クリスマス・カロル (新潮文庫 テ 3-5)

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  • / ISBN・EAN: 9784102030080

感想・レビュー・書評

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  • グリンチのように、クリスマスが嫌いで
    人が嫌いで世間が嫌い。
    頑なに人を寄せつけず、お金だけを
    掴んで離さないスクルージ老人。

    クリスマスも近いある日、唯一付き合いのあった
    "死そのもの"のような目をしたマーレイの幽霊が現れ、
    スクルージが人生を改めるためのチャンスと
    希望がまだあることを知らせにやってくる。

    東方の三博士を思わせるような
    過去・現在・未来のクリスマスの幽霊。

    風景や心理描写も細かく、時にくどいほどに
    書かれてあることで、スクルージの神経の細かさや
    思考の速さをも見事に描写していて圧巻。

    幽霊との時間の旅の中で触れた過去の
    希望や喜び、苦労、その芳香。
    向上心が妄執に変わり、色褪せ変わっていく気持ち。

    忘れていた大切なことを思い出す時間から
    自分の"元"に戻ってきた「時」。
    生きている限り、変わることも埋め合わせることもできる。
    周りの人に対する愛情と善意の躍動する
    クリスマスの本質を教えてくれる普遍的な物語。
    大好きな村岡花子さんの訳で読めるのもうれしい♡

    • nejidonさん
      あやさん、こんにちは♪
      ああ~!懐かしいですね!
      普遍的名作に、何を今更と思いがちですが、
      しっかりツボを押さえたレビューで、とても素...
      あやさん、こんにちは♪
      ああ~!懐かしいですね!
      普遍的名作に、何を今更と思いがちですが、
      しっかりツボを押さえたレビューで、とても素敵です!
      ちょっと再読は気が重くもありますが(事実ではなくて
      真実が描いあるせいか・・)また読み返したくなりました。
      お話なので極端なキャラに描いてありますが、スクルーズはどこにでもいますね。
      自分だって、絶対違うとは言い切れないですよ。。
      気づかせてくれる、本っていいなぁ、ナンテ。
      2013/12/19
    • nejidonさん
      あらら、ナマってますね(笑)
      スクルーズ→スクルージ、でした。失礼すますた。
      あらら、ナマってますね(笑)
      スクルーズ→スクルージ、でした。失礼すますた。
      2013/12/19
    • 山本 あやさん
      nejidonさん∠♡

      nejidonさん、こんにちは[^-^]

      クリスマスの定番でほんとに普遍的な
      大切な物語ですよね~♡
      ...
      nejidonさん∠♡

      nejidonさん、こんにちは[^-^]

      クリスマスの定番でほんとに普遍的な
      大切な物語ですよね~♡

      スクルージへの教訓はほんとにすべての人間に
      当てはまる罪と闇ですよね。
      悪いことをするといった分かりやすい罪でなくとも
      ほんとに人間は生きているだけでどれだけ罪深く
      どれほど反省点が多いか…私も読むたびに
      心にずしっとのしかかります。

      ただ今日の1日を無事に過ごせたということだけでも
      どれほどの感謝をしなければいけないのか、
      周りの人にどれほど支えられて生きているのか、
      クリスマスだからこそまた改めて初心にかえって
      みんなに感謝できる、日本でもクリスマスが
      そんな大切な立ち返りの日になるといいですよね[^-^]☆
      2013/12/19
  • クリスマス前には必ず読みます。読んだ後にはじんわり心が温かくなります。最後の『彼自身の心は晴れやかだった。彼にはそれで充分だった。』がいいですね。かくありたいです。

  • いい話である。村岡花子の訳文は好きだが、この小説は3人の幽霊が紡ぎ出すイメージの展開が豊かで、その分、簡単な小説ではないと思う。スクルージの過去など謎は多い。ディケンズ(1812-1870)が生きた当時は、マルクスが『資本論』(1866)で書いていたような労働者階級の非情な現実がある(ドレスの縫い子が狭い部屋で数日間不眠不休で働かされて過労死したとか、機械作業の防護措置がとられずに子供の指が飛んだとか、教育はされずQueenを男だと思っている子供がいたとか)。そういった時代のなかにあって、「クリスマス」という一点から、隣人愛の物語を書いたディケンズはやっぱりヒューマニズムの作家であって、単なるリアリズムの作家ではないと思う。「男も女もみんな隔てなく心を打あけ合って、自分らより目下の者たちを見ても、お互いみんなが同じ墓場への旅の道づれだと思って、行き先のちがう赤の他人だとは思わない」というスクルージの甥の言葉からは、「赤子叱るな来た道じゃ。年寄り笑うな行く道じゃ」という諺を思い出した。映画やドラマなどさまざまな作品に翻案があるが、金融資本主義の問題が大きくクローズアップされる今日、読み返されるべき作品だと思う。「毎日がクリスマス」のように隣人愛をもって暮らす必要があるのは、今日こそなのかもしれない。スクルージの最後の境地、「この世では何事でも善い事なら、必ず最初にはだれかしらに笑われるものだ」は大切で勇気を与えてくれる言葉であろう。

