戦争と平和〈4〉 (新潮文庫)

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著者 : トルストイ
制作 : 工藤 精一郎 
  • 新潮社 (2006年2月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (657ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102060162

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戦争と平和〈4〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 幸福な読書だったなぁ、と思う。

    3巻から作者トルストイの「語り」が多くなり、うーん?と思う部分もしばしばあり、もっと正直に言えば辟易する部分もなきにしもあらずだった。しかし、それでも、私はもうこの物語を読み終えてしまった。

    『戦争と平和』というタイトルの通り、トルストイが描きたかったのは、おそらく「人間の意思」だったのではないかと思う(個人としても、「われわれ」としても)。しかし、この最終巻である4巻を読んで特に感じたのは、トルストイは人間の「仕組み」や「歴史」を描くよりも断然、人間の「魂」を、感情と性格を描く方がまばゆいばかりの光を放つということだ。
    彼の人間を描く筆、それもたくさんの、実にさまざまな人間を描き分け、しかもその一人一人を生き生きと立ち上げ思考し活動する筆は、本当に圧巻というほかない。

    そして「人間の魂」という点でもう一つ思ったのは、トルストイにとって結婚とは、そして家庭の幸福とは、相当に大きなテーマだったのだな、ということだ。
    アンナ・カレーニナの有名な冒頭(「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」 望月哲男・訳)からして、彼がいかにこの問題にずっと取り組み続け、また生涯においてこれに悩み続けたかがうかがわれる。

    彼はその晩年、妻との不和に苦しみ、そして家出をする。そして、世界的に名を知られる文豪であり、「あと100年生きてください」と言われるような作家であったにも関わらず、家出の末に寒村の小駅で死去する。

    これは馬鹿げたことだけれど、もし、私がトルストイと友人だったとしたら、私は彼に、あなたは素晴らしい、あなたは素晴らしいものを書く、けれど、あなたは考えすぎだ、と言うかもしれない。
    本当に馬鹿げた、滑稽な話だけれど。……

  • 最終巻第四巻は戦争の記述が多い。
    後半1/4は物語を終結させトルストイが論じる戦争、歴史、民俗、人間と神のあり方などで締められる。

    ※以下登場人物の生死などネタバレしておりますのでご了承ください。※


     【ベズウーホフ伯爵家】
     ❖ピエール(ピョートル・キリーロヴィチ・ベズウーホフ伯爵):
     三巻ラストでモスクワでの破壊工作とナポレオン暗殺計画を疑われてフランス軍捕虜に。
    過酷な捕虜生活。他の捕囚者との交流と身近な死。
    捕虜体験はピエールをどう変えたのか。

    解放されたピエールは、アンドレイ公爵の妹マリヤと、ナターシャ・ロストワと再会する。

    改めてナターシャへの愛の喜びに浸るピエール。

    そして新たな生活へ。

     ❖エレン
     三巻で「ここまでやればむしろ天晴れ」な不道徳行為を示したので、このあとどうなるのかかえって楽しみだったんだが、あっさりと…。
    私も児童文学で読んだり映画で観たりはしているから彼女がどうなるかは知っていたけれど、こんなにあっけなかったっけ。

    【ボルコンスキィ公爵家】
     ❖アンドレイ・ニコラーエヴィチ・ボルコンスキィ公爵:
     三巻で瀕死の重傷を負ったアンドレイは、妹マリヤとかつての婚約者ナターシャの看病の下にあった。
    アンドレイはまだ生きていたが、世界はアンドレイがすでに死んだかのように進む。そしてアンドレイ本人も自分自身をすでに死んだもの認識している。

    そして訪れるその時。

    ピエールとアンドレイはトルストイの分身らしい。
    アンドレイに対しては、冷たさを示す一方、純粋な愛や瀕死の床で辿りついた境地、神や自分が関わった人への感謝、しかしそれでも消えないすべてに対しての冷淡さ…の描写が実に美しい。

