クリスマス・カロル (新潮文庫 テ 3-5)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (137ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030080

感想・レビュー・書評

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  • せっかく劇をしたので原作も読んでみた。
    幽霊と見てまわるエピソードが思った以上に細かかったのは面白かった。
    ただ、私はいまだにスクルージさんがこんなにあっというまに回心したのがどうも腑に落ちてない。もともとそんな悪い人じゃなかったってことなのかな?

    (以下思考の痕跡)
    仮説としてスクルージさんがあんなに冷たい人間だったのは、自分の殻に閉じこもって周りを全然見てなかったから、とする

    幽霊たちは、スクルージさんに周りの世界を見せた。
    そのことによって、自分がしてきたことを客観的に見れるようになって、悔い改めた。

    のか?

    うーん。
    でもよく考えたら、私も過去とか、現在とか、未来とかを幽霊と一緒に見てまわったら、見たくない自分の光景とか気づきたくない過ちとかにいたたまれなくなって、悔い改めるかもしれないなぁ。

  • ●英
    訳がちょっと読みにくかったけど。

    確かに、クリスマスにちょっと触れたくなる、心温まる話。
    人に優しくしたくなる。

  •  クリスマスの定番ともいえる作品。
     有名な作品なので、内容を知っている人も多いのではないだろうか。クリスマス・イブの夜に現れた仕事仲間だった友人の亡霊に言われたとおり、3人の幽霊に出会う。過去・現在・未来の幽霊に伴われて、自分がどのように他人に思われているかを目の当たりにする。
     自分が働き生きる意味、つまり存在する意味は他人への奉仕のためと言えるのかもしれない。自分が生きていることによって、誰かに影響を与えているのだから(受けてもいる)。それならば、よい影響を与えたい。そうすることで前を向いて生活できるのではないだろうか。
     こうした混迷の時代だからこそ、読んでおきたい作品。

  •  一年で一番のお祝いの時期といえば?
     日本ではやはり正月だと思います。では米国では?Thanksgivingとかありえますね。ではイギリスやフランスでは?
     西洋諸国であれば、やっぱりクリスマスだと思います。なんてったって、キリストの誕生日です。

     本作は、19世紀の英国で、あるクリスマスの前夜に超シブチンのスクルージが超常現象を通じ回心し、シブチンをやめイイ人になる、というお話です。
     私が書くと安っぽいあらすじですが本当にその通りなのです。で、イギリスの文豪ディケンズの作です、一応。

     ボリュームもなく半日以内に読める量ですし、内容については割愛します。読んだ方が早いです。ここでは本作を読んで気になった点について書き記したいと思います。

     まず思ったのは、英国庶民の貧しさ。
     以前ディケンズの『大いなる遺産』を読みました。そこでも思いましたが、イギリスという国は資本主義そして共産主義発祥の地でありますが、持つものと持たざる者との差が大きい国であるとの印象を受けました。
     本作中でも、主人公スクルージに雇われるクラチット氏は、安い俸給で雇われ生活は貧しい。その他の町の風景も概して暗い。こうした描写があり、つと民衆の苦しさや貧しさを感じずにはいられません。

     また、当時の富裕層(成金)のケチさも感じられます。スクルージは製造業ではなく所謂第三次産業っぽい職業(貿易商?)に見受けますのでいわゆる資本家ではないかもしれません。しかし、ディケンズが表したかったのは主人公に代表される金持ちのエートスなのかもしれません。もちろんそれは、言わずもがな、ドケチ・不寛容です。

     宗教改革が英国国教会の設立により中途半端に終わった感のある英国がこうした状況にとどまる一方、よりドラスティックなピューリタンやカルバン派が米国に渡り職に邁進し、米国文化として社会奉仕や慈善などのPhilanthropyが行き渡るのと好対照をなします。

