風と共に去りぬ 第5巻 (新潮文庫)

  • 新潮社
4.65
  • (65)
  • (21)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 367
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102091104

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 読み終わってしまった……
    読み終わったその日に朝ドラ「スカーレット」の俳優さん同士がご結婚とのニュースを知り、読了後の寂しさは忘れ、次は「スカーレット」があるじゃないかと思い出す。

    シンプルにスカーレットの人生に荒波がありすぎて、平和な時期なんて本当に一瞬、5巻の初めの章のみだった気がする。
    南北戦争の最中が縦軸なのだけれど、それが荒波のメインというよりは、戦後のスカーレットの人生そのもの、関わる登場人物の人生の波乱の方が圧倒的に大きいような感覚。

    戦争がもたらすものは、戦時中の苦悩だけではなくて、戦争が終わってからの再生、復興、取り戻すことのできない現実、取り残された人たちのもがき、後遺症が遥かに大きい。

    変わってしまったレットと、どうしても素直になれない2人の波瀾万丈な生活に、読み手はもどかしく、似たもの同士が過ぎると逆に上手くいかないんだな、と考えさせられる。

    とにかく1巻目からどんどんメラニーという人物が大きくなって、最終的にはメラニーが主人公でも良くないかとまで思わされるほどに存在感が増してくる。


    スカーレット…本当に人を見る目が…ない!笑


    解説にもある通り、トルストイの「戦争と平和」も読もうと思う。

  • 読書会で取り上げられてなかったら、読まなかっただろう。読書会での発表を意識して読んだお陰で、訳されている言葉の適不適であったり、表現されている意味を考えながら読む事が出来た。

    また、読書会参加者の視点を得る事で、新たな気付きや新鮮な考え方に触れる事が出来た。

    特に自分自身が年齢や経験(今回の場合はアトランタ在住経験も)を重ねてきた事で、頭の中の理解だけでなく実生活を通した感覚を持って読む事が出来たと思う。

    後半になるに従いスカーレット自身の登場場面が少なくなると共に、今まで美しく見えていた彼女の力強さが、今度は醜くく変幻してきている様に思えてきた。

    訳の良さもあってか(細かい点においては色んな疑問や注文、はあるけれど)文庫本5巻あってもあっという間に読めてしまう。そのため読書会のペースを越してしまうので、次に進みたい気持ちを抑えるのが大変でした。

  • 正直スカーレットが子供すぎて、辟易でした。
    アシュリに対してもレットに対してもメラニーに対しても、とにかく自覚なしに甘えすぎ。

    フランクの死でちょっとは大人になったかと思ったのに、同じことを繰り返しているし…
    (メラニーを失って初めて、大切さに気づく)

    バカ?(すみません)

    とりあえずレットに関しては、いったん失うことは避けられそうにないけど、読者はそこまで悲嘆したりバットエンドと思ったりする必要はないかなと思います。
    (実際スカーレットは悲嘆していないしね…)

    だってレットは生きているんだから。
    明日も明後日も。

    それだけでも希望はあるし、やり直せるし、わたしはハッピーエンドと思いました。
    初めは、「えっ!? これで終わり!?」と思いましたが。
    (なんだかんだ最後にはふたりの心が通いあうシーンが見られると思って、それを楽しみに読んでいたので)

  • 圧巻の壮大なストーリー。全5巻に及ぶ長編ながら一度も飽きることなく次々と起こる展開に引き込まれて、読み終わってすごい話だったなと思う。読み終わった時点でまたもう一度読み直したくなったほど。結末を知ってまた違う読み方ができそう。
    学生時代に一度読んでいたものの、かなり忘れていた部分もあったし、大学生と40代では同じ作品を読んでも感じ方が違う気がする。
    アメリカ南北戦争前後の激動の時代背景とスカーレット・オハラの波乱万丈の人生。海外版の大河ドラマみたい。でもこれってまだスカーレットが28歳までの話だなんて驚き。
    スカーレットの強さと賢さに感嘆したり、反面の愚かさとじりじりしたり。またレット・バトラーとの擦れ違いにやきもきさせられ。そしてメラニーの優しさと聡明さと強さに最後はこの女性こそが影の立役者であったことに気づかされ。
    スカーレットの故郷タラに対する郷土愛も印象的。スカーレットの原点はタラの赤土。その強さの原点。最後に何もかも失ったスカーレットはタラに戻るところで物語は終わるけど、きっとスカーレットはをここでまた力を取り戻してこのままでは終わらない気がする。「今考えるのはよそう。明日考えよう。」スカーレットの印象的なフレーズ。彼女はそうして明日を切り開いていったのだから。
    激動の時代の流れに翻弄されながら強く生きたスカーレットの物語。間違えなく名作だ。現代ものばかり読んでいたこの頃だったけど、時代物の読み応えはたまらない。世界史の教科書ではわからないその時代のアメリカ南部の空気に触れられた気がした。本当に面白かった。

