続あしながおじさん (新潮文庫)

  • 新潮社
4.12
  • (35)
  • (29)
  • (13)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 361
感想 : 37
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102082041

作品紹介・あらすじ

幸せな結婚を果たした級友ジュデ ィに、彼女の育った孤児院の運営を任されることになったサリー・マクブライド。何不自由ない家庭で育ったサリーにはとても抱えきれない重荷だが、ジュディや恋人の政治家、嘱託医にユーモアたっぷりの愚痴を手紙に書いて送るうち、少しずつ院長の責務に喜びを見出していく――。『あしながおじさん』に勝るとも劣らない、愛と感動の結末が待つ名作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • マリモさんのレビューから読みたくて。『あしながおじさん』主人公ジュディが育った孤児院の運営を親友サリーがたてなおす。女性の生き方を問う物語として秀逸。周りを巻き込み改善する様子とロマンスも楽しい。訳者あとがきとても良い。

    • マリモさん
      111108さん
      こんばんは!私のレビューから読んでいただけたなんて嬉しいです!ありがとうございます。
      古今東西、女性の結婚をまつわる問題っ...
      111108さん
      こんばんは!私のレビューから読んでいただけたなんて嬉しいです!ありがとうございます。
      古今東西、女性の結婚をまつわる問題って共通していますよね。あしながおじさんが有名ですが、続編も負けてないくらい面白かったです。テーマ的には、少し大人向けなのかもしれませんね。
      "挑発する少女小説"に載っていた小説は概ね読んだのですが、思い返しても斉藤美奈子さんの視点は独特で、なるほどという気づきもあれば、「いやー深読みしすぎじゃ?」というところもありました。笑
      有名作品ばかりだからか、ほぼラストまでで書き切っているので、そこは好き嫌い分かれそうです。
      2023/06/11
    • 111108さん
      マリモさん、こちらにお返事ありがとうございます♪

      確かに『あしながおじさん』が結婚夢見る少女の憧れストーリーだとしたら、こちらは結婚の現実...
      マリモさん、こちらにお返事ありがとうございます♪

      確かに『あしながおじさん』が結婚夢見る少女の憧れストーリーだとしたら、こちらは結婚の現実を見ようよというもうちょっと年上向けの話ですね。

      斉藤美奈子さんの本ネタバレ気味なんですね。そもそもの本を子供の時ほとんど読んでなかったので(私はこんなに活発な子じゃないと敬遠)いい年した大人の冷静な目で読んでいきたいです。斉藤美奈子さんの暴走ぶりも楽しみです♪
      2023/06/12
  • 「あしながおじさん」で主人公のジュディの親友・サリーのお話。

    ジュディの育った孤児院の運営を任されたサリー。
    お嬢様育ちの彼女が、約100人の子供たちの親代わりとなるのです!

    この作品も全て、手紙で構成されています。
    サリーから、親友のジュディへ。
    恋人へ。 
    仕事仲間である嘱託医のマクレイ先生へ。
    と宛てた手紙は、どれもユーモアに溢れていて、クスッと笑えてお茶目なの。
    愚痴が多いんだけどね(笑)

    サリーが院長になってから、孤児院には次々と仲間が集まってくるの。
    そうして多くの人達の助けを得て、あの陰気臭かった孤児院を改革していくのです!
    この様子が本当に面白い。
    わくわくします!

    もちろんエンディングも最高です。
    「あしながおじさん」は読んだことあるけど、続編は知らない。
    という人。
    こちらもお薦めですよ。

  • ジュディの友達のサリーもこんなキャラだったのね!笑
    マクレイ先生に「敵よ、おはよう!」と挨拶するのとか、最高。
    そしてこのハッピーな展開、あしながおじさんがお好きな方は絶対好きなのでは!

    孤児院を取り巻く環境や、障害のある孤児に対する問題(当時の常識では偏見もあるけど、実際そういう子達を引き取りたい人は今でも少ないのが現実…)、女性の労働問題はなかなか過酷だけども、サリーが皮肉混じりのユーモアで嘆きながら、どんどん前に進んでいくので勇気をもらえる。

