O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102072011

感想・レビュー・書評

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  • O.ヘンリはアメリカを代表する作家であり彼の作品は未読でも間接的にオマージュORインスパイアされた作品には触れたことがあるのではないだろうか?かく言う私もO.ヘンリ作品は初めてながら冒頭の『警官と賛美歌』から「この元ネタか!」と嬉しい発見。どの作品も独創的なストーリーとシニカルなユーモアを持ち、作品によってはハートフルな暖かみを持つ。何か近い感覚を感じたことがあると思ったら「落語」だ。そう、O.ヘンリはアメリカにとっての落語なのだ。

    どの作品も珠玉ではあるが個人的には『ハーグレイブズの一人二役』がお気に入りだ。

  • 16本の短編が収録されています。うち半分くらいは、難しくてよくわかりませんでした。
    読みやすいものは、オチが予測しやすいものが多かったですが、ベタでもしっかりまとまっていて、きれいな作品だと思います。
    巻末に収録されているO・ヘンリの生涯についての解説がおもしろかったりもしました。

  • ちゃんと読み返すのは、十年ぶりだろうか。今読むと、訳文の文体が非常に完成されている印象を受けた。気障ったらしいが、嫌味を感じない。これを超える訳は、早々ないのではないかと思ってしまった。
    しかし惜しむらくは、オーヘンリーの作風を知っているために、殆どの作品の結末がある程度予想できてしまうところだ。どこかに短編の物語の朗読屋がいて、作者を知らさずに読み聞かせてくれたらさぞや楽しめるだろう。

    以下、作品ごとに思ったことを少しばかり書き記す。
    『アラカルトの春』 原文で読まないと最後の結末がしっかりと味わえないかもしれない。
    『黄金の神と恋の射手』 キューピッドなんていないのね。
    『馭者台から』 最後まで読んでから、もう一度冒頭を読むと、より一層ジェリーの仕事の熱中ぶりが感じられる。
     『水車のある教会』 気持ちが切ない時は、好きなだけ静かに泣くのが良い、というのは全くもってその通りだと思う。また、この作品だけは結末が少しひねってあり、チェスター嬢とエイブラハム神父の関係性が分かった後も、思わず口を綻ばせてしまった。もっとも、最後の結末に喜ぶのは、男性だけかもしれないけれど。
     また、個人的に思ったことだが、何十年も離れていてようやく出会えたとしたら、再開できた喜びももちろんあるだろうけれど、再開してしまったことによる苦痛や後悔もあるのではないだろうか。再開できないことで、生き別れの娘や父への思いが、歳月を経るとともに極端に美化されており、その思いが突如として壊されることは少々残酷なことかもしれない。勿論、作品自体はこの結末でスッキリと終わっているのだけれど、一度考えると少し物足りなさを感じる。オーヘンリーは短編の名手ではあるが、これほどの観察眼を持っているのだから、長編作品などでより深く多様な人間の姿を描いて欲しかったと、少し残念に思う。

  • 短編集なので読みやすいけど、好みではなかった。途中まで読んで、「これ知ってる」と気がつくものがいくつかあったので、古典だから知らないうちに触れている作品もあったんだと思う。

  • 本書には16編の短編と、O・ヘンリの生涯を追った解説がおさめられています。1900年代の作品だから、古めかしくて堅苦しいのではないか、などと勘ぐってしまいがちなのですが、豊富な語彙と柔らかな文体(翻訳も見事なのでしょう)で洗練された文章が、読み手に、あたまの隅まで届くような、豊かな読書感覚を生起させます。さらには、文章が読みやすくて奥深いだけではなく、会話文も、内容も、文字の奥に見通すような遠い存在として感じられるのではなく、眼前にありありと浮かんでくる体で、生き生きとしています。イメージが、よい鮮度のまま、文章に封じ込められたかのようです。

  • 初O・ヘンリー。「最後の一葉」は有名で知っていたけど他の作品は初めて読んだ。好きになったのは「よみがえった改心」、「黄金の神と恋の射手」、「桃源郷の短期滞在者」。解説にも言われているがどの作品にも意外性のある落ちがある。ロマンスという言葉がぴったりの若い男女の恋愛が多い。甘いんだけど嫌らしさがなくて好き。一方で「自動車を待つ間」、「馭者台から」など結末がよくわからない話もあってネットで他の人の意見を見てみたりした。O・ヘンリーの短編集は英語版も多く出版されているから原語でも読んでみたい。

  • 飯野幸江先生 推薦

    タイトルにもあるように、これらの本は、アメリカの作家、O・ヘンリの短編小説を集めたものです。どの作品も文庫本サイズで10ページ強しかないので、手軽に読むことができます。O・ヘンリの作品の多くは、20世紀初頭のアメリカの市民を描いたものです。折に触れて紹介されたり、引用されたりしているので、「実はこの話、知っていた」ということがあるかもしれません。分量と内容の両方の面で、読者初心者におすすめの本だと思います。
    O・ヘンリの作品の中で、これからの季節におすすめなのは『賢者の贈りもの』(『O・ヘンリ短編集(2)』に収録)です。この作品は、若く貧しい夫婦が互いに相手を思いやりながら、クリスマス・プレゼントを贈り合う話です。優しくて切なくて心温まる話です。そして何よりも、「クリスマス・プレゼントは何のために贈るのか」ということを考えさせられる話です。

  • 【時代を超える名短編集!!】

    全16もの短編が収められた一冊。
    おすすめは、16のうち16あります。

  • 時代と原文でないこともあるだろうけれどもあまり楽しめなかった
    手塚治虫の短編作品が全て面白いわけではないというのに同じなのだろうか

  • 『最後の一葉』は昔の教科書に、有名な作品ですから
    よく知っているような気がしておりましたが

    情緒たっぷりで、もっともっと激しく、わたしの中でふくらんでおりました
    たぶんそれはリライトが、ドラマが、盛り上がりを大きくしていたのでしょうか

    ページ数にして11ページ、こんなに短かったのですね
    簡潔な文章、とくに売れない絵描きの老人の描写のあっさりしていること
    とくに嵐の夜に老人の傑作が生まれる情景はしつこかった

    それに、だからか
    老人が努力したのに、肺炎の娘さんがあえなく死んでしまいました
    という結末だったと覚えており・・・(勝手に操作してはいけません)

    今回280編余りの作品のうちの91編を新潮文庫、大久保康彦訳で読みつくし
    構成といい、意外性といい
    やはり名短編作家であったと改めて思った次第

    ちなみにわたしの好きな作品は

    『緑の扉』
    『馭者台から』
    『人生は芝居だ』
    『人生の回転木馬』
    『二十年後』

    意外性の裏側というか、意表を突いているのに普遍性なんだよなあ

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