アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)

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著者 : トルストイ
制作 : 木村 浩 
  • 新潮社 (1998年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (684ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102060032

アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 新潮文庫版は上・中・下の全3巻。
    アンナという女性の一生を描いた作品かと思っていたけれど、彼女を囲む全ての人物が主人公になりうるくらいそれぞれ個性があり心理描写が丁寧。登場人物たちの恋愛から見えてくる人間模様、葛藤、信仰、風習、さらには生きる目的までテーマは多岐に渡るものの冗長にならず没頭できる。
    真実の愛を貫いた先で待ち受けていたアンナとヴロンスキーに舞い込む悲劇。一時は失意の底まで落ちたリョーヴィンとキティの穏やかな家庭愛。対極のようで運命と決めつけるには安直、誰しもその心の傾き方でどう転がるか分からない危うさも秘めていたように感じた。

    「幸福な家庭はすべて似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである。」
    下巻まで読み終わった後、上巻の冒頭の一文に戻るとその言葉の重みが心にくるものがある。第三者としては耳にして愉快なのは後者。でもやっぱり自分も自分の周りも、特別なことがなくても前者でありたいと思う。
    また月日を置いて読み直したい。

    ~memo~
    上: 青年士官ヴロンスキーとアンナ・カレーニアの出会い。愛の無い夫婦生活に倦怠を感じていたアンナはヴロンスキーの熱い想いに強く惹かれていく。
    中: 世間体を重んじる冷徹な夫カレーニンの態度に苦しむアンナ、ヴロンスキーに想いを寄せるキチイ。そんなキチイに恋する地主貴族リョーヴィン。息子のセリョージャの誕生そして別離。
    下: 全てを投げ打ってヴロンスキーとの愛を貫くことにしたアンナ。ところが…。

  • 完成、完結の死であって欲しかった。これでは道徳的罰じゃないか。
    こんな魅力的的な女性を、こんなふうに逝かしてしまうなんて。
    もっともっと女王のようであって欲しかった。
    と、読むのは浅い?

    時代、国柄、トルストイが男性であること。それらが今の年齢の私に、納得できないものを与えるのか?

    これじゃ、こんなんしたら、バチ当たるよ。てお説教されてるみたい。

    だからって大きな声で肯定もできないんだけど。

    愛すべき、もう一人の主役であるリョービンの道徳性は好き。

    でも、愛し合ってるはずの二人の行き違いから起こる憎しみは、壮絶で深くて狂気で、その激しさは気持ちよかった。

    ただ、出会って、あっという間に、あんなふうに結ばれてしまうのは、当時のそこの社交界が、そういうことを一種ファッションと捉えていたからか。
    私としては、その過程こそ美しく丁寧に読ませてもらいたかった。

    私のアンナ・カレーニナ、いつか書きたい。
    源氏物語の六条御息所とともに。

  • 愛が高じて憎しみに変わる瞬間を初めて味わった相手が、ある夜私の首を絞めながら、こう言った。「お前は一度ちゃんと『アンナ・カレーニナ』を読んだ方がいい。」
    おそらく彼の期待に反して、私はこの名作が描き出す激しい愛や苦しみや人間模様にはさほど感化されなかった。そんな小説は山ほどあるし、激しさや騒々しさというものに少し疲れていたから。
    むしろ、死へ向かうアンナの内面の冷静さ・淡々とした描写が私の心に苦く染み入ってきた。
    本当に自殺してしまう人は、あれこれ騒いだり、葛藤したり、年月をかけてじっくり考えたりはしないのだろう。こうと思ったときにひとり静かに飛び込まなければ成し遂げられないことは、人生においてたくさんある。
    人は最終的には孤独で、静かで、寂しいものなのだ。小説を読んで、はっきりとものの考え方が変わった、そんな経験をしたのは、後にも先にもないことだった。

  • いかん、1か月半もかかった。しかも下巻は2日で読み終わった・・・。笑

    上中下巻で計約1600ページ。今まで読んだ本の中で一番ヘビーな本だったような気がする。

    色々なエッセンスが組み込まれていたので、箇条書きの体裁にします。

    ■概要
    ロシアの貴族、カレーニンの妻、アンナの不倫をメインとしながら、そのアンナを取り巻く人々の人間関係、思想、政治、宗教などに踏みこんだお話。

    ■恋愛について
    アンナは本当の恋愛を知らないまま夫と結婚し、子供を産むが、その後熱烈な愛を示してきた青年ヴロンスキーと恋に落ちる。
    紆余曲折ありながらもヴロンスキーと同居をするアンナであるが、本当の恋愛を知ったアンナは「恋の奴隷だ」と思った。
    常に恋愛のことを考えていて、どうやったらヴロンスキーの気を引けるのか、ということばかりを考えている。
    それがゆえにいじらしいところも見せてしまい、それと同時に俺からしたら「わがままだ」と思えるような様々なものへの欲求を見せる。
    このことが結局ヴロンスキーの情熱を冷ましていくことになる。そしてアンナはおかしくなって自殺する。

