城 (新潮文庫)

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制作 : Franz Kafka  前田 敬作 
  • 新潮社 (1971年5月4日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (630ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102071021

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城 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 仕事を依頼されて来たはずなのに、そのために頼んでもいない助手まで付けられたのに、全然始めさせてもらえない測量士Kの物語。「変身」のザムザのように弱々しい真面目な人が苦しむ話かと思っていたら、Kはとんでもなく自信家で自分ばっかりの人で、あまり同情する気になれない。それに状況のままならなさをカフカが相当おもしろおかしく書いているので(ときどきコントみたいになる)、前半は笑いながら読んだ。

    ところが後半、村八分になった一家の話あたりからカフカ節全開で、生きるのがつくづく嫌になってくる。人間は自分だけがかわいくて自分が見たいものしか見なくて、ときにはでっち上げの愛情まで持ち出して他人をコントロールしようとする。本書は職業しか存在理由がない現代人の疎外がテーマだといわれているけれど、私生活でだって人はその機能で測られる。人にまるごと必要とされたり求められたりすることなんて本当はないんだろうな、とか、じゃあ特にやりたいことがなかったら生きてても疲れるだけだな、とか、ろくなことが思いつかない。落ち込んだ。

  • カフカの悪い夢のような、迷路のような物語。

  • カフカと云えば「変身」より「城」。不気味で無慈悲な「城」は、人間の理性のことだ(と思う)。

    そういえば、トーマス・マンが序文を依頼されて「城」を読んだと自身の日記に書いている。そこから、カフカの文学が世界ではじまるのだ。これはいいエピソード。

  • 官僚機構に対する批判を主題にしているように見えますが、解説などを読むと、「人間」と「社会」の有り様や関係性を描いた作品なのだそうです。この辺りを前提としないと、登場人物たちの言動の不自然さ不合理さにいちいち気を取られることになります。つまり、純粋な物語だと考えて読み進めていると、主人公をはじめとしたキャラクターたちが、特別な脈絡もなく奇言奇行を重ねるので、それに戸惑ってしまうのです。

    『城』は、「社会」やそれを規定する「法」の在り方を表現した作品で、主人公Kは異邦人としてそれらから隔絶あるいは拒絶された人間の代表であって、本作は人間の存在・所属に関する物語なのです。

    初見でこれがすんなりと腑に落ちるかというと、私にとっては否でした。それは、私の境遇に因るのかも知れませんし、私の浅はかさに因るのかも知れません。あるいは、カフカを悩ませた個人と社会の関係性は、この現代において問題の中心を移動させてしまったからなのかも知れません。

    私には、単純なストーリーの追跡がやっとでした。だから、勝手にベラベラと何十分もしゃべり倒すこととか、どうして大人であるはずの人物が、突然に子どもか動物のような行動をとるのか? とか、話の流れが本当に急に変わったりすることとか、論理的な議論がなされているように見えるのに、その理屈を追いかけることは全然できなかったりとか、とにかく頭が「?」でいっぱいになってしまいました。

    未完であるということですから、もしかしたらまだ推敲の余地はあったのかもしれません。また新たな方向に発展しそうなところで終わってしまうところは、非常に残念です。

    もしも私が小学校か中学校で、これで読書感想文を書けと言われたら、困り果てただろうけれど、どこかに小中学生の書いた感想文があれば、ぜひ読んでみたいと思います。もしかしたら、「子ども」と「大人のつくった社会とそのルール」という関係性において、主人公Kと彼らには共鳴する部分がなくはないのかも知れません。

  • カフカ未完の長編

    ある城に測量士としてやってきたKに、その仕事は用意されておらず
    確かめようと城に問い合わせようとするも
    職業のないKを城の使者や村の人々はよそ者として扱う
    どんな行動を起こしても何も分からないし、城に近寄ることもできない

    読んでいても何も分からず、Kの行動だけがむなしく繰り返されていく
    Kの行動もいつしか目的が失われているように思えてくる
    その姿は自分の存在を失った完全な“異邦人”

    城や村の人々は何かしら職業を持っていて、
    楽しくもないが与えられた仕事をやって暮らしている
    Kは“測量士さん”と呼ばれながらも、その仕事はない

    自分の全く知らないシステムの中で、訳も分からず、ただそこに置かれている状態の人間
    カフカ作品特有の世界観
    カフカも彼の置かれた社会の中で、このような感覚を味わっていたのかなと思った。