     それと英語について。この村岡花子氏の訳は何と1952年のものらしいのですが、今から約70年前の訳であることを考慮すると相当こなれていて違和感のない訳だなあと妙に感心しました(あくまで70年前であることを想像して、です)。拙い譬えで申し訳ないのですが、昔の洋楽ロック、1980年代のMetallica(米)とか1970’のThin Lizzy(英)を今聞いても、お、結構いけてんじゃん、と感じた感覚です(すみません、お若い皆さんは感じませんね)

     あと、英語学習にも使えるかもしれません。Kindle版は数百円で頒布されていますし、厚さもないので原書通読をてみてはいいかがでしょうか(当方試していないのに無責任で申し訳ないですが笑)。私も時間と機会があればやってみたいと思います。

    ・・・

     まとめますと、読んでみて損はない作品だと思います。著者ディケンスがまずもって有名ですし、クリスマスも毎年きます。私が読んだきっかけも、とある会で友人が本作を引き合いにだしてスピーチをしていたのを目のあたりにしたからです。読んでなくて、スピーチの筋がちょっとわからず悔しくて笑 つまりそれだけ引用される機会が多いですし、スピーチのみならず、きっと他の文学作品の下敷きにされることも多いのではないかと想像します。

  • 以前、童話で読んだことがあった。原作の方が、やはり細かく描かれており、童話では見えなかった景色が見えてきた。

  • 知らぬ人はいない、と言うほど、ケチで人嫌いと有名の老人。
    彼の元にクリスマスイブに訪れたのは、かつての相棒だった。

    徳を積む、という事がない老人に、昔の友人が
    本人という立派(?)な証拠付でこれからを考えさせるという
    ある意味ありがたいクリスマスプレゼントやも知れません。
    過去、現在、未来と見せられた老人の変わりようと
    これからの選択と。

    とはいえ、ここまで真逆に変わると
    驚きを通り越して、どうした?! と
    頬をつねりたい気分、でもあります。

  • ディケンズ「クリスマス・カロル」新潮文庫

    街にはイルミネーションが輝き、近所のスーパーでは松任谷由実の「恋人がサンタクロース」が流され、ホームセンターにはツリーやリースが並び、洋菓子屋ではケーキの予約注文を受け付けるなど、にわかに街が色めいてきました。

    クリスマスが今年もやって来る〜♪

    そんなクリスマスを馬鹿げていると一蹴するスクルージ。

    それなのに、ラストには思わず「どうした!どうした!スクルージ!」と言いたくなります笑

    なんとなく、こうしなさい、ああしなさい、という説教くささもあります。イエス様々な雰囲気ですね。

    32頁の鎖のくだりのところで、
    「Title of mine」/BUMP OF CHICKENの歌詞を思い出しました。

  • 何年かに1回、クリスマスシーズンになると読みたくなる。もう4度目かな。

  • 紅茶さんのレビュー
    http://booklog.jp/users/suimyaku/archives/1/4001145510
    を読んで再読したくなった.手元にあるのは1983年発行の50刷.訳注も解説もない版.

    あらすじだけみれば,読む気がしなくなるような話だが,読み始めるとそこはディケンズ,ぐいぐい読まされてしまう.そして,若い時に読んだよりもずっと心にしみるところがあった.私のような異教徒にとってこの本における善人には違和感を感じる部分はあるのは事実だが,一年に一度くらいお祝いの気分の中で互いに他人を思いやる気持ちになる日があってもいいのかなと思わせるものがある.(日本だとお正月かな.でもテレビがついてるとすべてが台無し).街が静まり返り,皆なが家族で過ごすヨーロッパのクリスマスを思い出した.

  • 感動しなかった私は、どうしたらいいんだろう。
    いいおじいさんになってよかった。

著者プロフィール

1800年代を代表するイギリスの小説家。おもに下層階級を主人公とし、弱者の視点で社会を諷刺した作品を発表した。新聞記者を務めながら小説を発表し、英国の国民作家とも評されている。『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』『大いなる遺産』などは、現在でも度々映画化されており、児童書の発行部数でも、複数の作品が世界的なランキングで上位にランクされている。

「2020年 『クリスマス・キャロル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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