- Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102118085
感想・レビュー・書評
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ジョゼと虎と魚たちから。
人物の心理描写の巧みさに酔いしれた。絶望の底も幸福の頂点もすべてまるで自分の経験のように味わうことができる。ここまで描かれてしまうと自分は生きていて自らの感情を十分に味わえているだろうかと反省するほどだ。
例えばこんな描写がある。
「もういい加減にしろよ」とジルが言った。
しかし満足そうに微笑していた。結局、それは少年のよろこびなのだろうが、親友と自分の恋人が優しく自分をからかっているときの、くすぐったいような嬉しさだった。何か、珍しい、こわれやすい、把握することのできないもののように自分を仲間はずれに感じていたところが、結局、彼らの話題となっているものに自分を一致させることができ、自分が重要な人間で、愛されていることを感じるときの嬉しさなのであった。(p.135)
こういう嬉しさってあるよな~と噛み締めてしまうような描写だ。この調子で恋愛の歓喜も悲哀も語られるのだからたまらない。
ジルはいっときナタリーとの幸福な生活を手にするが、ついには残酷な破滅に陥ってしまう。たまたま並行して読んでいたアリストテレスの『ニコマコス倫理学』に、人は徳に基づいた行為によって幸福になることができると書かれている。ジルは享楽的すぎた。もう少しでも分別があればきっとあんな結末にはならなかったにちがいない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
サガンらしい。半上流階級の社交と恋愛。喪失。
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サガンの8作目は1970年と1981年にも出版されています。
1987年に映画化されて話題になり、本のカバーも映画の写真に新装です。それにつられて読んだようですね。
だから、このバインダーでも 1作目からの順番から大きく外れています〜。
(映画を見に行った覚えもないです・・・。) -
【Entertainment】冷たい水の中の小さな太陽/フランソワーズ・サガン/20170303/(25/621) <244/72524>
◆きっかけ
・大学時代に恩師に勧められて読んだ本を急に思い出して。しかし、なぜ勧められたかはわからなん
◆感想
*最後の遺書が切ない。「あなたのせいではないのよ。わたくしはいつもちょっと年強する性質(たち)でした。あなた以外愛したことはかつてありません。」これをきっかけにジルが生まれ変わったように真人間になればいいが。
◆引用
・男と女の、厄介ではあるが人臭くはある問題が、すでに乾ききった金銭の問題にすり替わるのを学んで、笑顔一つにも値札が下がっているような気にさせられ・・・ -
母より拝借 ラスト5ページで急展開 知的で、魅力的なナタリーの最期の書き置きがあんまり簡潔で、ショック ガルニエの主人公への忠告「いつかきみが、きみの愛するものを恥に思うときがきたら、きみの終りだ。きみ自身に対して終りだ。本当だよ。」はわたし自身にズシッときた
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びっくりのラストですね。
インテリの女性には笑えない結末かも?
田舎出身で飾り気がなく、教養あるヒロインには好感をもちました。
その一本気さが裏目に出てしまうのですが。 -
サガンの作品の中では、それほどいいとは思えない。ただ…タイトルはすごくいい。
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題名は「悲しみよこんにちは」と同様にポール・エリュアールの詩からとったそうだ。
読み終わったあとにもう一度、冒頭に引用されている詩を読むと、この小説の内容はこの詩に収斂されていることがわかる。
サガンの作品は多数映画化されているようなので、いつか見てみたい。 -
五年後にまた読みたい作品
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母蔵書。