幸福について―人生論 (新潮文庫)

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制作 : 橋本 文夫 
  • 新潮社 (1958年3月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102033012

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幸福について―人生論 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 職場や友人などの人間関係の悩ましさについて、あれやこれや愚痴っていたら、「これを読むといいよ。きっと今のお前に響くことがたくさん書いてあるから」と、父が私に差し出した本。。。差し出されて、即効で数ページ流し読みしてから、ぐいぐいと世界に引き込まれ、まるで、たった今の私のためにあるような本ではないかっ!と、うなづいたり、開眼したりしながら夢中で読んだ。初めて出会った、自分にしっくり来る哲学書。この本に響いた人たちとなら、本当の意味で親しくなれる気がする。

  • 哲学書を読む楽しみは、個人的に二つあります。

    ひとつは自分が何度か考えたことのある問題を、名のある哲学者たちも考えたことがあったのだと発見すること。

    もうひとつは自分がこれまで一度も考えたことがない問題を指摘され、世界の見方が一変するときです。

    本書は前者に当たります。

    幸福は「モノの所有」と「他者との関係」では規定できません。

    欲しいモノを手に入れたとしても、手に入れた途端、また新たに欲しいモノが出てきます。いて欲しい人と望ましい関係を築いても、また別の人との関係を望むようになります。

    しかも病気になってしまえば、欲しいモノや築きたい人間関係以前に、ただただ健康であることを望むようになります。

    モノの所有にしても人との関係にしても、常に相対化されてしまい、際限がありません。幸福であることの絶対的な条件を考えるとき、人やモノなど、自分の外部の状態によっては幸福を規定することはできず、外部がどんなに理想的な状態でも幸福であるとはいえません。

    ショーペンハウアーは、幸福を、享楽が大きいことではなく、苦痛がより少ない状態だと指摘します。苦痛を少なくするには、社交的であるよりも孤独である方がよく、才能に優れた人なら、孤独であっても退屈とは無縁で、自足することができると説いています。

    才能無き身ながら、共感することが非常に多い本でした。また、本書がよく売れているのも、社交に違和感を感じ、孤独を好む人が増えているからでしょうか。

  • 30歳を過ぎた頃に読むと、その後の人生が変わるかもしれない本だと思う。それ以前に読んでおくのも良いと思うが、それが本書に記されていることを行動として起こせるのだろうかと思ってしまう。30にもなれば、人生についてある程度の見解が開けてくる。その中で本書に出会うことで、さらに人生に幅を持たせ人間らしい人生を歩んでゆけるのではないかと思う。ただ著者に真似て言うならば、読んだからと言って変われるひとばかりではないと言うことだと思う。

  • 幸福は人間の一大迷妄である。蜃気楼である。だがそうは悟れるものでない。
    この悟れない人間を悟れないままに、幸福の夢を追わせつつ、救済しようというのである。
    人生はこの意味で、そのまま喜劇である。戯画である。ユーモアである。
    したがってこれを導く人生論も諷刺的、ユーモア的にならざるをえない。
    本書は厭世哲学者といわれる著者が、豊富な引用文と平明な表現で人生の意義を説き幸福を教える名随筆『処世術箴言』の全訳である。

    ショーペンハウエルと言うドイツの哲学者が書いた人生論。
    訳も良かったのだと思うけれど、面白い。
    1788-1860の生涯であったショーペンハウエルの書いてある内容が、
    今の現代でも大いに為になる内容が書かれている。
    時代が変わっても人間の本質や世界は変わっていないのかもしれない。
    騎士道の話についても、今の時代と全く関係のない内容なわけでは無い。

    幸福には二つの敵があり、その二つは苦痛と退屈だと言う。
    富裕層は退屈により幸福を阻まれ、
    貧民は苦痛により幸福を阻まれる。
    うんうんと頷ける内容が沢山ありました。

    人間の三つの根本規定と訓話と金言は読んで損は無いと思います。
    今後も再読をしたいと思う。

  • 「夢や希望を持ちなさい」と、孤独を退屈の象徴としてしか認識していない中身の空っぽな大人は言う。
    彼らは気付いていない。
    継続している幸福、殺し合いをしてまで人々が求めてやまなかった「第一の幸福」を、既にこの島国の人々が手にしていることに。

