沈黙の春 (新潮文庫)

  • 2736人登録
  • 3.52評価
    • (120)
    • (200)
    • (359)
    • (46)
    • (8)
  • 237レビュー
制作 : Rachel Carson  青樹 簗一 
  • 新潮社 (1974年2月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102074015

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
遠藤 周作
有効な右矢印 無効な右矢印

沈黙の春 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • これは小説ではない。 人間の環境に対する考え方に警鐘をならすレポートだ。  自分の生まれた時よりもさらに以前にこのような問題がすでに発生し環境破壊が始まっていたことに驚きを感じた。

    1950年代は、日本でも水俣病、イタイイタイ病、砒素ミルクなどの公害問題が発生していた時期だったので、世界中が産業振興優先で、使っている物質の有害性に関しての関心が低かった( 使ってみて初めて判ってきた )という面もあったのではないかと思う。
    私が子供のころでも、家庭用の農薬噴霧器なんてものが家にあった。遊び半分の親の庭仕事を手伝いながら、使っていたが、あそこから霧状にでていた白い液体は何だったのだろうか。

    21世紀になった今、これらの社会問題は訴訟こそ解決を見ていないものが多いが、新たな発生がない( また判っていないだけなのか )ように思える。そう願っている。

    しかし、最近、たとえば、アメリカのシェールガス掘削などはどうだろうか。アメリカは新たなエネルギー源の確保にやっきになっているが、掘削方法には、多くの問題があるようだ。少なくとも NHKの番組の問題提起は私にはショックがあった。 同じ過ちを繰り返さないでほしいと願うばかりだ。

    会社で一時期、環境有害物質の担当をしていた。 その時に目にした化学物質の名前が、次から次へと出てきたことに驚いた。 書類上のそれらの物質がきっと有害なんだろうが、いったいどのように我々の生活に影響を及ぼすか半ば判らないままに仕事をしていたが、 この本を読んで、いかに恐い物質であるかがわかってきた。 

    少なくとも現時点で禁止されていない化学物質は、身の回りにあふれている。 しかし今、2人に一人は癌で死ぬといわれている時代、本当に禁止されていない物質は大丈夫なのだろうか、単にいまその害が判っていないだけなのではないかと考えてしまう。 でも 私をふくめ今の生活は変えられない。 汚れがあれば洗剤をつかう。 蚊が飛んでいれば蚊取り器をつかう、ゴキブリを見つければスプレーを吹きかける。 かれらの生命は絶たれる、そのとき私たちの生命が受けているダメージはどれほどなのだろうか。  今自分の肝臓は何ppm??

  • 伝記・小説以外に読んだ初めての本だったと思う。浅はかな私は現実社会というものは清く正しく進歩していくものだと単純に信じていたから、とても衝撃を受けた。

  • 生物嫌いだし、環境とかそんな興味ないし、でもあまりに名著として有名だから一回くらいは読んでおくか…くらいのテンションで読み始めた。

    が、さすが名著。面白い。事象の描写も全然専門家じゃなくても興味持って読める。

    虫大嫌いだけど、嫌いになったのは人間のせいなのかも、と思った。明日からはちょっとは虫に優しくなれるかしら。いや、虫に優しくするんじゃなくて人間に厳しくならなきゃいけないのか…

  • 読み切っていないので、私的感想。

    名著ということで読み始めたのだが、具体に入り過ぎて、自分にとって残しておくべき情報だろうか?と考え、途中から飛ばし読み。

    DDTという、社会的に「良きもの」と評価されていた薬品は、危険なものなんだよ!と具体例を挙げながら警告した女性研究者(後にジャーナリスト)の論説文。

    この本が、当時どのように読まれ、その結果社会がどのくらいの時間を経て、どう対応していったのか。
    きっと、そこがキーなんだと思う。

    現在の目で「そうか、こいつは悪いものなのか」と改めて納得する本なのではない。
    社会的に「良きもの」とされているものの裏を、きちんと見抜ける(疑問視できる)人間になりましょう、という視点でオススメなのではないかな、と思う。