    全くの余談ですが、「こち亀」の中川はアンドレイ公爵がお気に入りらしい(笑)

     ❖マリヤ・ニコラーエヴナ・ボルコンスカヤ:
    父の死後、公爵家として片付ける問題をこなしていくマリヤ。
    今までは横暴な父、神経質な兄、兄の子の養育、そして自身が不美人のため、内面も環境も控えめな女でいたマリヤだが、案外女主としての才覚を持っている様子。
    モスクワからフランス軍は撤退したが、ロシア人たちによる混乱と略奪が起きていたが、公爵家の財産と屋敷は多少の破壊は受けたがそれなりの財産は残っていた。

    破産したニコライと再会、結婚。
    それまで周りに振り回され一歩引いていた彼女だけど安定した家庭で自分の存在を築いているようで安心した。

     ❖ニコーレンカ(ニコライ・アンドレーヴィチ・ボルコンスキイ…のはず)
     アンドレイ公爵と、亡き妻リーザの遺児。将来のボルコンスキイ公爵ですね。
    養育権者のマリヤ結婚後はニコライと彼らの子供たちと同居。
    父親似た性質と外見に、記憶にない父がピエールやナターシャ、マリヤとの交流を夢想する。
    ピエールの事は尊敬し、ニコライに対しては敬愛するが軽蔑も交る。
    ニコライもこの義理の甥は苦手としている。
    世代が変わってもアンドレイタイプとニコライタイプは相性が合わないのね。(^。^;)

    「戦争と平和」の登場人物たちの最終場面は、ニコーレンカの「亡き父がぼくを誇りに思うようになろう」という決意で終わる。あとはトルストイの論文。

     【ロストフ伯爵家】
     ❖ニコライ・イリーイチ・ロストフ伯爵:
     最初はフランス兵により、撤退後はロシア人により蹂躙されたモスクワで、ロストフ伯爵家は破産する。
    ボルコンスキイ公爵令嬢マリヤと結婚したニコライは、領土を見直し家を建て直す。

    本人は軍人になりたがっていたけれど、着実な田舎領主で良き家庭人でいることがニコライの本分か。
    ちょいと甘いお坊ちゃん的な本質は抜けな... 続きを読む

  • 作者は作品の中で、歴史を動かすのはナポレオンやアレクサンドルといった1人の英雄や君主ではなく、民族の総意であるとしつこいまでに繰り返しています。またそれは偶然の産物ではなく1人1人の行動や時間の流れに作用されて必然的に起こったものであるとも。当時のロシアの歴史を作ったのは、皇帝から一市民まで、老人から赤ん坊にいたるまでのロシア民族全てであり、それを伝えるためにこそこの壮大な物語が存在するのです。

  • 長かった…。全登場人物が収まるところに収まった、という感じ。

    個人的には主人公たちよりナポレオンの記述部分が
    面白かったです。

    最後はエピローグという名前の論文。しっかり読めてないので
    またじっくり読みたいです。しかし、こういう本を現代の作家が
    出したらクレームの嵐だろうなーと想像しました。小説の最後数十ページが論文ですから。

  • 長かったこの大作もいよいよ最終巻。
    実は読み始めるまで、この本はタイトルの通り戦争と平和についての小難しい論が書かれているのだと思っていた。
    それがふたを開けると、戦争を含めた歴史のあらゆる流れの中で、迷い考えながら生きる人々を描き出したまぎれもない「小説」だとわかって印象が変わった。

    最初は主人公がいなくて読みにくい小説だなと思ったけれど、アンドレイ公爵にピエール、ニコライ、ナターシャ、公爵令嬢マリヤ、その他作中で生き生きと動いている人々それぞれがそれぞれの人生を生きている。
    こんなにもたくさんの人々の人生を書き分けるトルストイの頭の中はどうなっていたのだろうと、その中をのぞいてみたい気がする。