    彼らは虚ろな夢を世間にばら撒き、面倒な事に、社交性の中にも礼儀を要求する。
    彼らの脳ミソは、買収されている。植え付けられた欲望に振り回されている。

    それが、礼儀という虚飾に塗りたくられた世間の正体。
    とまどえる群衆が幅をきかせる社会。

    孤独の中に自由を見つけ、自分だけの誇りを持ち始めると、礼儀の馬鹿バカしさ、煩わしさ、誠意の無さに誰もが気付くだろう。


    だからこそ、下らない世間からは不死身になってしまおう。
    礼儀は所詮、玩具の金銭。
    倹約する必要は無い。惜しんだ所で、それは何とも交換出来ない。
    けれど、誇りを犠牲にしてまで礼儀を行う必要もまた無い。
    それは、玩具ではなく本物の金銭を差し出すのに等しい。


    求めるべきは、第二の幸福。「瞬間の幸福」。

    「健康」という言葉は使うときになんとなく気恥ずかしさを感じる。けれど、第一の幸福(継続する幸福)を実感するのには絶対に必要不可欠な要素で、また、孤独と正面から向き合う必要性を自らの内面に認める優れた個性を持つ人間は、自然と健康を管理する事の大切さに気付くだろうと思う。

    「人は死をもってして初めて、正確なモノサシを手に入れる」事が出来るのだから、例えば、1時間が長いのか短いのかは、その人の人生の長さと比較してみないと本当の意味では解らないはずだ。
    解らないことだらけの世の中なのだから、人間の一生とは怯えふるえて縮む程大事なモノではない。

    とやかくうるさい人々が何をわめこうとも、第二の幸福を捕まえる準備を、「礼を誇りと共に兼ね」ながら独り続けていこう。

  • 哲学者アルトゥール・ショーペンハウアーの1851年の随想集『筆のすさびと落穂拾い』に掲載された『処世術箴言』の全訳。
    1ページ目から、幸福な生活とは、生きていないよりは断然ましだと言えるような生活のこと、と言ってのける。夢も希望もあったものではない。厭世哲学者と言われる著者だけあり、人生の捉え方が全編通して皮肉に満ちていて、ひねくれ者の自分にとっては「よくぞ言ってくれた!」と同意してしまう箇所が頻発する名著だ。
    一部に、女性差別的な論調や騎士道と決闘についての考察など、今の時代に合わないものもあるが、それを割り引いても、自分にとっては、生き方を再確認するためのバイブル的な一冊である。

  • 格言の引用を多用し、皮肉を交えて処世術を考察する本。

  • 三ヶ月ぐらいかけてゆっくり堪能。徹底した厭世ぶり。人が幸福なのは不幸でない状態だとする彼の考え方は自分のそれと同じため、読んでいて気持ちよかったです。
    快楽や物質や名誉を得るよりも苦痛を回避するべき。それはこの本に書かれていることであり、自分が普段実践しちゃってることです。そのため筆者によれば自分は幸福なはずです。そうなのかな。ふむ。そうなのかもしれない。
    でもでも顧みれば自分が失ってしまったものはあまりにも多い気がします。幸せなぶぶもあればそうじゃない部分もありますね。幸せなんてやっぱり定義しにくいですね。
    なかなか興味深かったです。
    ショーペンハウアーの孤独は言い訳がましいな。

  •  休日の読書として、古典をとりあげた。

     ショーペンハウエル『幸福について』。まあ、人並みに幸福だとは思うが、小人物などで、つならないことに気をやむ傾向にあり。

     この本を読んで気に入った言葉。

    (1)青年期の立場からみると、人生は無限に長い未来である。老年期の立場からは、極めて短かった過去である。(p334)

    (2)不合理なことが民衆の間に、あるいは社会において語られ、著書に書かれて堂々ととりあげられ、すくなくとも論難の対象とはなっていないことがあるが、およそそういう不合理に接した場合、絶望的になって結局いつまでもこのままなのだろうと考えるのはよくない。そうではなく、問題はあとになってぼつぼつ再検討をうけ、正体を明らかにされ、熟考を加えられ、論究の的となり、大抵の場合結局正しい判断がくだされるのだから、問題のむつかしさに匹敵するだけの期間がたてば、かつて一人の明敏な頭脳が直ちに看破したところをついにはほとんどすべての人が理解するようになるのだということを知って、それで心を慰めるがよい。(p272)

    (3)「幸福に生きる」ということは、「あまり不幸でなく」すなわち我慢のなる程度に生きるという意味に解すべきものであることから、幸福論の教えが始まるのでなければならない。もとより、人生は本来、楽しむべきものではなく、克服し始末をつけるべきものなのである。(p184)

