ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

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制作 : John Steinbeck  大浦 暁生 
  • 新潮社 (1994年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102101087

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ハツカネズミと人間 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 3POとR2など、この組み合わせは黄金コンビですね!
    アメリカ西部の大農場を舞台に、渡り労働者の抱く夢と、夢に集う仲間と友情を描いたジョン・スタインベックの傑作です。
    アメリカの広大な大地と大自然の息吹を存分に感じながらなされるジョージとレニーの絶妙な会話がとても絵になります。頭の弱いレニーに終始付き合うジョージ。そして、そのジョージもレニーのおかげで夢を見る。短い小説ながら、渡り労働者が持つ悲哀とささやかな夢が見事に描き出されていました。
    舞台を思わせる構成と会話も面白かったです。そして、この黄金コンビが雇われた農場にいるのは、農場のドラ息子に、浮気な美人妻、やり手のラバ使いに、片腕が無い老人と身体障害者の黒人の下働きといった面々。揃うべき配役もきっちり固められて、否が応でもドラマへの期待が膨らみます。(笑)この中でやはり、頭が弱いが力持ちで動物愛のレニーの人物設計が一番秀逸ですね。
    ラストは序盤からの全ての思いが集約されたシーンですが、余韻が万感の思いとなって残る名場面です。

  • はじめてスタインベックを読んだ。
    スタインベックといえば、知っていたのは「エデンの東」と「怒りの葡萄」だったのだけれど、どちらも長い作品なので、短めでスタインベックを有名にしたと言われる「ハツカネズミと人間」を読んでみた。

    大きな身体に足りない知恵のレニーと、小柄で知恵のまわるジョージのふたりが旅をしている。ふたりは渡り労働者で、次の働き口を目指している。
    たどり着いた農場でふたりは働くのだが。

    貧しい労働者であるふたり。
    レニーは貧しいながらも小さな夢を持っており、いつかその夢が叶うようにと願っている。ジョージは自分にとって足手まといとなりがちなレニーに腹を立てることもありながら、レニーを思っている。

    読みながら哀しい物語になりそうだと思いながら読んだ。
    途中からは予想した通りに物語が進んで、レニーとジョージを好きになっていたので予想通りにならないよう願った。そうはならず哀しい物語だったのだが、どこかあたたかさを感じたのはスタインベックの文章だからだろうか。

    レニーを苦しめたくないからこそジョージはそうせざるを得なかった。そのジョージの葛藤。
    こういった心情が、特に描かれているわけでもない。とてもシンプルな描写なのに、ジョージの苦悩や悲しみなどが伝わってくる。

    戯曲の形式を小説に取り入れた作品らしく、殆ど会話で成り立っているのに、書かれていない行間が伝わってくるのは、ジョージだけでなく他の登場人物にも言える。
    そこがとても素晴らしいと感じる。
    短い作品で読みやすく、自然に登場人物の気持ちに寄り添えるため普段本を読まないかたにこそ薦めたい。

    とても良い本に巡り会えたと思える読書だった。
    しばしば読み返すことになると思う。
    ただ、訳者あとがきによると「怒りと葡萄」以降の作品には凋落のきざしが見えるとあるため、「エデンの東」を読もうかどうしようか迷っている。

  • 世界大恐慌時のカリフォルニア州を舞台に、出稼ぎ労働者である切れ者のジョージと、低い知能と屈強な体力を持つレニーの2人を中心とした悲劇の物語。過去2回映画化。

    対照的な性格ながらもジョージとレニーはお互いを認め合い、ある夢をずっと共有してきた。一方、いつか何か面倒が起こるのではと懸念するジョージと、無邪気で屈託ない心ゆえに事あるごとに思い通りにいかず歯痒い思いをするレニー。彼らの新しい働き口でのある事件をきっかけに、ジョージとレニーの夢は急に現実を帯びてきた。そんな矢先、悲劇が襲う。
    大切なものを守るゆえの決断。その描写にはどうしようもない思いと虚無感で胸がぎゅっと締め付けられた。

    幸せとは?友情とは?優しさとは?
    正解のない問題に考えを巡らせつつ、人間の弱さとやるせなさにどっぷりと浸りたくなる。

    =================================
    『To a Mouse』(スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩、1785年)
    二十日鼠と人間の、最善をつくした計画も
    後からしだいに狂って行き
    望んだよろこびのかわりに
    嘆きと苦しみのほかは、われらに何物も残さない

