、別訳でも読んでみたい。

  • ○この本を一言で表すと?
     愛の神エロースに対する賛美の話とソクラテスによるオチの本


    ○考えたこと
    ・ギリシャ神話などでちょいちょい出てくるエロースに焦点を当てて話しているのは面白いなと思いました。ギリシャ神話やオウィディウスの「変身物語」の前提知識があったので、それらを読んでもエロースはチョイ役でしか出ていないなと思っていましたが、この饗宴に登場する人物もそう思っていて、創作や他の概念を広げて話をつくり上げているのは面白いなと思いました。

    ・最初のパイドロスの話で少年愛によるカップルを一緒に戦争に連れて行くなら、お互いに良いところを見せようとそれぞれ勇猛果敢に戦うだろうという例えは、別のケースでも使えそうだと思いました。互いに能力を発揮しようというインセンティブがある、組織する者としてはうまい方法だと思います。国家のために戦争に行く兵士のモチベーションとして家族を守るという大義名分を与えることに似ているようにも思いますが、戦争に参加する動機だけでなく、戦争中も継続的に働き続けるインセンティブとして優れているなと思いました。

    ・ソクラテスがアガトーンを論破する議論が論理的で面白いなと思いました。「エロースは美しいものを対象に欲している」「何かを欲する者はそれに欠けている」「エロースは美しくない」この三段論法は演繹法の話で「大前提⇒小前提⇒結論」と出てきた流れそのもので、その三段論法の発生段階での用法が知れてよかったです。

    ・異性愛、同性愛の存在の前提を、人間が元々は顔2つ、手が4つ、足が4つで男型、女型、両性具有型の3種のタイプがいる生き物だったとして、そこから半分に分けられ、女好きの男、男好きの女、そうでない男女、同性愛の存在に絡めているのは面白い考え方だと思いました。


    ○参考にならなかった所、またはつっこみどころ
    ・少年愛が至上の愛とされているところは共感しづらいところだなと思いました。

    ・ソクラテスの話で「愛と呼ばれる行為は、美しいものにおいて、子を産むこと」というように「よき行為」が「分娩」であること、と書かれていてその因果関係がわからず論理が飛躍した印象を受けました。

  • (2013.08.09読了)(2004.10.30購入)
    以前一度、岩波文庫版の「饗宴」を読んだのですが、よく分かりませんでした。
    2013年7月のEテレ「100分de名著」で「饗宴」が取り上げられ、そのテキストを読んだついでにもう一度トライすることにして、今回は、新潮文庫版を選びました。
    新潮文庫版の方が、岩波文庫版よりわかりやすかったように思います。
    食事をとりながら、集まった人たちが、順にエロース(愛の神)を讃美するということです。
    最後にソークラテースが述べるのですが、ソークラテースが自分の考えを述べているわけではなく、ディオティーマという女性から聞いた話を述べています。
    その話は、エロースの讃美というよりは、人生の目的は、という話になってしまっているようです。「愛こそはすべて」なのかもしれません。

    【見出し】
    アポロドーロス、アガトーンの家で行われた饗宴に関し、聞きおよんだ次第を語る。
    以下の全編は、アリストデーモスより聞いた話を、アポロドーロスが伝えたもの。ま
    ず、アリストデーモスが、偶然ソークラテースに出逢い、饗宴におもむいた次第を。
    エリュクシマコスが、愛の神の讃美を、饗宴の主題として提案した次第を。
    パイドロスの話
    パウサニアースの話
    エリュクシマコスの話
    アリストパネースの話
    アガトーンの話
    ソークラテース意見を述ぶ
    ソークラテース、アガトーンと語る
    ソークラテースの話
    酩酊のアルキビアデース登場
    アルキビアデース、ソークラテースを讃美す
    注解
    解説  森進一

    ●本来の姿(54頁)
    昔の僕たちが、完全なる全体をなしていたからなのだ。そして、その完全なる全体への欲求、その追求こそ、愛という名がさずけられているのです。
    ●身に欠いているもの(72頁)
    欲求するものはいつだって必ず、それが身に欠いているものを欲求するのではないかね? いや、言いかえれば、身に欠いていない場合には、欲求もしないのではないのかね?
    ●愛の神(エロース)(82頁)
    愛の神は、策知の神ポロス、貧窮の女神ペニアーの間に生まれた息子であります
    ●幸福(86頁)
    「善きものを自分のものにした人は、いったい何を手に入れることになるのか」
    「その人は、幸福になりましょう」
    ●愛(89頁)
    愛とは、善きものが、永久にわが身のものになることを、目的としているのです
    ●名誉(95頁)
    名誉にかられた人びとときては、名誉を得るためなら、わが子のためにするにもまさって、ありとあらゆる危険を冒すこともいとわないし、財貨の浪費も、また、いかなる労苦も、あるいはそのために命を失うことも、いとわぬ、というありさまです。
    ●魂に宿る美(99頁)
    魂に宿る美は、肉体に宿る美よりも尊いものと考えねばなりません

    ☆関連図書(既読)
    「ソクラテスの弁明・クリトン」プラトン著・久保勉訳、岩波文庫、1927.07.03
    「饗宴」プラトン著・久保勉訳、岩波文庫、1952.10.05
    「ソクラテス」田中美知太郎著、岩波新書、1957.01.17
    「プラトン『饗宴』」納富信留著、NHK出版、2013.07.01
    (2013年8月10日・記)
    内容紹介 amazon
    なぜ、男は女を求め、女は男を求めるのか? 愛とは、いったい何なのか? 悲劇詩人アガトーンの第一位入賞を祝う酒席で、五人の仲間たちが愛の神エロースを讃美する即席演説を試みた。男女の肉体的な愛に始まり、最後は真打ち格のソークラテースによる美のイデアとしての愛に終る本書は、およそ考えうる限りの愛の姿を論じてプラトニック・ラヴの出典ともなった永遠の名著である。

  • 愛の神エロスは、父・策知の神ボロスと母・貧窮の神ペニアーとの間に生まれた息子である。
    また、愛の神は鬼神である。
    したがって、美と醜の中間にある。

    全部読んでも納得はできなかった。
    しかし、愛は美しくもあり醜くもあるその中間に位置するものであることはよく理解できた。
    貧しいからこそ美を求め、策を練って美を我が永遠のものとするのは、真理だろう。

  • 明晰であることは美しさの一つの要素だと学ぶ。

  • 万物の初め、カオス生まれる。次に生まれるのは愛の神。
    調和とは響和であり、響和とは一種の同和である。
    対立の状態にあって、同和しようとしないものを調和に導くことはできない。

  • フ-8-2 森進一訳

  • 理解できる力が自分にない。
    ので、感想は書けない。

  • 騙されつつのせられる対話篇

  • プラトン対話編で一番有名かな。
    ソクラテスとか、アリストファネスとか登場します。

  • 愛とはいったい何なのか?この永遠のテーマについて語られています。愛について悩んでいる人、説得力のある発言と言うのはいかなるものなのか勉強したい人、全ての人に勧めたい名著。

  • 古代ギリシャ式しゃっくりの
    止め方は参考になりました。
    いや、愛について、ソクラテスへの尊敬の念が熱く語られている名著なんだけどさ(^_^;)

  • きっと思ってるよりも読み易くておもしろいです。連休でヒマな時とかにいいかも。

  • 岩波文庫版もあるが、読みやすさでこちらに軍配。

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