優しい関係 (新潮文庫 サ 2-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102118078

感想・レビュー・書評

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  • 引っ越しの本棚整理中にうっかり手に取り、再読。

    サガンは中学生の頃にはまっていて、なかでもこの作品が好きだった。
    ウン十年ぶりに読んでみると、なんともまあ昼ドラチックで。
    何(どこ)に共感して好きだと思ったんだ、中学生の私?
    ……と思ったものの、作品としてはやはり惹かれるところが多くおもしろかった。
    すっかり忘れていたので、サガン作品で「舞台がハリウッド」に驚く。

    見返りを求めず、自分の何もかもを捧げて主人公を守り愛する青年。
    そしてそんな風に愛されることに、恐れを抱きながらも彼を見放せない中年女性。

    中学生の私はいったいどちらに憧れたんだろう。
    当時に思いを馳せてセンチメンタル気分に浸ってしまった。

    • nejidonさん
      九月猫さん、こんばんは♪
      お元気ですか?レビューをお待ちしておりました!
      それから、たくさんお気に入りマークをくださって、ありがとうござ...
      九月猫さん、こんばんは♪
      お元気ですか?レビューをお待ちしておりました!
      それから、たくさんお気に入りマークをくださって、ありがとうございます!

      【何(どこ)に共感して好きだと思ったんだ】
      ↑ ぷぷぷっと吹いてしまいましたよ。
      あるある、ありますよ、これは!
      その頃の自分に「どこが良かったの?」って聞いてみたくなる作品。
      私も昨年本棚から出てきた『悲しみよこんにちは』を読み返して、すごい脱力感に襲われましたもの(笑)。
      反対に、再読すると改めて面白さに気づく本もありますよね。
      かつての星3つが、星10個くらいになったり。
      もしかして、私、成長した?なんて勘違いして喜んでます。
      そういうことがもっともっと多いと良いのですが・・
      九月猫さん、またぼちぼちと更新してくださいませ。
      私も遅読ですから、ゆっくりで構いませんよ。
      2014/08/28
    • 九月猫さん
      nejidonさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。
      「帰ってきた♪」感じがして嬉しいです~(*´ω`*)
      本棚TOP...
      nejidonさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。
      「帰ってきた♪」感じがして嬉しいです~(*´ω`*)
      本棚TOPとプロフにお休みの旨は書いておりましたが、
      ブクログは近況などのお知らせができないのが不便ですね。

      お引っ越しでお休みしておりました。
      2.5キロ弱の移動だったので、業者さんを頼まずに引っ越し敢行しましたら、
      思った以上にいろんなことに時間と気力・体力を費やしてしまって。
      ばたばた&くたくたの夏です。
      荷解きはまだまだ終わっていないのですが、日常生活ができる程度には回復したので、
      ようやくブクログにも復帰です。

      あらためてこれからまたよろしくお願いします(*´з`)♡

      >あるある、ありますよ、これは!
      ありますよねー!よかった(笑)
      本に賞味期限はない!が持論ですが、読んだ年齢やタイミングによって印象が変わることってありますよね。
      新しい本や未読の本に目を奪われがちで、再読はつい後回し(そしてそのまま;)になっちゃいますが、
      たまには懐かしい本をひもといて当時に思いを馳せるのもいいものだなぁと思いました。
      2014/08/29
  • 周囲から理解されないような関係性であっても、
    2人にしかわからない事実があっても、
    それが一般的に認識されるかは一切関係して欲しくないよね、
    限定された集合体で完結できるのだとしたら、今ある問題がどれだけ発生していないのだろうか、

  • 少女向けのまんがや小説が好き。ティーンズラブやロマンス映画が好き。主人公である女性に、深くときに恐ろしささえ感じる愛を向ける男のひとが好きだから。だからこのお話も好きにならないわけないんだよ。

    ルイスが出てきた瞬間すごく好きになってしまった。最初出てきたルイスは車の前に躍り出て怪我で気絶したかと思ったら、次には目を開けてドロシーに微笑みかけただけなのに。なにこれ、一目惚れ?それともわたしはドロシーになってしまったの??

    読んでる最中どんどんルイスが好きっていう感情は強くなるし、最後はむしろ愛してる、になってしまった。
    なんというかある種のヘキに刺さるようなお話で、サガンの美しい文章とあいまってとても…素晴らしかったです…。短いお話なのでスラッと読めるんだけれど、それでも夢中になって読んじゃった。

    主人公のドロシーはすこしばかり浅慮でアル中で、でも母親的な魅力がある。彼女自身は母性的なものはあまりないってはしているんだけどね。ともかく共感しやすい主人公だと思う。
    そしてルイス。無垢で美しく凶暴なドロシーの守護天使。掛け値なしによくしてくれたドロシーを愛する彼は、代償なしの優しさを求めていたんだね。母の愛を求める子のようにも見える。けれどルイスのアガペーな愛情はアンモラル的だった。ドロシーは保身もあるが、そんな彼を跳ね除けることができない。やっぱりどこか母と子的に感じる。このルイスがとにかく危険で魅力的でさ〜〜。正直たまらなかったです。身も蓋もない言いかたするとヤンデレだから。わたしはヤンデレがヘキだから…。

    ドロシーの恋人であるポールもいいひとで、この三人で何事もなく幸せに暮らしてくれって願わずにはいられない。

    そういえばサガンの作品って映画化されてるやつ結構あるからこの作品もされているかな?と思ったらされていなかった…残念…とても見たいのに〜笑!

