白い牙 (新潮文庫 (ロ-3-1))

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制作 : 白石 佑光 
  • 新潮社 (1958年11月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102111017

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白い牙 (新潮文庫 (ロ-3-1))の感想・レビュー・書評

  • ジャック・ロンドン(白石佑光訳)『白い牙』新潮社、1958年(原著1906年)
     とても面白い動物小説である。著者のジャック・ロンドン(1876-1916)はサンフランシスコで生まれ、私生児として母にそだてられた。父親である占星術師には生涯認知されなかったそうである。母のフローラは再婚するが、地味な暮らしを嫌い、家運が傾き、あちこちと転居することになる。ジャックは新聞売り、缶詰工場などで働き、カキの密猟者、密猟者の取締り役人などをやり、アザラシ捕りの船に乗り込み、日本へきている。その後、工場労働者、石炭運びなどを転々とし、1894年、アメリカ・カナダの放浪の旅にでた。子どもの頃から読書に異常な情熱があったらしく、1895年、放浪からもどると、ハイスクールに通い、カリフォルニア大学に入ったが、学資がつづかず、中退する。学生時代はマルクスをよみ労働運動をやり、演説もしている。後年、マルクスをはなれ、スペンサーやニーチェに傾倒した。1897年にはアラスカのクロンダイクでゴールド・ラッシュが起こると、ジャックも北国へ冒険に旅立つ。一年後、無一文のまま、病気になって戻る。1899年から作品を書き始め、1903年、出世作『野生の呼び声』で一躍流行作家になった。1904年には通信員として日露戦争に従軍するため、来日したが、従軍を許されず、日本人への激しい憎悪を抱いて帰国する。1900年ごろ結婚し、離婚、そして再婚し、1907年から土地を買い落ちつく。妻や仲間と自分の船で南大西洋諸島をおとずれている。若いころからアル中であったが、放蕩と多作による過労、青年時代の貧困などがたたって、1916年、40歳で死去、モルヒネ自殺であったそうである。人気作家としての自己イメージに違和感があったといわれる。200編以上の短編を書き、売れっ子作家であったが、使うほうも豪快だったらしく、財産はのこらなかった。まあ、アメリカの「無頼派作家」である。
     「白い牙」はイヌとオオカミの間にうまれた「ホワイト・ファング」が主人公である。第一章は母イヌがオオカミたちと犬ぞりを襲う話である。一匹また一匹と頼りになるイヌがいなくなり、人間の仲間もくわれ、最後に残った男が自分の身体の精妙なつくりを惜しむシーンなどは、死と隣りあわせになった人間しか書けないような切迫感がある。第二章は、ホワイト・ファングが生まれ、荒野で他の動物と戦いながら、成長していく話である。第三章はネイティブ・アメリカンの「グレー・ビーヴァー」一家との共生を描く。第四章では、市場でグレー・ビーヴァーがアル中にさせられ、ビューティー・スミスにホワイト・ファングが売られる。ビューティーはホワイト・ファングを虐待し、闘犬として戦わせる。第五章は瀕死の状態だったホワイト・ファングがスコットに引き取られ、「愛」を覚え、カリフォルニアの屋敷で社会生活を覚える話である。
     この小説では、よくあるドラマやマンガのように、イヌがしゃべったりしない。しかし、イヌの視点から描かれていて、「掟」とか「愛」とかがイヌの視点から解釈される。文体も虚飾を廃して、ドライで簡潔、しかし、気高いのである。構成もイヌが学んだことから新しい環境に適応しており、無理なところがない。これは映像にしても面白くないだろう。「ホワイト・ファング」は、オオカミとしての気高さもあるが、とにかくガムシャラに生存にしがみつく、作中ほとんどが闘争であるが、ホワイト・ファングは、ただ「力」のみにたよるのでなく、すべての力、体力と知力、狡猾さもフル活用するのである。何より、どんなに環境が変わっても、生存のために適応していく姿には感動を覚える。

  • 冒頭から、アラスカの雪の平原でハラペコ狼にとりかこまれ、一匹一匹食べられていくソリ犬・・・ついには人間も・・・な展開でつかみからがっつり。狼好きのバイブル。「野生の呼び声」が飼い犬が狼化して自然に還る話ならこっちは逆で、狼がよい主人に出会い、な話だった。なでるぞ!なでられる!の攻防は食うか食われるか!並みにハラハラである。

  •  犬が主人公であるこの作品を取った時、犬がしゃべるのかな、と何故だが思って読み始めました。そんなことはありませんでした。
     印象に残ったのは、日々生きるために獲物を追い続ける狼たちの日々。人間にしてみると死なないために生きる時間の多くを食料探しに追われ、食料にありついてもまた次の食料を……、何て人生は辛すぎますが、野生の動物にとっては当たり前のことだと気づかされたことです。

  • ◆きっかけ
    ブクログ。2016/9/25

  • アラスカの荒野に生まれ、様々な人間の手を経て、はるか南の地にたどり着くオオカミの物語。

    痛々しいまでの野性の厳しさ、人間の残虐さと優しさが描かれた物語は、ちょっと最後のエピソードが唐突だったけれどやはり力強くたくましいお話でした。

    ラストページにほっこり。

  • 犬の幸せって、何だろう。

  • 2人の男が極寒の地で犬ゾリで棺を運ぶ冒頭の章に、ロンドンの真骨頂があると思う。これだけで短編小説のようだ。

    犬の視点から人間を神々たち、と表現していて、人間の文明というものがあらゆる生き物の中でずば抜けていると感じる事になる。(文明を築けたのは一握りの人間による所が大きいので、あまり自惚れる事はできないのだが。)

    ロンドンの著作はいつも新しい視点を与えてくれる。

  • 私は動物文学が好き。
    読後感、私と同じ気持ちなら近い人かも。

  • 表紙の孤独そうなオオカミ君に一目惚れして、レジダッシュした作品。
    これは大当たりでした!本当に面白かった~~!!

