フランダースの犬 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (164ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102054017

感想・レビュー・書評

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  • 子どものころアニメで見て、うろ覚えだったので原作を読んでみた。あまりの救われなさに泣けた。そして、想像以上に物語が短かった。

  • ある年令の人ならわかると思う。
    TVアニメマンガ「フランダースの犬」
    感動して泣きに泣いてしまった!という経験。

    マンガなのに、
    幼くてそう理解できると思われないのに、
    「かわいそうで、かわいそうでたまらない!」
    となんども言っていたうちの子ども達のことを思い出す。

    原作はさぞかしいいのだろう、
    ダイジェスト版のお話は知っているけれども、
    読んでみようと、去年のクリスマスシーズンの時に購入しておいた。

    果たして…、電車の中で読むのじゃなかった!
    ぽろ、ぽろ、ぽろ…グス、グス、グス。

    何がそうさせるのか?

    併録されている「ニュールンベルグのストーブ」
    と合わせて読むとわかってくる。

    貧乏、助け合い、動物への愛、芸術へのひたむきさ、
    老人と幼子の気持ちの通い合い、そして運命の酷薄さ。

    物語の外側は平明に優しく畳み掛けるように、
    内側には作者の求める贋物でない芸術を求める切なる願いが、
    書き込んである。

    ほんとうの芸術は
    「熱心さと敬虔な気持ちと誠実さと信念」
    に裏打ちされているという。

    「フランダースの犬」は成就せず、「ニュールンベルグのストーブ」は成るのだが、
    「フランダースの犬」に涙誘われるのはやはり、
    生きているうちには誰もわかってくれなかったということであろう。

    この作品の作者ウィーダ(1839~1908)も一時人気の絶頂を博したが、
    晩年は声価が落ち、窮乏のうちに生涯の幕を閉じたという。

    訳者村岡花子の解説によると、
    ロマンチシズムあふれた奔放な空想を走らす、魔術的な、怪奇なストーリーを書く傾向にあり、

    のみならず
    深い芸術的真実と、なみなみならぬ詩情をたたえた作品がすくなくない、らしい作家である。

    現代ならきっと持てはやされたのではないだろうか!
    その片鱗は「フランダース…」にも「ニュールンベルグ…」にもあるのである。

  • 言わずと知れた有名な小説「フランダースの犬 」である。物語の舞台はベルギー国アントワープとその近隣の寒村。ネロ少年と大型犬パトラシエの友情、そして不運が描かれる。なんとも哀しいお話である。
    ところで、ネロのお爺さんは「 わしらは貧乏人なのだ 」ということをたびたび口にする。このことが気に掛かった。なぜネロは貧しさを背負っているのだろう? ネロは牛乳配達のような仕事をして真面目に働いている。だけど、そもそも、そういう利潤の薄い生業を続けていることが貧困の原因では? と思うのであった。例えば、村を離れてアントワープの市街に出れば、工場労働者をはじめ賃労働もあったように思われる。まあ、それを言っては身も蓋も無いのだけれど。

    夕暮れどき、村から遠望するアントワープの街。教会の大伽藍と尖塔が望める。ヨーロッパらしい美しい風景を味わことが出来た。

    *****

    「 ニュールンベルグのストーブ 」という中編も所収。あまり知られていない作品だと思うのだが、これが意外と面白い小説なのであった。
    チロル地方の山岳部ハルという小さな町の貧しい一家、9歳のオーガスト少年の物語である。穏やかで、貧しいながらも平和な日常。寒くて凍える冬でも、居間にある陶製の大きなストーブのお陰で10人兄弟は明るく楽しい時間を過ごしている。このストーブは1532年製の銘が刻まれ、ニュールンベルグの名陶工ヒルシュフォーゲルの作品だという。不幸や悲劇が訪れはしまいか、とドキドキしながら読み進む進めた。
    このヒルシュフォーゲルのストーブ、ちょっとイメージがわかないがネットで検索するとそれらしい陶製の大型ストーブの画像が見れる。なるほど!と思わせる芸術品である。後述の“旅路”もそうだが、時々スマホで画像を調べたりしながら作品を味わうのも現代の読書の醍醐味であることよ。