    この巻で誕生する二組のカップルは子供たちも生まれて、めでたしめでたしという感じで終わるが、この子供や孫たちの時代にも戦争は待っているのだと思うと、最後のエピローグで歴史について長々と語るトルストイの気持ちもわからなくもない。
    でも最後は疲れて文章が頭の中に入ってこなくなったので、少々口惜しさが残る読書となった。

  • 「これはトルストイの壮大な実験だ。 」

    ナポレオン軍がモスクワから西を目指して敗走して行く中、戦時を生き抜いた本編の登場人物たちの新たな生活が始まった。ある者はこの世を去り、またある者は伴侶を得て…。

     トルストイ先生が精魂込めて書き上げた大作もいよいよクライマックスーと読み始めたものの、ロシアの対ナポレオン戦記に乗せて描かれる、物語の中心人物と思っていた人々の人生がこの最終巻に来て何やら一気に早送りされたように感じられたのはなぜだろう。

     思えば同じトルストイの「復活」「アンナ・カレーニナ」はもっとどっぷりと人が描かれていたように思う。「戦争と平和」の人物たちに同じようなドラマを期待して読んでいくとこの長さにしては物足りなさを感じるのだ。

     しかし、エピローグで滔々と語られるトルストイの歴史観と格闘し、この大作の訳者の解説まで読み終えて、それこそがトルストイの試みだったのではないかと思う。即ち歴史とは一人の英雄など特定の人間によって作られるものではない。表には出て来ずともそこに無数の人々の存在がありそれらの人々の意志がなんらかに作用して動いていくはずだと。

     一兵卒から皇帝まで総勢559人もの人間を描き分けることによって、トルストイはここに自身の考える歴史というものを実証して見せたのではないか。

     そう考えると、自分がドラマを期待して読んだナターシャやアンドレイ、ピエール、そしてニコライ、彼らとてそうした一時代の歴史の中で作用しあるいは作用された無数の人々の一人に過ぎない。物語の主役などではないのだ。

  • 第4巻の本編は約630p。それでも前の3巻より100p少ない、と自分を励ます。それでもさすがに読み疲れしてくる。気力を振り絞って読み進めた。

     ボロジノで重い戦傷を負ったアンドレイは、ナターシャと姉マリヤに看取られる。一方、仏軍の捕虜となったピエール。モスクワ郊外の処刑場に連行され、他のロシア人らが銃殺されるのを目の当たりにし自分も死を覚悟する。が難を逃れる。その後、厳冬のなか、敗走する仏軍に引き連れられてゆく。これらの過酷な体験、そして、捕虜の一人カラターエフとの出会いがピエールの内面、人生観を変えてゆく。プラトン・カラターエフは、農夫出身の素朴な男だが、言わば“無思想の哲人”。ピエールは彼の飾らない言動に深い感銘を受ける。
     
     この仏軍の厳冬下の敗走は、極めて悲惨なものだったらしく、60万とも言われるフランス軍はほぼ壊滅してしまったという。だが、トルストイの描写は少々淡白であった。その悲惨な様相をもっとこってり味わいたかったので少し残念。また、聞き慣れない地名が多いため、地理的なイメージを抱きにくい。スモ-レンスク街道、カルーガ街道、タルチーノ陣地での戦闘、モスクワからニーメン河への撤退…。等と、多くの地名、地域が記述される。また、それを前提にロシア軍の「側面行軍」の状況が説明される。googleマップを参照しつつ読み進めたがそれでも、土地の位置関係はほとんどよくわからず。どのように行軍しての側面移動だったのか、図が浮かばかなった。
     フランス軍は、モスクワで約5週間を過ごし。10月初旬に西へ撤退開始。その後、一時60万に及んだ大軍は、敗走のなかでまるで融解するようにほぼ壊滅してしまったという。いったいなぜ?という疑問は読後の今もまだ残る。その歴史的なディテールは興味深い。他の歴史関連書で探ってみたい。

