風と共に去りぬ (5) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102091050

感想・レビュー・書評

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  • 2020/08/03 再読
     利己的で欲しいものを得るためならどんな手段を使ってでも手に入れる強さを持つスカーレット、隣人を愛し、自分の愛する人々に誠心誠意を尽くす天使のような女性メラニー。
    文学や芸術、過ぎ去った美しい過去を懐かしみ、すっかり変貌を遂げてしまっま戦後の世界で苦しみながら紳士として生きるアシュレイ、長い間南部の裏切り者として蔑まれていたが、その能力を南部、民主党最盛のために駆使したレット・バトラー。性格を対極にする男女が南北戦争という時代の荒波をどのようにして生きたかという壮大な物語がこの『風と共に去りぬ』である。

     その中でも心に残っているのは、レットが終盤でメラニーやスカーレット本人に語る、スカーレットへの狂おしいまでの愛情だ。レットはいつもスカーレットを助けていたが、その態度はいつもふざけていて単にからかっているかのようだった。だけどそれは、自分を愛するものたちには何の興味も示さず、自分の目的のために利用してしまうというスカーレットの性質を完璧に理解していたからであった。よってどんなにスカーレットを愛していようとも、そしてどれだけ合っている二人かを自覚していても、レットにはその愛をストレートにスカーレットに伝えることはできなかった。スカーレットとの間にできたボニーという女の子をこれでもかと甘やかしてきたのも、スカーレットに対する愛が根底にあったということをレットの口から聞くことで胸が締め付けられた。もう少しスカーレットがレットに優しくできていたら、レットが意地を張らなければ、違う結末もあったんじゃないかと思わずにはいられないけど、この二人の性質上、やはり仕方なかったのだろう。
      
     また、アメリカの南北戦争、黒人と白人の当時の関係についても知ることができるという点でも、この作品を読む価値は大いにあると思う。今でこそ一つの巨大な大国アメリカであるが、つい150年前くらいに、北と南で内戦をしていたという事実。もちろん史実としては知っていたが、内戦に敗北を帰した南部の人々の苦しみ、そこから立ち上がっていった者、過去にしがみついて嘆きながら暮らしていった者など、フィクションの世界ではあるが、戦争に翻弄された一人ひとりに思いを馳せることができた。

     でもやはり、スカーレットとメラニー、この二人の女性の強さこそ、この物語の象徴だろう。いつの時代も、女性は強い。
      
     大好きな小説。



    2013/01/12
    ただただスカーレットの欲望剥き出しの生き方に強い好奇心をそそられて一気に読んでしまった。レッドの情熱、メラニーの深い愛、いろんなものがスカーレットを取り巻いていたのに、無くなってからしか気づけなかったスカーレット。最後まで読んでやっとタイトルの意味を理解した。大学の時にこの本に出会えて良かった。

  • 10数年振りの再読作品を、こんなに夢中になって読み耽るとは思いもしなかった。

    1巻〜5巻をノンストップで読んでしまった。

    この最終巻は思わず目をつぶってしまいたくなる程、
    辛いシーンが多かった。

    レットバトラーと結婚してからのスカーレットは、まさにやりたい放題で、今までの彼女の良さがすっかり抜け落ちてしまったように感じ、見ていられなかった。

    そしてスカーレット最大の庇護者だったメラニーとの別れ。
    今まで感じよく思ってなかったアシュレを、決定的に嫌いにさせてしまった。

    スカーレットは色々な人を失い、ようやく自分の気持ちに気付くのだが、
    やはりそれは虫が良すぎるように私は思う。

    彼女は最後の最後で、ようやく子供時代に終わりを告げたのだろう。

    この作品を読んだ事がない人に、是非おすすめしたい。
    こんなにも読みやすく夢中になれる歴史小説は中々ないと思う。

  • 遂に結婚したスカーレットとレットですが、2人の間にはだんだんと亀裂が…
    原点に立ち返って、再び歩み出して行くであろうスカーレットに感動しました。
    ただ、あまりにもレットが可哀想で、もしこの時こうしていればと考えてしまいます。

    …遂に、この長い物語の幕が閉じました。
    得るものがとても多かったです。
    スカーレットの生き方、戦争の女性の苦労、戦争によって失うものの多さ、レットの愛情、メラニーの純情…
    久しぶりな本に心が洗われた気がします。
    この物語に出会えて良かったです。