  • 人生はうまくいかない、ため息が出てしまう作品です
    スタインベックは相変わらず自然描写が卓越しています

  • 悲しい話。この作品が評価される社会に生まれたことはラッキーだ。

  • 「11/22/63」のなかで、「過去」での生活のなかで英語教師の主人公が高校で「ハツカネズミと人間」の舞台を演出するんだけど、とても印象に残っていて、読んだことなかったので読んでみた。
    スタインベックって文学史に出てくるようなクラシックだし、退屈かも、と思っていたのが意外や意外、すごく引き込まれて一気読みした。小説だけど確かに戯曲的で、舞台になったらさらにおもしろいだろうなあと。
    農場を渡り歩いて日銭を稼ぐ労働者の、いつか自分の土地をもって仲間と暮らす、という夢が美しくて、なんだか自分も一緒に夢をみるような。。。。夢は美しく、はかない。。。

  • スタインベックの作品を読むのは初めてだったけれど、評判に違わず、心揺すられる力強い名作だった
    社会の底辺から這い上がろうとしている人々が、愛しくて、他人とは思えなかった

  • 情景描写が繊細で、目に浮かぶようだった。
    ジョージがレニーに語った夢物語も、空虚ではありながら夢があった。

    人間関係の描写や会話が只ひたすらに淡々と進み、
    作品は恐らく数日間の出来事だろうが、内容が濃く緻密で引き込まれる。
    無情な結末に、
    「こうなるだろう」と覚悟をしていたものの、むなしさを感じた。

    最後の、スキンがジョージにかけた言葉と、
    カーリー、カールソンの二人の言葉との差異が光る。

    作中に一つも無駄な描写がなく、計算しつくされた見事な作品。

  • <仕事を求め農場を渡り歩く二人の労働者。行く先々で問題を起こしクビになっていた二人は・・・>

    ジョン・スタインベック

    分厚いフォークナーばかり読んでいたので、そろそろ骨休め。
    薄っぺらい本を5冊かってきました。その中の一冊です。

    でも薄かろうがスタインベックの名作のひとつ。
    賢しい小男ジョージと少し頭が劣るが純朴で力持ちの大男レニー。
    このデコボココンビが夢を語りながらもどうしようもない現実の前に敗れていくさまを
    スタインベックは徹底した外面描写で描いています。

    でもそこには社会的弱者、自分の成長した土地に深くかかわる農場労働者達への共感と優しさがある。

    農場労働者という渡り者たちの孤独、だからこそ寄り添っていたジョージとレニーの二人の友情、
    そしてそれが導くあまりに切ないラスト・・・

    すばらしい中篇でした。

  • 心暖まる、かつ、悲しみが込み上げてくるヒューマンドラマ的な一冊です。
    夢を語るもの、それを聞くもの、冷静なもの、自分を押さえられないもの、対照的な人物が展開する物語は必見です。ページ数は100ページを超えるぐらいでサクサク読めます。

  • 親からのススメで。繰り返し語られる夢が、ささやかで、幸せで、切ない。大好きな作品。

  • アメリカの大地に散りばめられた農場を渡り歩く労働者、ジョージとレニー。利口で小柄なジョニーと、体は大きいが馬鹿のレニー。
    ジョージはレニーに、「自分たちの小さな土地を持って、牛を飼い・・・ 野球の試合があれば仕事なんかやめて ・・・ おめえはウサギの世話を・・・」というような夢を語る。しかし彼らは懸命に働いて得た収穫を自分の手にできない一労働者なのである。
    2人の友情と夢、現実、20世紀初頭のアメリカの労働者の雰囲気。淡々としたテンポで伝えてくれる作品である。

  • スタインベックワールド全開。
    ユーモラス。悲しい結末。

    レニーとジョージの友情に
    感動せざるを得ない。

  • ジョージの姿に自分の理想をみる。

    スタインベックの作品としては非常に短く、登場人物の持つ心の内の描写が少ない。そのためか、この映画作品と原作との乖離が非常に少なくない。映画もおすすめ出来る。

  • 1937年の作品。戯曲のように感じる物語でした。
    夢と現実や生きていくことの難しさなど、人間を描いた作品であると思います。
    タイトルがいまいちピンとこなかったのですが、
    『To a Mouse(ハツカネズミに)』というロバート・バーンズの詩に由来しているそうです。