    主人公は、ホワイト・ファング(白い牙)と呼ばれるオオカミの子。
    それも純粋なオオカミではなくて、オオカミと犬の混血。
    そのあたりの設定が最後の最後まで生きてきます。

    ホワイト・ファングの視点から描かれるお話がとても新鮮です。
    虐げられてすっかり頑なになった彼の心を溶かしてくれる、新たな出会い。

    泣いたり、怒ったり、ほっこりと幸せな気持ちになったり。
    とても素晴らしい物語でした。

  • 寂しい奴が幸せになる話は、好みです

  • 2011.6.15以前に読んだ本。

  • 小学生の頃、白い牙の映画をみた。図書館で偶然見つけたので読んでみることに。

    たんたんとしているけど、それがつまらなくならないところがよかった。孤独なオオカミが愛を得て変わっていく。動物が変に擬人化されていないところもよかった。

  • 小学生の頃に読んだ。
    そのあとアニメで見た。
    30数年ぶりにきちんとしたものを再読してみたら、覚えている話と全然違った。
    でもやっぱり面白かった。
    動物がきちんと動物として描かれる物語って、面白いよね。

  • ホワイトファング!!

  • オオカミブーム到来中につき、表紙のオオカミの佇まいにも惹かれて、猛暑の中、北極圏(アラスカ?)の話を読みました。最初は、現実との気温差のせいかなかなか物語に入り込めなかったけど、子オオカミに名前がついたあたりからはかなりぐいぐい読みました。そして、苛酷な前半~中盤のせいで、後半は相当せつなく、胸にグッとくるシーンの連続…。いやー、素晴らしい名作だと思います。
    …ただ、残念ながら、個人的には翻訳がイマイチだったなと。光文社の方が良かったりするのかなー。表紙でつい新潮文庫の方を選んでしまったけど…。

  • 北の荒野で2分の1イヌの血を持った母親キチーと老オオカミとの間に生まれた4分の1イヌの血を引き継ぐホワイトファングの数奇な生涯の物語。

    動物文学の面白さを教えてもらった本。動物の行動心理、物事や人間に対する思考がとっても面白い!

  • 牙が舞う描写に興奮したものだ。

  • 米原万里の本より

  • ホワイトファングの目線から見た人間の「理」。
    資質と環境によって形作られていくホワイトファングの「個」。
    環境を作っていく者として、思慮深い人間になりたいと思った。

  • 犬(オオカミではあるが)の習性をよく描写していて、非常に面白い。動物から見た人間の不思議な点や残酷な点なども興味深い。

  • 主人公はホワイト・ファング(白い牙)と呼ばれる狼。舞台は、ゴールドラッシュに沸く北米の原野です。
    厳しい自然界の掟を学んだホワイト・ファングは、人間と共に暮らすことになっても、生き延びるために野性の本性を研ぎ澄まし、本能の命ずるまま行動し、自分以外のすべてのものに激しく牙をむきます。彼は強く、狡賢く、凶暴で、情け容赦のない・・・・そして孤独な灰色狼です。けれど、ホワイト・ファングの血の四分の一は、犬のものでした。すぐれた順応性も併せ持っています。
    この小説は凡そ100年前に書かれたものだそうですが、動物行動学者も顔負けの洞察力にはびっくりです。作者ジャック・ロンドンの生涯も、ホワイト・ファングに負けず劣らず波乱万丈だったようですが、その経験が作品にも大いに反映されているのでしょうネ。狼の目を通して世界を描き、しかも過度に擬人化せず、登場する人間のセリフに頼ることなく物語を進めながら、これほど読む者をひきつけるのですから、動物文学の傑作といわれるのにも納得です。犬好きの人にはたまらない1冊ですよぉ。

  • オオカミのお話です。
    オオカミもイヌも、本能に振り回されて大変だなぁ。

  • 入院中に読みました。
    動物文学っていうのでしょうか、動物が主役で、ほどほどに擬人化された感じの物語。こういうの昔大好きでした。なぜか最近は遠ざかっていたれど、やっぱり好きです。

  • オオカミの目から見た世界や他の生き物との関わりが、躍動感あふれて描かれていて面白かった。
    怒りと憎しみに凝り固まって成長したオオカミ(四分の一はイヌ)が、人間の愛情に一歩ずつ目覚めていく過程が清々しい。そこに到るまでの虐げられた期間が苦しかったからこその開放感を味わえた。

  • 自分以外のすべてに、彼は激しく牙をむいた。強さ、狡猾さ、無情さ・・・彼は生き延びるため、本能の声に従い、野性の血を研ぎ澄ましてゆく。自分の奥底に今はまだ眠る四分の一のイヌの血に気付かぬままに──。

    森に暮らす一頭のオオカミが、人間のエゴによって虐げられ、恐怖を感じていたある日、今度はその恐怖を取り除き、愛情という無償のものを与えてくれる人間との出会いによって、徐々に人間に心を開いていく様子が、感動的だった。
    動物を主人公にした小説だが、とても読みやすかったので、初心者にオススメしたい一冊。

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