  • 本当にほんとうに素敵なお話です。
    クリスマスの優しさや愛が最後にブワーっと溢れる様子は、何度も読んでも感激します。

  •  クリスマス直前に読もうと思っていたのに、早く読みすぎてしまった。何度読んでも心がぽかぽか温かくなる物語。内容を知ったのは4〜5歳の頃、ディズニーの絵本で読んだ。そのため、スクルージはドナルドのおじさんで印象づけられている。
     印象的なのは、第二の幽霊のご馳走の描写。うっとりするほど美味しそうで、キリスト教圏のクリスマスディナーへの憧れも手伝い、ついよだれが。
     クリスマスくらいは普段忙殺されている人も、スクルージのように強欲な人も、この本を読んでほしい。すべての人に幸あらんことを。

  • 翻訳も美しい

  • 文学というより道徳の本として、自らの生き方を省みるために大人が読むべき本。地獄絵図のような絵画でなく、文学こそ自身の今の生き方を振り返ることができる最良の教材であることを本書は教えてくれる。過去、現在、未来どこをとっても教訓に満ちている。

  • チャンスを貰い、悔い改めてその後幸せなまま終わるのがスクルージ、終わらないのがジャン・バルジャン…。文の長短とお国柄もあるのかしら。
    読むとスクルージを我が身に置き換えて自分の言動を振り返るんだけど、毎回ちょっとずつ身に迫る箇所が違うのが面白いです。そうして今年が去年よりちょっとでも良くなっていればいいなあとかぼんやり考える作品。

  • クリスマスに読みました。

  • 午後からの開催だったこともあり、本日は普段より人数が多かったように思います。その分、多くの本を紹介いただき楽しかったです。
    午後からの開催だったこともあり、本日は普段より人数が多かったように思います。その分、多くの本を紹介いただき楽しかったです。

  • クリスマスキャロルは、ディケンズの有名な本です。
    3回読みました。

    最初は、イギリスの文化、歴史にくわしくないので、あまりピンと着ませんでした。

    ダールの「マチルダ」でディケンズを読むという話があったので、あわてて2度目を読みました。それでもなかなか理解できなかったので、映画を見ました。

    映画を見たら、すこしはわかりました。
    これまで自分では想像できなかったことを、視覚化してくれて、ああ、なるほど、そういうことだったのかと分からせてくれました。
    そこでもう一度読みました。

    本書で、イギリスの文化のよい面を知ることができました。
    どんな地方にも、よい文化があり、よい文化がその地方を支えているのだということがわかりました。
    また、文化は、一人一人の心の中に宿るものだということがわかりました。

  • せっかく劇をしたので原作も読んでみた。
    幽霊と見てまわるエピソードが思った以上に細かかったのは面白かった。
    ただ、私はいまだにスクルージさんがこんなにあっというまに回心したのがどうも腑に落ちてない。もともとそんな悪い人じゃなかったってことなのかな?

    (以下思考の痕跡)
    仮説としてスクルージさんがあんなに冷たい人間だったのは、自分の殻に閉じこもって周りを全然見てなかったから、とする

    幽霊たちは、スクルージさんに周りの世界を見せた。
    そのことによって、自分がしてきたことを客観的に見れるようになって、悔い改めた。

    のか?

    うーん。
    でもよく考えたら、私も過去とか、現在とか、未来とかを幽霊と一緒に見てまわったら、見たくない自分の光景とか気づきたくない過ちとかにいたたまれなくなって、悔い改めるかもしれないなぁ。

  • もともとクリスマスなんてばかばかしいと思っていたスクルージ爺さんは、過去、現在、未来を3人の幽霊に導かれてみた。その後、彼はいままでの自分を哀れみの気持ちで改心した。単純だがとても奥が深い物語。

  • ●英
    訳がちょっと読みにくかったけど。

    確かに、クリスマスにちょっと触れたくなる、心温まる話。
    人に優しくしたくなる。

  • これを読んで、そうだよなと思える心を持っておきたい。
    クリスマスじゃなくても。

  • クリスマスイブの夜に、ケチで冷酷なスクルージ老人の元へ、仕事仲間の亡きマーレイの幽霊が訪れる。
    どうやらマーレイも生前はケチな人間でその生き方を悔いている様子。
    今からでもスクルージが善良な人間になる様に忠告に来た。
    第一の幽霊、第二の幽霊、第三の幽霊と、過去、現在、未来の姿を見せられ、スクルージは困っている人を助ける人間へと改心する。

