- Amazon.co.jp ・本 (664ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102102015
感想・レビュー・書評
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架空の街ジェファスンを舞台に、黒人の血が流れているクリスマスが虐殺される悲劇を描いた作品でした。
暗く重い作品で、物語の語り手も複数なので混乱しますが、登場する人物1人1人に歴史と存在感があるのが凄かったです!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
骨太なだけじゃないよ、フォークナーは~
・・・薄闇よりも濃い暗さのなかで、じゃれは自分の身体を見守るかのようだった。水よりも濃くて黒くて静かな何かの中にある溺死体のように、自分の身体が罵りの泥沼の中で、ゆっくりと淫らに回転するのを見守るかのようだった。彼は両方の手で自分の身体に触り、下着の下の身体を激しく腹から胸へ、両手でこすりあげた。
・・・彼は自分がウィスキーを売るのも金のためではなく、それは自分を包み込もうとする女からいつも何か隠し事をしたい性質のせいなのだと言いたい気持ちだった。
・・・「あたしまだ祈る用意がないわ」
・・・「神様、まだあたしがお祈りせねばならぬようにはしないでください。神様、もう少しだけあたしを地獄においてください。ほんのもう少しだけ」・・・「まだ、神様。まだにして・・・神様」
読後のズレというかトリップ感から抜けるのが大変・・・ -
[29][131201]<m市
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英語で読んだ時はすんなりと入れた気がする。英語がしっかり理解出来た訳ではないんだけど、日本語の方が違った意味で難解に感じられた。
最後のハイタワー牧師の述懐が難解である。ちなみにリーナは嫌い。リーナの行動が理解出来ない。彼女は女友達のいないタイプだろう(笑)。 -
フォークナー「八月の光」
前作「サンクチュアリ」があんまりにも酷い出来だったんで期待してなかったけど、予想を遥かに上まわる大名作。。
読後の高揚感は過去最高だったかも。
ほんと何なんだよこの人。まじで天才だ。
絶版になってる残りの作品も全部注文しちゃったよ
2012-08-19 00:48:14 Twitterより -
習慣やイデオロギーが日本人には馴染みが無いものだから、話に入り込むのは難しいかなと感じた。話の筋自体は複雑ではないけど、文体は難解です。
しかし、文章の持つ美しさや繊細さ、力強さ、創造性を最大限に引き出している文章だと思う。素晴らしい。 -
<身重の少女が男を追ってやってきたアメリカ南部。そこには哀しい出生に翻弄される一人の男がいた。>
著:ウィリアム・フォークナー
ずっと本棚にしまってあって、いつか読もうと思ってました。
臨月迫る少女リーナと白い肌に黒人の血ももつといわれる男ジョークリスマスを軸に、
正義と悪、光と闇、男と女など、黒人と白人等、対立する事柄を
とある架空の南部の町ジェファソンに浮き上がらせたマスターピース。
時系列が行きつ戻りつするので読みづらいところもありますが
人間には過去があり、その過去が今をつくっている・・・
そのことを如実にあらわす表現です。
圧巻はやはりジョークリスマス関係の過去。
彼の出生、生い立ち、そして今・・・
彼が冒頭犯した罪を、過去のエピソード、
自分がどこに属するかわからないという不安定さ、恐れで書ききったところに真価を感じました。
ジョーの風景とあわせた孤独の描写は身震いします。
そんな彼の哀しさ、つらさを、最後のリーナの破天荒なパワーが救ってくれました。 -
七章まで読んで断念。アメリカにおける神話的なテーゼ、にあまり興味がないのか、もしくはちょっと地味過ぎたのか。しばらく塩漬けにしておくことにしました。
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様々なものが入り乱れる中で、過去と現在だけはしっかりリンクしていて決して変えることができない。物語の深さに非常に感銘を受けた。
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大作だが、「響きと怒り」などよりはとっつきやすいかもしれない。それにしてもややこしいことはややこしいのだが。
「クリスマス」という名前の登場人物が出てくる。