大いなる遺産(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (450ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030028

作品紹介・あらすじ

謎の人物から莫大な遺産の相続を約束されて、貧しい生活から一変して贅沢三昧の暮しにひたりきり、今や忘恩の徒となりはてた主人公ピップ。彼の前に、その謎の人がついに姿を現わした。彼の運命は再度一変する。痛烈な皮肉、豊かなユーモアと深いペーソスをたたえて、市井の人間たちの生活に息づく喜びと悲しみ、美しさと醜さを余すところなく描き、文豪後期の代表作をなす長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • ロンドンでいつしか放蕩な生活を送るようになったピップ。ロンドンにやって来たエステラとの再会にも心は晴れず、次第に倦んでく。やがて突然に謎の人物が目前に現れる。驚きを隠せないピップだが、次第に状況を受け入れてゆく。このあたりの描写は常に豊かなユーモアを含みながらも緊張感に溢れ、心地よいテンポで話はクライマックスへとすすんでいく。作者の貧しい者での温かいまなざしや社会への怒り、人間の強さと弱さ、そういったものが凝縮された作品だと思う。

  • 息つく暇もなく事件が巻き起こる(考えつく)のは、ストーリーテラーたるディケンズの本領発揮といったろころか。
    意外な人間同士の関わり合いが次々と明らかになっていくのはミステリー小説のよう。最終場面、ピップとエステラが結ばれたかどうか明らかに描かれていないのが良い(「ずっと友達でいましょう」と言うにとどまる)。

  • 登場人物多いので下手に間隔空けずに一気に読んだ方が良い、というか一気に読みやすい本。ジョーがどこまでも善人で感動した。ピップは紳士に憧れ目指し、成功するわけだけど、小さい頃から心構えは紳士の雰囲気。登場人物一人一人ん魅力的。「私を許すと書いてくれ」「あなたのそばにいることを許される限り」「ふたりとも僕を許すと言ってくれ」と所々「許す」がキーワードのように感じた。純粋に涙流して感動できるような作品。

  • 遺産の送り主は、ピップが幼少時に助けた脱獄囚であったことが判明し、脱獄囚がピップの前に再登場するところから流れが変わる。遺産はすでにピップのものになっていて、それを分割で受け取っている状態だと思っていたから、遺産がもらえなくなるようになった理由がよく分からず、混乱してしまった。結局よく分からなかった。
    だいたいの流れは追えるものの、訳のわかりにくさで微妙なニュアンスが失われてしまっていると思うので、新訳で読みたい。原著は挫折した。

  • 文学

  • ようやく読み終わった。
    同じ著者の作品である「二都物語」とは違い、読み終えるのに苦労した。

    ストーリーの展開が必ずしも読者を惹きつけるものではないし、話の流れも超不自然。

    加えて、訳も古く、日本語からは当時のイギリスの情景を思い浮かべる事はほぼ不可能。また関係代名詞をそのまま訳している様に思える修飾表現は、日本語としては読みにくい。

    ところが巻末解説には、「こんなに理屈なしに楽な気持ちで楽しんで読め、しかも素朴で純粋な人間的共感を強く湧きあがらせる小説は、そうざらにはありません。」、「どこを開いて、どこから読んでみても、ユーモアがみなぎっていて、なんど読みなおしてもおもしろくて楽しい。」とある。

    こうなってくると、自分は何を読んで(あるいは読めてない)いるのか?と思わざるを得なくなる訳で、それを検証するにはいよいよ英語で読んでみる必要が出てきた……










  • この展開、幕引きは見事。面白かった。

  • 幸せとはなんだろう。人間の喜びと悲しみ、美しさと醜さや哀れさなど、すべてがこの本に詰まっていて、読了後、しばしその重圧で軽いめまいがするほどの傑作です。また本が書かれた時代背景を知ればこそ、更にディケンズの伝えたいことがより深く理解できるような気もしました。ふだん何も考えずにのほほんと生きている自分にとっては、何かを考えさせられる刺激もあり、素晴らしい読書時間を過ごせたと思ってます。

  • なんとか読み終えた、という感想です。
    「サラバ!」の作中に出てきたこと、他の方のレビューを見て面白そうだったこと、などから読み始めましたが、私には難しかった…。
    話の繋がりがよく分からなかった…。

    なんとなく暗いイギリスの雰囲気が印象に残りました。

    ディケンズさん、ゴメンなさい。

  • まさか遺産の相続元がミス・ハヴィシャムではなくて、あの助けた囚人だったとは!びっくりしたし、ピップがその事実を知ってからこの物語はおもしろさが増した。ピップとマグウィッチ、ピップとエステラ、ピップとハーバート、ピップとジョーとビディのやり取りというか愛は読んでいて感動するね。それだけ思い出しただけでも、ピップはすごい愛されているな。放蕩息子的な感じだったのに(笑)
    相手のことを無能だと思っていたのは、自分が無能だったからだ的な言葉は中々よかった。
    ディケンズは本当におもしろい本を書きますなぁ~(笑)

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著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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