怒りの葡萄(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102101100

感想・レビュー・書評

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  • 新たな生命は生まれて来ず、結局残ったのはお父、お母、ジョンおじ、シャロンの薔薇、ルーシー、ウィンフィールド。11人家族中6人になってしまったとはいえ、これが固い家族の絆を描いた作品であることは間違いない。ジョード一家に限らず、どの家族も一家団結して困難を乗り越えようとしたのだろう。
    大恐慌は歴史で習って言葉だけ知っていたけど、実情がこんな風だったとは。食べ物が本当に必要な人に行き渡らず、儲けが出ないからといって捨てられるなんて。世の中の仕組みがおかしいとはわかりつつも、どうしたらよいのかわからない、言いようのないもどかしさが嫌というほど伝わってきて辛かった。
    家長として采配を振るうべきお父は途中からみるみる影が薄くなり、お母が家族の大黒柱的存在になるのが印象深い。地母神的というか、なんかどっしりしている。シャロンの薔薇が最後死にかけている男に乳をやるところも、女性の生命力を感じさせる。
    トムとお母の別れのシーンはこの作品の白眉だと思う。お母が一番頼りにしていたトムは、心を同じくする人々の中に自分はいつでもいると言って、トム・ジョード個人ではなく怒れる民衆として生きることを選ぶ。おそらく家族と再会することはないだろうと思うと、どうか民衆よ情に熱い彼を愛して迎えてやってと願いたくなる。

  • 重厚な物語。1920年代、銀行や地主に追い詰められた農民たちは、手にした作業員募集のチラシにすがり、カリフォルニアに25万人もの人々が大移動した。しかし、そこにも同じ社会構造・格差があった。絶望の中でも生き抜く家族の姿を描いている。

  •  星2つか5つか迷って、星3つ。正直なところ、少しも面白くなかったが、これに感動できる人になりたい気持ちが捨てきれない。
     プロレタリア文学ということで、勝手に労働争議の話だと思い込んでいたため、「いったいいつトムは労組を作るのか」いぶかりながら上巻を読み終わり、どうもそういう話ではないらしいと思った頃には物語も終盤だった。
     出エジプトを下敷きにしているというし、元伝道師が人を救っているし、キリスト教の何かしらが主題なのだろうが、キリスト教に疎いのでさっぱり分からなかった。解説書を読んでから再挑戦したい。

    作中のベーコンがおいしそうで、カリカリベーコンにはまってしまった。

  • 前巻に続き、訳が気になるので途中拾い読みのみ。既に別訳で読んであるので、そちらからの感想になるが素晴らしい小説。その内容をかなり加味した星の数(偉そうに申し訳無い)。ただし、この訳がでは再読はなし。ハヤカワの方は、手元においておきたい1冊の一つ。

  • 実際の社会問題がベースとなっているだけあって、登場人物のセリフや背景まで、ノンフィクションのようなリアリティを感じる

  • 生きるということはとても厳しいということがよくわかる。そして権力はいつの時代も残酷だ。

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