トム・ソーヤーの冒険 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102106112

作品紹介・あらすじ

ポリー伯母さんに塀塗りを言いつけられたわんぱく小僧のトム・ソーヤー。転んでもタダでは起きぬ彼のこと、いかにも意味ありげに塀を塗ってみせれば皆がぼくにもやらせてとやってきて、林檎も凧もせしめてしまう。ある夜親友のハックと墓場に忍び込んだら…殺人事件を目撃!さて彼らは-。時に社会に皮肉な視線を投げかけつつ、少年時代をいきいきと描く名作を名翻訳家が新訳。

感想・レビュー・書評

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  • 柴田元幸氏のテンポ良い翻訳です。多分、むかーし子供の頃読んだ文学全集とは、違う訳だと思います。
    トム・ソーヤの冒険した事の大半は、作者や友人達に実際に起こった出来事だそうです。もう、全般的に行動が荒っぽくてハラハラする。そこが、子供らしくて良いのでしょうが。作品の年代が、マーク・トゥエインの子供時代、1830年代というところが大きいでしょうか。子供らしい冒険を超えて、生死に関わりそうな冒険もあり、是非、お子様とというより、懐かしく読めるおじさま向けかと。
    彼らはまだ貧しく、宝物としている物も奇怪な物が多い。おまじないも信奉していたりする。そんな時代にそれでも元気良く、割と正義感を持ちながらの、幼年時代の物語。

  • 幼少期にTVで観たトム・ソーヤの冒険。「悪童」というのがぴったりのトム。ポリーおばさんに叱られ、学校で喧嘩し、日が暮れるまで遊び、女の子にモテたくて意地悪をする、純粋な少年。トムの少年時代は多くの事件が勃発する。海賊になりたくて家出、目の前で起きた殺人、金貨がぎっしり入った宝箱の発見。これらの事件でいつもトムの近くにはハックが常に一緒に行動する。このハックはとても独特な性格で面白い。トムが好きになったベッキーにはとても好感度が高く、少年トムを羨ましく思った。多くの人に小説のトム、ハックと会ってほしいな。

    • 白いヤギと黒いヤギさん
      同感です。
      この物語を読んでいてこそ、ブルーハーツの「1000のバイオリン」、もしくは「1001のバイオリン」の歌詞の深みを感じますよね(笑...
      同感です。
      この物語を読んでいてこそ、ブルーハーツの「1000のバイオリン」、もしくは「1001のバイオリン」の歌詞の深みを感じますよね(笑)
      2022/07/13
    • ポプラ並木さん
      白黒ヤギさん、コメントありがとうございます!

      夜の金網をくぐり抜け
      今しか見る事が出来ないものや
      ハックルベリーに会いに行く
      台...
      白黒ヤギさん、コメントありがとうございます!

      夜の金網をくぐり抜け
      今しか見る事が出来ないものや
      ハックルベリーに会いに行く
      台無しにした昨日は帳消しだ

      深みを感じますね!!
      2022/07/13
    • 白いヤギと黒いヤギさん
      返信ありがとうございます。理解して頂けたのが嬉しいです。「ハックルベリー」が誰なのかを知らない子供が増えていると感じます。大人になる前に、少...
      返信ありがとうございます。理解して頂けたのが嬉しいです。「ハックルベリー」が誰なのかを知らない子供が増えていると感じます。大人になる前に、少年たちに読んでほしい、と思ってます。
      2022/07/13
  • 何も言わない、若い人は必読書の一つだと思ってください。

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    「ポリー伯母さんに塀塗りを言いつけられたわんぱく小僧のトム・ソーヤー。転んでもタダでは起きぬ彼のこと、いかにも意味ありげに塀を塗ってみせれば皆がぼくにもやらせてとやってきて、林檎も凧もせしめてしまう。海賊ごっこに幽霊屋敷探検の日々を送る中、ある夜親友のハックと墓場に忍び込んだら……殺人事件を目撃! 永遠の少年時代がいきいきと描かれた名作を名翻訳家が新訳。」

  • 小学校時代に読み漁った名著の読み返し。
    「トムソーヤの冒険」が発表されたのが今から140年前、アメリカがまだ南北で対立していた時代。
    奴隷制もあり、荒れていた時代にこれほどまでに勇気と希望に溢れた物語を生み出した著者が素晴らしい。
    印象的なシーンが、自らの日曜学校の葬式の日に戻ってきた3人を、喜びに満ち溢れて出迎えた人たちに、ハックが帰ってきたことも喜んでくれと、何の気無しにトムが言ったところ。
    トムの心の優しさ、寛大さがひしひしと伝わってくるこのシーンに胸を打たれた。

  • トム・ソーヤーの日常は冒険だ。遊び方がワイルドでたくましい。やんちゃなイメージはあったけど、予想以上に目立ちたがり屋で、女の子に対して積極的な肉食男子で笑ってしまった。何歳の設定か分からないけど、ませてるな~。でもちゃんと良心は備えているし、ひねくれたところがないので好感がもてる。
    友達のジョーもやんちゃだが、ハックは全然違うタイプ。特に終盤のハックの台詞で、彼がトムとは違う価値観を持っているのが分かる。単純に恵まれない浮浪児という感じではなく、作中の「浪漫的浮浪者」というのがしっくりくる。このトムとハックが仲良しというのが微笑ましい。「ハックルベリー・フィンの冒険」も読みたい。

