善悪の彼岸 (新潮文庫)

  • 300人登録
  • 3.39評価
    • (15)
    • (20)
    • (60)
    • (4)
    • (3)
  • 22レビュー
著者 : ニーチェ
制作 : 竹山 道雄 
  • 新潮社 (1954年5月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102035047

善悪の彼岸 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 2012年版。
    まるで唄うような文に潜む毒。ニーチェにとって考えるということは、こういう実践だったのだと思う。だが、この魅力が、ニーチェ語録なるものを生み出し、彼の与える毒を考えずに無条件にありがたがるという害悪を作り出してしまっている。
    考えるということは、決して抽象的で非現実的なものではない。考えるという自体が実践なのである。彼にとって、本能と理性という分断はない。あるのは、力への意思というものだ。そうせずにはいられない服従と同時に、誰にも泥まない、孤高の理性。それこそが、唯一の彼にとっての真実なのである。
    どこかにイデアと呼ばれるものがあるのではなく、この自分こそが、真実なのだ。彼がプラトンを毛嫌いするのは、彼が、イデアと呼ばれるものをことばにしてしまったからである。
    彼は、決してそれまでの哲学やなにやらをぶち壊そうとしてはない。彼の述べていること以上に当たり前のことはない。だが、彼のことばは、他の哲学者にはない響きがある。哲学とは、何か目先の興味を満たしたり、人受けしたりするようなものでは決してない。当たり前が当たり前であることに驚いてしまう、それを知ることによって、世界が、生きることが、変わってしまうことを伝えたいのだ。この流れるような歌こそ、彼が生きて伝える精神である。これこそが、彼の仮面である。その驚きを伝えるためにはどうしても、うそを言わねばならない。そのうそを真に受けて、高貴な孤高を取り違えて超人思想なるものに正当性を与えた彼には、大きな罪があると言える。仕方のないことではあるが。
    おそらく、発狂したというけれど、考えるということ書くという行為に賭けて、彼ほど冷めていたものはいないような気がする。鳴りやまぬツァラトゥストラの声に圧し潰されながらも、それがツァラトゥストラゆえに、自ら歌うよりほかないという苦しみを自らに課して、彼は書くことをやめなかった。それこそ、道徳なのである。どこかから与えられるものでは決してない。それは、従わざるを得ない、信じずにはいられない強い力で、自らに沸き起こってくるものなのである。その強い呼び声に従う時、ひとは善悪の彼岸へと至るのである。
    彼は自らの意志を信じ、善悪の彼岸に飛び込んだまま戻ることはなかった。だが、彼はそんな場所などどこにもないということに気づいていたのだろうか。善悪の彼岸が、力への意志が生まれ、そして還るのもまた、この自分自身であるということを彼は信じきれなかったのか。彼には、ツァラトゥストラの声を抱きしめることができなかったのか。
    巻末に、訳者による節ごとのまとめなるものが記されているが、これはニーチェ入門などには決してならない。難解にしてしまているのは、偏にに自分のせいだ。真にわからないということは、ことばにならないはずである。安易に二元論的だとか構成主義的だとかそんなのでまとめてしまっては、彼のことばはいつまでたっても決してわかることなどないだろう。

  • 文章は詩的で理論展開も読みやすく、他のニーチェに比べると読みやすさは群を抜いているかも。男の文法の中から抜け出られないのが哀れでもある。

  • 部屋の本棚整頓してたら色々面白く。

    「愛によりなされたことは、つねに善悪の彼岸に起る。」(153)
    「悲劇に対する感覚は、肉感に比例する」(155)
    「人は自分の認識を他人に伝えると、はやその認識を前ほどには愛しなくなる」(160)

  • (1968.09.11読了)( 1966.12.16購入)
    内容紹介
    「哲学者の偏見について」「自由なる精神」「宗教的なるもの」「箴言と間奏曲」「道徳の博物学」「われら学者たち」「われらの美徳」「民族と祖国」「高貴とは何ぞ?」および詩1編――以上によって著者は既成の道徳観念と19世紀後半のヨーロッパの精神状況を批判する。「世界は不条理であり、生命は自立した倫理を持つべきだ」と述べ“未来の哲学のための序曲"を奏でた晩年の代表的著作。

  • 善悪の彼岸=愛によりなされたこと
    ・生きるとは、自然とは別のように存在したいという意欲。・生きることは、評価し選択し、不正であり、限定されてあり、関心を持とうと欲すること。・物理学はただ世界の分析であり整理であり、世界の説明ではない。・自然法則は解釈である。・深い精神を持つ人の周りには仮面がある。・多数と一致したいというのは悪趣味。・自分が愛されていることを知りながら自分からは愛さないものはその魂の沈殿物を示してしまう。・勝手気ままと自然な状態は違う。自然な状態にこそ微妙に法則に従う。・ある学問の歴史を研究したものは、発展のなかに普遍的なものを見る。・われわれは体験の大部分を仮作する。・子供を生んでひとつの所有品を生んだと感じない親は一人もいない。・自分の観念と価値評価に服従せしむる権利が、おのれにあるかを疑う父親はいない。・時代の趣味が人を意志薄弱にする。・世界は不条理であり、生命は自立した倫理を持つべき。・真の文化の特徴は様式的統一性。

  • 様々な物事に触れておく前に、ニーチェの卓越した物事に対する考えておこうと読んでみました。
    さすがにムズカシイ。受験から離れて語句が抜けていたが、なんとか引き出しから人物名や語句を戻して読んでいた。
    それでも一度だけで理解するのは難しかった。

    また、いずれは読み直したい。そのときは別の訳者の本を読み、こちらのレビューも書きなおしたい。

  • 読書会で読むために購入。初めてのニーチェでした。

    正直一人で読んだだけでは、内容はさっぱりでした。

    大学で哲学なるものをまったく学んできていないうえに、これが書かれた時の時代背景もしらない。かなり苦労しました。

    それでも読書会にてさまざまな人の感想や意見、解釈の違い等々をきくうちに大分内容がわかってきました。

    今この時代になぜニーチェなのか。
    パラダイムシフトという言葉を手掛かりにニーチェに触れてみると、今まさにこの時代だからこそニーチェをよむ必要があると痛感しました。

    ただし、超訳してはいけない

  • ニーチェの中で群を抜いて読みやすい本!
    というかそれ以外が…という話は置いておいて。

    とてもグルグルと情熱的な言い回しですが、書いてある理屈は意外とわかりやすいかも?
    とにかく私の中で唯一読破できたニーチェの本です。

  • ドストエフスキーと同時期に読んだ。まあひねくれ文系人間なら一は通る道でせう。

  • 全く意味がわからなかった。
    自分の頭ではなくて、訳が悪いことにしてます。
    冒頭の数ページだけ読んだ感じ、哲学者はドグマの徒である限り、いくら真面目に考えたところで、それは哲学ではない。もしくは真理ではないという内容だと思う。いつか新訳版の【善悪の彼岸】を読んでみたい。

全22件中 1 - 10件を表示

ニーチェの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
安部 公房
ウィトゲンシュタ...
ヘルマン ヘッセ
ドストエフスキー
谷崎 潤一郎
三島 由紀夫
有効な右矢印 無効な右矢印

善悪の彼岸 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

ツイートする