呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)

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制作 : Thomas Hardy  河野 一郎 
  • 新潮社 (2016年4月28日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (404ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102108062

呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

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  • トマス・ハーディの『呪われた腕 ハーディ傑作選』新潮文庫。本書の登場人物たちは、過去の時点で犯した自分の間違いに対する後悔と、現状を変えることへの切実な希望の混じりあった思いに突き動かされて行動する。

    けれども、けっきょくはそんな行動が事態を好転させるわけもなく、よりいっそう悲劇的な破滅へと登場人物たちを導いてしまう。そしてより深くなった後悔だけが、苦い後味となってわたしたちに残されてしまう。

    「人間の力の及ばない大きな運命の流れには、逆らうことができないのだ」との諦念が、本書に収められた短編のあちこちにちりばめられていると言えるだろう。

    厚い雲が空一面に垂れ込め、雨はしとしとと降り続いている。時おり遠くの雷の音も聞こえる。消え去る気配のない雲と降り止まない様子の雨のせいで、部屋の中はどんよりと暗くじめじめとしている。そんな日は、思わず陰鬱な気分になってしまう。トマス・ハーディの『呪われた腕 ハーディ傑作選』は、そんな雰囲気がすみずみにまで漂う短編集だ。

  • ハーディーの紡ぎ出す物語は独特の雰囲気を持っている。救いが用意されていないので、とても切ない。

  • 19世紀の小説の良さ--ひねりすぎず、自然に物語ることの良さ--を堪能できました。村上春樹さんと柴田元幸さんの対談による解説もあり、充実した文庫本。

  • 「村上柴田翻訳堂」の1冊。「MONKEY」での村上と柴田の翻訳小説対談でハーディに言及されており興味があったため、購入。いやいや、面白い!村上によると「風景」がよいとのことだが、ストーリーも面白い。物語の「骨」みたいなものがよくできている。夢見る夢子さん的な有閑マダムや、ただ裏切りものでいたくない男とが出てきたり、六条の御息所的なホラー的な話が出てきたり、どれもこれも面白い。その人が持っている個性というか、枠というか、持って生まれた性格・思考・タイプから帰結するところの人生・哀しみみたいなものを描いているのがどの短編にも共通するところか(柴田が村上の「トニー滝谷」との共通性を挙げていたがそんな感じ)。オースティン以来、物語が面白い海外文学が読みたいと思っているのだが、次何よもう・・?

  • トマス・ハーディと言えば、
    私が大好きな小説ベスト10に入る
    モーム作「お菓子と麦酒」のドリッフィールドのモデルとされる人物。

    多分その影響で張り切って「テス」も買ってきたけれど、
    目下挫折中。
    (どこまで読んだかと言えば牧師さんが村人に話しかける場面、って
    はじまって5ページくらいだから、挫折ではなく「まだ読んでいない」で
    良いのではないかい?)

    そのことを映画好きの人に話したら「『テス』は読むものじゃなく
    観るものだよ」なあんて言われてますます遠のくばかり…

    そんな中、噂の「村上柴田翻訳堂」でこちらの短篇集が出たので
    興味をそそられ読んでみました。

    まあ、本当に、見事なまでにどれもこれも悲しくって暗いのだわ。

    「モームさんならここでユーモア的に思わずニヤッとしてしまう
    展開にしてくれそう…」と折々考えてしまった。

    でも一方、ひたすら陰鬱で救われない話、と言うのも
    案外好きな私なのです。

    大体どの話も無駄に遠慮していることから
    不幸を引き寄せている、と言った印象。

    特に「わが子ゆえに」は私も自分自身不思議なほど感情移入して
    「もう…、思い切って良いんじゃないの?!」と。
    主人公の見栄をはる息子を憎みながら、
    本当に大事なことに気付く、って言う…。

    最後に載っている柴田さんと村上春樹(呼び捨て)の
    対談でも「テス」を読んでいないとお話にならないみたいだし、
    この勢いで読んでみるかな。

  • 読み終わってみたら、思いがけず引っ張られ、、、
    ジェーン・オースティンの不幸版みたいな笑

  • 読書会があるので読んだ。童話集みたいな傑作選。短い作品のなかに人生経験や背景描写が盛り込まれていて、きちんと最後まで話の終わりもみえるから読みやすい。気に入った作品は『幻想を追う女』と『アリシアの日記』。幻想を追う女は一度もリアルで会うことのなかった詩人に憧れた主婦の話。アリシアの日記は妹の婚約者を好きになって、彼も姉であるアリシアのことを好きになる話。こういうのって分かりやすいから。トマス・ハーディの作品の影響受けてる作品も世界にはたくさんあるらしい。今度の読書会には10人集まるみたいなので、いかに読みやすいか分かる。読まないでくるひともいる読書会なのですがw

  • 英国的、退廃的な文才を感じる。とても後味が悪く、しかも因縁や不運の色が強いのでガッツリとしたオチが無い。なだらかな坂道を転がり落ちていくような話だ。O・ヘンリを期待して読んだら大怪我だ。村上春樹×柴田元幸の村上柴田翻訳堂(このユニット名好き)の対談がサブカルインテリっぽくてマジ良いイライラ♡出てくる名詞がよくわかんねーよ!僕の無知故!彼らの使用単語(映画名や著書名)を調べるだけできっと造詣がより深まることでしょう。サブカル映画好き≠ハーディ好きはなんかわかる気するなぁ。

  • 村上柴田翻訳堂の一冊。翻訳は河野一郎。少し怖い話が多い。個人的には偶然的なもの、人の運命みたいなものが魅力的に書かれているように感じた。「偶然」って人生においてかなり面白い要素だと思う。小説も同じく…
    村上春樹と柴田元幸の解説セッションでは「ハーディの情景描写が印象的」ということだった。うむ、言われてみればそうである…

  • 「呪われた腕」を読むと、源氏物語の六条御息所を思い出すのは私だけだろうか?裏切られた女も新妻も哀しいだけで悪くない。悪いのは、甲斐性あり過ぎなダンナだ。巻末に、村上+柴田のプチ会談が付いてて、一瞬、「あれ?ハーディってアメリカ人だったっけか?」と思ったよ〜

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呪われた腕: ハーディ傑作選 (新潮文庫)の作品紹介

19世末の英国ヴィクトリア時代。風が渡る荒野(ヒース)とハリエニシダの茂る田園風景の中で、運命に翻弄される主人公たち……美しい若妻ガートルードの腕に残された呪いの痣をめぐる悲劇的な人生を描いた傑作「呪われた腕」、妹の婚約者との密やかな愛の葛藤を綴る「アリシアの日記」他、「妻ゆえに」「幻想を追う女」など珠玉の全八編を収録。村上柴田翻訳堂シリーズ、復刊第一弾!

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