チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)

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著者 : D.H.ロレンス
制作 : David Herbert Richards Lawrence  伊藤 整  伊藤 礼 
  • 新潮社 (1996年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (575ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102070123

チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • コニーは裕福な貴族クリフォード・チャタレイのもとに嫁いだ矢先、夫はすぐに戦場に赴き負傷し下半身不随となってしまう。若いコニーは心も体も満たされず心苦しい日々を過ごしていた。ある日、森番のメラーズと出会い男女の一線を越えてしまうが、コニーは女として本当の悦びを知り逢瀬を重ねていく。

    20世紀最高の性愛文学と言われ、発禁処分や検閲から数十年を経て再版された完全版です。
    女としての経験を経て、はじめて「女として生まれた」と噛みしめているコニーの発散された想いは悦びと愛情に溢れています。メラーズもまた、心から愛した女性との行為に悦びを爆発させています。夫を持つコニーの行動は決して賞賛されるものではありませんが、絶望の淵にいたコニーとメラーズがぽっかりと空いた互いの穴を埋めるように惹かれ合い、体も心も満たされていく描写はただただ綺麗です。
    性描写が注目されがちで、言ってしまえば不倫関係です。しかし激情的なものではなく、傷を抱えた二人が求め見つけた、癒しにも似た真実の愛は温かみすら感じます。そこから派生する人間模様や心情描写、背景にある社会階級問題など、純粋に文学的な作品として上質なものを読んだという印象でした。

  • 読んだのは別の全集だけど訳者が同じなので。
    面白かった気はするけどあんま頭に残らない。

  • 期待せずに読み始めたら、とても面白かった。
    登場人物の個性がみんな強くて、更にコニーの内面の移り変わりが読んでいてワクワクする。

  • ある年代以上の人なら「チャタレイ夫人」と言えば「猥褻」の代名詞というイメージだと思う。私も敢えて猥褻なものを読んでみようとは思わなかったので読んでいなかったのだが、たまたまロレンスの短編集を読んだら、素晴らしかったので、ロレンスの作品が猥褻だけの筈がない、と読んでみた。
    まず、読む前のイメージは、夫が戦争で下半身不随になり、性に飢えた上流階級のチャタレイ夫人が無学でマッチョな森番と性愛の悦びを知る、という感じ。
    だから、チャタレイ夫人がそもそも森番に出会う前にも浮気をしていたことや、夫もそれを認めていたこと、森番が中背で痩せていて、無学ではないことはちょっとした驚きだった。チャタレイ夫人とメラーズの関係は、身分違いだが真っ当な恋愛なのである。
    貴族であり、作家でもある夫の人間としてのつまらなさ、浮気相手ともわかり合えない空虚さ、さらには炭鉱で働く人々を搾取することについての夫との意見の相違(これは、階級についての小説なのだ!)がまずチャタレイ夫人の苦しみで、性的な問題はその苦しみのひとつに過ぎない。
    メラーズも、森番ではあるが、フランス語も操り、本も読み、戦争では出世した人物であるが、戦争や妻との関係、体を壊したことなどから、孤独であることを敢えて選んで生きている。
    身分違いの恋愛、それからイギリスにがっちり根付いた階級の問題、日本よりずっと早くやって来た炭鉱の黄昏、その中であがきながら生きる二人の物語なのである。性愛のシーンはあるが、多分今どきの一般的な恋愛小説よりずっとあっさりしていると思う。これが猥褻とされて最高裁までいったということに隔世の感を抱く。そういうシーン自体全体の分量からすれば、それほど多くないし、そもそも全体をちゃんと読めば、猥褻が目的ではないことはわかって当然なのだ。
    読んで面白い小説だし、本当に人間というものがよく描けていると思う。
    とりあえず一番古い伊藤整訳で読んだが、光文社の古典新訳文庫もよさそうだった。ちくま文庫の訳は、メラーズが九州弁を喋るのがどうしても違和感があり(なんだかコミカルになるというか)読めなかった。
    翻訳ものは、複数の訳がある場合は、よくよく吟味してから読んだ方が良いと思う。九州弁が悪いわけではないけど、外国の方言を日本の方言に置き換えるのは無理なのではないかと。

