二都物語 (新潮文庫)

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制作 : Charles J.H. Dickens  加賀山 卓朗 
  • 新潮社 (2014年5月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (666ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030141

二都物語 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • フランスの暴政を嫌ってイギリスへ亡命したフランズ人元貴族のチャールズ・ダーネイ。自暴自棄で放蕩無頼だが有能なイギリス人弁護士、シドニー・カートン。
    双子のように顔がよく似た2人が恋した相手は、フランス人のマネット医師の娘ルーシー。かつて、マネット医師は無実の罪で長年バスティーユに監禁されていた過去をもつ。折しもフランスでは革命が起きようとしていた。ロンドンとパリを舞台に彼らの運命はまわり始める長編小説。

    長いが一気に読んだ。人物たちの秘められた過去が明かされることによってつながる点と点。個々の伏線が最後に収斂するストーリーの巧さがあり全く飽きない。
    なにより市井の人々を描き出す巧さが読みどころ。道に散乱した樽ワインをすする貧しい人々の姿でフランス民衆の貧困の喘ぎを描き、街路を全力疾走する馬車にひき殺された子どもを見下ろす貴族の姿に傲慢なまなざしを描写するところも上手い。ダーネイの運命を左右するドファルジェ夫婦の秘められた過去が、革命前夜の静けさと革命後の群衆たちの血の飢えと復讐のなか浮き上がる構成も読み応えがある。ディケンズは文章で優れた視覚的表現をする作家らしく、本作が何度も映画化されている理由がよくわかる。
    共和国誕生後、旧体制への私怨を交えた陰謀と謀略によって、形だけの裁判が行われ、次々と死刑になる元貴族たち。革命という大暴動は海の向こうのダーネイやマネット父娘たちの運命にも忍び寄る。

    小説だけで歴史を語れないが、読み終えるとフランス革命に対するロマンに満ちたクリーンなイメージが変わってしまう。怨恨と復讐心は政治を変える起爆剤というが、綺麗事のみで歴史は進まないらしい。
    しかし、シドニー・カートンのかっこよさと云ったらない。「シドニー・カートン!」と読後に名を叫びたい衝動に駆れたのは私だけではあるまい。

  • 「負けるゲームはおれがします」って、シドニー・カートンかっこよすぎやしませんか。フランス革命前後の文学はいくつか読んだけれど、ディケンズの筆は凄味が違う。サンタントワーヌで貧しい市民たちが地面に流れたワインをすするシーンなんか、夢に出て来そう。侯爵の屋敷の石の顔や、不気味にひたすら編み物をして人の顔を記憶するドファルジュ夫人など、情景が目に浮かぶようでまるで映画を見ているような感じで読めた。後半はラ・ギヨティーヌが大活躍で民衆の狂乱が恐ろしく、この辺は映像で見たらトラウマになりそうなので遠慮したい。
    現代日本に住む私たちも当たり前のように自由、平等の恩恵を受けているけれど、それを手に入れるまでには日本でだってたくさんの血が流されたわけで。決してタダで手に入ったものではないのだと肝に命じておかなくてはなと思う。
    ディケンズ=王道で、最後はハッピーエンドになるのだろうとたかをくくって読んでいたらとんでもなかった。ディケンズにしては短めだし、なんて軽い気持ちで手に取る作品じゃなかった。内容はかなり重ためなのでこれから読む人は心の準備をしてから読んでください。

  • 1年以上かけて読了。感動。なぜもっと早く「ディケンズ体験」しておかなかったかと悔やんでいる。英国で人気なのがわかる。時間を見つけて読むというスタイルだったので、時には何ヶ月かたってページを開くこともあったが、どんなに時間が開いても読んだところまでのあらすじや光景が浮かんできた。不思議だったが、それが名作というものの持つ力なのだろうか。あまりにも興奮して感想を話した友人には、「そんな読書体験ができて羨ましい」と言われたほど。最後に向かっって渦巻きの中心に流れが向かうようにすべての人々が世代を経て結びついていく、素晴らしい構成。最後はこのような選択でよかったのかと悲しくもあるが、信仰、そして救済が背景にあるテーマだったかのように思う。フランス革命時をに英仏の時と国をまたいだ大河ドラマ。新潮新訳版は朗読できるかのような文章で読みやすく、登場人物たちがとても生々しく感じられた。挿絵がオリジナルのもので情景が浮かびやすいのも素晴らしい。