    そういう意味では、現代版カーソンを正しく見抜く目も、私たちには必要だ。

    データ至上主義になってしまうと、自らの足元を掬われる時だってある。

    そんな風にも感じた一冊だった。

    しかしながら。
    タイトルがとても良い。(解説ではもっと明解なタイトルの方が良いとされていたが)
    『沈黙の春』。まさに!
    読みたくなるタイトルって、素敵だ。

  • 人類が化学薬品を用いたことによる害を、詳細な例を並べて論じている。

    要約すれば
    ①化学薬品はあらゆる動植物に悪影響をもたらした
    ②それらが世界的に繰り返されてきた
    ③今もその問題は解決されていない(あとがき)
    という内容で、少し学のある者なら今さらという感じの本。

    しかしこの本の本当の意義とは、上記のようなありふれた主張ではなく、あとがきにもあるように

    「最近のいわゆる公害問題を、もっとも早い時期(1962年)に先取りして論じたもの」に尽きるであろう。

    さらに、友人によれば、「あの時代(社会的背景)に」「女性が」「あの社会(研究系の学会)で」「初めて公式に」このような主張をしたことに意義があるようだ。

    それらの知識が、この本の価値を再認識させてくれる。

    しかし内容としてはやはり事実の集積ということで、その功績は素晴らしいが「読み物」の評価としては星3つをつけさせていただきたい。

  • 今から数十年前のアメリカにおける環境汚染がテーマ。
    今は昔と違ってこんなにひどい事はしていない、と思いたいところだろうが、遺伝子組み換えも同じ轍を踏んでいる様にしか思えない。
    結局、常に自然を汚染しながら生活している、という現実を少しでも抑止の方向へと進めないといけない、その警告をいち早く出したこの本は今も受け継がれるべき一冊だ。


    TPPでアメリカの汚染が拡散されてくることは何としても避けたい、その意識を強くもった。

  • この本を読むと、幅広くいろいろなことを学習しなければならないなと思う。

  • Dichloro diphenyl trichloroethane(DDT:ジクロロジフェニルトリクロロエタン)日本でも大量にまき散らされた薬品。アメリカからの警告。注をつけずに参考文献をつけたという。できれば、注は注でつけて欲しかった。注を読むのが面倒な人は読まないから。図書館で文学の棚になかった。

  • カーソンの熱い思いが迫ってきそうです。

  • 今から、60年も前に出版されたものに関わらず、今の環境問題、とりわけ「汚染」に関する考えや危機意識に匹敵するほどのレポートになっていると思う。当時はおそらく「生物濃縮」なんて言葉もなかっただろう。しかし、ここで述べられているものには明らかに、その現象が含まれている。
    温故知新という言葉があるが、環境学を考えるうえで、これは読んでおくべきであろう。

  • カーソンは気づいていた

    文明の矛盾に

  • あの衝撃は現実、しかし今の世界は…。

  • 読み途中だけど途中まてでレビュー。とにかく化学薬品の恐ろしさを語った名著。この本が世に出てなければ自然破壊はもっと起きていたのではないかという気持ちにさせられる。ただ、その恐ろしさを400ページ近くまで語られるので途中から飽きる。また情報が古いのでおや?と思うところもあるし、アメリカ合衆国の話であるので日本に住む私としては少しピンとこない所もあった。しかし、化学薬品に対して一切恐れを抱いていなかった、またはぼんやりとした不安を抱えている人にとっては衝撃的な文章になっているので是非読んでほしい。野菜を食べる前には読まない方がいいかも。

