- Amazon.co.jp ・本 (116ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102062012
感想・レビュー・書評
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「チップス先生」はフランス二月革命に端を発した一連のヨーロッパの動乱でウィーン体制が崩壊した1848年に生まれ、普仏戦争で帝国主義時代が本格的に始まる1870年前後に教師として中堅のパブリックスクールに赴任し、第一次大戦前年の1913年に退職、世界恐慌とファシズムが席巻する1933年(ナチス独裁成立の年)に死亡している。これは明らかに計算されていて、彼の生涯はそのまま「大英帝国」の盛衰に重なり、その「小英国主義」的な立ち位置(ボーア戦争のような露骨な帝国主義戦争には批判的)を含め、「古き良き」時代への愛惜に貫かれているが、単なる懐古趣味に堕してはいないのが本作の価値を高めている。緊密で文章に無駄がなく、それでいて詩情に事欠かないのも時代を超えて本作が愛される要因だろう。
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チップス先生の人生は、ブルックフィールド中学の歴史そのものである。
そんなチップス先生の回顧録風小説。
教育者としての考え。
聡明でかわいい、包容力のある妻との出会いとつらい別れ。
戦争がもたらす悲劇。
学校歴史の生き字引としての象徴的出来事。
この小説、短いながらも・・オーむ・・人生が詰まってておもいしろい。 -
ぼくも恩師がいます。会いたいな。
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有名な本ですよね。何となくタイトルだけは知っていて、読んだことが無かったので借りて読んでみました。
古き良きイギリス、と言ったところでしょうか。
このお話はイギリスを肌で感じ取れる人が読んだらもっと面白いんだろうなあなんて思いながら読みました。
それにしても。流石イギリス。あまりおいしそうなものを食べてないなあなんてくだらないことを考えながら読み終わりました。そして独特のウィットも。こんな幼少時から触れていることで一種独特のユーモアのセンスと言うのは生まれるのでしょうか。 -
度引退した教師が、戦中の人手不足で再度学校に招かれ、臨時の校長となる。彼の愛されっぷりが読んでいてほほえましく、映画も見てみたいなあと思いました。
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イギリスの理想主義が敗北していく中で自らも夢破れていく(ただし悔いはない)様子を一個人が静かに語るスタイルをとった小説で、かなり気に入った。このイギリス文学の流れは現代では例えばカズオ・イシグロの作品などにも見いだせる。
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奥付は昭和61年4月。本書購入のきっかけは、記憶の霞の中にあるのだが、教科書か試験問題にその一部が引用されていて気になったものと思われる。そして、通読してもどこが引用されたか思い出せない(汗)19世紀末から20世紀初頭にかけてのパブリックスクールの様子から、ハリーポッターの映像が浮かんできた。20代のチップス先生が、ブルックフィールド校で己の能力の限界を認識し、10年の歳月を経て程々に巧く、出世はせずとも安定した教鞭をとる生活に満足する姿……なんだか自分を見ているような気がして切なくもあった。
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ずっと前に映画をみて、淡々と暖かい雰囲氣がとても好きだったので、読んでみました。
この当時からすでに、すぐに役立つ知識を重視し、教養がおざなりにされつつあったことに驚く。でも、「すぐに役立つ訳ではない」知識を大事にするチップス先生が多くの子供達に慕われてるというのが救いで、そういう人間味を育むのが教養なんだよなあ、と感じました。
チップス先生がスーパーマンではないところがとてもいい。
日本語訳の言葉が古めかしいのもまた味わい深いです。 -
村上春樹翻訳の「フラニーとズーイ」を
BBの本屋さんで見掛けて、
んんん~?と思ったけれど、
「…、いや、確か、出てすぐ買った筈…」と
家に帰って本棚を見たらやっぱりあった!
それで手に取ってパラパラ見ていたら
後ろの本の紹介のところに載っていた
「チップス先生さようなら」が急遽読みたくなり…
あるはず、と本棚を探したけれど、
どうしても無い!
そう言えば
「ずっと持っているけれど全然読んでいない…」と
思って何かしたような記憶が甦ってきた!
そして、こうなるといつもの
「居ても立っても居られない」状態になり、
図書館で古い方の翻訳を取り寄せつつ、
(書庫でねんねしていました)
それを読んでからでも…と思ったけれど、
次の日BBの本屋さんに残業後かけつけ、
新訳をやっぱり買った!(ふぃ~やれやれ、一安心)
まず、あっという間に菊池重三郎さん翻訳の方を
読み終わった。
そしてその感想は
「何故私は、こんなに面白く、
またイギリス文学の
大事なポイントと言うかキーと言うかが
つまりにつまっているこの作品を
うかうかと読まずに過ごしてきたのか?」
と言う恥ずかしい気持ちで胸がいっぱいに…
普段
「へ~だ、あの本読んでないくせに
偉そうなこと言ってら!」
とか何とか、
誰かの事を心の中ジト目で睨みつけるような真似しているから、
余計辛いわ!
やっぱりしたことは自分に返ってくるのね、
もう、この振る舞い、やめよ!
家族もおらず、年老いてひとり天国へ行く、なんて、
なんだか可哀想、と周りの人が言いたくなる気持ちも
わかるけれど、
実際は、そうじゃないんだ!