  •  他の人の訳で中学時代に読んだ気がするが、柴田元幸氏の翻訳で読んでみたいと思い、再読。
     トムの勇気や機転は本当にすごいんだけど、ガキ大将っぷりは鼻についてしまう。スクールカースト上位だよな、こいつ、とか思ってしまう。私が捻くれているのか。しかし柴田先生もあとがきで同様に「トムは大人になったら地元のお偉いさんになって『私も子供の頃はやんちゃしたもんですよ、ガハハ』って言ってそう」的なことを書いており、激しく同意。
     やっぱりトムよりもハックの言葉が心にしみる。「手に入れるのに苦労しないものなんて、持つ気しねえから」。こっちはきっと、お偉いさんになって昔を笑ったりはしない。

  • この話を読んで、自分が友情モノに弱いんだと改めて気付かされた!
    当時の時代背景も感じられるし、最後はミシシッピ川という存在が大きく感じられた。読むのが楽しかった。訳者のあとがきも必須。
    先に「ハックルベリィフィンの冒険」も映画で観たが、それも良かった。

  • 言わずと知れたマーク・トウェインの代表的作品でありアメリカ文学の古典的超名作である。今更ながら読む。

    ポリー伯母さんやドビンズ先生はいまなら幼児虐待全開なのだが、米国版カツオであるトムのあの手この手の破天荒な冒険活劇が面白い。かと思えば第4章冒頭のような詩的で美しい描写もあれば第33章の鍾乳石から滴る滴の荘厳な描写やほか妙に真理めいた文章も散りばめられ物語としてだけではなく文学作品としても秀でている。インジャン・ジョーが登場してから以降の展開はハラハラドキドキのまさにディズニーやハリウッド級の面白さだ。

    アニメ版も作られたため児童向けのイメージが強い作品だが、おませなトムとベッキーの恋物語やインジャン・ジョーの残酷な死に様はPTA「非」推薦の児童向け良書かもしれない。兎にも角にもチビッ子がトムと同じことをすると確実に親のカミナリが落ちるだろう。

    あとがきを読むと『ハックルベリー・フィンの冒険』の冒険もほうの評価も高いということで、今度はこちらも読んでみようと思う。

  • 多くの人が子供時代に一度は読んだと思う。私も小学生の頃読みました。大人になって再び読み、トムや仲間の言動に笑ったりハラハラしたりしながら童心に帰ってしまいました。子供だった頃の自分の考えていた事を次々と思い出させてくれる本。時代も場所も背景もトムたちとは全く違うのに、子供の考えることは世界共通。大好きな本です。

  • ハックルベリーを再読しようと思っていたら、柴田元幸さんの新訳がハックとトム両方刊行されていると知り、ついでなのでトムの方も読みました。順番は逆になったけれど。

    トム・ソーヤーの方は飽きるほど読んだ、と思い込んでいたけれど、実は私が読んだのは子供向けに大幅に短縮リライトされたものだったようで、今回初めてオリジナルをちゃんと読んだのだと分かりました。あまりに本の印象が記憶と違うので、驚きました。訳者が違うというレベルどころの差異ではなく。

    何が違うって、落ち着きのない小学生男子マインドいっぱいの冒険譚、というところは、まあ子供向けのバージョンと同じなんだけど、オリジナルの方はそれにプラスして、マーク・トウェインの社会批評というか一般大衆へのツッコミみたいなものがやたらに差し挟まれていました。
    時々、そっちがメインじゃないかと思うくらいの力の入れようで。善良なる市民の皆さんについての皮肉を書く機会ができるたび、著者は嬉々として筆を運んでいる、という印象でした。

    ハックの描かれ方については、子供バージョンを読んでいた時は、そりゃハックは学校なんて行きたくないだろうし今の生活が好きに決まってる、と当然のように思っていたけど、今読むと、そんな風に単純に思えない自分がいて、それにも驚きました。(自分に)
    ハックルベリ―の本ではハックの目を通して描かれているからか、ハックの「社会からはみ出した暮らしぶり」についてはどちらかというとポジティブに読んでいたけれど、それが三人称で語られてみると、なんだかところどころで心が痛みました。
    すそがすり切れてボロボロになった服、だとか、何度も無実の罪を着せられたことがある、だとか、一緒に家出をした仲間が家族に抱きしめられている間、居心地悪く突っ立っていたり、とか。
    親って選べないものなぁ、とつい悲しく思ってしまう。
    ハック自身はそうしたことで誰かをうらやましいとは全く思っていないし、マーク・トウェインも普通に淡々と状況を説明しているだけに見えるしで、全然ネガティブに思うようなシーンではないのですが、でも、実際は著者はすごく注意深くそうした描写を、量が多くなりすぎないよう調節しつつ入れている、という気がしました。

    とにかくトウェインは、物事をものすごくよく見ている人なんだなぁ、という印象を受けました。

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著者プロフィール

Mark Twain 1835年-1910年.
邦訳された自伝に、
時系列順に並べられている
『マーク・トウェイン自伝 〈上・下〉 ちくま文庫 』
(マーク トウェイン 著、勝浦吉雄 訳、筑摩書房、1989年)
や、トウェインの意図どおり、執筆順に配置され、
自伝のために書かれた全ての原稿が収録されている
『マーク・トウェイン 完全なる自伝 Volume 1〜3 』
(マーク トウェイン 著、
カリフォルニア大学マークトウェインプロジェクト 編、
和栗了・山本祐子 訳、[Vo.2]渡邊眞理子 訳、
[Vo.1]市川博彬、永原誠、浜本隆三 訳、
柏書房、2013年、2015年、2018年)などがある。



「2020年 『〈連載版〉マーク・トウェイン自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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