叶えられた祈り (新潮文庫)

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制作 : Truman Capote  川本 三郎 
  • 新潮社 (2006年7月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102095072

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叶えられた祈り (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • トルーマンカポーティの独白本、どうでもいい内容も多かったもののゴシップが好きだと面白いかも知れない。
    確かに哲学的な内容も含まれていたがそれぞれが陳腐な話ばかりなので非常に軽い

  • カポーティ、未完の遺作。
    未完と言っても、遺された幾つかの章はそれぞれまとまっていて、繋がりもないので(もしかしたら最後に全てが繋がるはずだったのかも知れないけれど)、ぶつっと終わってしまって続きが気になるということもない。
    本当は書き上げていたのに、カポーティ自身がこれ以外の章を破棄してしまったのだという噂も、あり得なくはない。
    書けなくなってしまったカポーティが苦しみながら何とかひねり出した残骸、というような評価を見受ける通り、物語としての完成度は他の作品には至らない。
    それでも彼の魅力は、灰に埋れた小さなダイヤモンドのようにところどころでまだ輝いている。
    恋に落ちる描写などは見事。
    無理に扇情的に、権威的にしようとして複雑かつ空虚になってしまっている部分も、カポーティ贔屓の身としては、物語ではなく彼本人の悲哀が感じられてたまらなく切なくなった。
    作品を味わう正しい態度ではないだろうけれど。

  • カポーティ未完の遺作。
    実名/仮名で、自分の見てきた上流階級をスケッチしていくも、先行発表された部分で名前の挙がった人々から猛反発をくらう。
    『冷血』のあとで書けなくなったというのは本当らしい。詩のように美しい文章で小説を書ける才能があり、それを誰よりも自負していた作家だけに、この作品がうまくいっていないことは本人が一番よくわかっていたことだろう。

  • 第1章が1番良かった。カポーティという作家の負の側面が見えた気がする。彼を破滅に導いた遺作。あとがきを読んで作品を振り返るとまた一味違う。文庫買おうかな…。2011/357

  • カポーティは1作ごとに、実験的な試みを課していた。その典型的なのがノンフィクションに徹しようとした『冷血』であり、その圧倒的な成功は作家の頭から離れなかったようだ。今回もセミドキュメント風の手法をとっているのだが、内容的には文壇(サルトルやサリンジャーも登場)やアメリカ社交界(こちらにはジャクリーン・ケネディ姉妹も)のスキャンダルの暴露といったものになっている。主人公のジョーンズは、もちろん戯画化されたカポーティだが、彼はあくまで社交界の人ではなく、それを熱く羨望しつつも冷ややかに眺める人だったのだろう。

  • 未完なのが残念。
    続きを読みたい。

  • トルーマン・カポーティの絶筆にあたる作品。自らを天才と考えていた彼は、「冷血」で商業的な成功と名誉を手にした後にどんな作品を書くのか苦悩し、結局思い描いていた世界は完成せず、失意のうちに死を遂げる。

    自らの周囲の人間のさまを「冷血」で構築したノンフィクション・ノヴェルの方法論を用いて描こうとした野心は何となく分かるものの、こうして読んでも優れた作品だとは思えない。ただ、カポーティという人間の苦悩だけが伝わってくる気がした。

  • 冒頭が良いですね。

  • 個人的には、小説というよりも、一種の日記のように感じた。
    幼い少女への言葉に始まり、それに終わるというのは非常に好きだが、これは確かに、書かれた本人たちは怒りそうである。

  • 以前途中まで読んでいて、放置していたのを再読。

    カポーティは好きな作家である。
    文章の随所に表現される闇が心惹かれるポイント、
    のはずなんだけど、
    歳を取ってきたせいか、
    汚い描写に嫌悪感を抱くようになってきた。
    汚い描写というのは、露骨な性欲や排泄など。
    そういった意味で第一章『まだ汚れていない怪獣』はちょっと苦手だった。
    し、よって恐らく私には公平な見方ができていない。

    『ラ・コート・バスク』で表される有閑層のゴシップは、
    今でももちろんセンセーショナルな内容だが、
    恐らく作中の時代の最中であればより一層のインパクトを持っていただろう。
    その意味で、この章の価値は時代に付随するものなのではないだろうか。
    「こういった試み」という価値は普遍だろうが、
    純粋な「小説としての面白さ」は、
    また別にあるような気がする。

    この手の闇(病み)は若い頃は好きだったんだけど、
    今の私にはちょっとtoo muchかな、という感じ。
    あるいは、今の時代が、
    「破綻していく芸術家」というものをクールだと捉えないんだと思う。
    そしてクラシックとして捉えるにはきっとまだ時代が浅い。

  • 著者の遺作。

    クソッタレなセレブ共に憧れる作家志望な男娼はカポーティ自信の投影でしょうか?