  • 新潮文庫では、佐々木直次郎訳→中野好夫訳→加賀山卓朗訳(本書)と、3つの版が出版されてきたが、本書は非常に丁寧な良訳で感動した。

    特にカートンの言葉づかいがすごく良い。彼の話す一言一言に、彼がどんな人間かがにじみ出ている。カートンの登場場面はいつでも胸がつまった。

    あとがきを読むと、原文の構成や解釈、過去に出版された邦訳の訳文など丹念に研究した様子がうかがえ、特に最終章の”歴史的現在”をきちんと生かした訳になっているのが素晴らしい。中野訳ではこの部分が破壊され、抑制した中ににじむ感情の高まりや物語全体の余韻を全く感じることができず、佐々木訳に比べて非常な物足りなさを感じていた。

    大好きな物語を素晴らしい訳で再び読めるほど嬉しいことはない。新訳刊行を心から喜びたい。(2016.2.24)

  • 物語に入り込むまで大変ですが、入り込んだ後は最後まで一気にいけました。伏線の張り方が上手で、この人物はここで、あそこで繋がっているんじゃないかという予想をするのがとても楽しかったです。
    この長い物語は「あの人物」のためにあったのだなと最後まで読むと分かります。でも、他の人物達も皆魅力的で誰視点で読んでも面白いです。個人的にローリー氏がいい味出していて好きです。

  • シドニー・カートン!!

  • 中学生の時だかにはじめて買った文庫本。旺文社文庫だった。表紙はほぼ同じで、こちらはカラーになっている。あまり面白かった記憶はなく、読み終えたかどうかも定かではない。
    今回、新訳ということもあり、懐かしくなって読んでみた。けっこう面白いじゃないですか!! なんとなく結末がわかっていても、思ってもみなかった伏線がつながってくる快感と、後半に向けて尻上がりに加速するスピード感が素晴らしい。ディケンズにしてはコンパクトなサイズも、話が広がりすぎずよい。名作。

  • ストーリー展開がバラバラで、何がどう繋がるのか不明なまま数百頁を読み進めるのは辛い。後半部分になって、個別の展開が全て繋がってくるとあとは一直線。

    新訳の日本文であっても、読みにくい箇所がしばしば出てくる。特に自然描写の箇所など。多分もともとディケンズの文章自体が、修飾語や関係代名詞が長々と使われていたり、主語と述語の関係もおやっ?と思わすところがあるのかもしれない。

    やはり一度は、言語で読んでみたい。

  • 「赤い帽子」がフランス革命時、共和主義者たちの自己主張・目印だったとは。やはり圧倒してくる小説。図書館本。81

  • シドニー!

    前知識なく読み始めてフランス革命が舞台と知る。
    ロンドンとフランスの。イギリス人とフランス人の。

    アガサ・クリスティの「バグダッドの秘密」からの。

    シドニーの言葉が優しい。

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二都物語 (新潮文庫)の作品紹介

フランスの暴政を嫌って渡英した亡命貴族のチャールズ・ダーネイ、人生に絶望した放蕩無頼の弁護士シドニー・カートン。二人の青年はともに、無実の罪で長年バスティーユに投獄されていたマネット医師の娘ルーシーに思いを寄せる。折りしも、パリでは革命の火が燃え上がろうとしていた。時代の荒波に翻弄される三人の運命やいかに? 壮大な歴史ロマン、永遠の名作を新訳で贈る。

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