- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102057018
感想・レビュー・書評
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『笑い男』『愛らしき口もと目は緑』『テディ』は、なかなかおもしろかったです。しかし、この三編も含めて全体的に「何が言いたいんだろう」と思う作品ばかりで、わかりやすいエンタメ作品とは違います。
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サリンジャー独特の世界観。色々と考えさせられる9つの物語。ジム・ジャームッシュの映画、「コーヒー&シガレット」を思い出した。
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いかつい
うおおって声が出た最後の数行
2話目も、最後の数行で急にフォーカスされるというか、話が着陸する感じ。それまで読んだところの意味合いも違って見えるというか
3話目 対エスキモー戦争
現代文の教科書に載ってそうな。
私は結構好きだった。雰囲気が。
女の子同士の、自己主張していく過程でお互いに傷つけあって意地っ張りになっていく様子が身に覚えあったからかな。でもあの年代特有の?強さというか勇ましさというか。ちょっとの親近感とちょっとの懐かしさを覚えた私は今過渡期にいるのかもしれない。
4話目 笑い男
よくわからない。味わうという意味ではその世界に触れたかもしれないが、読み取れたことは決して多くはないのですぐ忘れてしまいそうな気がする。メタファーに富んだ笑い男の話だけでも充分読み応えがある(忘れられた巨人を思い出した)が、それが入れ子構造になっているのが不思議だし、難しさの所以か。
5話目 小舟のほとりで
すっごい。すっごいすき。これまでの流れで、こんなにほんわかした読後感を得るとは思ってなかったから拍子抜けしている。理不尽が織り込まれた社会の中に、こんなにも幸せな世界を作れるのは母と子の成せるわざか。それとも親は一般にこうなのだろうか。私はライオネルの目でも、バーバー?の目でもこのほとりの景色を見て、どちらでもすごく満たされたと感じた。また読み返したい。
6話目 エズミ
つらい
情景描写がすごい。読むのを中断している時私はカフェに座っていた
7話目 愛らしき口元眼は緑
おつかれってなる話
8話目 ド・ドーミエ・スミスの青の時代
ニヤニヤしながら読んじゃった。友達にはなりたくないけど文章で読むのは最高
9話目 テディ
テディ! 最高だ。フラニーとズーイ感。
描写や形容の美しさ溢れる船の世界から(舷窓という語彙は私にはなかった)、一息で思考へ。(ゆる言語学ラジオ、ソシュール回第3回にリンク)
最後にここまで濃い論がぶち込まれることに感嘆。
俳句も良かった。
・サリンジャーの、子供への目線は目を見張るものがある。どこで培われたんだろう -
「ライ麦畑で捕まえて」は旧訳と村上春樹訳の「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読んだ。「フラニー&ゾーイ」も読んだ。
正直、サリンジャーは好きではない。まあ、嫌いだ嫌いだと云ってばかりなのも何だかなと思い手にする。
バナナフィッシュにうってつけの日」は3回ほど読み、その他は積読になっていた。
何処か壊れた処を抱えた主人公たち。
「小舟のほとりで」ブーブー・タンネンバウムはドイツ人と結婚したということか?
グラース家の系譜と知れたけど、それに何の意味があるのか判らない。
「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」ふざけた話。この話に何かの現実感があるんだろうか。
「テディ」、語り口が嫌い。前半の父母とデティのやり取りが無駄に長く、ウンザリ。
天才少年に時間を過ごすというテーマは、グラース家の物語と共通している。 -
もう少し理解できたらこれはとても好きな本になっていた気がする…と思った
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それぞれ、愛と汚辱とを繊細に描いた9篇の短編集。
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全体的に、つながりがあるようで、ない。ないようである。といったつかみどころのない繊細な淡い映像を見せられているかのよう。
「笑い男」、「エズミに捧ぐ」、「愛らしき口もと眼は緑」が好きかな。「テディ」は霊的天才少年の話だが、言っていることが気に食わないので好きではないものの小説としては優秀だと思う。
ところで、「ド・ドーミエ=スミスの青の時代」に出てくる「ヨショト」は「吉本」とかなのだろうか。サリンジャーは禅の公案を扉文に付したり、芭蕉を引用するくらいには日本が好きなようである。当時流行ってたのだろうか。
もちろん、翻訳自体もうまいのだろうが、あとがきの野崎孝(訳者)の文章がめっぽううまい。
新潮文庫の裏表紙のあらすじが「ケッ作」と表記されてるのはなぜ。誤植か、わざとか。ちなみに64刷。 -
エズミに捧ぐが世界で一番好きな短編。
サリンジャーの描く人物は素敵な人ばかりなのにバナナフィッシュが有名すぎてブラックなイメージがついてて悲しい。シーモアは「大工よ···」を読んでれば実際はめちゃくちゃ最高の人間だってわかるのに···いや、いかれてるのは変わらないけども。 -
「バナナフィッシュにうってつけの日」が一番好きだと思った。そもそも「バナナフィッシュ」とは何かから、最後の結末まで終始意味深な展開が繰り広げていた辺り、読み応えを最も感じた章だと思った。
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スカイ・クロラに章間引用されているので、何か関連性が見えるかと再読。
前に読んだのは、たぶん30年近く前の学生時代。その頃は訳が分からなかったけど、今はかなり好きな感じだった。年は取るもんだ。
軽妙な会話が交わされる日常の中に、狂気と死が潜んでいる。
戦中ごろの作だけど、日本だと今の方が、時代の空気に合っているのでは。