大いなる遺産(上) (新潮文庫)

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感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030011

感想・レビュー・書評

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  • 読みにくすぎて死ぬかと思った。
    好人物が一人もいないのもキツい。
    大いなる遺産を相続して、それが何?
    成金を恥じるどころか、ひけらかす主人公の厚かましさと、育ての親への恩知らずな言動に辟易。
    成金主人公に堂々とおもねる人間しか出てこなくて、こんな厚顔無恥と資産至上主義が当時のイギリス社会のスタンダードだったのか? と混乱。

    「読みにくい」というストレスのせいで、感想がすべて やさぐれたツッコミになってしまう。
    翻訳作品にはいつも訳者へ感謝と敬意を表するのが大前提として、それにしても苦しい読書だった。
    大いなる序章と信じて、ほとんど意地で読み終える。

    • おびのりさん
      お疲れ様でした。私も新潮文庫の翻訳物で、気持ち悪くなります。^_^
      お疲れ様でした。私も新潮文庫の翻訳物で、気持ち悪くなります。^_^
      2023/07/15
    • あかねさん
      ううう おびのりさん、
      コメントありがとうございます~
      救われました 報われました(;_;)笑
      ううう おびのりさん、
      コメントありがとうございます~
      救われました 報われました(;_;)笑
      2023/07/16
  • 片田舎の少年が、突然莫大な遺産相続の見込みを告げられ、一躍紳士となりロンドンへと生活の場を変える。そしてこの変化は彼の内面をも徐々に変化させていく。しかし待ち受けていた結末は・・・。
    二転三転するストーリー展開もさることながら、人物造形や感情描写が秀逸。やや冗長に感じるくらい、丹念に市井の人々の生活を描いており、非常に共感をもって読み進めることができる。とにかく面白くのめり込めるし、感動的なシーンも多い名作中の名作と言っていいと思う。

    ディケンズの小説は、のちの時代の小説(だけでなくマンガにも)に非常に大きな影響を与えたんだろうなあ、とうかがい知ることができる。

  • いつもは電車に乗っているときなどに本を読むけど、
    後半に差し掛かって久々に読むためだけの時間を取りたくなって一気に読んだ。

    私はバカだ、途中でネタバレをしてしまったのだ。
    あまりに不思議な話でどうなるんだろう??
    ってことが知りたすぎて、検索してしまった…
    これから読む人、絶対にそんなことはしないで、お話に身を任せてください、半分ミステリーで気持ちよく引き込ませてくれて、そういうことね!っていう展開に連れていってくれます。

    ピップのあまりに人間らしい気持ちの発露は、分かりみが過ぎて自分のことのように痛みを感じたり、「だよなわかるぜ」って肩を組みたくなったり。

    予想ばかりして先回りしても、結局のところ真実というのはいつも一つしかなくて、そしてそれを人は、自分にとって悲しいか嬉しいかで色づけする。だけどそれは、嬉しい色付けにしようと考えているなら、最初はどんなに悲しい色に見えていても次第に嬉しい色づきになっていくものなのだ。
    人生っていうのは、何を得るかということでもないし、また何かを失うと怯えて生きるものでもない。しょうもない臆病な自分を励ましながら、目の前のことに立ち向かっていこうと思わせてくれる大エンタテイメント。

  • 先日観た「オリエント急行殺人事件」で名探偵ポアロがディケンズを愛読しているシーンに触発されて読み始める。

    全貌が見えないまま個別のストーリーが続くので、まだ森の中にいる状態で、ここまで来るのに忍耐が必要です。

    上巻を読み終わってようやく登場人物が全員揃ったのかな?って所です。

    19世紀のロンドンや郊外都市を思い浮かべられるのと、そうでないのとでは読みの深さに相当違いが出るんだろうな〜と思ったりもする。勿論のことながら自分は知らない派です…


    いつかは原語で読んでみたい。

  • 貧しい鍛冶屋で育ったピップが、とある因果から莫大な遺産を相続する。この遺産は誰のものなのか、ピップはどのような結末を迎えるのか。ミステリー調の自伝的長編小説。

    ディケンズは初読だったが、展開がしっかり存在していて読みやすい!登場人物もそれぞれキャラクターが立っていて、それぞれの心情や思惑が徐々に明かされていくのが気持ちがいい。終盤で様々な伏線が回収され、謎が解けていく部分まで読み進められればかなり楽しめると思う。