  • 1974(訳底本1964、原書62)年刊。◆後年、本書と同種の内容や、進展した議論を記述した書は別に刊行されている。が、この年時の刊行は意義深い。◆本書の趣旨は①薬品(除草剤、防虫・除虫剤)の見境なき散布、②①による川、池、土壌汚染、③②の結果、植物・生物への汚染蓄積と、食物連鎖による人間への汚染蓄積、④③による生殖機能低下と細胞の癌化、⑤薬品散布に伴う生態系破壊、特に益虫・益鳥死滅と、薬品耐性生物の出現。これらは、例えば抗生物質使用に伴う多剤耐性菌の出現、内部被爆による細胞の癌化などと類似する。
    しかし、1964年(東京オリンピック開催年)に刊行されている意味で、環境問題の先駆、生物工学・生態系工学の嚆矢とも言うべき書となっており、関係者・大衆の度肝を抜いたのではないかと容易に推察できる。その意味で、古典ではあるものの、読むべき一書と評しうるのではないか。
    なお、「呼吸以外の方法、つまり醗酵で全エネルギーを獲得できる細胞は癌化したものである」とあるが、これは妥当な記述なのだろうか? 個人的にはアポトーシスできない細胞が癌細胞と思っていたのだが…。違うのかな…。

  • 歴史的にとても重要な本なのだとは思うが、化学物質に関する詳細は記述はちょっと退屈だった。

  • 環境系の授業で度々紹介され、偶然本屋で見つけたので手に取ったが、読了に至らなかった一冊。300Pくらいまで読んでみたがなかなか読み進まないため断念した。内容は土壌、河川、空など様々な例を挙げつつも一貫して化学薬品の危険性と使用者側の無知に対する批判について書かれていた。この本を書くにあたってものすごい量の情報を集めたのはとても伝わった。まさしく現代の批判のように思えたがこれが1964年、40年前に書かれたものであるから驚いた。現代の様に環境問題が訴えられていないその時代にここまで気がつくことが出来たから現代もベストセラーとして紹介されるんだなと思った。
    また必要とあれば読み直したい。

  • 4 化学物質の脅威の話。現在禁止されている塩化炭化水素系のDDT等の農薬による重篤な健康被害と環境破壊の状況を訴えている。 最初は、農薬全てダメかと思っていたが、彼女の主張は、十分な安全調査をせずに大量の農薬を撒くことに対する警鐘と生物農薬など別の方法による防除。普通に読んだら化学物質全部ダメのイメージだけを残してしまいそう。「化学物質」の枕詞に「安全性が十分確認できていない」をつけないと間違う気がする。 そもそも天然非天然に関わらず人間は化学物質に接しており、化学物質を全て取り去るということではなく、リスク管理が問題。生物農薬も生態系破壊の問題は孕んでおり、化学物質が危険というイメージ先行でなく、変異原性等の毒性、土壌・水質への影響、生態系への影響、組み合わせの影響など十分な基礎データを取得し、毒性レベル・頻度・濃度・使用方法・使用する人を鑑みたリスクマネージメントをすることが求められていると感じる。

  • 私としては珍しく、物語的でない本を読むことがてきた。今でこそ、農薬の使いすぎはよくないって自然に思えるけど、そうじゃない時代、この本の与えた衝撃はすごいものだったのだろう。そしてこの本を出版した覚悟も図り知れない。

  • 大事な内容であるが、読破は辛い。同じようなことが繰り返し書かれている。

    *2008.12

  • その春、私の庭に小鳥が来ることは無かった。
    ミツバチの羽音がすることもなかった。
    リンゴの木は花を咲かせたけど、その花が実を結ぶことは二度となかった。

    農薬や化学肥料等が、自然に及ぼす影響について、女性科学者が科学的、かつ具体的に、わかりやすく警告した本書が出版され、世に問われたのは、1962年。
    それから50余年がたち、人類は化学物質だけでなく、遺伝子を操作し、自然界にはあり得ない植物や動物を造りだし、より経済的な利益、いま、目の前にある経済的利益のみを追求する道を突き進んでいる。