  • いよいよ最終巻。レットと結婚してからスカーレットの我儘に拍車がかかる。あらん限りの贅を尽くし散財しまくる新妻に、それを微笑とともに受け流すレット。レットはこんなにスカーレットを愛していたのに、自分を愛するものに対してそれを利用し、図にのるスカーレット。愛娘ボニー・ブルー・バトラーが産まれて、マミーがついにレットを認め、贈り物の赤いペティコートを着た時のシーンでは、涙した。愛しのボニーが2人の目の前で亡くなってしまってからのスカーレットの態度のひどいこと…そしてメラニーも亡くなり、アシュレとのバカな恋から覚め、今更レットに尻尾を振っても遅かった。タラに戻ればうまくやれるのか?辛いことはすべて明日考えればいいのか?スカーレットは凄まじく自己中心的な女性である。風と共に去りぬで、黒人の奴隷について初めて詳しく知った。メイドと奴隷は異なるのだろうが、オハラ家の母エレンの黒人奴隷への考え方が尊敬できる。彼らは子どもなので優しく接すること、なんてことをまだ10代の娘に教育するのだ。しかも、エレンは祖母の代から頼れる黒人奴隷マミーを引き継がれている。そしてエレンの死後はスカーレットがマミーの主人になる。こうして力量のある奴隷は受け継がれていくなんて、まったく知らなかった。本書からは戦争のひもじさや悲しさも勉強になった。愛する人を戦場へ見送らなければならないなんて、辛すぎる。名誉の負傷なんてあるものか。戦争なんて馬鹿げてると私は思う。

  • 良かった。スカーレットの偏った考え方がほぼ一人称で語られ、人に嫌われるのを厭わない潔さが気持ちよくてつい共感してしまう。スエレンの婚約者を横取りしたのがどうしてもひっかかるが、バトラーが一緒になったからってもっと不幸だったかもしれないというのに納得。結局祝福されないカップルだったのだろう。それに何としても一緒になるという気持ちを貫かなかったわけだし。
    クークラックスクランや南部人、北部人のの黒人に対する考え方など、臨場感をもって理解できる。
    また、メラニーを準主役として輝かせたところに作者の人間性の深さを感じ、小説としても素晴らしい本になった。
    最後はレットの人物描写が?

  • 全5巻読了。

    1960年代のアメリカ南部が舞台。
    南北戦争勃発直前から、その後の再建時代にかけてを生きる人々の物語。

    スカーレット・オハラ、レット・バトラー、そしてメラニーとアシュレ。
    登場人物の個性がそれぞれ際立っていて、時代背景とともに複雑に絡み合う人間関係と、主人公の波乱万丈な人生に目が離せなかった。

    やはり女性は強い、と思った。
    どんなに過酷な現実に直面しても、自らの力でたくましく生き抜いていくスカーレットの強さ。
    そして、信念を曲げずに、どんな時も深い愛情で全てを包み込むメラニーの優しさ。

    スカーレットの強さに憧れ、メラニーの優しさに感動し、私も強く優しい人になりたいと思わずにはいられなかった。

  • 嵐のように突き進むスカーレット。明日は明日の風が吹くから。

    スカーレットは間違ったわけではない。彼女は生きるために、そのとき、一番必要なものを求めただけ。「今」だけに全力を傾ける女性だったのだ。「過去」を振り返るアシュレや、「未来」を考えられるレットとは異なる。スカーレットには、「今」しかない。

    メラニーは優しい人だったかもしれない。でも、彼女は決してすべてを許す人ではなかった。譲らないところもあった。身体は弱かったかもしれないけれど、強い人だった。だから、強いけれど、決定的な弱さを持っていたアシュレもスカーレットもレットも、メラニーを失うことは痛手だったのだろう。

  • 旧訳なので読みづらいかと思ったらまったくそんなことはなかった。まさに「ザ・翻訳小説」といった文体で、小学生の頃に読んだ海外文学を彷彿とさせるような趣きで懐かしくもとても読みやすく、特に南北戦争の詳細やアトランタの街の情勢の動きなどの地の文の読みやすさたるや格別だった。
    しかし、レットの「Frankly my dear, I don’t give a damn」が随分と優しく訳されてるなあと思った。鴻巣さんや荒さんの翻訳ではもっと突き放すような言い方だった気がするのだが。「俺の知ったこっちゃないよ」と冷たく終わりを告げるのか、「君をうらんじゃいないよ」と優しくフォローするのかで、かなりラストの読み心地が変わるなあと思うし、その他にも要所要所で、「私はこういうニュアンスだと思っていた(が、この本だと違う印象を受ける)」という部分があって、なかなか翻訳の面白さも感じられて良い読書だった。
    それにしても、まったく素晴らしい小説だというのは何回読んでも変わらないな。

  • 10代の頃に読んだ本

  • いう事なし!
    傑作です

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