    自分は動物より人間が優れているとは思っていないので、
    レニーが悪意が無いとしても小動物を殺してしまうことについて
    どんな言い逃れも出来ないものだと感じます。
    噛まれたから殴るというのは、
    しかも自分の力が人より非常に強いと常々ジョージから言われていながら、
    それをしてしまい結果動物が死ぬというのは、
    もはや未必の故意に近いものであろうと思います。

    カーリーの妻を殺してしまうというのも、
    騒がれたくないという身勝手な理由。

    すぐに忘れてしまいやった後に後悔することが
    免罪符になるとは思えません。

    ジョージがなぜ、本当は血縁関係も無いレニーに対して
    ここまで面倒見が良くなれるのか、少々不思議でした。

    キャンディ老人の愛犬に対しての処遇なども含めて、私には共感できるところがなく
    読後感の悪い物語でした。

  • このような結末を迎えようとは思いませんでした。ジョージとレニーと農場で知り合ったキャンディとで、新しい夢に向かって旅だつことを期待していたのですが。舞台になったこの頃のアメリカの農場では、実際このような流れ者が集まってくる、とても不安定で不穏な雰囲気がたぶんにあったのかも知れません。

  • 凸凹コンビの口悪男ジョージと知恵遅れのレニー。この二人に仲間を加え、アメリカ人版の『ブレーメンの音楽隊』の如きシナリオかと思いきや、レニーが意図しない殺人を犯し、私刑(リンチ)からレニーを守るためにレニーを銃声一発で仕留めるジョージ。このやるせなさはラストシーンのような酒を飲んで忘れられるものではないが、敢えて軽いノリで終わらせるのがアメリカ文学か。

  • 貧しい生活を送る人間模様を描いており、読んでいて気が重い。
    お互いの理想を語りながら、殺さなければならない結末に胸が痛んだ。
    ページ数が少ない分、もう一度読み直したい作品であった。

  • ちょっと私には共感できる点が少なすぎた…何を描きたかったのだろう?何を伝えたかったのだろう?という感じ。
    次代背景や作者の作風などわかっていないと理解度に影響する気がする。
    ただただ悲しい結末で、この作風なら清々しいハッピーエンドにしてほしかったなぁ。

  • まさかバッドエンドだとは・・・やるせないジョージの気持ちがとても痛い。最善策だったとしても辛いだろうなあ。

  • 面倒見のよいジョージと、知的障害がある相棒のレニー。彼らが新しい仕事場に着いた早々、漂い始める不穏な空気。ジリジリと追い詰められるようなストレスのかかる読書でした。
    心理描写が一切ないシナリオ形式なので、登場人物の思いを台詞から推し量るのですが、それがたまらなく苦痛になります。
    渡り労働者たちの夢の土地までの道のりは険しく、これが当時の農場の実態を投影していると思うと、悲惨な結末に気分が滅入りました。

  • レニーの純粋さとジョージの優しさ、実はお互いに寄りかかっている。夢と希望があれば、それが大きな原動力となりうる。ものすごい力をうみだすことができる。

  • 再々々々々読くらい。日本語では初読。大学時代の講義で本作品の映画を見て、泣いてたら隣のFさんに冷めた目で見られ、女ってつめてーなー、でも好き!と思ったのを思い出した。レニーの射殺は2人の支えでもあった「夢」を完全に放棄することでもあるわけで。「友」と「夢」を同時に失う決断を下さなければならなかったジョージの心境たるや!"To Mouse"のthe cruel coulterは感情的な民意であり、逃げ惑うしかないmouseのレニーを救えるのはジョージの優しさだけだったのかな。ジョージには幸せになって欲しい。

  • スタインベック「ハツカネズミと人間」新潮文庫

    冒頭のハツカネズミの死骸から始まり、物語に描かれるいくつかの死が印象に残りました。人間はときに凶暴で、ときに無力です。

    スリムという頼られて何でもできる男の影の部分を描いて欲しかったな。あんなに完璧なままだと嫌だ笑

    映画の方も気になります。

  • 夢を見る二人に訪れる、悲しい結末。レニーに悪気が無い事も、ジョージがああするしかレニーを助ける術は無いという事も分かってはいるのに、涙せずにはいられませんでした。

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