     ドーロホフとデニ-ソフら士官は、パルチザン小部隊を率いて森の中を進み、敗走する仏軍を追尾。仏軍へのゲリラ襲撃を行う場面がある。敵軍の規模人数を探るため、ドーロホフはペーチャ(ロストフ家、ナターシャの弟)を伴い、仏軍の軍服で変装して敵の野営地に潜入。敵兵と同じ焚き火を囲みながら、仏語で話して敵情を聞き出すのだが、ドキドキものである。当時のロシア貴族のフランス語能力がかなりのレベルだったことが伺える。
    だが、その翌朝のパルチザン攻撃でペーチャは戦死。まだ少年のようだったペーチャの死は、哀れであった。
     そして、エピローグの章へ。よぅやく到達。1812年から7年を経ている。ピエールとナターシャは結婚。ニコライと公爵令嬢マリヤも結婚。それぞれ家庭を築き、幸せに暮らしている様子が描かれる。ここに至り、ピエールは穏やかな人柄の好人物になっている。常に他者を愛すゆえに、逆に周囲から必ず好感を抱かれる愛すべき人物へと、成長しているのだった。
     ちなみに、ピエールは、新たな政治活動を始めたことが触れられる。ペテルブルグへ長期出張して政治結社発足を画策した様子。ロシアの次の時代への胎動、激動の予感を伺わせた。
     二つのカップルの結婚。その前に別の章で、ピエールの妻エレンの突然の病死がさらりと伝えられていて、アレ?と戸惑った記憶がある。終盤での大団円を描くための、力ずくのストーリーテリング?という感も。

     さて、エピローグの章にはさらに第2部が続く。これは言わば“トルストイの歴史学講義”で、生硬で退屈な内容である。しかも70頁以上の分量。全4巻の大分量を読み進めて、へとへとになっている読者には、一種ダメ押しの嫌がらせのように、読む気力を阻喪させる。
    割り切り出来るヒトは、このエピローグ章の2部は飛ばして読了しても構わないと思う。

  • もしも、自分が出版社の編集者で、レフ・トルストイさんが、「戦争と平和」を持ち込んできたら。

    読んだ上できっと、ひとつだけダメだしをすると思うんです。

    「大変面白いんですが、全体に時折、あなたの歴史観、歴史考察の部分がありますね。特に、第四巻に多いです。この部分は、思い切って全部カットしましょう。それでも全く物語としての面白さは損なわれません」

    で、もし抵抗されたら。

    「では、少なくとも、第四巻のラスト、物語が終わってから文庫版で80ページもある論文みたいな部分だけでも、全カットしましょう」

    と強く訴えると思います。

    「どうしてもこだわるのなら、それは別の本として出しませんか?あるいは、小説としては含まず、巻末に、あとがきとして入れましょう」

    #

    読み終えての第一印象は、ほんと、ラストの論文部分が蛇足でした...(笑)。
    それに尽きます。

    第1巻から、時折、そういうトルストイさんの地の文というか、論考めいた部分はあったんです。
    ただ、そんなに長くなかったし、はじめはその主張に「へえ~」という発見もあったから、許せました。

    しかし、第4巻に入ると、それが徐々に長く苦しくなってくる。
    それに、内容的には、同じようなことがループします。

    「歴史学者の考えるような、理路整然とした物語は実際の歴史ではない」
    「一人の権力者の意思が末端まで支配した、とデジタルに考えるのは安易だ」
    「歴史というのはもっと無数の人の細かい意志や偶然が左右している」

    みたいなことが延々と語られるのです。

    正直に言って「またか」とも思ってきてしまうし、歴史の要因という考え方については、確かに一理あるし、小説家的な感性だなあ、と思います。
    けれど、どこかもやっとした、スッキリしない、批判に終始する気持ち悪さがありますし、マルクス学のような歴史の見方とか、経済や産業と言った、ある種の必然の要因はスッパリ触れられていないのも、なんだか消化不良...。