    この小説の最大の魅力は、ミステリー的なストーリー性だと感じたが、ピップや周りの人々の心情描写の緻密さもその魅力を底上げしている。

    貧しい鍛冶屋の家庭で育ったピップは、ヒス気質のある姉の影響なのか、自分の価値を信じられないネガティブな少年だった。そんな彼が、ひょんな事から富豪の屋敷に行く事になり、その家の令嬢・エステラと出会う。傲慢で冷徹な彼女にいじめられ、ピップは自分の生活がみすぼらしいものであると感じる。
    「自分はつまらない労働者の子供だということ、自分はゆうべ考えたよりはるかに無知だということ、そして、つまり自分は、下等な、いやらしい生活をしているのだということを、つくづく考えた。」

    そんな経緯で彼は、「紳士」になることと、エステラに目を向けさせることに執着することになる。そんな中、ピップは自分が謎の人物の遺産の相続人になったことを知らされる。紳士が絶対的価値観になってしまった彼は、育ての恩人であるジョーに対しても、侮蔑の感情を抱くようになり、自分を好いてくれていた使用人のビディの忠告も聞かず、紳士となるために家をでていく。
    ビディ「ひといろだけじゃないの。あのひとは誇りを持っていて、あの人が満たす力があり、そして、立派に敬虔な気持ちでみたしている地位から、自分を引きはなすことを、だれにも許さないかもしれないわよ。」

    莫大な財産を手に入れたピップだったが、なぜか心は満たされない。紳士とエステラという2つの脅迫めいた観念にとりつかれる日々。そんなある日、遺産の持ち主が現れる。それは、彼が昔脅されて助けさせられた囚人のプロヴィスだった。金の出元が自分が彼にとって「汚い、みすぼらしい」人物だったため、彼は絶望する。
    「自分の立場に関するいっさいの真相が、私の脳裏に閃いた。失望と、危険と、屈辱と、ありとあらゆる種類の結果が、大波のようにどっと押し寄せて、私を押し流し、わたしは一息ごとに喘がなければならなかった。」

    彼の人生はまた一変。全ての人生設計が壊れてしまったピップだが、復讐に取り憑かれて義娘を作った、エステラの母・ミス=ハヴィジャムや、自分を紳士にするために尽くしてくれるプロヴィス、故郷を捨て出ていっても大切に思い続けてくれていたジョーやビディの存在から、ピップは最終的に本当に大切なものに気づいていく。
    「この狩り立てられ、傷つけられ、枷まで嵌められた男のうちに、何年ものあいだ、わたしにたいしてすこしも愛情と感謝と寛容をいだいていてくれた人間を見たからである。わたしは彼のうちに、はるかに善良な人間を、ただそれだけを、見たのだった。」
    「彼らに近づくにつれて、胸はいよいよ軽くなり、尊大と虚偽の世界から、ますます遠ざかっていくような思いがした。」

  • 長くて、訳も読みにくい。
    しかし半分を越え、遺産相続が伝えられてから面白くなってくる。

  •  

  • I'm still reading Great Expectations. Even though it has been a long time since I finished reading volume 1 of the book, each of the expressions and sentences made me interested in his book again. Recently a lot of phrases or sentences not only from this book, but also from other books such as Botchan written by Natsume Soseki have captured my heart, and the phrases have made me think about the essence of them. (That is because, you know, only preparing for the test is crazily boring for me xD By giving me something to think, these books always make my small world feel so big.

  • 最初は翻訳の日本語が不自然すぎると思ったが、それも徐々に慣れてきて、最後の方はまったく気にならなくなった。
    上巻読了時点では、ピップがとにかく受け身で、最初は生まれた境遇を恨み、育ての親の仕事を毛嫌いするだけで努力もせず、運良く大金が転がり込んでくると身近な人々を見下して傲慢になるという、悪気はなさそうだがまったく共感できない人物なので、この先どんな展開になるのか不安になる。大方、はしごを外されて痛い目を見るという寓話的な話なのかな。
    とはいえ、描写は濃密で、登場人物は多彩で、読んでいて飽きない。

  • 文学

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著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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