ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102101087

感想・レビュー・書評

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  • 人生はうまくいかない、ため息が出てしまう作品です
    スタインベックは相変わらず自然描写が卓越しています

  • 「11/22/63」のなかで、「過去」での生活のなかで英語教師の主人公が高校で「ハツカネズミと人間」の舞台を演出するんだけど、とても印象に残っていて、読んだことなかったので読んでみた。
    スタインベックって文学史に出てくるようなクラシックだし、退屈かも、と思っていたのが意外や意外、すごく引き込まれて一気読みした。小説だけど確かに戯曲的で、舞台になったらさらにおもしろいだろうなあと。
    農場を渡り歩いて日銭を稼ぐ労働者の、いつか自分の土地をもって仲間と暮らす、という夢が美しくて、なんだか自分も一緒に夢をみるような。。。。夢は美しく、はかない。。。

  • スタインベックの作品を読むのは初めてだったけれど、評判に違わず、心揺すられる力強い名作だった
    社会の底辺から這い上がろうとしている人々が、愛しくて、他人とは思えなかった

  • 情景描写が繊細で、目に浮かぶようだった。
    ジョージがレニーに語った夢物語も、空虚ではありながら夢があった。

    人間関係の描写や会話が只ひたすらに淡々と進み、
    作品は恐らく数日間の出来事だろうが、内容が濃く緻密で引き込まれる。
    無情な結末に、
    「こうなるだろう」と覚悟をしていたものの、むなしさを感じた。

    最後の、スキンがジョージにかけた言葉と、
    カーリー、カールソンの二人の言葉との差異が光る。

    作中に一つも無駄な描写がなく、計算しつくされた見事な作品。

  • <仕事を求め農場を渡り歩く二人の労働者。行く先々で問題を起こしクビになっていた二人は・・・>

    ジョン・スタインベック

    分厚いフォークナーばかり読んでいたので、そろそろ骨休め。
    薄っぺらい本を5冊かってきました。その中の一冊です。

    でも薄かろうがスタインベックの名作のひとつ。
    賢しい小男ジョージと少し頭が劣るが純朴で力持ちの大男レニー。
    このデコボココンビが夢を語りながらもどうしようもない現実の前に敗れていくさまを
    スタインベックは徹底した外面描写で描いています。

    でもそこには社会的弱者、自分の成長した土地に深くかかわる農場労働者達への共感と優しさがある。

    農場労働者という渡り者たちの孤独、だからこそ寄り添っていたジョージとレニーの二人の友情、
    そしてそれが導くあまりに切ないラスト・・・

    すばらしい中篇でした。

  • 心暖まる、かつ、悲しみが込み上げてくるヒューマンドラマ的な一冊です。
    夢を語るもの、それを聞くもの、冷静なもの、自分を押さえられないもの、対照的な人物が展開する物語は必見です。ページ数は100ページを超えるぐらいでサクサク読めます。

  • アメリカの大地に散りばめられた農場を渡り歩く労働者、ジョージとレニー。利口で小柄なジョニーと、体は大きいが馬鹿のレニー。
    ジョージはレニーに、「自分たちの小さな土地を持って、牛を飼い・・・ 野球の試合があれば仕事なんかやめて ・・・ おめえはウサギの世話を・・・」というような夢を語る。しかし彼らは懸命に働いて得た収穫を自分の手にできない一労働者なのである。
    2人の友情と夢、現実、20世紀初頭のアメリカの労働者の雰囲気。淡々としたテンポで伝えてくれる作品である。

  • ・き、きつい
    ・夢を語るシーンがすごく素敵でワクワクさせられる、そして残酷
    ・レニーが幸せに生きるためにはどうすればよかったんだろう
    ・ジョージはどんな気持ちで引き金を引いたのか?
    レニーがいなければ

  • 舞台化の似合いそうな小説だと思ったら、案の定作者もそれを意識して書いたものらしく、あとがきでは戯曲的小説とも評されていた。そういう嗅覚が自分の中に培われていることを嬉しく思う。人種差別や障害者差別、家父長制、そういう理不尽の中で生きる人間たちの尊厳の物語だった。光がそこにあることをたしかに見せつつも、後味にざらっとしたものを残していく終わり方がすごく好きだった。物事の捉え方、そこにあるものをあるがままにという姿勢は、先日連れと観た『スリー・ビルボード』を彷彿とさせるものもあった。連れはかの映画を「純文学的映画、それでいて文学では同じことはできず映画でしかできないことをやっている」と評していたが、この小説もそれと同じような、他の手法への応用可能性を感じさせる(それでいてきっと小説であることの意味もある)ものだったと思う。

    舞台で一度観てみたいと思うし、日本でも過去に上演されているみたいだけど、虐げられてきた人を描く物語であるだけに感覚が合わない演出・脚本だったら目も当てられないだろうと思う。原作の設定をそのままつかうときに、クルックスの役をやるのに平然とブラックフェイスをやるようなプロダクションもありそうで、なんとなく深く検索する気になれない……というか、現に2018年に上演したものは写真を見るかぎりやっているように見えて脱力した。現代日本の物語に置き換えても成立するだろうし、それが観てみたいなと思う(これも二次創作の感覚だと思うが、ちょっと脚本を書いてみたいとも思ってしまった)。かなり好きだったので『怒りの葡萄』『エデンの東』も読んでみたい。

  • 繰り返す二人の夢がやはり効果的な、
    小説の動画教室のテキスト。
    持たざる者には刺さる世界観。

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