    • akikobbさん
      (連投すみません。)
      それに、「続」は未読でした、そちらも楽しみです♪(積読だらけなのに気が早い…)
      (連投すみません。)
      それに、「続」は未読でした、そちらも楽しみです♪(積読だらけなのに気が早い…)
      2023/04/05
    • ロッキーさん
      aoi-soraさん、コメントありがとうございます!
      名作の続編ってパワーダウンしちゃうことが多いイメージですけど、この作品は同じくらい面白...
      aoi-soraさん、コメントありがとうございます!
      名作の続編ってパワーダウンしちゃうことが多いイメージですけど、この作品は同じくらい面白いのすごいですよね!
      明日もがんばろって思えるの、わかります〜何度も読みたいし、購入しちゃいましょう笑
      2023/04/06
    • ロッキーさん
      akikobbさん、「あしながおじさん」の方のレビューまで読み直していただけるとは、嬉しすぎる!!書いた甲斐がありました…
      ラストのキュン、...
      akikobbさん、「あしながおじさん」の方のレビューまで読み直していただけるとは、嬉しすぎる!!書いた甲斐がありました…
      ラストのキュン、ぜひakikoさんにも味わって欲しいです笑
      続編は特にですが、大人のが楽しめる気がします!表紙のかわいさもときめきです〜〜
      2023/04/06
  • 「なるほど前作はジュディの手紙がメインで、本作ではジュディの親友のサリーの手紙がメインなのだな。」と読みながら感じました。

  • 100年前に書かれた作品として考えるに、女性の社会進出や仕事に対する価値観を快活な主人公を通して描くことにより、当時の女性達の励みになったであろうと想像する、とても先進的なお話と感じます。それを抜きにしても快活で放らつな主人公が自分の生きる価値観に目覚めていく成長の物語として、恋愛小説としても純粋に面白いです。主人公の人間的魅力、言いたい放題の展開は書簡体を取ることで実現するものと感じました。
    ユーモアも満載です。例えば、ジュディ一家が汽船に乗っているイラストとその解説がシュールで笑えます。イラストは上手でなないにしても味わいがありますね。
    遺伝に関する間違った解釈等、現代では受け入れられないびっくりするような表現が登場しますがあえて原文に拘り翻訳されたことに敬意を評したいです。
    精神を病んでいる人をパートナーに持つ人との恋愛は作者の体験に基づくものなんですね。終盤の不可解な閉塞感から一気にラストの展開を作るためのご都合とはいえ、リアル感があります。
    続あしながおじさんという題名、原題名とはかけ離れており、ふさわしくはないけれどこの題名だからこそ出会えたと思うとアリですね。

  • 「あしながおじさん」の新訳と
    仲良く並んでいたこちらも
    買いました。

    「あしながおじさん」とは違い、
    初めて読んだとき幼すぎた為、
    「画期的な孤児院を作る」と言う楽しさに
    気付けず、

    また、孤児院のお医者様の
    スコットランド訛りのネタ(?)なんかの
    面白さもまったく理解できず、

    「あしながおじさん」は少なくとも25回くらいは
    読んでいると思うけど、
    こちらの方は、旧訳で3回かそのくらいしか
    読んでいなかったなー。

    だから思い入れが無い分、素直に読み進めることが出来た。

    「もし自分が孤児院の院長だったら…」と言う、
    この気持ちはすごく良くわかる、

    だけど、犯罪者の血筋のはなしとか、
    今となっては前時代(差別)的な表現に
    いちいちギクリときて、リラックス出来ないときも…

    大人なら「当時はこういう風に思われていたんだな」
    と考えることが出来るけど、

    これからはじめて読む幼い人には
    「こう書いてあるけれど今は違う」と
    ちゃんと知らせてあげなければならない気がするね。

    よく出来た作品でも、
    今の時代にそぐわない部分が度々出てくるとなると、
    「読み継いでいく」言う時、微妙になってしまうんだね。

    そこのところは気になるけれど、
    またご都合主義も目立つけれど、
    「もしも、自由に使えるお金がたくさんあったら…」
    と言う、楽しい夢のお話という感じで楽しめた。

  • 続編があるなんて知らなかった。
    前作同様、手紙のみで構成されている。今度は、ジョン・グリアー孤児院を任されたサリーから、ジュディ夫婦や政治家の彼氏ゴードンや、共に働くものの「敵どの」と呼ぶ医師マクレイに宛てた手紙。
    孤児院の院長なんて最初はまったく乗り気じゃなかったのに、とにかくやれることはやろうとし、また子供たちにも向き合おうとするサリーの姿勢に驚かされる。サリー自身も徐々に覚悟ができたのか、途中でジュディたちが交代要員を送ろうとした時には、そんなひどい人には任せられない、「サリー・マクブライドに優る院長を見つけてくださるまで、何があろうとここからびくとも動きません。」ですって!