    未完ということで、続き、特に一章、二章に続く話を読んでみたかった。

  • 破状した精神の元に書かれていたであろう著者の遺作。幼少期(キャリアの初め)回帰を目指しながらも相反するかのように醜い世界を書いてしまっている様がただ美しい、だけ。

  • 苦しい。ただただ苦の骨頂

  • 是非完成したものを読んでみたかった。
    実在するセレブたちから仕入れた暴露小説ということで、暴露された側が非常に不愉快に感じたのはムリもないと思うけど、反面、誰がモデルで何がネタなのかもサッパリな者としては、小説としてこの世界を堪能できたけどな。

  • 未完だけれど、それなりに楽しめて読めてしまいます。悪くないですよ。カポーティぽさもちゃんとありますし、その早すぎる死が残念でした。

  • 「冷血」を書き上げて、カポーティはもう書けなくなってしまったんだなと感じた。未完である以上、ここに載っている三つの章だけから彼が何を書きたかったのか推測することは不可能なんですが、ある意味ではもう彼にとって「作家になること」は叶えられてしまった祈りだったのかもしれないと思った。人間の堕落、欲望、孤独が痛いほど感じられる一冊だった。

  • トルーマン・カポーティが晩年に執筆していた遺作。
    アメリカ上流階級の綺羅びやかさの裏で繰り広げられている現実を、
    作者自身の分身とも見て取れる主人公P・B・ジョーンズの目線から綴っている。

    ノンフィクション・ノベルという新たな金字塔を打ち立てた大作『冷血』のヒット以降、
    カポーティ自身も社交界の仲間入りを果たしたのだが、
    作中であまりにストレートに(時に実名を挙げながら)内部事情を打ち明けてしまっているため、その後社交界から追放。
    次第にドラッグと酒に溺れ、自ら「傑作」と喧伝していたこの『叶えられた祈り』を完成させる間もなく、カポーティは世を去ってしまう。

    本書では生前発表されていた『まだ汚れていない怪獣』『ケイト・マクロード』『ラ・コート・バスク』の3つの章が収録されている。
    『ラ・コート・バスク』は前述の通り当時の社交界に大きな波紋を呼んだほどゴシップな内容なので、正直途中から読むのが苦痛だった。
    しかし、全編にわたってゴシップな内容に終始しているわけではない。
    特に、主人公にとって始めての「愛する人」ケイト・マクロードと対面しての一連の描写には息を呑んだ。
    まるで自分がP・J・ジョーンズになったかのような錯覚すら覚えた。
    読者を物語世界へするりと誘う不思議な引力、それがカポーティの文章の魅力だと私は思っている。

    本作がこのような中途半端な形で遺らざるを得なくなったというのは残念でならない。
    苦境にあえぐカポーティの心の叫びが聞こえてきそうな作品だった。

  • 「叶えられなかった祈りより叶えられなかった祈りのうえにより多くの涙が流されている」
    とりあえず読んでみて損はしないです。
    著者の晩年の作品でこの作品の影響?で、アルコール、ドラッグに苦しめられながら亡くなった事実上の遺作。
    退廃的ハイソサエティなアメリカの上流階級の生活を赤裸々に書き、「ノンフィクション」の要素が多く、実名や登場人物も実在の人物を出し、それによって今まで過ごしてきた人々から反感、信用の損失、それによって作者が加速的に上記の通りに自我を失っていった作品。
    結局未完に終わってしまい、最後までの章が書いていない。
    もしそれがあるのならば是非とも読んでみたいです。
    再読しても面白いと思います。

  • カポーティはずっと子供から大人になろうと苦しんでいたんだ。あの冒頭の美しさ

  • 最後の作品で未完。カポーティの陰の部分が現れてる感じでどうも。

  •  「冷血」のカポーティの未完の遺作。
     セレブたちの退廃的な生活を描く。

     *また汚れていない怪獣
     *ケイト・マクロード
     *ラ・コート・バスク

     個々で主人公が違うので、未完の長編というより短編集な感じがする。これらがどうつながって一つになるはずだったのか、読みたいと思う半面、これでよかったようにも感じる。なんか、開けてはいけない扉をあけてしまいそうだ。

     中身は、本当に退廃的。
     つか、これでもかと退廃的。
     醜聞的でもあるし。っても、現代マスコミのスキャンダルを一杯見てる身には、これぐらいで問題になるのか、と思う。昔は、なんであれ上品だったってことで。

     …人間のしたたかさがとても印象的。
     「まだ汚れていない怪獣」のカポーティを思わせる作家志望の青年にしろ、「ケイト・マクロード」の貧しい生まれから結婚を機にセレブの仲間にはいっていく女性にしろ、現状にそのままでいたくないというパワーとそれをなんとしても実行するというしたたかさが、痛い。
     うん、痛いのだ。

     まるで、痛さが生きる証しのような…。
     精神的自傷の物語のように感じる。
     

  • カポーティの未完の遺作。ノンフィクションノベルの金字塔となった「冷血」に引き続き、ノンフィクション路線を狙い、実在の人物の内輪話が多く書かれている。カポーティとしては、プルーストの「失われた時を求めて」がヨーロッパのハイソサエティの実情を描きだしたように、アメリカのハイソサエティの退廃的な生活を浮き彫りにしていく、という野心があったようだが・・・。行き過ぎて(ここに書かれて自殺した夫人もでたという)、社交界の人々を激怒させ、カポーティは孤立し、破滅へと追い込まれたらしい。
    ただ、実在する世界各国のレストランやバー、ホテルなどで上流社会の人々がどう過ごしているか書かれており、旅ガイドとしては面白いかも。

  • やっぱりカポーティもよい、
    訳が川本三郎さんというのもよい。

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