    #

    と、まずはチョット貶めてしまいましたが。

    全四巻通して、もう、素晴らしい面白い小説でした。

    ムツカシイ主題やテーマや歴史とは何かみたいなことは、実はどうでも良いんです(笑)。
    それは、小説として面白かった上に、トッピングみたいなものですから。
    (そういうムツカシイ思考が、小説としての面白さを支えている、とも言えるのですが、それは結果論。だって、何が支えていようと、面白くなかったらそれまでですからね。読む側としては)

    つまりは、1805年に恐らく15歳~25歳くらいだった男女数人の、およそ20年に渡る物語。

    恋愛があって(なんだかんだ言っても、恋愛、という要素が無かったら、この小説は骨抜きになります)。
    両想い、片思い、横恋慕、すれ違い、心変わり、一目ぼれ、強烈な出会い、裏切り、後悔、結婚、不信、エトセトラエトセトラ...
    これだけでも、およそ現今のあらゆる恋愛物語を数百倍上回る、えげつなさと格調を見せつけます。

    そこに、親子の葛藤、兄弟の確執、金の執着、出世の欲望、世間体のこだわり。
    さらに、ナポレオンやアレクサンドル1世という人物を配した英雄歴史小説の醍醐味があり。
    その上で、戦争、戦場のリアルな混乱や恐怖、躁状態の生々しい小説体験。

    そして、恐ろしい数の脇役たちが皆、ぎらぎらと人間臭い...。

    #

    第四巻を読み終えて。
    主要登場人物が、ピエール、アンドレイ、ニコライ(以上男性)、ナターシャ、マリア(以上女性)。
    まあ、だいたい5人います。
    なんだかんだ、最終的にはその5人に感情移入して読ませるんです。

    そして、5人とも、あわや死ぬのではないか。死ななくても、み... 続きを読む

  • エピローグは、小説ではない。
    全体としては面白く読めた。

  • ナポレオンのロシア遠征、モスクワの破棄、ボロジノ会戦など歴史の出来事が分かりやすく書かれてる。しかし、それよりも当時のロシアの文化、生活が興味深い。個人的に血のかよった文化、生活はあまり想像ができなかったけど(寒いからという偏見、馴染みがないというのもあるかな)、豊かで人間味あふれる登場人物からガラッと当時のロシアのイメージが変わりました

  • カバーより:ナポレオンの大軍は、ロシアの大地を潰走してゆく。全編を通してトルストイは、歴史を作る物は一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活にほかならないという歴史観を明らかにしてゆく.また、アレクサンドル一世から一従卒まで、全登場人物559人のすべてを、個性豊かに生き生きと描き出すことによって構成される本書は、世界文学の最高峰と呼ぶにふさわしいであろう。

  • ナターシャとアンドレイ公爵がどうなるのかと思って、公爵の死で悲しいまま終わると見せて最後にピエールとの結婚が待っていたなんて。ナターシャは恋多き女性であったということなのでしょうか。

  • 「『<これは偉大である!>』と歴史家たちは言う、すると、もはや善も悪もなく、『偉大なもの』と『偉大でないもの』があるだけである。」

    ついに読み終わりました。戦争と平和。
    第四巻では、ナポレオンが敗走する様と、フランスがそれを追撃する様が描かれています。歴史を創るのは一人の英雄ではなく、大衆であるという考えが、しみじみと伝わってきました。ナポレオン、クトゥーゾフ、どちらの命令も浸透せずに、各人が各人の思うがままに行動する様子こそ、「大衆の動き」であると感じました。ピエールがとてもよいキャラです。

    最後の、トルストイによる歴史学批判、自由については難しかったです。

  • 幸福というものは、幸福それ自体の中に。自然な人間的欲求を満足させることの中にあるのだ。そして全ての不幸は、不足ではなく過剰から生じるのだ、、、 

  • 偉人が歴史を作るのではなく、自由に動いていると思っている大多数の人間が、歴史の流れに実は組み込まれているもの、という意見がとにかく繰り返されている。まあ戦争終わったしピエールとナターシャ結婚したしマリイとニコライも結婚して幸せならよかったね。