    本当に優雅な生活の中で、愛する男とともに暮らしていることに何の不満があるのか、俺には全く分からなかった。

    付き合っていくということはある程度自分も犠牲にしないといけない部分があるのに、困難な道を選んだアンナはあらゆる困難を「不幸」と呼び、嘆く。


    一方でヴロンスキーと結婚直前であったキチイは、リョーヴィンと結婚する。この2人はお互いのあらゆる部分を愛し、リョーヴィンなんて最初とまるで違う人間になってしまった。短気で冷血な部分があったのに、それがなくなって温かい人間になった。

    このコントラストが、非常に印象的。いうまでもなく、後者が理想だと思う。

    ここら辺を長々と、昼ドラ的に、描いているのがこの本の一つの大きな特徴だろう。



    ■思想について
    この本では、貴族が彼らの思想を議論するというシーンもよく出てくる。

    どのように国を治めていくのか、貴族はどうあるべきか、云々。

    1人1人のキャラクターがしっかりキャラづけされているだけに、この議論は面白い。高慢な考え方をする人がいかに多いものか。思想の面においては、俺は多くをコズヌイシェフに傾倒する。



    ■宗教について
    全8編からなるこの本のうち、第7編でアンナが死んでからの最後の第8編は宗教的なことに力点が置かれている。それはほとんどリョーヴィンの内面において行われるものなのだが、この結論が素敵だったなぁと思う。

    リョーヴィンの内面的充実は生活に根差したものであり、心の余裕もそれに基づくもの。最後にキリスト教徒以外の宗教を信仰する人への考察に至ったが、リョーヴィンはそれを放棄した。

    でもリョーヴィン、宗教の違いなんて、本質的にはないんだよ!って、伝えてあげたかった。



    ■文章について
    異様に登場人物の内面に踏み込んでいく文章は、衝撃だった。目まぐるしく変わる主語に内面。最初の方は完全に昼ドラを解説付きで見ている気分だった。

    だがそれも慣れてきて、登場人物の擦れ違いなどがリアルに描かれるための手法だと思うと、非常に心地よくて楽しかった!内面に踏み込んだ小説、面白いぞ!

    最後も内面で終わっていく!それも非常にすがすがしく!素晴らしかった!


    ■好きなキャラクター
    もちろんリョーヴィンです。彼の最初と最後の違い!
    妻を思いやる気持ち!
    時々見せる醜い内心!
    政治的センスのなさ!
    あさはかな考えと発言!
    最も人間的なキャラクターで、同情できて、愛嬌があった。彼の... 続きを読む

  • リョーヴィンは病気の癒えたキティと結婚し、領地の農村で新婚生活を始める。そして兄を看取ったことをきっかけに人生の意義に悩むようになる。
    帰国したアンナとヴロンスキーの二人は、不品行が知れ渡り社交界から締め出され、やむなくヴロンスキーの領地に居を定めることになる。離婚の話は、狂信的な知人のカレーニンへの入れ知恵や、一人息子を奪われるというアンナの恐れなどの事情でなかなか進まない。自らの境遇に不満なアンナと領地の経営に熱中するようになったヴロンスキーとは次第に気持ちがすれ違い始め、アンナはヴロンスキーの愛情が他の女性に移ったのではないかとまで疑うようになる。ついに絶望したアンナは列車に身を投げる。生きる目的を見失ったヴロンスキーは、私費を投じて義勇軍を編成し、トルコとの戦争(露土戦争)に赴く。
    一方、リョーヴィンは、キティとの間に子供をもうけ、領地で幸せな家庭を築き、人は他人や神のために生きるべきものだという思いに至る。
    (あらすじーーウィキペディアより抜粋)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    全巻で兄を看取ったリョーヴィン。苦しみもだえるうちに死んでいった兄の様子から死の意義、いきることの意義、人生について、思い悩むようになる。
    一方キティはご懐妊で元気な男児を授かり、めっきりお母さんらしくなります。子育てや親せき付き合い、友達付き合いを通してリョーヴィンも若かりし頃のとがった部分が丸くなっていく。世間的な雑事をこなすうちにすっかり父親らしくなっていくリョーヴィンがほほえましい。そうかと思えばキティと夫婦喧嘩してみたり、新婚さんは大変です。でも、お互いに深く愛し合い、信頼しあってるので、安心して読み進めることができました。
    途中、初めてリョーヴィンがアンナと接触するシーンなどもありました。
     この物語は、悲壮な道をたどり破滅へと堕ちてゆくアンナと、苦悩しながらも人生を模索しつつ幸せな道を進むリョーヴィンという、2人の人生を対比させることでより面白味と深みを増す作品だと思うのですが、この物語の主人公たる2人が、3巻目にしてやっと出会うのです!なんだかとっても意味深いことに感じちゃいますね。