    その後いっそう仕事に精力的に取り組む様子がつづられる一方で、ゴードンとの関係にはらはらさせられる。婚約までこぎつけたあたりでこれはいったいどういう着地点に向かうのだろう?と思い始め・・・、
    た、ところで大事件が起こる。もう残りページ少ないのに!そこから怒涛の大展開。人々の善意や、勇気や、情愛が大波のようにやってきて、すべてを整えて物語は終わる。
    原題「Dear Enemy」に、読後にやり・・・。

  • 「あしながおじさん」続編。ジュディの大学の同級生サリー・マクブライトが、ジュディの要請でジョン・グリア―孤児院の院長に就任。
    サリーが、お金をガンガン突っ込んで改革を進めていくのが爽快。そもそも、お金がないというより、お金をかけるべきではないという偏見がネックだったんだよな。全部の施策がそんなうまくいくかな?とはちょっと思うけど、子供がすぐには変わらないということも承知して気長に付き合っているのがえらい。
    恋愛にも仕事にも、すごく正直かつ論理的に向き合って、もともと優秀で恵まれているがゆえに自分の行動に自信があるというか、ためらいがなくて、自分の力でさくさく状況を変えていくのがかっこいい。
    障害者に関しての言及は、システマティックな管理に偏っており、本人たちの人権や人格を軽視しているようにも見えるが、現代も、建前だけ平等を謳って社会参画させても、制度や周囲の意識が成熟していなくて結果的に差別が残っているのを考えると、偉そうなことは言えない。
    優生学が普通に受け入れられていてぎょっとするが、前提となる知識や常識の古さはともかく、考え方はとても論理的なんだよな。倫理面も、現代から見るとやや多様性の視点が欠けているものの、不当な差別意識はないし。
    里親候補との交渉をそれなりにシビアにやっていて好感。しかし、ていの良い働き手としてではなく普通にかわいがるつもりだったとしても、できるだけ条件の良い子供を求めるというのは、善意とエゴが共存していて、複雑。
    男が「男らしい頭脳を持っている」というのを褒め言葉だと思っている、と揶揄するの、現代でも全然あるな…100年前にも既にそういう問題意識があったのか。
    ベッツィを常勤として雇用することに関してワイコフが反対したときの議論「慈善事業だからタダにすべき」→「営利事業だと報酬がもらえて、公共事業だともらえないということ?」→「ご婦人なんだから家族が扶養すべきだ」ワイコフの主張に筋が通っていなさすぎて笑える。
    7月に、サンディに悪口を聞かれた際、「恋人に疑われたからわざと大げさに言ってしまっただけ」と弁解しなかった時点で、既にサンディのことを友達以上に思っていたということだよな~。
    ヘレンの離婚話、現代でもそんな理由で~と言われることが多いのに、100年前、しかもキリスト教圏と考えるとすごい。

  • あしながおじさんの続編。
    ジュディの友人サリーが孤児院の院長として奮闘する物語。
    あしながおじさん同様、サリーの書く手紙で物語が進んでいく。イラストがとっても可愛い。
    サリーが新米院長として不満タラタラに(!)けれどガッツを持って働く姿、どんな困難にもユーモアを持って立ち向かう姿がかっこいい。
    私は「先生」宛の手紙が一番好き。じれったいなあ、もう!とソワソワしながら読んだ。
    そしてとびきりのハッピーエンドに、にっこりしながら本を閉じた。
    正直、古い偏見に時代を感じる部分もあるけれど、(しっかりあとがきでフォローされていた)やっぱり心躍るハッピーなお話だった。

    ただ、孤児院の子供にあてがわれたギンガムチェックの服が不満で、「ギンガムチェックの終焉!」とまで太字で手紙を書くサリー。
    なんで!ギンガムチェック可愛いじゃないか…!!とそこだけ物申したい。

  • この作品は、続あしながおじさん、と銘打ってあるけど該当する人物が話しに関わってるのはほんの一部だけで、原書のタイトルはあくまで『Dear Enemy』であり、そこが最大の焦点ってとこは間違ったらいけないな、と、読後の今に改めて感じる。

    無印では著者のウェブスターが実際に孤児・感化院で観察した人物のあくまでも理想形がジュディというキャラクターに投影されているように見え、続では集団そのものをまとめあげている人物サリーに加えて、その環境を包みこんでいるもう少し大きな社会を映し出そうとする著者の目線として描かれたもの、という意図のように思う。

    これは前作と同じ世界線で書簡体形式というスタイルが同じなものの、1作品を通して読者へ語りかけてくるメッセージ性が大きく違っていて、無印があくまでも単純な『個人の想い』なら、続は『個人を殺して人に尽くす想い』に集約されている。