  • 数えてみたら高校生で読んで以来、ほぼ30年ぶりの再読である。数回読んではいるし、映画も観ているし、と思いつつ新訳で読み始め、旧訳・映画から受けていた印象がどんどんずれていくことに驚いた。
    とはいえ、スカーレット像はそのままである。なぜか。スカーレットの心情は包み隠さず、あけっぴろげに語られるからである。誰かが何か示唆的なことを語り、読者も神妙な気持ちになったとたんに、スカーレットは心の中で”何の話をしているのか、さっぱりわからない”とばっさり切り捨てるものだから、私も、小賢しく頷いちゃっていた自分が恥ずかしくなったりもする。
    ということで、高校生にも主人公の(単純な)心情は余すところなく理解できたのだろう。
    スカーレットのお向かいにいるのが「影の主人公」メラニー。対して彼女が本当は何を思い、どう考えていたのかは最後までベールに包まれたままだ。ただし、その行動には嘘がないので、読者もメラニーの人間性を理解し愛する(スカーレットは全く理解してなかったけど)。
    旧訳ではいかにも古い小説を読んでいる”ありがたさ”もあり、それも面白かったのだが、新訳は文章のリズムで読者の心を一気にその場に引っ張り込む。旧訳ではあまり印象に残らなかったスカーレットの「ダサさ」(敢えて言おう!)が際立ったのも非常によかった。
    ところで、映画の印象に引っ張られて当時は気づかなかったが、これは「戦争小説」でもある。最初は絵空ごとのように思えていた戦争が、やがて間近に迫り、わが身のこととして降りかかり、一般の市民すら、戦場でもないのに人を殺めることにもなる。
    背後に多くの物語を含む小説。訳者解説によると作者は「映画化は無理」と言っていたそう。映画はあくまで小説の一部分しか切り取っていない、だからこその傑作となりえたのだろう。語られていない部分を誰かと語り合いたいくなる(しかも熱を込めて)のは、各々の人物造形がしっかりとしているから。わたしが誰かと語り合いたいのはメラニーを後継者とする「聖母」の母、エレンである。

  • 母になってから読み返すと、この物語の終盤は、親とは何かについて考えさせられるパートでもあった。超安産体質で出産後はマミーに預けビジネスに邁進するスカーレットと、自らの命と引き換えにでも産もうとするメラニーの対比。
    全編通して描かれているテーマの多様性に本当に驚かされる。

  • 2人がもう少しでも素直だったら、別れることは防げたはず。特にスカーレット。好意を持ってるなら「好き」、何かしてもらったら「ありがとう」、自分に非があったなら「ごめんなさい」。何かしら友好的な反応をしていたら、レットは愛されていないと思い悩むことを防げた。


    まあ両者ともプライドが高くて素直さに欠けていたからできなかったのだろうけど。この小説では似た者同士だけが安定した結婚生活を送れる論を推すけど本当か?似た者同士は似たような短所をもつことも意味する。共通の短所を原因とした問題が発生したときにうまく対処することができない。スカーレットとレットはその際たる例。

    作者はこの作品に10年かけた。長い時間をかけ作られた作品だけあって、どの巻も丁寧に抜け目なく描写されている。そして読書に没頭させる。一度読み始めたら止まらなくなり徹夜で2巻連続読んでしまうほど。この小説は言葉では表現できない興奮と刺激を与え読者に忘れさせない強烈な印象を与える。小説の快楽を存分に堪能させてくれる作品。出会えてよかった。

  • 最後のシーン。本当に風が吹き抜けた。その風に後押しされるように、スカーレットはいつものように前に進んでいく。

     まさに、「明日は明日の風が吹く。」

     こんなに中途半端な終わりでも、きれいさっぱりしている作品はなかなかない。スカーレットなら、こんな終わり方でもいっか。そんな気にさせてくれる。


     あと、本当の主人公が誰か、全巻よんできっとわかる。


     この作品を計算してつくったと作者はいう。(p526)
     10年もの歳月をかけて織り上げた作品だという。納得がいく。
     どうしてこんな嫌味な女の物語を延々と読まされているのに、見入ってしまうのだろう。飽きが来ない、どころか先を求めてしまう。悪どい女のすさんだ心のやり口を見せつけられているのに。でも、その女が何をやってもうまくいかない、いや実際は最悪の状況をいつも切り抜けて成功にゴリ押しで辿り着いている。でも、決して満足できない幸せになれない。そんな滑稽さに胸がすくのだろうか。
     他人の不幸は蜜の味。
     しかし、何度打ちひしがれても立ち直る人間の姿は、さわやかで、むしろ小気味いい。読んでいて、やはりどこか勇気づけられてしまう。
     そういうところが名著なんだろう。

  • こんなにも心を動かされる物語に今まで出会ったことがなかった。わがままで強情なスカーレット。「本当に子どもだなぁ」と思うけれど、その強い生き様から学ぶものが沢山あった。結末は意外だったけれど、こういう終わり方だからこそ感じるものが多かった。

    登場人物全員が生き生きとした表現で描かれていて、一人一人本当に魅力的だった。結末を早く知りたいと思い ってページをめくってきたけれど、いざ終わりを迎えてみると、この世界とのお別れに寂しさがこみ上げてきた。スカーレット、レット、メラニー…本当に大好き!

  • 主要4人の心の動き…とりわけ映画では今1つわからないままの最後のレットとスカーレットの、行ったり来たりの心の動きが丁寧に書き込まれていて、あれこれ納得する。もしや「風と共に去りぬ」はストーリーを楽しむ大河小説というよりも、”心理小説”なのかもね。。。

マーガレット・ミッチェルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×