    一方、アンナのほうは…退役してプー太郎になった小金持ちヴロンスキー(失礼w)と田舎に引っ込んで絵画だの乗馬だのして遊んでます。子育てはそんなに真面目にしてません…。贅沢な生活の中でアンナは、ヴロンスキーが時折つれてくる客の相手などしながら、なんともいえない無為の日々を暮らす。聡明で魅力的な女性とはいえ、世間から見れば不品行な、フシダラな女であることは間違いないので社交界に出ていけるわけでもなく(1回出て行ったが酷い侮辱を受けたため、それ以来、引きこもり状態だった)。
    そんな内縁の妻を家に放置し、ヴロンスキーは外で男友達と遊ぶようになる。彼の実母からは見合いまで薦められてしまう。自らへの愛を失ったと感じたアンナは絶望のあまり汽車に身をなげ、自殺する。
    アンナの死を知ったヴロンスキーもまた、「なんでだよぉ!おれなりに愛してたのにぃ…!泣」と云ったわけではないが(大嘘)、半ば自暴自棄になり、戦争に出征する。(その後は知らない。)

    ここにきて、不倫女ゆるすまじ!なトルストイ翁。勧善懲悪主義炸裂させてきました。
    でも、こうなるより他なかったのかな…?やっぱり姦通小説は悲劇で終わるのがシックリくるな、と思います。
    アンナが次第に精神崩壊させていく様子がつらかった。

    個人的には、リョーヴィンが死生観について煩悶するうちに、無神論者であった彼が、宗教に目覚める…というシーンが印象深かったです。トルストイはこのリョーヴィンという若者に自分を重ねているんだと思いますが、やはり神がいないと、人間というものは正しく(幸福に)... 続きを読む

  • アンナとリョーヴィンは貴族社会の常識と調和できないところで共通している。
    どちらも人生とは苦しみであると考え、それに〈死〉を結びつけたり、理性の欺瞞に気づいてしまうところも。

    そしてアンナは全てを消し去ってしまい、リョーヴィンは信仰を見出だす。
    何が違ったのだろうと考えると、死を選んだか生きて生活を続けたかということなのかな。

    あそこまで追い詰められたアンナはどうすればよかったんだろう。
    それがアンナに対する罰だとしたら不公平だなと感じる。
    救いと捉えられるところもあるのではないかと思った。

  • ようやく読み終えたというのが実感。アンナの特別な生き方にも登場人物の誰にも嫌悪感を抱かない。悲劇の最期にしたのは、道徳に反する結論なのか。2017.2.4

  • アンナ、禁断の愛の果てに自殺。。
    それに至るまでのヴロンスキーとの口論三昧で
    アンナは徐々に狂っていく。
    それにしてもこの女の魅力がよく分からない。
    産まれてきた赤ん坊をほとんど世話もしないし、
    リョーヴィンにまで色目を使う始末。

    最後のリョーヴィンの生活を綴った章は、
    トルストイ独特の農村哲学の色が濃くて難しい。
    でもこの哲学がなかったら、この本の格はもっと下だったと思う。

    平易でありながら奥深くて、崇高でありながら身近にも思える。
    さすがは世界屈指の作家の作品だ。

  • アンナ・カレーニナ。これほど繰り返し読みたいと思ったことのある本は他になかったし、これから先も、よし現れたとしても片手の指で数えられるくらいだろう。こういう本は、言葉を尽くそうとすればするほど、説明に嵌まり込み、魅力から遠ざかる。

    人が人を裁けない。この本のテーマの一つはこれだと思うし、トルストイが生涯を貫いて書きたかったことも、多分これだ。

    不倫したアンナが鉄道で自殺をし、まっすぐなリョーヴィンが幸せな農村生活を送る。そんな単純な信賞必罰のために、大文豪が 2,000 ページも割くとは到底考えられないし、そうだとしても、せめて「リョーヴィン」と題したであろう。

