勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

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制作 : Ernest Hemingway  高見 浩 
  • 新潮社 (1996年6月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102100110

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 「キリマンジャロの雪」が読みたくて、約20年ぶりに読んだヘミングウェイ。

    簡潔に言うと、「酒と女と狩猟と海と」。
    私の中のヘミングウェイのイメージそのままの作品群。

    ヘミングウェイの描く登場人物は、よく似ているように思う。男性は男くさく、女性は女らしく。それは、彼の考える男性像、女性像なんだろうけど。
    簡潔な文章で生き生きと描き出される男女が、独特の世界観を醸し出す。

    「キリマンジャロの雪」は再読。最初に読んだのは多分10代の頃。ハリーは妻に暴言を吐くだけのイヤな奴に思えた。
    大人になって読んでみると、作者の死生観とか、大自然の中での人間の価値観とか、また違う作品のように思えた。
    この歳になって、いわゆる名作と言われる作品を読み直すのも面白いかも知れない。

  • ヘミングウェイ全短編二冊目.キーウェスト時代の短編集ということになる.
    短編集「勝者に報酬はない」の他に,「世界の首都」「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」「キリマンジャロの雪」を所収.一巻目よりストーリーの流れは良くなったが,印象に残るものが少なくなってしまった.
    アフリカのサファリを題材にした,「フランシス・マカンバーの短い幸せな生涯」「キリマンジャロの雪」がその中ではいい.

  • ☆☆☆2017年6月レビュー☆☆☆


    ヘミングウェイ短編集第二弾。
    「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」は別の短編集でも読んだが、まず思うのはこれ。当時の白人はこうも気軽にサバンナでライオン狩りをしていたのか、という事。こんなことをしていたのでは、野生動物の多くが絶滅の危機に追いやられるわけだ。


    「嵐のあとで」
    沈没船に残された遺留品を漁る男の話。真っ先にたどり着いたのに、お宝にありつけなかった、と悔しがる男。いやいや、沈没船があって中に女性の水死体が漂っているというのに!! この物語では、主人公(語り手)がボートから離れて潜っている間に、ボートが流れてしまったら大変だな~、とそれが心配だった。長時間深く潜って鼻血が出る、というものなかなかすさまじい話だ。

    「世界の首都」
    パコもかわいそうだが、エンリケもかわいそう。これは悲劇。しかし、なぜこの短編のタイトルが「世界の首都」なのだろうか? 不思議だ。闘牛士を夢見ていたパコ。闘牛のことを一体どう考えればいいだろう?ヘミングウェイの作品を読むと考えさせられる事が多い。

  • 再読。

    狩猟、インディアン、夫婦。”清潔で、とても明るいところ”に象徴されるような陰な雰囲気が漂ってる。

  • サファリでの狩猟をモチーフにした「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」と「キリマンジャロの雪」が印象的な短編集。つきまとうのはやはり「死」。

  • フランシス、とキリマンジャロの雪がよかった。

  • この書籍は、同氏の全短編集の二巻目です。

  • フランシスマガンバーとキリマンジャロが素晴らしい。男の死に理想があるのか、理想を見て死してこその男か、ヘミングウェイの理想像がアイロニカルに二作品に投影されてる気がした。それらより短い短編も雰囲気はあるがついていけないと感じるものもあった。

  • へミングウェイの新訳全短編集の第2巻。

     フロリダのキイウエスト時代の作品が中心だが、第一次世界大戦の暗い影を見つめた作品も目立つ。
     欧州の大戦でのヘミングウェイ自身の見聞をモチーフにしたと思われる「最前線」は、戦争でのメンタルな後遺症を描いて、生々しい印象を残す。さらに、戦場での戦死死体の様相を淡々と描く「死者の博物誌」という奇妙な作品もある。

     一方で、これもまた、ヘミングウェイならではのモチーフである、アフリカを舞台にした作品2編が17編の最後を締める。
    「フランシス・マカンバーの短い幸福な生涯」、そして「キリマンジャロの雪」の2編である。
     「フランシス…」は、アフリカのサファリに参加したアメリカ人夫婦のすれ違いと皮肉な終幕、破滅を活写して秀逸である。
     サファリでのビッグゲームとの対峙。叩きつける短文が臨場感を高める。男が逃げること、退かずに立ち向かうこと、その刹那が描かれる。私には「キリマンジャロの雪」以上に胸に迫る、本編で一番の秀作と思う。

  • 冒頭か全てとも言える、キリマンジャロの雪。
    標高6000メートルで息絶えた一匹の豹。


    キリマンジャロは標高6,076メートル、
    雪に覆われた山で、アフリカの最高峰と言われている。
    その西の山頂は、マサイ語で”ヌガイエ・ヌガイ”、神の家と呼ばれているが、
    その近くに、干からびて凍りついた、一頭の豹の屍が横たわっている。
    それほど高いところで、豹が何を求めていたのか、
    説明し得た者は一人もいない。


    ヤツはなぜ
    何のために
    そんな高地へと
    やってきたのか

    獲物を追い
    さまよううちに
    もどることのできぬ場所へ
    迷いこんでしまったのか

    それとも何かを求め
    憑かれたように
    高みへ高みへと登りつめ
    力つきて倒れたのか

    ヤツの死体は
    どんなだったろう
    戻ろうとしていたのか
    それとも
    なお高みへと
    登ろうとしていたのか

    いずれにせよ
    ヤツは
    もう二度と
    戻れないことを
    知っていたに違いない


    これはアッシュの解釈だけれど、
    戻ろうとしていたのか、
    それともさらに上を目指していたのか。


    凍った豹は、
    上を向いて、さらに登ろうとした姿で
    そこにいたと思う。

    戻れないことを知った上で、
    頂上に到着することを恐れ、
    途中で息絶えられたことに安堵して。

    ひとりで到達した場所、
    どこであれ、そこが頂点だ。

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勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)の作品紹介

1928年、28歳のヘミングウェイは、キー・ウエストに居を移した。戦争と革命と大恐慌の'30年代、陽光降り注ぐこの小島に腰を据え、気鋭の小説家は時代と人間を冷徹に捉えた数数の名作を放ってゆく。本書は、経験と思考の全てを注ぎ込んだ珠玉短編集『勝者に報酬はない』、短編小説史に聳える名編「キリマンジャロの雪」など17編を収録。絶賛を浴びた、新訳による全短編シリーズ第2巻。

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