  • 所在が無いという事、先行きが見えないと言う事の魅力と薄汚さ。女が非常に良く喋り、良く流され、良く企み、魅力的に思えた。ギャルゲーに出来そうだなと思った。

  • 永遠にクリアできないRPGのような小説だと思う。城にはたどり着けない、たどり着けないことでさらに意識する、堂々巡り。生きづらさを感じているときに読むと、疲れてしまう。
    ナンセンスな会話、疎外感、拒絶、実態不明、アイデンテティの喪失、他者を拒む強固な仲間意識、見えないけれど突破できない壁、そんな言葉ばかり浮かんでくる。この小説は、現実社会の縮図と言ってもいいだろう。

  • 読めましたね。予想以上に。苦手意識のある小説、しかも“ド文学”感のあるこの手の本にあえて手を伸ばしてみたのですが、これは読めちゃいましたね。

    ビジネス書、新書は足し算。小説は掛け算(割り算もあるかも???)という気がする。ってそこまで小説を多読していないけれども。

    所属したり、隷属したり、存在したり、しながら私たちは生きていきますけど、そういうことにまつわる、いかんともしがたい機微のような、ムードのようなそういうものを感じ取ったりしました。

    (あと、小説の読後感をここに書く際には、あとがきを読まないことにします。引きづられてしまう。書いてから、読んでみよう。)

  • 壮大な物語というより、極上コントの連発という意味での大傑作。笑いという意味では、小説以外を含めても、これ以上のレベルには未だ誰も到達していないと言い切れる。

    物語の筋など「城に辿りつきたいがいっこうに辿りつけない」という程度でしかなく、ただひたすらに城近辺を彷徨うのみ。場面の転換も不自然な箇所が多く目につくため、小説にスムーズさや完成度を求める向きにはお勧めしない。

    だが一つ一つの場面の滑稽さは奇跡的で、特に凄いのが屁理屈会話の応酬。全員が全員、子供のような愚にもつかぬ自分勝手な理屈を押しつけあう姿に、この世に立派な大人など、実は一人もいないのだと叫びたくなる。

    例えば『ガキの使い』の笑い飯や板尾絡みの企画、さまぁ~ずのコント、伊集院光のラジオのコーナー等を好む人ならば、ここにあるより深い笑いにさらなる衝撃を受けることができるはず。純文学だからといって、構える必要はまったくない。ただ純粋に楽しんだもん勝ちなのだ。

    「泣き」以外にも感動はあり、「泣く」以外にも小説の楽しみ方はたくさんあるということを、改めて思い知らせてくれる名作。というか、昔はそれが当たり前だったわけで、最近の号泣至上主義がむしろ異常だと思ったほうがいい。

    もしこれ読んで泣ける人がいたら、嘘泣き名人として冠婚葬祭での活躍が約束されるはず。つまり泣ける作品ではないが、笑いの向こうに圧倒的絶望と、ある種の感動は存在する。

  • Kが城に辿り着けないことに代表される、本来の目的がいつの間にか放棄されてしまう感覚が面白い。
    ふたりの助手がぴょんぴょん跳ねたり、泣いてしまったりするのが非常に愉快だった。
    ただ、長い。

  • 『変身』に続き、カフカ作品二作目。長い長い月日をかけ読了。最初から最後まで淡々と過ぎ、特に何もなかった…。Kは最後までKだった——。K以外の何者でもなかった。

  • 自分の意志でない、呼ばれたから来たというのに、「なんで来たの」という態度をあらゆる人から取られ、じゃあ上に確認しろと言ってもその確認は上に届かない。というか届いたかどうかもわからない。始まるべき仕事が始まらない。別に仕事が好きなわけではないはずなのに、仕事のないことが不安で仕方ない。

    「歩いても歩いても城にたどり着けない」という話かと思ってたけど違った。ちょっとだけそういうシーンもあったけど、歩き続ける以前に出発すらできてなかった。「来ないとも言い切れないかも」くらいのうっすいうっすい希望にしがみついてゴーサインを待ち続ける話だった。
    本はだいたい学校やら仕事場やらへ行く途上で読むのだけれど、学校やら仕事場やらへ行く途上でこんな小説読みたくねえよ!というわけで読み終えるまでにめっちゃくちゃ時間がかかってしまった。
    描かれている出来事自体がリアルかどうかはそうとも言えるしそうとも言えないけれど、悪夢としてはものすごくリアル。こういう悪夢見たことある。絶対に。

    オチのつくことを拒否するような物語なので、未完と言われても苛立ちはしなかった。
    しかしラストで突然モテ期が到来したので笑った。めでたしめでたし?