    もちろん、リョーヴィンの純粋で不器用な性格や、それがもっとも強く現れたキチイへの告白も大好きだ。けれども、アンナは死んだ後もトルストイの愛情を受け続け、物語の最後までどこかには必ずいる。平易な言葉でたたみかけるトルストイの筆致には、ふと帰りたく思わせる故郷のような暖かさがある。

    人生の節目を迎えるごとに、6 度目 7 度目と、読むことになるだろう。

  • 夫婦について、親子について、信仰について。リョービンを通して著者の考えが表現されていると感じました。

    巻末の解説を読むと、なるほどそうだったんだ、となりました。

    本書が時間や国を越えて広く愛され、満足を与えている理由は、我々の生活や人生に対して皆が納得いく答えがあるのでは無く、著名な作家が褒めているからでもなく、人生に対して本質をつく質問が網羅無くわかりやすく問われているから。

    考える機会は本書に触れた読者に与えられている。

    物語としては、上中下巻のボリュームに対してあっという間に最後まで引き込まれる面白さがありますが、悲しいラストが個人的に少し残念。

  • アンナとヴロンスキーは、結局幸せはつかめなかったが、まぁ話の内容は恋する乙女の永遠に普遍なるモヤモヤが下記連ねられるという、些か飽きてきてしまう内容。
    そして、「アンナ・カレーニナ」という題名からはびっくりするくらい最後はアンナにふれられることなく、リョーヴインの宗教観の変化で終わるというサプライズ。
    時代背景の違いはあるが、なかなか理解しづらい内容だった。

  • 『アンナ・カレーニナ』を今年の2月くらいから断続的に読み始めて、やっと読了しました。
    読んだ感想は、よくわからないというのが正直なところです。多くのテーマが一つの小説の中で語られるような構成で、長いというのもあって、なかなか進みませんでした。

  • アンナの愛が強烈!
    ブロンズキーに嫌われても、重荷に感じられても、その一挙一動が近くで見られればいい。それはまさしく愛っていうんだろう。でも愛には、愛する相手がいる。その相手がどう思うか。相手の感情なんて知ることはできないので、想像する。嫌われたくないから、ネガティヴに想像する。喜怒哀楽激しく想像する。愛って理性から解放するという意味でえげつない感情だって思う。そもそも他人を愛せよというのは不合理だから、理性が発見するわけがないものだし。

    ということで、文学ってこういうものなんだなって。愛、死、仲間、家族、夫婦、政治、哲学、階級、宗教等、様々詰め込んだ考えさせられる素敵な作品だと思う。

    リョービンに感情移入しちゃう!

  • やー、長い。昼メロといった印象だなあ。アンナは鬱になって自殺しちゃって、かわいそうに。その後、話がまだ続くので何が書かれてるんだろうと思ったが、驚くほどアンナのことには触れずに、ほぼリョーヴィンの信仰心についての話だったというのも、なんというか、ロシア的な感じでした。

  • 主人公であるアンナよりも、彼女たち対照として描かれるリョーヴィンという人物に対して、興味と共感を覚えた。農村的生活と都会的生活の間で揺れ、同時に生の儚さに対して絶望を抱きながらも最終的に農村での生活、まさに「生活」の中に生の喜びを見出し、宗教との折り合いもつける彼の思索の辿る道筋が、個人的に納得できるものだった。日本人にの感覚に近いと言ってもいいかもしれない。このように、彼らのそれぞれの生き方、立場に共感したりそれを理解しようとしたりできなかったりするところにこの小説の深い味わいがあるのだと思う。

  • わたしも自分はあの子を愛していると思って、我ながら自分の優しさに感動したりもしたわ。
    でもあの子と別れて暮らして、あの子とほかの愛情とを取り替えてしまった。
    その愛情に満足していた間は、取り替えたことを悔やみもしなかったじゃないの。

  • ※読んだのは藤沼貴訳の講談社文庫版。

    ついに読了。しかしアンナが絶望の後に轢死してからが長かった。

    いったいトルストイは何を伝えたかったのか。不倫の後に恋人ウロンスキーにも疎まれるようになったアンナには、登場した頃の華やかさも聡明さも人望もなく、ただ哀れな執着心のみの女に堕してしまう。あれほどアンナを愛したウロンスキーも徐々にその衝動的な愛情は失われていき、アンナを重荷に感じるようになる。そんな通り一遍な不倫の顛末を描きたかったのだろうか。

    有名な序文「幸福な家庭はみなおたがいに似かよっており、不幸な家庭はそれぞれの家庭なりに不幸である。」は、物語全体に通底する原則を示したものだったのか、それとも単にこの後のオブロンスキーの家庭の一時的な不和のことを指していただけなのか。

