熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)

  • 123人登録
  • 3.67評価
    • (9)
    • (16)
    • (26)
    • (0)
    • (0)
  • 13レビュー
  • 新潮社 (1970年3月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102118061

熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 「女心と秋の空」という言葉がしっくりくる作品。初老の男性シャルルに愛されている美しい女性リュシールと、金持ちの中年女性の若い恋人アントワーヌが出逢い、惹かれ合い、情熱的な恋愛をする。妊娠したリュシールは何かを「持つ」ことを嫌がり、アントワーヌも彼女以外を欲しがらなかった。この出来事の後、リュシールは再びシャルルの元へ舞い戻る。一緒に幸福になりたいと願うアントワーヌと、純粋にリュシールの幸福だけを願うシャルルの二人の間で揺れるリュシールの心は、まさしく秋の空。

  • 10年以上も昔の話。
    10歳近く年上の男友達が、この本を読んでため息を吐けたら大人だ、と豪語していました。この本は絶版になっていて手に入らず、サガンの他の本を読んで感想を伝えたけれど、熱い恋じゃないとだめと言われ。どう探しても手に入らないまま月日が経ち、そのうち本の存在も忘れてしまいました。未成年だった自分が仕事をして、苗字も変わり、大人になった今、ふと思い出して、図書館を探してみたら、あるじゃありませんか「熱い恋」。
    今読み終えて、一言。
    ため息なんか吐けるかコラァァァァァ!!
    いつかまた、会う機会があったら、お腹にいっぱつパンチを入れて、文句を言おうと思う。

  • 原題は「ラ・シャマード」。「敗北を告げるときの太鼓の鳴る音」を意味すると本文中に出てくる。素晴らしい原題、そのまま使えばよかったのに…。
    何も持ちたくはなく、何者にもなりたくないという主人公リュシールは、まさに憧れ。

  • (1971.10.20読了)(1971.10.06購入)
    *解説目録より*
    深い吐息、甘いささやき、肉体だけが熱狂的に相手を知る恋の一夜、しかし、アントワーヌとの激しい陶酔も、心の空虚を満たしてはくれない……。気ままで移り気、道楽になれたリュシールは、寛大で金持ちの五十男シャルルの胸に帰ってゆく。パリジェンヌの甘美な愛の世界、新しい愛の形を描くサガンの第六作。

    ☆関連図書(既読)
    「悲しみよこんにちは」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1955.06.25
    「ある微笑」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1958.05.05
    「一年ののち」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1960.01.15
    「ブラームスはお好き」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1961.05.10
    「すばらしい雲」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1968.03.25

  • なぜかは知らないがサガンの小説はけっこう読んでしまっていて、彼女の作品については比較ができるし、ある程度まとまったこともいえそうなくらいである。この『熱い恋』(原題"La Chamade")は、これまで僕が読んできた中ではトップクラスの出来で、お別れする前に読めて良かったと思っている。

    『熱い恋』は、やはりサガンらしくストレートに恋愛を扱っていて、リュシールとアントワーヌという三十前後の男女の物語。二人はそれぞれシャルル、そしてディアンヌという、上流社会に生きる男女に「囲われて」おり、彼らの庇護を陰に陽に受けて生活している。リュシールとアントワーヌが出会ったのも、他ならない彼らのパトロンに連れて行かれたクレールという女性の主催する夜会(ソワレー)でのことであった。そこで二人は、周囲の嫉妬を激しく買う「笑い」を互いに交わし、やがてシャルルの自虐的な助け舟を利用して一気に近づき、会うごとに激しい「アムール」を交わす間柄となる。その後アントワーヌとリュシールは、お互いが何の気兼ねもなく会い、ともに暮らすことのできるように、互いのパトロン――ディアンヌとシャルルに別れを告げることになるのだ。

    本作はサガンの小説に頻出する、複数の人間を交えた恋愛関係が主軸で、ほかとまったくタイプとしては同じで、強いて言えば、今回は四人が物語の俎上にのっているという点から、『ブラームス』を思い出すことにもなるかと思う。でも、『ブラームス』はもちろん、本作以後の作品と比べても、『熱い恋』がよりすぐれている理由は、端的に言って完成度が高いからである。第一に構成の上手さ――三部からなる「春」「夏」そして「秋」の分量の極端な違いは、恋愛の立ち上がりと、絶頂期と、そしておしまいに至るまでの期間に対応しているということになるだろう。第二に、サガンらしい心理分析からくる表現の確かさで、これはほかよりも良いと言い切れる。そして第三に、エピソードのキレのよさ。各々の出来事が生き生きとしていて、とても僕の印象に残っている。特にアントワーヌとディアンヌが最後に彼の部屋で別れるシーンは、個人的な「彼女の作品のうちの最良の」数ページ(p. 195)に指定したい。そこではあるカップルが、ぎりぎりのところですれ違いながら、お互いの心から離れていく過程を描いているが、そこまでちゃんと本作を読み進めてきたものにとって、緊迫感を見て取らないなんてことはありえない。

    ディアンヌは眼をおとした。彼女の夜会用のハンドバッグの上部にかすり傷がついていた。取り替えなくてはならない。彼女は強情に、その傷を眺めていた。彼女はそれより目に入らなかった。彼女はそのハンドバッグの傷に精神を集中しようとした。『どこでやったのかしら?』(p. 117)

    19世紀レアリズムの伝統をこのあたりに見ることができるのではないかと思った。そして、リュシールとアントワーヌが完全な同棲生活を送り、やがて互いが互いの「肉体」を必要としなくなり、別れを告げるラストまで、こんな調子の、真実味のある興味深い物語が展開していくのだ。

  • 大好きなサガン節が堪能できた。
    私は彼女の小説の無関心で淡泊な登場人物(今回の場合はリュシール)やスノッブな雰囲気や繊細な心理描写が大好き。

    私だったら最初からシャルルを選ぶ。無口で優しくて紳士ではないか。

  • 日本でDVD化されていないのが残念。

  • サガン6作目。

    サガンの描く女性はわりと皆好きなのだけど
    今回のリュシールは好きになれない!
    ただこのまま続いていくかもしれない生活に刺激が欲しかっただけじゃないか~~!

    サガンは、恋愛の過程における細かな描写表現が上手いという評を得ていますが、今回の作品でその評が本当であることを実感しました。

    昔の傷は、忘れられないんじゃない。
    故意に忘れようとしていないだけなのです。
    今の幸せを噛み締めるために。
    再確認するために。
    だから何度も、昔の傷を掻き毟るんだろう。

  • 心理描写が鮮明でどっぷりと読み込んだ1冊。考えさせられる内容。

  • サガンの乾いて洗練された虚無感が好きだった
    女性の強さのバラエティ豊かさを発見できるかも

全13件中 1 - 10件を表示

フランソワーズ・サガンの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
ヘミングウェイ
フランソワーズ ...
フランソワーズ ...
ヘルマン ヘッセ
フランツ・カフカ
フランソワーズ ...
谷崎 潤一郎
有効な右矢印 無効な右矢印

熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

熱い恋 (新潮文庫 サ 2-6)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

ツイートする