- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102118245
感想・レビュー・書評
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私はパリには一度も足を運んだことはないが、サガンの小説を読むとパリの匂いや景色や街並みが頭の中にイメージとして浮かび上がってくる。
想像の中のパリは自由で、愛に溢れている街だ。
しかし、愛というものはこんなにも切なく残酷で孤独なものなのだろうか。
愛しているのに傷つけてしまいすれ違い、永遠に離れ離れになってしまう、失くしてしまった後になってあれこそが愛だったのだと気付く。
生きていればきっとそんな経験は一度はあるのではないだろうか?
読み終わった後に、過去に好きだった人を思い出し、懐かしみ、そして今傍にいる人を愛しく思えたらいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「愛は束縛」
ヴァンサンとローランスの間にあるものはまさにそれのようだった。
一方、「愛」には違う面もあるようだった。
朝靄に包まれた、寝ぼけまなこの心地よさみたいな冒頭から徐々に物語は滑り出していく。途中、コリオランやオディール、養父や艶やかな女性たちとのやり取りを通じて、なだらかに盛り上がりをみせていく物語。
心地のいい流れであった。
濃密だけど軽快で、苛立ちを覚えるものの冷静で。
フランス語の見事な遊びを感じさせる訳でした。
また、ヴァンサンの心理描写もローランスの心理描写も非常に的確で、どこか身に覚えのあるような記憶とつながる表現が秀逸。
濃厚で官能的な雰囲気も、この文才ゆえだろうか。
初サガンでした。 -
サガンの24作目
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・原題の"la laisse"は犬のリード。
・ブルジョワ出身のローレンスと
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・ぶつけたつもりで分かった気でいても、 -
読み終わった後、しばらく放心してしまった。香水の匂い、雨、シェイクスピア。
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ああ,フランス!て感じの本だった
激しくて,でも茫漠としたものがあり華やかで悲しい。
ローランスは愛ではなく「最悪な情熱」でもって自分に執着したのだと思いついたヴァンサンのモノローグはすごい。
悲劇さえも悪ふざけ。
ローランスの不器用さが切ない。
最後の,プライドも何もかも捨てた叫びはどうしようもない雨。
一瞬,希望が見えた中での突然の終わり。
二人がお互いへの愛情をほんとに理解していたのは結婚まえだけだったのかも。
とりあえず邦題が違和感。
ネタばれにも近いし,束縛とはまた違うニュアンスな気がする。
内容はよかったから題名も頑張ってフランスの洒脱な雰囲気をだしてほしかった。 -
相手を思うこと、自分を大切にすること、
意志を通すこと、自分らしくいようとすること。
そういうことをすべて両立させるのがいかに難しいかを感じた一冊でした。
表現にはユーモアがあり、
読みやすくも満足できる作品でした。
サガンは三冊目だけど、かなり好きみたいです、私。 -
3度めにしてようやく読了。
時代背景なのか、フランスの文化なのか、この夫婦のどの部分にもほとんど共感ができない。ストーリーを読むというより、この独特の夫婦の(特に夫の)心情をみごとに描き切った筆致に感心してしまった。訳もいいのだと思う。読んでいて、濃厚な香水の香りにおしつぶされそうになったり、ふつふつといら立ちや無力感が湧いてくるような空気。
「愛は束縛」なのではなく「愛と見せかけた全く別のものによる束縛」。ラストシーンは意外。