    〈以下 若干 ネタばれ 〉
    そして心配した通りオーガストの一家に“不幸”が訪れる。甲斐性なしの親父が借金を返そうと“ヒルシュフォーゲルのストーブ”を売ってしまったのだ。
    少年オーガストは大好きなヒルシュフォーゲルとの別離に納得が行かず、なんとこのストーブの中に潜んでしまい、そのまま運び出されてしまうのだ!
    なんだか『人間椅子』を連想させる展開であり、先者はこの後どんな展開を仕掛けるくれるのか? という期待でグイグイ読み進む。しかも、道中が興味深い、貨物列車で運ばれてゆくのだが、チロル地方からバイエルン国へ、そしてミュンヘン至る。小説であまり読んだことの無い地方で、旅心が刺激された。

    ちなみに作者ウィーダは英国人女性。『フランダースの犬』も英文学なのだという。意外。

    ちなみに、翻訳は村岡花子さんなのであった。

  • 美しすぎる心では生き抜けないこの世の中に対して訴えかけるような作品ってイメージ。

    ネロがみっともなくてもなんとか生き延びようとしていたら死ぬこともなかったのにってやるせない気持ちになったけど、それができない誇り高いネロは天国でこそ幸せになるのかな。

  • 「フランダースの犬」は、昔見たアニメがよくできていた。犬種が違ってるようだ。純真な少年の悲話。「ニュールンベルクのストーブ」も少年物。初めて読んだ。こちらはハッピーエンド。2018.7.19

  • パトラッシュの健気さに感動。
    ストーリーは知らなかったが(ラストシーンだけはなんとなく知っていたが)ネロが思っていたより年齢が上だったので、なんとかならなかったのか・・・という気持ちが先だって純粋に感動できなかった。

  • 13/12/06 なつかしい話である。

  • 世界名作劇場でよく知られている「フランダースの犬」と、貧しい少年が売られたストーブを追いかけていく「ニュールンベルクのストーブ」の2本。


    「フランダースの犬」…驚いたのは、ネロが15歳であったことです。アニメではもっと幼いイメージだったので。
    15歳であるため、アロアへの気持ちが幼馴染としての好意ではなく、女の子に向ける好意に感じられました。
    「いつまでもぼくを愛しておくれ、そうしたらぼくはきっと偉くなってみせるから」
    ネロのアロアへの恋心が感じられて1番好きな場面です。
    画家として成功し、アロアを迎えに行く空想をしているネロを見ていると、ラストを知っているだけに、切なくなりました。

    「ニュールンベルクのストーブ」…ストーブの素晴らしさを語り、売られたストーブを9歳の男の子が追いかけていく部分は共感できる部分もなく、退屈に感じました。
    主人公のオーガスト少年も画家になることを夢見ていて、最後には夢へのチャンスを掴むことができたので、フランダースの犬のネロが生きていたら、こんな風に幸せになれたのかなとハッピーエンドな雰囲気を味わうことができました。

  • この作品の舞台であるベルギーのアントワープに行ったので。
    世界名作劇場でしか見たことがなかったんだけど、原作はやはり暗い。
    読んでいて、悲しいというよりは大人たちの心の貧しさに腹が立った。

  • 〈フランダースの犬〉
    貧乏な少年と犬の一生 ネロとパトラシエ アントワーヌ地方 ジェハン・ダースじいさん ルーベンスの絵画 コゼツの旦那 娘のアロア 
    〈ニュールンベルクのストーブ〉
    売られたストーブを追いかける少年の話 ヒルシュフォーゲルという名のストーブ ストーブが大好きな少年オーガスト 心配する姉のドロアテ

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