- Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102114032
感想・レビュー・書評
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ベストセラーを読むことはないのだけど,コロナ騒動には困り果て,読む.
戦後間もないアルジェリアのオラン.ペストに襲われ都市封鎖.その中で淡々と誠実に職務を果たすことでペストと戦う医師リウーを中心とした群像劇.
訳が悪いという評価が多いが,訳は古いが難しくはないのではと思う.もとのカミュの文章が思索的でもって回った表現が多いのだろう.
表面的に見ればコロナよりずっと怖いはずのペストに襲われた都市は今の東京よりも開放的.映画館もレストランもカフェも夜までやってる.
ペストはカミュ的倫理における悪のメタファーというのが定説らしいし,エピグラムも,そしてこの本の核心をなすタルーとリウーの海水浴に先立つ会話のシーンでもそれは裏付けられる.それを現代のコロナ禍のもと即物的に読むのは無理があるのではないか.
実存主義全盛の頃ならともかく,今の世の中,本の描かれた時代背景や社会情勢を知らないと何を言ってるのかわからないところがある.そういうところは解説の役目だろうが,こういう思想的な小説は読まれなくなるのも早いのかなと,少し思った. -
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upako365さん
こんばんは!レビュー拝見いたしました。
医療に従事してくださっているんですね。ほんとうにお疲れ様です、そして、ありが...upako365さん
こんばんは!レビュー拝見いたしました。
医療に従事してくださっているんですね。ほんとうにお疲れ様です、そして、ありがとうございます。
わたしは自粛中にこの本を読み切るのにかなりエネルギーを使いました。upako365さん、大変な仕事をしながら同時並行で読み切るとは…素晴らしい!
わたしもupako365さんと同様に思ったことがあって。
リウーの医師としての姿勢と、タルーとの友情、後半の感情移入はずるいですよね!
あと、最後に語り手が明かさる部分は「え!」という気持ちと「やっぱり」という気持ちが混在したり…
終わり方はちょっと怖かったですね。。
突然のコメント大変失礼いたしました!
体調にはお気をつけて、お過ごしください^^2020/05/03
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物語は複線で進んでいくので、少し異なる物語を追っていくのが難しかった。普段は小説などはすらすら読んでしまう方だが、これはとても時間がかかむた。
感染症という圧倒的な不条理に対して個人が、または都市全体がどのように反応するのかを淡々としたタッチで描いていく。突然やってくる災厄、当初の楽観的見通し、突然の戒厳令、違反者に対する容赦ない厳罰、強制的隔離や脱出者の射殺、抜け道、危機を利用した商売、抜け道、懇願、諦め、狂気、無関心、慈悲、偽善的ボランティア、日常的な死、、、これらは今のコロナ拡大によって自分たちが経験してきた、あるいは経験することになることなのかもしれない。印象的なのはペストによる死そのものではなく、これらに対して人間がどのように受け入れるのか、抗するのか、にフォーカスがあることだ。
個人的に面白かった点は、解説で指摘されていたこの作品が第二次大戦直後に発表されたもので、ペストは世界大戦という不条理に関連されているということ。圧倒的な支配に対して、個人の反応と都市全体の連帯や全体主義の間で視点が移り行くのが面白い。 -
不条理主義。感想書いたが、消えてしまったので残念。
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実際、ペストが、その語の深い意味において、追放と別離とであったことを物語っていたのである。…
本当は、病だけでなく、宗教や哲学にも触れられた一冊です。が、今回はとにかく話の結末を知りたい一心で読みました。ネズミやノミ、ダニを媒介に、じわじわと人々を蝕むペスト。現在、コロナウィルスと闘う医療関係者と、「チームリウー」と呼ぶべき登場人物らが重なります。1940年代のアルジェリアを舞台に、淡々とした筆致で描かれていますが、闘う医師リウーの結末と、多大な犠牲を払いながら解放された街で喜びを享受する市民の姿とのコントラストは、淡々としているが故に胸に迫ります。
今この瞬間も闘っている患者さん、医療関係者さん、そのどちらものご家族、この生活で不安になっている全ての人、今生きていることに感謝しよう。しにくいけど、自分も人も解放を待ち望む一人の人間だと自覚しよう。 -
新型コロナウイルスが蔓延している今、この本にたどり着けて良かった。世界というのはまぎれもなく「不条理」なもので、それは突然襲いかかってくる。
そして、そこで経済活動ができなくなった時にどう対応するのか。多様な登場人物でそれぞれの対応が描かれているのが興味深い。現代にも十分通じる。
さて、2011年は天災だったし、2020年は疫病。
その中で人はどう考え、どう行動するか。
私自身も問われている。できることをやろう。
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災害、パンデミックが起きたときのそれぞれの考え方
病気の妻をおいて医者として職務を全うする人
裁判官の父親が死刑を宣告する姿をみてから死についてずっと考えてるひと
たまたま来た街でパンデミックがおこり自分の故郷へ帰れない人、自分のことだけ考えて脱走をこころみるひと、でも、どこかで気持ちがかわり、みんなで乗り越えようと考え直すひと
パンデミックの前に逮捕されるはずだったがパンデミックがおこり逮捕されずにすんだひと、この状況がかわらなければいいと思ってるひと
キリスト教の司祭でこうなったのは人間せいだと思ってるひと、意味があることだと思ってるひと、でも無垢な少年の死を目の当たりにし神とはなんなのかがわからなくなるひと
いろんな登場人物がでてくるが、どれが正しいのかどれが正義なのかは言及されない
みんなそれぞれ正しいのかもしれない
ペストはなくなったわけではなくまたどこかで起こるかもしれない。という終わり方
ペストだけでなくパンデミックや災害はいつ起こっても不思議ではない
いままさに世界はコロナショック
正義はないけど、自分が思う正しい生き方をしたい -
不条理なこの状況、人間はどうあるべきか。新型ウイルスが猛威をふるう2020年のいま、この書にわたしたちの救いはある。終息に向かうまではこの書を片手に。