  • 四つ折りにした薄手のハンカチーフのような薄さに惹かれて本棚から取り出した本。移動中に読むのにぴったり。
    名古屋からの帰り、疲れているにもかかわらず、立ったまま夢中で読み通した。魅力の半分は朝吹先生の翻訳かもしれない。昭和40年代にこのセンスの良い、色あせない翻訳ってどういうことだろう。
    直訳とは違う、『優しい関係』という感じの良いタイトル、快い、誘い出すような冒頭文に、広辞苑にも載っていない珍しい熟語の数々、読んでる間じゅうずっと気持ちのよい刺激と静けさに浸ることができる(個人的にちょっとリンドバーク婦人を思わせる)。
    愛すべきルイスと、共感を誘う女性主人公、そしてポールの寛容さもまたいい。ルイスの受け答えが好きだ。受け答えしている情景もすっと思い浮かぶ。
    ところでルイスの秘密が無償の愛につながるのはわかるけれど殺人につながる意味はよくわからない。

  • サガンの小説に出てくる主人公は、美しいものと楽しい人生を愛する楽天家で、不幸よりも断然幸福が似合う女性ばかり。そんなところが私がサガンの小説を好きな理由なのです。

    でもこの小説には、こんなくだりがあった。以下、引用。
    「たやすく幸福になれるということは、考えてみれば、恐るべきことだ。幸福というものは、非常に束縛的なもので、神経衰弱と同様、それからのがれることはできない。ひどく厭なことが重なり、身をもがいて抵抗し、自己を防衛し、ある考えにとりつかれている最中、突然、幸福が額にぶつかる、小石のように、太陽の閃光のように。そして人は生きていることの喜びでいっぱいになって、うしろへつれもどされるままに身をまかせるのである。 」

  • (1971.10.23読了)(1971.10.06購入)
    *解説目録より*
    いささか浅薄で思慮にも欠けアル中気味ではあるが、自分の道をごまかしなく歩こうとする黄金の心の持ち主ドロシーと、無償の愛に生きるヒッピー青年ルイス……。若い世代の心の動き、その悩み、愛情、人生を眺める視線、男と女がかもし出す不透明な雰囲気などその文学的才能と鋭い感性でとらえるサガンの第七作。

    ☆関連図書(既読)
    「悲しみよこんにちは」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1955.06.25
    「ある微笑」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1958.05.05
    「一年ののち」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1960.01.15
    「ブラームスはお好き」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1961.05.10
    「すばらしい雲」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1968.03.25
    「熱い恋」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1970.03.10

  • 1つの決められた道を進むと倦怠が来て、別の道がちらちらと見えて、常に満足しない気分をもつ女性のゆらゆらした気持ちを描いてる。
    この本のドロシーは、繊細な心の側面を完璧に守ってくれるひとりのヒッピー少年と、社会的生活や性的楽しみなどを完璧に与えてくれる成熟した男性の二人と関係を保つ。そして物語の最後は楽しげ。
    二面性というか心のなかにくすぶる繊細な微細な「満たされなさ」を上手に描いているのかなと思う。

  • 「LE GARDE DE COEUR」魂の護衛
    サガンといえば『悲しみよこんにちは』
    でも、こっちがすき。
    彼女と彼と、彼。
    中年男女と青年のおはなし

  • 初めてサガンを読みました。
    とっても、大らかで温かい本だったと思います。
    主人公のドロシーがとても素敵です。
    男性もたくさん出てきます。
    どの人もたいてい美男子と表現されており、
    それだけですでに好感がもてますが笑、
    みな愛すべき人物たちです。

    ドロシーの人生に対する愛情が所々で表現されていて、
    それだけで十分、私は幸福を感じることができるのでした。

  • サガンは沢山読んだけど、一番好きなのはこれ。台風の中家に閉じ込められるエピソードや中古のロールスを手入れするエピソードに死ぬほど惚れてました。嵐の夜が明けるシーンが好きで好きで!自分でも朗読して録音するほど好きだった・・・・いやあ、若いって怖いですね・・。

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著者プロフィール

1935‐2004。フランス、カジャルク生れ。19歳の夏、デビュー小説『悲しみよこんにちは』が批評家賞を受け、一躍時代の寵児となる。『ブラームスはお好き』『夏に抱かれて』等、話題作を次々に発表した。

「2021年 『打ちのめされた心は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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