ガラスの動物園 (新潮文庫)

  • 593人登録
  • 3.68評価
    • (56)
    • (63)
    • (108)
    • (7)
    • (3)
  • 85レビュー
制作 : Tennessee Williams  小田島 雄志 
  • 新潮社 (1988年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102109076

ガラスの動物園 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • ほぼ家の中のワンシーンだけで完結する内容なのに、グサッと胸に突き刺さるものがあります。戯曲の形式であるから、室内劇でも感情の動きだけでここまで魂を揺さぶられるんだろうなと見直しました。
    過去の栄光にすがりつく母と、社会に適合できない娘、そして二人を支えるために自分の夢を犠牲にする息子。今にもバラバラに砕け散ってしまいそうな家族の脆さに、悲劇的な美しさを感じてしまいます。
    それでも後味が悪くなくて、ささやかな希望も感じられるところが良いですね。陽の光が当たる道を生きれない人間の苦しみを描いた普遍的な名作だと思います。

  • 吐き気をもよおすような戯曲だった。

    「ねえ、ローラ、棺桶に入って釘づけになるぐらいならたいして知恵はいらんよね。だけど、そのなかから釘一本動かさずに抜け出すやつなんて、この世にいるだろうか?」

    ガラスの動物たちが出てくると悲しいけど心が安らぐ。

  • おそらく三十年ぶりの再読。豊崎由美さんの「まるでダメ男じゃん!」に出てきて読みたくなり、本棚から(まさに)発掘。紙は変色してるし、字は小っちゃいし(昔の文庫ってほんとに字が小さい。中高年は文庫を読まなかったのか?)読みづらいのなんの。それでもやはり面白くて一気に読んでしまった。

    以前読んだときどう思ったかは、もはや定かではないけれど、まず間違いなくその時とは違う感慨を抱いたのは、ヒロインであるローラの母アマンダについてだ。若かった私にはこのアマンダの心の内はわからなかったと思う。ただ愚かで支配的な母親だとしか思わなかったに違いない。今は、このアマンダの優しさや、報われない善良さが悲しく胸に迫ってくる。痛切なラストも、ローラと同じかそれ以上にアマンダに心を寄せて味わった。

    豊崎さんも書いていたが、まったくこの話には「救い」というものがない。それでいて実に美しい。文句のない名作。

  • ガラスの動物たちに囲まれたローラの儚げで陰鬱な生活と彼女を取り巻く人間の空しさやもろさが淡々と進んでいくようすがすきです。スクリーン、照明、音楽のト書きも斬新で舞台でもみたくなる!

  • 儚い

  • 陽気で夢見がちな母と極端にはにかみ屋で引きこもった姉と失踪した父に代わって一家を支える倉庫番の主人公の一家の話。
    作者の内面的な世界が色濃い悲劇の戯曲です。
    登場人物たちの繊細な心情を巧みに表現しています。

    終始スクリーンをつかって、画像や文字を映す指示や音楽の指定があります。
    ほかの芸術と違う演劇ならではの表現方法を垣間見ました。小説、映画でもないまさに演劇なのだなあと。
    まあ実際に劇場で見るべきなのだろうけども。

  • ただただ悲しい話。救いようがない。

    作品には、ヒステリックな母親、びっこでガラスの置物ばかり集めるメンヘラの姉、阿片に手を染めた倉庫勤めのぼく、が出てくる。
    母親が姉の結婚を心配して、ぼくに相手を紹介させる。偶然にも、紹介されたジムは姉が昔恋した人だった。惹かれ合う二人、姉の凝り固まった心が溶けかける。しかし、ジムには婚約者がいて、姉のもてを去って行く…という一晩の物語。

    主役が全員どうしようもない状況。その上、また絶望に突き落とされるという無慈悲な話を、これでもかというくらいに、美しく(ガラスの置物を扱うように)書いた作品。
    読んだあと、憂うつになった。

  • 読み手の年齢、性別が異なっても、多くの人が登場人物の誰かに
    感情移入できる作品だと思いました。
    作者の人生を知ってから振り返ると、切なさ倍増のお話でした。

  • 「そのろうそくを吹き消してくれ、ローラ――」

    「ガラスの動物園」というタイトルからして秀逸だと思う。
    このタイトルからして、どこか退廃的で儚げで、
    そして美しい狂気を感じる。

    つのがとれてしまったユニコーンは、
    みんなと違う存在から普通の馬に戻れた、
    というポジティブな暗示なのだろうと一瞬思うのだけど、
    最後まで読んでみると、また違った暗示を思い起こさせる。
    非常にネガティブな、破滅的な暗示を。

    さすが、作者の自伝とも言うべき演劇であるだけあって、
    母親のヒステリックとも言うべき性格、ローラの儚さ、
    そして彼女らとトムと三人の織り成す家族関係の危うさが
    非常にリアルに描かれていた。

  • 最初いきなり主人公トムとステレオタイプの母アマンダと、脚が悪く、何をやっても挫折しがちで引きこもり勝ちな姉ローラの、怒鳴り合いシーンあり泣き喚くシーンありで、 タイトルの意味を ガラス張りの家と言おうか(人間)動物園?と勘違いしてしまっていた。
    ガラスのように脆い心を持つローラの趣味が、ガラスの動物コレクションとは、作者も上手く考えたものだ。かく言う自分も、親の顔を伺いつつも、どうも、世渡りが下手で、コンプレックスの塊なもんで、身につまされた。
    売約済みではあったものの、白馬の王子さまの如く現れたジムのことばは、ローラの心に響いたのかはわからない。ただ、自分も含めコンプレックスを持つ人に、自信を持てと言っている気がした。
    この物語が生まれた経緯が辛すぎた。

全85件中 1 - 10件を表示

テネシー・ウィリアムズの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドストエフスキー
ヘルマン ヘッセ
ヘミングウェイ
三島 由紀夫
ドストエフスキー
フランツ・カフカ
谷崎 潤一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

ガラスの動物園 (新潮文庫)に関連する談話室の質問

ガラスの動物園 (新潮文庫)に関連するまとめ

ガラスの動物園 (新潮文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ガラスの動物園 (新潮文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ガラスの動物園 (新潮文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

ガラスの動物園 (新潮文庫)の単行本

ツイートする