緋文字 (新潮文庫)

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著者 : ホーソーン
制作 : 鈴木 重吉 
  • 新潮社 (1957年10月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102040010

緋文字 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 戒律の厳しい清教徒の町ボストンの牢獄前広場で、赤子を抱いた一人の女性がさらし台に立たされた。彼女の胸には一生外してはならない、“姦淫”を象徴する緋色の「A」の刺繍が施されていた。相手の男の名を詰問されるも、へスターは頑なにその名を明かそうとはしない。

    冒頭からその罪を詰問されるへスター。羞恥と孤独に耐えながらも、自身の信念に従って相手の名を伏せ赤子を抱く決死の姿勢はまさに母の強さであり神々しさすらあります。
    ストーリー自体はシンプルですが、多くを説明しない代わりに、各々の心理描写が丁寧に描かれています。贖罪を背負いつつ我が子に愛を注ぐことを選んだへスターを中心に、苦悩や復讐など、様々な感情が入り混じり読み応えがあります。
    物語の背景には十七世紀頃の宗教観が大きく影響していることから、歴史を知ればより深い読み方ができる作品かと思いました。

    『ガウンの胸には上等の赤い布に、金糸で手のこんだ刺繍と風変りな飾りをまわりにつけ、(中略)とても芸術的にできており、又豊かな目のさめるように華麗な幻想にあふれていたので…』(p15)
    『その文字は人々の想像の中で新しい数々の恐怖の形をとり、その緋の色は地獄の底の炎からとったように思えた。』(p33)
    緋文字の「A」は作中で様々な表情を見せ、読後もしばらく脳裏から離れません。
    悲劇ではあるけれど、明るい光が差し込んでいるようなラストに救われました。

  • 『最後に、侘しい荒涼とした小道を力なく青ざめて惨めに辿るこの哀れな巡礼にとって、自分が今罪の償いをしている辛い宿命に代わって人間的な愛情と同情が、真実の新生活がちらついて見えたことなどがそれだ。

    それから厳しく悲しい真理を言っておくなら、罪のために一度人間の魂の中についた裂け目は人間である限りは決して元通りにはならないのだ。』

    167年前の不倫小説。
    姦通罪で衣類に「A」の文字を一生縫い付けて生活するように命じられた女性とその罪の子の貧しい生活。相手である高名な牧師の罪の意識。身分を隠し復讐し続けることを誓った旦那の嫌がらせ。と、なかなかのどきどきするシチュエーションで、かなりの名作。

    『奪い愛、冬』、『あなたのことはそれほど』にも通じる猟奇的な側面があって面白い。167年前の作品なのに色褪せないもんだな。

    もちろん『緋文字』の文学的価値とゲスドラマを比べることなんて出来ないのはいわずもがなだけど。
    でも、『奪い愛』も『それほど』もドラマの中では秀逸なのもいわずもがなかな。

  • 「ガウンの胸には上等の赤い布に、金糸で手のこんだ刺繍と風変りな飾りをまわりにつけ、その上にAの文字が現れていた。とても芸術的にできたおり、又豊かな目のさめるように華麗な幻想にあふれていたので、身につけている衣服に一番よく似合う装飾品として全く効果的だった。」(p.15)

    獄舎から登場するへスターの緋文字が、あまりにそれだけきらびやかに描写されるので、許されない罪というものが、群衆たちからその人だけに、色と物語を与えるかけがえのない何か、(この言い方はやらしいけど)真珠みたいなもので、
    僕にとってはその矛盾性みたいなものが、冒頭いきなりだけど、この小説と距離を置かせた。
    牧師の罪との対比とか、悪魔みたいな医者とか、キャラクター設定に無駄がなかったのもすごいなと思ったけど、訳のせいか、テーマにしてはどことなく喜劇をみてるようなかんじがした。これはわざとなんだろうか。僕が日本人だからかな。罪をかかえて生きるひとびととか、悲劇以外のなんでもないはずなのに。でもそれが逆によかった。逆に。
    「暗い色の紋地に、赤い文字A」みたいに、この小説のミソは逆説だな、個人的には。

    ミストレス・ヒビンズが良い味出してる。個人的には。

  • (1969.11.01読了)(1969.06.01購入)
    内容紹介
    胸に緋文字の烙印をつけ私生児を抱いた女の毅然とした姿――十七世紀のボストンの町に、信仰と個人の自由を追究した心理小説の名作。

  • 私が高校生の時に出会い 衝撃を受けた作品
    ずっと心に残り 大学の卒業論文の研究作品に選んだ

    ホーソンは非常に難しい理解をするのに骨折れる作家だ
    その背景には アメリカンピューリタニズムの過渡期がある
    彼の内面にも その不安定さが色濃く反映されているのだ

    へスターを始め 登場人物1人1人の心の葛藤と 
    情景の描写に何気なく込められた 深い暗示
    それを理解するには ただ1度だけの読みでは到底無理であろう
    根気よく 一つ一つの文脈を理解したうえで この作品の素晴らしさに出会えるのだ

  • ずっと積んでました…読めてよかった。
    森っていうのがやっぱ特別な場所として描かれるのだなー、と。色んな意味合いを持たせやすいのでしょうね。
    へスターのひたむきさ。ハーディの『テス』に似ている??

  • 情景描写が長ったらしく、何を言ってるのかスッとはいってこない。。。時間がかかった。

  • 17世紀ボストンのピューリタン社会において、
    不倫の罪を糾弾された女性が、
    衣服に姦通を表す赤いAの字を縫いつけて纏わされ、
    周囲から非難を浴びて暮らす。
    それでも誇り高く毅然としているヒロインは立派だが、
    当事者の一方である女性だけが責められ、
    社会的制裁を受けねばならない点が甚だ疑問。
    時代背景の問題もあるのだろうし、
    終盤で、当の男性が謝罪の辞を述べもするので、
    一応、バランスが取れてはいるのだろうけれど、
    なんとなくスッキリしない。

  • 「芸は身を助く」身をもって示すへスター。

  • 最初は読みづらかったけど、後半になるにつれて、慣れたせいか比較的スムーズに読めました。
    私的にはパールが好き。
    パール視点での話も読んでみたいな~

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