  • 20世紀初頭、英国中部。貴族のクリフォード・チャタレイ。夫人のコンスタンス・チャタレイ(愛称コニー)。コニーは、領地の森番メラーズと身体の関係を結ぶ。そして、終盤、それぞれの夫婦関係を精算し、ふたりの生活を築こうと歩み始める。

    巷間では、戦争で不能となった夫、それ故に…という文脈で紹介されがちだ。だが、実際に読み進めると、それが最大の理由ではないように思われた。むしろ、夫クリフォードの理屈屋すぎる感じや、夫婦間の空気の違いが原因のように感じられた。
    思えば「性愛」は、人生の大切な要素のひとつ。だが、文学は人生を描くのを使命としているにも関わらず、性愛そのものを主題に据えた小説は稀である。その意味で、文学の営みとして、この作品が性愛そのものを主題のひとつにしたことは、至極全うなものである。
    しかし、刊行された1928年当時は、この内容・表現は衝撃的であり、それまでの表現の水準からは、唐突な、突き抜けたものであったように思われる。 現代に生きる私の基準でも、この小説の性愛についての表現は、少々驚かされた。腰の動きであるとか、射精という語まであるのだ。さらには、そのものずばりの4文字言葉まである。 

    さて、作品中、炭鉱の町の殺伐とした風景。鉱山労働者達の非人間的な様相。貧しさゆえの希望のない表情。産業社会への不安と警戒感が暗示される。一方で、上流階級の人間達(夫、クリフォードを筆頭に)の、理念や空論に走り、空しく虚ろな姿。血と肉の実体、身体の存在感が希薄さが、印象に残る。
      
    「生」の実感の尊さを呼びかけ、非人間的な工業社会の危機を訴える、そんなメッセージを感じた。

    コニーが、夫の屋敷を離れてすごす、ベニスの夏の日々を描く章もある。意外な味わいポイントで楽しい。
    終章、コニーとメラーズの、往復書簡だけで、ふたりの日々と、その想いが描かれる。内省的で、心に沁みてくる静けさがある。
    性愛についての表現で話題にされることが多い小説だが、落ち着いた深みのある、静謐な趣に満たされた小説なのであった。

  • 古本

  • 伊藤整訳、伊藤礼補訳の完訳版。本棚にありながら手を付けられていなかった長編を連休を利用して読了。
    戦後その性描写が故、「芸術か猥褻か」最高裁まで争われたチャタレイ裁判に遡る。その性的描写については今となっては、村上春樹のそれと大きな差は感じられない。
    主人公の夫であるチャタレイ准男爵が第一次大戦で半身不随になるところか始まる。領内で森版をしている階級の違うメラーズとチャタレイ夫人との逢瀬を描く。
    比較的ハッピーエンドで終わる本書については精神的にすんなり読みやすい。

  • これ文学なんだろうけど、どうしても下世話な話としてしか受け取れなかったなぁ。
    そうだとすると、誰が悪かったのか、なんて思ってしまう。

  • 名前だけは誰もが知っているけれど、実際には読まれてないって本のベスト10に入るでしょうね。

    私もどんなものかと怖いもの見たさで手に取りました。

    性描写が裁判となったのは今となっては昔の話です。映画の中での突然のラブシーンの方がよっぽど卑猥性が高いと思います。

    肝心のストーリーですが、どうしても行き当たりばったりの印象が拭えません。作者は書き始めにストーリーの終わりまでの流れを考えていたとは思えないのです。

    クリフォードの下半身付随(性的不能)について、メラーズ登場場面、社会構造批判について、その必然性みたいなものが欠けるように思える。何とも唐突な感じがしてしまうのです。

    また一番力を入れているメラーズの手紙部分がハイライトであるとするならば、そこに至るまで何度か出てくる性描写は必然と思えない。また、この手紙の文調が急にしおらしくなって、今までのメラーズとコニーとの関係が随分と変わってしまっていて違和感が拭えない。

    イングランドとスコットランドの違いすら分かっていない者にとっては自然描写を親しみを持って肌で感じられない…そのため、本来ならロレンスの真骨頂であろう自然を謳っている箇所が、逆につまらない、読み飛ばしたくなってしまう読み方しか出来ない自分が、寂しくなる…

    補訳の伊藤礼氏は、原訳者の伊藤整の息子さんなのですね。親子で完訳されたとはある意味羨ましい事です。

  • ときめきます。

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