    科学を否定するわけではない。目の前の利益だけに突き進み過度に利用するのではなく、自然と人間が許容できるゆるやかなスピードで、共生を図るべきなのではないだろうか。

  • 1964年当時の環境問題告発論文。

    データとしても理論構築もその当時とし

    ては突出していたのかも。

    ただ国家と大企業の関係性や社会構造の

    弊害部分においては現代に通じる部分も

    見受けられる。

  • 残留農薬の危険性について告発した、名作レポート。取材してというドキュメンタリーというよりは、論文等をまとめたレビュー論文という形だ。

    前半は、DDTおよび2,4Dなどの経皮毒性の農薬をまくことで起こった被害について、何度も繰り返し同じ内容を場所を変えて述べているだけであり、前に進む話でもないため、少々読みづらい。

    後半は、論調はそのままなのだが、改善例、うまくいった例、利益相反の告発など、同じ所をぐるぐる回っているわけではないため、俄然読みやすくなる。

    論の展開等については、1960年代という時代の問題もあるため、今から考えたら稚拙だし、「いずれ全てが滅ぶ」という論調を、時代が進むことによって覆されてしまったところも有り、素直に読む訳にはいかない。「メス化」なんて話も、ここが初出だったんでしょうかね。

    また、これから読む人においては、世の中に存在する「カーソン教信者」にならないよう、ちゃんと疑問を常に抱きながら読む必要があろう。

    さて、本作の問題点は、訳のまずさにある。

    「沈黙の春といえば?」と聞けば、大概の人が「体に悪い物質は、食物連鎖の上位に向かって蓄積され濃縮される」と答えるだろう。まあ、そういうことも少しだけ書いてある。

    しかし、カーソン女史は「農薬を使ってもいいが、使用量は減らせば良い」と書いているのだ。つまり、(脂質や骨などに特異的に蓄積される物質についての)生物濃縮という証拠は見ていても、その重要性は指摘していないのだ。

    そういう部分を踏まえて、訳を間違ったのかなんなのだか、「自然にある物質は良い」「人が作った化学物質は全て悪い」という、大きなストーリーから出てこないはずの文章が、時々挿入される。超訳というやつかしらん?

    また、意図的に誤解を生むのが目的なのかどうなのか、「化学物質は」という言葉が沢山出てくる。これは原文ではおそらく "Chemicals" といった単語であろうことはわかるわけで、文脈的に「農薬」「合成農薬」などという訳語を使うべきだろう。 "Chemo" と言葉が出てきたとしても「化学物質の投与」なんて言わない「化学療法」だ。

    最終的に、「マスの癌が多発している。きっとこれも…」なんて話が出てくるが、残念。自然(カビ)の作る毒が由来なのだった。

    そういうわけで、結構当時から見ての、未来を見越した良いレポートでは有ると思う。これで訳が良ければ☆4なのだけどなあ。

  • 請求記号:BK/519/C22
    選書コメント:
    時代の雰囲気や国策に流されず、環境汚染の悲惨さについて警鐘を鳴らした書。高い志、熱い想いに触れることができます。『センス・オブ・ワンダー』を併せて読むとよいでしょう。
    (環境創造学部環境創造学科 鶴田 佳史 准教授)

    1962年に発表された本書は、今ほど環境問題に対する視点のなかった社会に向けて、化学薬品や農薬による環境汚染の危険性を示した一冊。動物学の研究者であり、生物ジャーナリストでもあった著者によって、先駆けて環境問題を指摘している。古い書籍ではあるが、現在、世界的に問題となっている事柄について書かれており、現代人が読んでおくべき一冊。
    (環境創造学部環境創造学科 橋本 みのり 講師)

  • 環境,公害論に関する話の中では高確率で取り上げられる書物。殺虫剤の危険性をレポートを中心にまとめあげ,薬品の力ではなく自然本来の力を用いた防除を進めるべきだ,という理論で展開されている。50年前ゆえに最新の科学書というわけにはいかないと思うが,化学先行の危険性はいつの時代も変わらないと思う。本の中で紹介される本には共通して,時代が経っても色褪せない情報が含まれているのだろう。

全237件中 1 - 25件を表示

沈黙の春 (新潮文庫)に関連するまとめ

沈黙の春 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

沈黙の春 (新潮文庫)のKindle版

沈黙の春 (新潮文庫)の単行本

沈黙の春 (新潮文庫)の単行本

ツイートする