    学生気分が抜けず社交界に染まりかけた、いい階級の女性が孤児院の院長として社会貢献をしながら自覚が芽生え、自己犠牲の精神を育んでいく成長過程が印象に残る。

    余談ですが、この作品内で、エレン・ケイの名前がでてきた辺りで、話の雰囲気が山本有三っぽく感じる部分があって、お互いにどっちが先か後かはわからないけど影響を受けあっていたのかな?って邪推してました。個人的にはそうだとちょっとニヤッとする。そんな感じ。

  • 名作「あしながおじさん」の続編。
    ジュディの親友サリーが、ジョン・グリア孤児院の院長として奮闘する日々を手紙に綴っています。

    裕福な家庭で大切に育てられたサリーですが、子どもの成長に必要なものは何か、はっきりと知っています。そのほとんどが、ジョン・グリア孤児院にはありません。必要なものを子どもたちに与えるために、サリーは多くの人を上手に巻き込んでいきます。

    100年前の作品であり、現代の医学では否定されているという学説についても、訳者の方が注釈やあとがきで丁寧にフォローされていて、冷静に読むことができました。

  • DEAR ENEMY、敵へ、つまりマクレイ先生へ。
    今作では、前作の主人公ジュディ宛(他)に、今度は友人のサリーが主人公として手紙を綴ることになる。
    ジュディらのすすめで孤児院の院長となり取り仕切ることになったサリーの日々。マクレイ先生とは馬が合わず、本人を目の前にして"敵"というニックネームで呼ぶなど、これはいかにも特別な関係になるのだろうなと期待した。

    時折登場する、特別愛嬌のあるアレグラを巡る話題が特に面白かった。孤児院に来た経緯から、彼女を引き取りたいと申し出されたものの、彼女を引き取るならその兄2人も一緒でないと、両親を失った家族がさらにバラバラになってしまう、という話、家事で先生が助け、結果的に兄2人も含めて貰われた話。色んな人に愛されやすく、ジュディのように、只者じゃない笑

    p329で、恋人のゴードンへの手紙に、ドーデ「ヌマ・ルーメスタン」主題は"街の喜び、家の悲しみ"という、世の中では誰もが崇める素晴らしい政治家だが、家にいる彼女のもとへ戻ると不機嫌でむっつりしていて元気がない、という男の話題を書き、自分の思いを仄めかしている。
    p334で、夜中に起こされてアルコール中毒の少年を診察治療し顔色の悪い先生を見ていて、先生の陰鬱な家など先生の人生の背景にある恐ろしい悲劇を思い、同情の波に包まれた。

    ーー何かがーー何か電撃的なことが起こったの。気がつくと抱き合っていたのです。先生は私の手をゆるめ、大きな肘掛け椅子に座らせました。「まったく!サリー、ぼくが鉄でできていると思っているのかね?」そういって出ていきました。

    良い感じじゃない〜とニヤニヤしながら読み笑

    p364でゴードンと別れる。
    p367で先生はなぜ私とは面会してくれないのか手紙で訴える。
    マクレイ先生〜〜〜どうか今度お見舞いにうかがうときは面会してください。そして二人で〈時間〉に外科手術をほどこして、五か月を切除しましょう。二人で脱走して大いに楽しんだ日曜の午後を覚えていますか?今日はその翌日です。サリー・マクブライド
    別日・敵殿〜〜ご覧のとおり、いまは先生に対して友好的な気持ちです。「マクレイ」というときは好きではなくて、「敵」と呼ぶときは好きなのです。〜

    作中は前作と比べて退屈な場面も多かったが、最後の最後は、作品名から答えは分かっていても、ああ〜ときめきました笑
    相変わらず終わり方が素敵です。作中の退屈だった場面も、後半の先生とのやりとりで吹き飛びました。

  • あしながおじさんは子どもの頃に世界名作劇場アニメで見た。ジャービス視点で想像しながら読むと楽しい(*^^*)。
    続あしながおじさんは、ジュディの友達のサリー目線のストーリー。始めはイヤイヤ孤児院を任されたけれど、子どもたちに向き合い孤児院の立て直しに奮闘するうち仕事に愛情が沸き前向きになっていく。好きな仕事を捨ててただの専業主婦になることに疑問を抱き、働きつつ本当に愛する人にも出会うこちらも素敵なストーリー。けれど今の世の中ではかなり引いてしまう思考(当時はそれが当たり前だった優生学)が散りばめられていて驚いた。
    作者のジーンウェブスターは女の子を出産した次の日に亡くなったそうだ。旦那さんはひどいアル中だったそうだが、お嬢さんがどうなったのかとても気になるけど調べても分からなかった。