  • 読み進めていくうちにじわじわと絶望の色が濃くなってくるのが面白い、これがカフカか!癖になる不思議な魅力がある。『変身』と同じようにゆっくりと抜け出せない絶望に視界が奪われていく印象、こんなに長いのにほとんど展開が進展しないのが笑える、名作はどれも面白い人にとっては最高に面白いし退屈な人にとっては超つまらないと感じるだろうけどこれはどっちの気持ちも分かる作品だった、まぁつまらないのには読解力不足というのもあるけど…現代人の絶望や不安を芸術にするという点でカフカに並ぶ者はいないのかな。いつか再読したい

  • 主題は、巻末の「訳者あとがき」のとおりだろうが、それはそれで悪くない。が、今となっては、主人公の造形が古くさく感じられる。団塊の世代あたりにうけそう、と言っては語弊があるかもしれないが。主題はまったく異なるものの「罪と罰」にテイストが似ている。1970年代の訳文もさすがに古い。

  • どこにもいけない小説。
    古くもない、新しくもない。どこにもいけない。

  • 全編を通じて、読者の好奇心と想像力を最大限に高める謎に包まれている。それも、現代小説の不可思議なミステリー小説とは完全に一線を画した、強いメッセージ性の強い謎である。

    タイトルにもなっている“城”に、結局Kはたどり着けない。ただ、登場人物が全員その城を中心に、喜び、怯え、落胆し、それでも生きている。
    しかしそもそもその城は存在しているのか、そしてそこで働く人々というのは本当にいるのか、結局よくわからないままである。

    自分が当然に正しいと思っていることは、実は極めて怪しい。他者の大多数もそれを是とする意見であっても、心底では何を考えているかわからない。それぐらい、客観的なものというのは頼りないものなのである。

    “変身”と同様、読んだ後に全くすっきりしない、そして自分が見て聞いているこの世界に疑問を投げかけてくる、そんな小説である。

  • 会話で物語が進んでいくんだけど
    みんな回りくどい言い方ばっかりするし
    ああいえばこう言うって感じでイライラする
    未完だし

  • 短編のほうが好きだな(つかれた)

  • 無職の暇にかまけて読了。数年前にも挑戦したのだが、あまりの摑みどころのなさに途中で断念。最後まで読み終わってみても、やっぱりしっくりこない。でもそのしっくりこない感じが今までの自分の覚束ない来し方のようでもあり、なんだかシンパシーのようなものを感じながら読み進めてしまった。

  • 読むのに疲れましたが読んで良かったと思える内容でした。疎外される者の物語。抽象的に描かれているのと未完なのとで、色々想像できて面白いです。城の中身とか。

  • 登場人物の行動、言葉、何一つ理解できない。
    「よそ者」としてやってきた主人公の思考回路さえ意味不明で、読んでいて疎外感を感じる。
    いったいこの話に何の意味があるのか?いや、何の意味もない、と考えずにいられない。
    未完だとかそういうの関係なく、この作品はこうなのだろう。

  • 熱にうかされたような作品だが、破綻する一歩手前のところで、絶妙なバランスを保っている。不安定な感覚に、文字どおり「夢中」になってしまう。
    その理由の一つとして、「人物の描きかた」が考えられる。この小説のテーマでもあるのだが、描写にしても台詞にしても、みごとに人物の輪郭だけが切り取られ、骨も内臓もないまま服に着られて生きている。
    象徴的なのは「助手」の1人が、個人に変わる後半部。人格というものの本質を、わかりやすく、皮肉たっぷりについている。
    「役割」を強調する、という表現方法は、まさに小説ならではで、そういう意味では、カフカはまさに「小説を書くべくして書いた作家」と言っていいだろう。

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城 (新潮文庫)の作品紹介

測量師のKは深い雪の中に横たわる村に到着するが、仕事を依頼された城の伯爵家からは何の連絡もない。村での生活が始まると、村長に翻弄されたり、正体不明の助手をつけられたり、はては宿屋の酒場で働く女性と同棲する羽目に陥る。しかし、神秘的な"城"は外来者Kに対して永遠にその門を開こうとしない…。職業が人間の唯一の存在形式となった現代人の疎外された姿を抉り出す。

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