- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102118283
感想・レビュー・書評
-
ノリの軽い父娘が真面目な新しい母を迎えると、生活が徐々に秩序立てられていく。危機感を覚えた娘セシルは、嘘を吐いて周りの人間を都合良く動かしていくが…
ここからの展開がコントのそれで、途中まで笑いながら読んでいたんだけど、セシルの画策したコメディは完璧な悲劇に終わってしまう。
若くしてこんなに恐ろしく、こんなに余韻の残る物語を書いた作者は天才。言葉、気持ち、人物描写が明確。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悲しみよこんにちは(新潮文庫)
著作者:フランソワーズ・サガン
発行者:新潮社
タイムライン
https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典
少女が持つ純粋な残酷さを描いた世界名作 -
セシルの卓越的かつなお残る幼さが苦い。まさに彼女の朝食のコーヒーとオレンジの対比のよう。
間接的にアンヌの命を奪ったセシルは、これから先のおそらく長いであろう人生で、夏が来るたびに彼女を思い出すのだろう。彼女の、恐ろしいまでの正しさが、堕落するたびに頭の隅でこちらを見るだろう。そしてそれを、時に哀れみ、時に恐れ、また時には馬鹿にするのだろう。
若い自分に期待された役割を、無邪気なフリをして整然と全うするセシルに、同感、同情、妬み、憐み。
アンヌはわたしの中で、完全にボーヴォワールだった。あとがきで彼女がボーヴォワールを崇拝していると語っていて、なんだか全てが繋がった。 -
Twitterで恋愛に悩む人向けにおすすめされていたので、読んでみました。読み返したいと思うような文章と描写で好きになりました。サガンの他の作品も読んでみたい。
-
なんと幸福な少女の物語だろうか。
愛情にまみれ、嫉妬も反抗も愛らしく、不幸さえ、幸福へのエッセンスだ。
-
未成熟な少女の純粋かつ残酷な二面性が美しく描かれていた
-
どうしてかしら何回も読んじゃう
お話の中身はほとんどないのに行ったこともないフランスの夏の浜辺のにおいと体にまとわりつく砂と日差しと香りを感じる
五感全てを文章から感じられる本
コーヒー飲んでオレンジかじるシーンが最高よ
そんな組み合わせで食べたことないのににおいと喉を通る苦いコーヒーを感じる感じる
あとサイコーーーにおしゃれでおませなティーンの生活にくらくらする大好き -
これを18歳で書き上げたサガンが恐ろしい。
人物描写(特に女性たちの嫉妬)、風景描写などどれも繊細で巧み。朝、熱々のブラックコーヒーと水々しいオレンジを交互に口に運ぶのオシャレすぎる。プレイボーイな父親と遊び盛りな娘の破天荒さには少々呆れるが…。
良かった。