老人と海 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100042

感想・レビュー・書評

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  •  言わずと知れた名作なので、タイトルとあらすじから、孤独な老人が海に向き合いながら黙想したり、回想したりする話だと勝手に想像していた。実際に読んでみると、確かに、独り言癖のある老人がいろいろ考えながら大魚と闘うストーリーではあるが、驚くほど臨場感とスリルある描写の連続で、地味な設定に反してとても面白い。現代にも通じるエンターテインメント性があると思った。
     また、ヘミングウェイが「失われた世代」の一人と言われるように、昔は強く有能な漁師だった老人が、一匹も魚を釣れなくなっていたところに現れた大魚を放すまいとする姿には、失われたものに対する執着が表現されている。しかし、喪失感だけに留まらず、物語の終盤、老人が持ち帰った大魚の残骸を目にした村人たちが老人への尊敬の念を新たにするシーンからは、経験を積んだ者への労りと肯定を見出すこともできた。

  • キューバはテレビでしか見たことがないが、その映像を脳裏に巡らせながら読んだ。
    サンチャゴの孤独な闘いと、その精緻な描写が読む側にも伝わりついつい力が入ったり、焦燥感にかられたり…サメに襲われ敗北するサンチャゴ、しかしそれは本当に敗北だったのだろうか。

  • 精神論。忘れてはいけないもの。
    そんな事を思いました。
    ストーリーでは、魚をなかなか釣り上げないので、しびれがきれそうな感もありました。
    自分自身の、魚は釣るものだと言う固定観念と視点の狭さ、等身大の自身を突きつけられた感じです。
    違った角度から何かを探し当てたい時には、この本を思い出しそうです。

  • ・大ディマジオの効果は?
    ・夢のライオンと砂浜の役割は?

    「あの子がいれば」と何回言うのか

  • 自身が今まで読んだ小説の中でこんなに1人の人間(老人)にフォーカスした小説は初めてだった。
    老人の海や魚に向き合う親しい気持ち(友達)や外見描写が印象的。
    ただ1人老人を慕う少年の成長や老人を蔑む村人の存在、それらに対する接し方に老人の人柄がでていた。
    若い頃は漁に出ても、言葉を発しないようにしていたと言ってたが、1人で漁にでると独り言も多くなっていることから歳を感じている。老人は言葉を声に出すことにより自身の心を燃え上がらせている。

    印象フレーズ
    人間は負けるように造られてはいないんだ

    そうだ魚だって友達だ。
    こんな魚は見たことも聞いたこともない。
    けれど、おれはやつを殺さなければならないんだ。
    ありがたいことに、星は殺さなくてもいい。

  • 鮫が襲ってくること、分かっていたけどいざその描写に辿り着くと手に汗握るような臨場感。老人が巻き込まれないかヒヤヒヤ...老人が海水に手をつけて傷を治そうとしたり、魚を捌くところがとってもリアル。自分じゃ出来ない体験を本を通してできるから読書っていいですよね。子供の頃に読んでたら、ワクワク感とかまた違った感触だっただろうなぁ

  • サンチャゴの強さがひしひしと伝わってくる作品だった。

    勇気が貰える作品だと思う。

  • 名作はとりあえず読んどけ。
    という事で、読みました。
    確かに無駄のない文体、、、和訳なのですが、そう感じました。
    原文も一度読んでみようと思います。

    老人が、厳しい自然に打ち負かされる、だが救われてない訳ではない。勇気も寄って立ち向かった。そして少年は誇りにそれを思っている。じんわりくる作品でした。

  • 高校の英文学のクラスで、いつかの学期の教科書として使ってたのがこの作品だった。原文を読める機会だったのに真面目に読まなかった高校生の自分を恨めしく思うけれど、当時の私にはこれは読めなくて当然だったなと初めてちゃんと最後まで読み終わって思った。 読むべき時というのがあるのだ、きっと。たぶんまだ味わいきれていなくて、もう少し歳を重ねたらまた違った読み方ができるのかもしれない。何よりも福田恆存の訳者あとがきが死ぬほど面白かった。本当に。本編よりもこっちを楽しんでしまったことに罪悪感を覚えるけど、とにかく面白かった。ここだけで人に薦める価値ある(?)

  • 新潮文庫の装丁が好きなので、この機会にと思って買ってみた。

    この淡々とした語り口、つらつらと行動だけを書き連ねることによって心理を予想させるやりかた・・は・・個人的には合わなかった。
    老いた猟師サンチャゴが大きな魚を追って海に出て攻防戦をくりひろげるのが大半の内容。
    文章の一つ一つが詩的であるとか表現力に富んでいるということもないように思ったので、はっきり言って地の文を読むのが苦痛だった。
    「早く終わらないかな」と思いながら読んでいた。

    でも、読み終わってみると、なぜか時間が経つほどに思い出される。
    「こんなに誇り高い魚と、それを食う人間の価値は本当に等しいのか?」というサンチャゴの独白。
    英雄的に描かれてはいても、結局は自然に翻弄されるサンチャゴの姿。その中で助け合う少年との絆という、よすが。
    海という自然の象徴物と、そこにどう折り合いをつけていくかを問い、人と人とのかかわりのあり方を問うている気がする。
    それもあくまでも厳しい視点から。
    まあ、二度と読み返すことはないだろうと思う。

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