     いずれも奥が深い。なまじっかのやすっぽい幸福論とは違い、厳しいが、人生、その厳しさを克服し続けることが幸福だということで納得した。

  • 誰しも、他人の目を気にしながら生きてしまうものです。若ければなおのことではないでしょうか。ただ、他人の目を気にすることによる弊害はどんなことがあるのか、気にするにしても、自分のなかでぶれてはいけない部分はどこなのかを再認識させられました。
    ショーペンハウアーの言うとおり、幸福というものは自分のもの、生活というものは、自分自身のためのものなんですよね。

  • 内容がぎっしり。読み切るのに時間がかかった。
    人生について、人間について。考えを改めさせるような話。
    今でも読み返すと為になる。ずっと持っていたい作品。

  • 青空をかばんに入れて持ち運びたいというよこしまな理由から購入。読んでみたらショーペンハウアーのいやみな感じにはまる。

  • まだ全部読んでいないけど、幸せについて考えさせられる。苦痛と退屈・・・うんうん。

  • 痛いけれどもかつての青春のバイブル。

  • こう考えておけば人生すべてが良く見える。いい意味で。

  • 爆笑必至!!
    ショーペンハウエルの凡人向け論考!(らしい)
    つまらない悩みはこれで一蹴できるでしょう。

  • 終始上から目線、自己中心的な論述であり、何度か叫びながら投げ破りたくなった。
    特に哲学が、最も高級な幸福であると自分で言うのはいかがなものか。(他の立場を味わっていないのに)
    ただ、今後の人生に参考にしたい考え方も多分に含まれていた。
    名誉というものは、必ずその窮極の根底においては、道徳的性格が不変なものだという確信の上に基づくものであって、道徳的性格が不変であればこそ、ただ一回でも悪行があれば、その後それと似た状況に置かれた場合のすべての行為がやはり道徳的に見て同じ性質のものであろうという断定がつくのである。
    苦悩は積極的なものだが、幸福は消極的なものにすぎない
    自分でも自分のあり方よりもましだと思うようなあり方に見られたいと思っているからには、その意味で、気取りは自分が自分で自分にくだす永劫の罪の判決だからである
    人の一生はおびえ慄えて縮むほど大事なものではない。

  • 精神の貧困と空虚とから起きる『退屈』。そこを埋めようと招き入れてしまう『不幸』。 教養を積み、精神の「貧困」を解消する事が真の「富裕」 なによりも、健康に勝る幸福なし。“外部評価を得ようとする『虚栄心』ではなく、内発的な自分自身に対する評価を持つ『誇り』を。” 突き詰めると、『孤独へのススメ』と読めなくもない。。 読後から少し時間が経っても未消化の部分は多いが、心に留めようと貼った付箋の数もまた多い一冊。

  • 人生とは、幸福とは何かについて。学生時代のおすすめ本だったが気がするが、やっと読んだ。学生時代にはわからなかっただろう価値観かなあ。「他人の生涯に起こった痛快な出来事を羨む人は、そのことの重要性を認め得る才能を持っていると認識すべき」「主観と客観の両面で考えること。景色が美しくてもレンズが曇っていれば劣悪なものとなるし、その逆も然り」「ことさらに民族や文化を主張することは、個人の特性に欠けることを表しているようなものだ」

  • 人は不幸になったら急に過去の平凡な日々を憧れる…つまり、何事もなく終わった一日を幸せと思えるかどうか、これがこの本の要点だったと思います。
    視点を変えれば基本的に私たちは幸福な毎日を過ごしていたのですね。

  • スミスの本棚で本谷有希子が勧めていて
    興味を持って読んだ。
    ショーペンハウアーと言えば哲学者だが
    この本は非常に読みやすい。
    幸福に関する考察はとても的を得ているので
    目から鱗の箇所が多かった。
    彼自身について言えば晩年は幸福ではなかったので、後半は少し陰鬱な感じはあるが多くの事を学べる本。

  • 「一日一日が小さな一生なのだ・・・毎夜の臥床就寝が小さな死なのである」名言に満ちている上に非常にユーモアがあってニヤリと笑える。孤独で高潔な天才は幸いなるかな、凡人の本性はくらだらないといい切る先生の辛辣さが心地良い(笑)

  • 第15話(11月21日放送)に登場。カフェ・シャコンヌで涼太と話している時に真琴が読んでいたのがこの本。教え子・根岸の退学騒動が一段落して、生徒たち、父母、そして自分……それぞれの幸せに思いを馳せていたのかもしれません。

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