ペスト (新潮文庫)

  • 新潮社
3.65
  • (306)
  • (409)
  • (514)
  • (90)
  • (28)
本棚登録 : 7168
感想 : 536
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (476ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102114032

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2024/03/18読了
    #カミュ作品

    アルジェリアを舞台に発生したペストの物語。
    テーマだけに終始重い展開。
    50年も前の作品だが、この度発生した新型コロナと
    様相が非常にかぶるシーンが多くて驚いた。
    感染症の状況も生々しいが、
    それ以上にペスト環境下で非罹患者でさえも
    希望を失う絶望的さまが痛々しく描かれる。

  • 去年のこのコロナ禍で人気が再燃した20世紀半ばに書かれたクラシック小説。遅ればせながらようやく読了。

    やっと読み終わった!いや〜大変だった。。
    けして読みやすくはない文体。回りくどいというか、10ページ読み進めるのも眠くなってなかなか時間がかかる。しかもその10ページ、読み飛ばしても内容を追うのに支障があまりなさそうなくらい物語の進展が遅い。遅いというか、すごく密に書き込まれてる。
    とにかくこれはすごく訓練になる読書体験だった。

    書かれてる内容は非常にリアルで読み応えがある。人々の不安や諦め、死への無気力、無関心、そして連帯感。まさに今このコロナ禍で僕たちが経験している心理とそう変わらないものが繰り広げられている。

    キャラクターも豊富で誰もが独立した人間として動いていて、舞台装置として配置されたようなキャラクターがほとんどいない。リウー、タルー、グラン、ランベール、パヌルー、コタール、オトン、、、皆それぞれ人間的な魅力がある。
    特に魅力的に思ったのはランベール。一番人間的な気がした。

    最終章で、舞台となったオラン市がペストに打ち勝った姿が描かれていた。現在の私達の世界も、早くこんな日が迎えられますように。

  • 不条理が人間にとって何を意味するのか。
    世界の否定性。絶望に慣れることは絶望するよりも悪い。
    人生に意味などないのか。生きる価値って?では死には価値あるの?
    そういう無意味さの肯定か。

  • 私たちを脅かすコロナ。世の中は日に日に増える感染者の数と比例して恐怖感を強めていく。過去にも世界の歴史の中でペストやスペイン風邪といったものが今と同じような状況を経験している。私たちは何をしなければならないのか考えさせられた。主人公リウーやランベール彼らそれぞれの目線でペストに対する向き合い方や想い、そして人生の喜怒哀楽が大いに感じられる作品です。ホントに今が旬の本ではないでしょうか。多少表現が昔風になっているのでそこが読みづらいところが難です❗

    • トミーさん
      読みたいのですが、手に入りませんね。
      ありがとうございます。「レビュー」
      読みたいのですが、手に入りませんね。
      ありがとうございます。「レビュー」
      2020/04/23
    • たいちゃんさん
      コメントありがとうございます⤴️
      今人気ですもんね
      コメントありがとうございます⤴️
      今人気ですもんね
      2020/04/23
  • 自分には少し難しく、読み終わるのに時間がかかってしまった

  • 経験したことのないコロナ禍。
    本屋の店頭に並ぶ約50年前に発売された「ペスト」
    今だからこそ、読み返している人も多いし、新たに読んでいる人も多いので、その波に乗って、時間もあることだし、読んでみようと思った。
    しかし、数年ぶりに読む海外文学作品の難読さに手を妬き、1週間かかって、読了。
    最近の文学が数年の間にかなり読みやすい文章に変貌していることに一番驚いた。
    200ページぐらいまではペストがアルジェリアのある街で発生し、徐々に広がっていく様子が淡々と描かれる。
    最近のウイルスを扱ったパニック小説とは違い、本当に淡々と描かれていて、少し違和感があるぐらいだが、後半になるにつれ、常に冷静にペストに向かい合っていた主人公・リウーの心にも変化が表れる。
    後半は読んでいて、辛過ぎてページを閉じたくなることも…
    ちょうど、この作品を読み終えた日に日本は緊急事態宣言の一部解除がされ、人の流れが元に戻りつつある。
    しかし、まだ少しでも気を緩めれば、ペストと同じ状況が身近にあることをしっかり意識していきたいと考えさせられる内容だった。

  • アルジェリアのオラン市を襲った病・ペスト。外部と遮断され孤立化した町の中で、ペストという不条理と闘う人々を描いた作品。最初はペストを医学的にどう対処するかという医療系の物語だと思っていたけど違って、ペストに直面した人々が心をどう変化させていったのかを年代記風に淡々と語っていく物語だった。冷静な語り口の中にも、町や人の心を精緻に描き出そうとする細やかさを感じる。ただ、活字を読み慣れていない人には難しい文章だと思うので、もう少し柔らかい訳だったらありがたかった。

    医師のリウーはこのペストという不条理の中で戦い、敗北し続ける。少年のシーンはその苦痛が浮き立ってくるようで読んでいてつらかった。そんな地獄のような状況でできること、

    「そこに、毎日の仕事のなかにこそ、確実なものがある。その余のものは、とるに足らぬつながりと衝動に左右されているのであり、そんなものに足をとどめてはいられない。肝要なことは自分の職務をよく果たすことだ」
    「しかしペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです」
    「一般にはどういうことか知りませんがね。しかし、僕の場合には、つまり自分の職務を果すことだと心得ています」

    このあたりの言葉が印象深い。現代でも感染症が大きな問題になっていて、その中でできることって何だろうかと考え続けている。誠実に自分の仕事をすること。まずはここから始まるのかなと。

    「世間に存在する悪は、ほとんど常に無知に由来するものであり、善き意志も、豊かな知識がなければ、悪意と同じくらい多くの被害を与えることがありうる」
    「そして絶望に慣れることは絶望そのものよりもさらに悪いのである」

    この言葉たちも心に留めておきたい。ペストに限らず、不条理なものは世界にはあふれていて、いつ直面してもおかしくはない。自分ならそれとどう向き合っていくのか、何ができるのか。感染症で揺れている今だからこそ読めてよかったと思えた作品。

  • 名作と誉高い本作だけど、かなり難儀して読んだ。特に導入部が持って回った表現で辛かった。ドイツ占領下のパリの戦争体験から、という思い込みで読んでたけど、そこまで関連は感じず、アレアレっと思いながら読み終わってしまった。いつか再読しよう。

  • 読んでよかったです。他人事ではない。

  • 今だから読みたい本、と本屋さんで平積みされていたので手に取ってみた。
    ペストが猛威をふるい、ロックダウンされた街を描いた作品です。まぁ~翻訳の読みにくいこと!!途中で投げ出しそうになりましたが、何とか読了。
    病床の不足や、経済の衰退、デマからの買占めなどなど…現代がまるで作品をなぞっているかのようで、恐ろしかった。
    気まぐれのようにやってきて猛威をふるい、ロックダウンされた街の中で翻弄される人間たちの命を奪い、また気まぐれのように収束していったペスト…原因も理由も謎なところが、本当に怖い。コロナはペストと違って、現時点では致死率がそんなに高くないことがまだ救いだろうか。
    人類は災害や疫病に対してとても無力だけど、医師リウーのように、日夜戦っている人がいるということを心に留めておきたい。
    そして一時も早く、平穏な日々が戻ってくることを願います。

カミュの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
ドストエフスキー
ドストエフスキー
ヘミングウェイ
ヘルマン ヘッセ
ドストエフスキー
ウィリアム・ゴー...
ウィリアム シェ...
安部公房
サン=テグジュペ...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×