  • ロシア帝国の華やかな社交界における様々な人間模様、人間関係、ひとりひとりの感情の微細な変化をこと細かく描かれているトルストイのその文才には感嘆した。

    なによりも、国家とはまさしく幻想の共同体にすぎないことを思い知らされた。一個体としての人間の集合体で支えられている組織は、時としては皇帝の一声でダイアモンドよりも強固になることもあれば、逆に泡のように脆くなることさえある。国家は結局は人間によって支えられている。

    個人的にはアンドレイ・ボルコンスキイの心情の変化は興味深かった。

  • 長い、とにかく長い。
    別に登場人物のかけあいや心理描写は長くてくどくて結構なのですが
    エピローグの二部の所が死ぬほど長く感じました。っていうかくどい・・・
    回りくどい説明口調で更に読みにくい。トルストイ自身の考えを述べているのでしょうけど、殆ど頭に入りませんでした。
    要約すると10ページくらいでまとまるのでは?
    読後感がそこで全てそぎ落とされた感じです・・・ちょっと切ない。
    それでもこの作品はすごかった。最初から最後も良い意味でも悪い意味でも。

    今は同じ作者のアンナカレーニナを読んでいますが、そっちの方が断然読みやすいです。私自身が歴史にあまり興味が無いというのもありますが・・・

    こんなに登場人物が多い小説もそうそうないと思います。とにかく名前と関係を覚えるのに苦労しました。

  • モスクワ、ロシアなどを舞台とした作品です。

  • アンドレイが名誉の死を遂げ、ペーチャが戦死し、私にとっての第四巻はほぼ終わりです。なんど読んでもそんな感じなので、トルストイへの反発のほうが私にはつよいのかもしれません。

    愛読書ではあるものの、トルストイが作中にえらそうにでてくると、ほとんど相手にしません。愚かな歴史の決定論など、拝聴するだけ時間の無駄です。それよりも、作中に登場する人物たちの会話や所作に、自分を沁みこませていきましょう。

    どの人物が好きで、どんな会話が記憶にのこり、どんな景色が印象的なのか。そんな風に読んで、そんなことを語りあうほうが、愉しい読書となるはずです。(トルストイは歴史の先生ではありません…)

  • 第4編は主にトルストイの思想が吐露されている件である。歴史をつくるのはひとりの英雄ではなく、幾百万の民衆の生活に他ならないという歴史観を顕わにしてゆく。

  • ナポレオンの大軍は、ロシアの大地を潰走してゆく。全編を通してトルストイは、歴史を作るものは一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活に他ならないという歴史観を明らかにしてゆく。

    今回初めて最初から最後まで通読してみて感じたのは、トルストイの作品は本当に難しいということだ。
    特に本作は登場人物も多く、それぞれの人物の相関関係を覚えるだけでも大変だったが、彼らが織りなす人間模様や、トルストイの圧倒的な構成力、文章力に舌を巻かざるを得なかった。
    紛れもなく、本作は「世界最高峰の文学」という名を冠するに等しい作品であると思う。

  • マリアが結婚できたのは嬉しいんだが…ソーニャが…。

  • 2009.11.30古本100円購入

  • 終わり方はよかったけど、エピローグを読むのに手間取った。この部分がトルストイの言いたいところなのだろうが、難しかった。

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戦争と平和〈4〉 (新潮文庫)の作品紹介

ナポレオンの大軍は、ロシアの大地を潰走してゆく。全編を通してトルストイは、歴史を作るものは一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活にほかならないという歴史観を明らかにしてゆく。また、アレクサンドル一世から一従卒まで、全登場人物559人のすべてを、個性ゆたかに生き生きと描き出すことによって構成される本書は、世界文学の最高峰とよぶにふさわしいであろう。

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