- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102118061
感想・レビュー・書評
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p48
顔を赤らめないであなたに会うことはもうできないわ、それから苦痛なしにあなたとお別れすることも、それからあなたから目をそらさずに人の前であなたに話しかけることも
p55-56
けれども心配はー嫉妬より根強くー情熱を促進させる大きな力だということを彼はずいぶん本で読んでいた。
幸福なとき、人はほかの人たちをたやすく自分の幸福の補助者と考えてしまうものだ、そして幸福を失ったときにはじめて彼らがとるに足らない証人であったことを知るのである。
後半、月末の26日に2杯のウイスキーを飲んでお祝いする、というシーンがあるがどういった理由があえうのかわからない。なにかエピソードがあるのかしら
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地方から出てきて出版社で働き始めた20歳の頃は貧乏だった女の子が、20代後半で裕福な理解ある20歳年上の素敵なおじさんに囲われて(しかし本人もおじさんも囲われている、囲っているとは思っていない)、それなりに幸せな生活を送っていたところ、同じように愛人生活を送っている貧乏だけどハンサムな男の子と恋に落ちる。女の子と男の子と言っても30歳。そして自分で稼ぐ10万フランの給料より人に買ってもらう30万フランのドレスを着て生活する方がいいと、理解あるおじさんのところに戻っていくお話。
色々理由をつけつつも(存在を諦めるとか、なんか哲学的な書き方がされているが)、「働けよ、そんで一緒に生きていこうよ」と言う男を「愛することがすきではなくなり」、働かないで豪勢な生活をする方がいい、というところが実にリアル。60年代前半の本だけど、フランスではベストセラーになったそうだ。こういう人(や社会)が憧れだったからなのか、上流社会を垣間見るのぞき見的嗜好からなのか。よくわからないけど。 -
今まで読んで来たサガンの作品より、春・夏・秋とそれぞれ題された、恋の始まりと絶頂と終焉という構成などは、成る程成熟しているなと思う。心理描写も求めていたものだった。
しかし、いつまでも子供のままでいるようなリュシールには、どうもついていけなかった。与えられることだけを求めるのはずるい。 -
「女心と秋の空」という言葉がしっくりくる作品。初老の男性シャルルに愛されている美しい女性リュシールと、金持ちの中年女性の若い恋人アントワーヌが出逢い、惹かれ合い、情熱的な恋愛をする。妊娠したリュシールは何かを「持つ」ことを嫌がり、アントワーヌも彼女以外を欲しがらなかった。この出来事の後、リュシールは再びシャルルの元へ舞い戻る。一緒に幸福になりたいと願うアントワーヌと、純粋にリュシールの幸福だけを願うシャルルの二人の間で揺れるリュシールの心は、まさしく秋の空。
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徹底的な内面描写。こういうの読んでるから、マリエルは人間の機微に敏感になったんでしょうね。