    翻訳がわかりにくい部分が所々あり。
    スクルージが改心するスピードがすごい。
    もっと丁寧に心の移り変わりが描写されていたら面白かったなぁと思う。
    スクルージも変わるタイミングが欲しかったのかな。

  • 【あらすじ】
    あふれんばかりの豊かな語彙で訳された不滅のクリスマス・ストーリー。
    守銭奴・スクルージはただの拝金主義者か? 国民的作家・ディケンズの作品のなかでもっともポピュラーな小説の主人公を訳者・池央耿が見事な訳筆で活写する。
    物語 守銭奴が聖夜に見たのは並はずれた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。

  • 【請求記号:933 デ】

  •  クリスマスの定番ともいえる作品。
     有名な作品なので、内容を知っている人も多いのではないだろうか。クリスマス・イブの夜に現れた仕事仲間だった友人の亡霊に言われたとおり、3人の幽霊に出会う。過去・現在・未来の幽霊に伴われて、自分がどのように他人に思われているかを目の当たりにする。
     自分が働き生きる意味、つまり存在する意味は他人への奉仕のためと言えるのかもしれない。自分が生きていることによって、誰かに影響を与えているのだから(受けてもいる)。それならば、よい影響を与えたい。そうすることで前を向いて生活できるのではないだろうか。
     こうした混迷の時代だからこそ、読んでおきたい作品。

  •  一年で一番のお祝いの時期といえば?
     日本ではやはり正月だと思います。では米国では?Thanksgivingとかありえますね。ではイギリスやフランスでは?
     西洋諸国であれば、やっぱりクリスマスだと思います。なんてったって、キリストの誕生日です。

     本作は、19世紀の英国で、あるクリスマスの前夜に超シブチンのスクルージが超常現象を通じ回心し、シブチンをやめイイ人になる、というお話です。
     私が書くと安っぽいあらすじですが本当にその通りなのです。で、イギリスの文豪ディケンズの作です、一応。

     ボリュームもなく半日以内に読める量ですし、内容については割愛します。読んだ方が早いです。ここでは本作を読んで気になった点について書き記したいと思います。

     まず思ったのは、英国庶民の貧しさ。
     以前ディケンズの『大いなる遺産』を読みました。そこでも思いましたが、イギリスという国は資本主義そして共産主義発祥の地でありますが、持つものと持たざる者との差が大きい国であるとの印象を受けました。
     本作中でも、主人公スクルージに雇われるクラチット氏は、安い俸給で雇われ生活は貧しい。その他の町の風景も概して暗い。こうした描写があり、つと民衆の苦しさや貧しさを感じずにはいられません。

     また、当時の富裕層(成金)のケチさも感じられます。スクルージは製造業ではなく所謂第三次産業っぽい職業(貿易商?)に見受けますのでいわゆる資本家ではないかもしれません。しかし、ディケンズが表したかったのは主人公に代表される金持ちのエートスなのかもしれません。もちろんそれは、言わずもがな、ドケチ・不寛容です。

     宗教改革が英国国教会の設立により中途半端に終わった感のある英国がこうした状況にとどまる一方、よりドラスティックなピューリタンやカルバン派が米国に渡り職に邁進し、米国文化として社会奉仕や慈善などのPhilanthropyが行き渡るのと好対照をなします。

     それと英語について。この村岡花子氏の訳は何と1952年のものらしいのですが、今から約70年前の訳であることを考慮すると相当こなれていて違和感のない訳だなあと妙に感心しました(あくまで70年前であることを想像して、です)。拙い譬えで申し訳ないのですが、昔の洋楽ロック、1980年代のMetallica(米)とか1970’のThin Lizzy(英)を今聞いても、お、結構いけてんじゃん、と感じた感覚です(すみません、お若い皆さんは感じませんね)

     あと、英語学習にも使えるかもしれません。Kindle版は数百円で頒布されていますし、厚さもないので原書通読をてみてはいいかがでしょうか(当方試していないのに無責任で申し訳ないですが笑)。私も時間と機会があればやってみたいと思います。

    ・・・

     まとめますと、読んでみて損はない作品だと思います。著者ディケンスがまずもって有名ですし、クリスマスも毎年きます。私が読んだきっかけも、とある会で友人が本作を引き合いにだしてスピーチをしていたのを目のあたりにしたからです。読んでなくて、スピーチの筋がちょっとわからず悔しくて笑 つまりそれだけ引用される機会が多いですし、スピーチのみならず、きっと他の文学作品の下敷きにされることも多いのではないかと想像します。

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著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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