    終章ではレービンとキティの家庭〜それは農村を経営する貴族としての平凡な家庭と思われる〜の描写がなされる。レービンは悩み、思索した末に、平凡な結論に達する。

    宗教にも、家庭にも、完全な解決は望めない。自分自身も不完全で非力であり、世の中をすべて理解する事はできない。だが、それでも日々幸福に生きることはできるだろう。

    それが結論だとすればそれでもいい。けれども、どうも主人公であるアンナの生き方が、あまりにも魅力に欠ける気がするのは僕の読みが浅いのかもしれない。

    いつか読み返してみたらまた印象が変わるのだろうか。

  • アンナを見てると、こんなに嫉妬強い人がいるんだろうか。
    と思ってしまう。
    兄のオブロンスキーはかなり違うキャラのように思う。
    七編が最も迫力あった。

  • 心が引き裂かれる激情を生き、そして死んだアンナの生き様に心を震わせながら読んだ。アンナとキティは、美醜と可憐さとそれぞれに魅力を持っていて、どちらも天性な魅力だと知り羨ましかった。ロシアの風土を感じながら、日本の大河ドラマをイメージしながら読んだ。

  • 2013年11月読了。凄かった。トルストイが5年かけた作品。
    恋愛も親子愛も、名誉欲も虚栄心も、上流社交界の虚偽と欺瞞も、男女差別も階級間差別も、政治的闘争も、死生観も宗教も哲学も、全部余すことなく詰まっている。
    理屈で説明し切れない感情が凄まじく奔流して圧倒される。これぞ文学!
    100年も前から人は、変わってない。アンナの満たされない自意識は、読んでて苦しかった。
    最後はリョーヴィンが、神であれ何であれ、大きなものに生かされていることに気付いた。

  • この小説に書かれている思想には共感するものもあるし、感心することも多くあるのだけど、登場人物達の感情が右往左往し過ぎている気がする。頭の悪い俺は結局意味がよくわからないまま読み進めてしまった。
    アンナの美しさやキチイの純粋さに感動したのも束の間、数ページ後にはただの醜い女に成り下がってしまっていたり、絶縁を予感させるような口論が始まったかと思いきや数行後にはすっかり仲直りしていたりする。
    そして幾度と無く繰り返される男達の小難しい議論には一体なんの意味があるんだ。恋愛小説という前提で読み始めたせいか、どうしても無駄に本を厚くしているように感じてしまう。
    他の方のレビューを読んで「ああなるほど!」と思う所が多々ある。俺にはこの小説は難解すぎました。

  • 不朽の名作。
    文学の面白味に溢れている。
    激しい恋愛から破滅へと至るアンナとヴロンスキーに対し、
    リョーヴィンとキチイの素朴ながら幸福な生活が対比的に描かれている。

  • 長い長い、小説でした。
    「アンナ・カレーニナ」というタイトルですが、感覚値ではアンナ35%、リョーヴィン35%、オブロンスキーとドリイ7%、その他挿話、のような構成です。

    見事だったのは、一貫して描かれるアンナとリョーヴィンの対照性です。アンナは愛によって壊し壊されていく。リョーヴィンは愛から学び生み出していく。7章でアンナの衝動に突き動かされた独白によって物語は急進的に結末に向かいますが、その後の8章でのリョーヴィンの思索で物語が締めくくられます。トルストイの思想、ここに表れり。

    物語の構成という点では、布石の置き方も感嘆ものです。8章でリョーヴィンは「善」を悟りますが、その前に妻キチイが「善」を体現していたり、アンナとヴロンスキーの出会いの場面に重要な鍵がうめこまれていたり。やられたー、となんども天を仰ぎました。

    小さなエピソードですが、コズヌイシェフとワーレンカの仄かな恋の場面(下巻冒頭)は、その繊細さと脆さの描写がとてつもなく美しくて、もうクラクラしました。

    長くて長くて、中巻あたりで青息吐息になりましたが、7〜8章で目が覚めました。沢山の人が織りなす世間というものを、鮮明で緻密に表した大傑作です。

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アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)の作品紹介

社交界も、家庭も、愛しい息子も、みずからの心の平安さえもなげうって、ヴロンスキーのもとへ走ったアンナ。しかし、嫉妬と罪の意識とに耐えられず、矜り高いアンナはついに過激な行動に打って出るが…。ひとりの女性の誠実、率直な愛が破局に向ってゆく過程をたどり、新しい宗教意識による新社会建設の理想を展開して、『戦争と平和』と両翼をなす、文豪トルストイ不滅の名作。

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