  • 当時の孤児院の様子が鮮明に書かれていて児童福祉の観点から読んでも面白い作品だと思いました。

  • この本のタイトルが『続あしながおじさん』でなければおそらく私は最後まで読まなかったしなんだったらパラパラとめくってすぐに図書館の本棚に戻しただろう。そのくらい、私にはこの本が合わなかった。
    私が合わないなと感じた理由に「私の視線が誰にも憑依されないこと」があると私は考える。『あしながおじさん』では私の視線は手紙を本来読んでいる人間とリンクしており、次はどんな内容のものがくるのか・自分だったらどう返信しようかと自分が物語に入り込んでその世界観を味わうことが出来る。これは手紙形式の作品に共通する魅力であり、この効果を上手く使えるかどうかが作品の良し悪しを大きく分けるのではと私は思うのだ。
    一方で、この本では宛先が複数おり私が本来の読み手と永続的にリンクしないため私の視線は書き手のサリーに戻ってきてしてしまう。それは手紙形式の醍醐味を失っておりサリーの独りよがりにしか見えなくなってしまう。だから、私はこの作品が楽しむことが出来なかったのだろうと今のところ考えている。この作品がもしサリーの日記という形式をとっていたならばサリーの書いた日記を閲覧しながら「こんな感じだったのだろうな...」と想像を膨らませるという楽しみ方が出来たかもしれない。

    もちろん、良いところもある。孤児院という世間から最低限のものとしてしか見られない施設をその施設で暮らす子ども達にとって良いものにしようと斬新なアイデアで変えていこうとする姿は素敵だと思うし前作のジュディがその後どのように暮らしているのかも断片的にだが知ることが出来る。
    だが、前作の良さを上手く活かしきれていないという点であまり他人にオススメはしないだろう。

  • 幸せな結婚を果たした級友ジュデ ィに、彼女の育った孤児院の運営を任されることになったサリー・マクブライド。何不自由ない家庭で育ったサリーにはとても抱えきれない重荷だが、ジュディや恋人の政治家、嘱託医にユーモアたっぷりの愚痴を手紙に書いて送るうち、少しずつ院長の責務に喜びを見出していく――。『あしながおじさん』に勝るとも劣らない、愛と感動の結末が待つ名作。

  • 前作に続き書簡体でありながら、実にリアルに描かれた仕事と愛情と友情の物語。
    ジュディの推薦で主人公のサリーが嫌々始めた孤児院の院長の仕事、それを手放せなくなるほど愛していく過程の感情豊かな手紙が、本当に一人の人間の生き様を準えているようで、読み終えてからもサリーの人生は続いていくのだと深く感じました。
    著者であるジーンの人生経験がそのまま物語に生かされているようですが、サリーはどうか末永く幸せに暮らせますようにと願うばかりです。

  • ジュディの大学時代のルームメイト、サリーが主役の物語。『あしながおじさん』をそもそもほぼ名前しか知らずに読んだのですが、続編もあったなんて。
    そして個人的にはこの続編がまた、前作にも増して素晴らしかったです!
    サリーの、周りを明るく照らすような屈託のない朗らかさ。強かなたくましさ。人を巻き込む上手さ。
    ジョングリアー孤児院に来るべくして来たような人でした。
    ぐいぐい読ませる魅力的な展開の中に、時代背景を色濃く感じる「当時の常識」が散りばめられていて、サリーの発言に時々どきり、ぎくりとして、考えさせられます。
    悪意や偏見からではなく、純粋な正しさとして、そういう考え方が常識だった時代があったのかと…

    前回同様に、ははーん今回はここね~というニマニマポイントもあり、それもまた楽しみに読み進められました。

  • 中学生で読んだときは「親愛なる敵さん」というタイトルだった気がする。ひさびさに読み返したく(新聞の読書面で読んだ、世界的な少女小説作家が書いた子ども向きじゃない別の顔、みたいな特集で思い出した)、新訳を買ってみた。ちょうど正編のほうも数年前に新潮文庫版で買っていたので。

  • 書簡形式の本は、想像で埋める作業が楽しくてやはり好き。そして内容。あしながおじさんよりも好みかも。図書館で借りたが、購入して本棚に置きたい本。娘がいたら読ませたい。

全37件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

ジーン・ウェブスター

「2004年 『あしながおじさん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ジーン・ウェブスターの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ヘミングウェイ
森見 登美彦
サン テグジュペ...
ジーン・ウェブス...
フランツ・カフカ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×