明るくて聡明なチップス先生の奥さん、
慈善学校との交流試合のところ、良かったな。 -
2017.1.3読了。
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なんというか、小説というより時代を検証するための資料みたいな雰囲気。ともかく驚くほどに薄っぺらいので、まぁ読み切るにはちゃちゃっ、って感じだけども、やはりここは日本人ではなくイギリス人ならもう少しばかり共感を覚えるところもあったのではないかとも思うし、自分がもう少し年を取っていたら、チップス先生に共感できるところもあったかもしれんし、でもまぁ全て仮定なんであって、結局のところ、ほっぱえー、とただ読んだみたいになってしまった。
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老境を迎えたチップス先生は、惜しまれつつ学校を去ったが、その篤実でユーモアあふれる性格は愛され親しまれ続けてきた。学校を去った後も学校のそばに起居し、生徒たちを見守り続けてきた。
あまりにも長く学校に居た為、誰もが独り身を貫き続けて来たと思っていたが、30年程前には愛する妻もいたのであった。妻も学校と生徒を愛し、いつまでも幸せがつづくと思っていたのだが・・・。
しかし暖炉の前で思い出される学校生活は楽しい事ばかり、腕白だが礼儀正しい少年たちとの日々は彼の心を温め続けるのだった・・・。
この本はとっても良い本だ!読んでいるうちに笑顔になって心がホカホカします。文章が古いから読みにくい?英国の習俗が分からないので分かった方が楽しめる?そうでしょうそうでしょう。それは否定しませんが、過去の素晴らしい音楽を聞くのに音質や機材の古さをあげつらうのはナンセンスなのと同じです。
チップス先生は平凡だけれども、実際にここまで出来たら非凡だろうと思う位愛されていてうらやましい限りです。 -
英国史などよく分かっていればもっと楽しめていたかも。
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保守的で頑固、それでいて機知に富んだ、いかにも英国人気質の老教師チップス先生の回顧録。
チップス先生がブルックフィールド学校に就任する1870年から永遠の眠りに就く1933年までのできごとが、時系列や相互の関連性などにとらわれず、自由に語られる。地味な物語ではあるが、必要とし必要とされるチップス先生の生涯は崇高。
英国史と絡めて語られる部分があるため、それらの知識があればより楽しめたかもしれない。 -
地味だけど、素晴らしい人生を送りましたね~
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22歳でブルックフィールド校に赴任してきたチッピング。ブルックフィールドは決して一流ではなく、また、チッピングも凡庸な教師でしかなかった。だからこそ、彼はそこに根を下ろした。
いつしかチッピングは“チップス”とあだ名され、以後、60余年にわたりたくさんの教え子たちを迎え、巣立たせ、幾度かの戦争で失った。生徒たちとの愉快な日々と亡き妻の思い出は、霧深い夕暮れの炉辺の炎に揺れる陽炎のように遠く温かい――。
ユーモアと愛情に満ちた老教師“チップス先生”の一生を描く英国文学。「子供がなくて気の毒だ」という言葉に、「私にはあるんだよ…何千も…何千もね…それが皆、男の子ばかりでね」と返す先生の言葉に涙腺崩壊。 -
物静かなおじいさん先生の話。ひと時、キャサリンという奥さんがいて、彼女と幸せに暮らしていたという回想が好き。「おじいさん」がその齢になるまでの、人生全体があることを知ることは、生きて行く上でとても大事なこと。
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小路幸也【モーニング】で茜が読んでた好きだった人にもらったほん。
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ずっとひとつの学校を愛し続けたチップス先生のお話。
教師という仕事は誰でもできるものではない
だからこそ「自分らしさ」を追求し、目線を生徒に落として指導しなきゃいけね。
素敵な教師になるためにまだまだ努力しなきゃ。 -
喪失感を抱えて普通に暮らすことがいかに難しいか。
せつない。 -
(1982.01.23読了)(1979.11.18購入)
内容紹介
霧深い夕暮れ、暖炉の前に坐ったチップス先生の胸に去来するのはブルックフィールド中学での六十余年にわたる楽しい思い出……。 -
一言一言がチップス先生の宝物のような本。
楽しかったことや幸せだったことや、つらかったことや悲しかったことが、すべて、輝いたまま遠ざかって行くような、しまってあった写真が思い出を残したまま古ぼけて行くような、そんな雰囲気がある。 -
所謂名作とされる海外小説です、原文を読まないとその良さは十分わからないのかもしれません。
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幸福な人の話を読むと嬉しくなる。
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10代の頃に読んでいたのを再読。
保守的なごく普通の教師の生き様なのですが、
奥様との思い出だけが、常に一点、光を灯しているんですよね。 -
あーむ。っていう口癖いいね。人を育てるっていいな。
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亡くなった祖父を思い出させてくれました。 秋の夜長に、温かいコーヒーを飲みながらじっくり読みたい、穏やかな気分にさせてくれる小説でした。 お気に入りはこの文章。 (人との思い出に関して)"喜怒哀楽の感情もその最後の痕跡が人間の記憶から消えてしまえば、それ以上何の意味があろう。(中略)素直に、そしてそれらが長い眠りに入らないうちは、心にとめて大事にしなければならない。"